ウィリアム・シェイクスピアが恋をきっかけに”ロミオとジュリエット”を完成させるまでを描く、監督ジョン・マッデン、主演グウィネス・パルトロー、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ、コリン・ファース、ベン・アフレック、ジュディ・デンチ、ルパート・エヴェレット、トム・ウィルキンソン他共演のラブ・ロマンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・マッデン
製作総指揮
ボブ・ワインスタイン
ジュリー・ゴールドスタイン
製作
デヴィッド・パーフィット
ドナ・ジグリオッティ
ハーヴェイ・ワインスタイン
エドワード・ズウィック
マーク・ノーマン
脚本
マーク・ノーマン
トム・ストッパード
撮影:リチャード・グレートレックス
美術・装置
マーティン・チャイルズ
ジル・クォーティアー
衣装:サンディ・パウエル
編集:デヴィッド・ギャンブル
音楽:スティーブン・ウォーベック
出演
ヴァイオラ・デ・レセップス/トマス・ケント:グウィネス・パルトロー
ウィリアム・シェイクスピア:ジョセフ・ファインズ
フィリップ・ヘンズロー:ジェフリー・ラッシュ
ウェセックス卿:コリン・ファース
ネッド・アレン:ベン・アフレック
エリザベス1世:ジュディ・デンチ
クリストファー・マーロウ:ルパート・エヴェレット
ヒュー・フェニマン:トム・ウィルキンソン
エドマンド・ティルニー:サイモン・キャロウ
リチャード・バーベッジ:マーティン・クルーンズ
乳母:イメルダ・スタウントン
ジョン・ウェブスター:ジョー・ロバーツ
ラルフ・バッシュフォード:ジム・カーター
アメリカ/イギリス 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ(世界)
ミラマックス(北米)
1998年製作 123分
公開
北米:1998年12月3日
イギリス:1999年1月29日
日本:1999年5月1日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $100,241,320
世界 $289,317,790
■ アカデミー賞 ■
第71回アカデミー賞
・受賞
作品
主演女優(グウィネス・パルトロー)
助演女優(ジュディ・デンチ)
脚本・美術・衣装デザイン・音楽賞
・ノミネート
監督
助演男優(ジョセフ・ファインズ)
撮影・メイクアップ・音響・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1593年、ロンドン。
資金難に苦しんでいた芝居小屋”ローズ”の経営者フィリップ・ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)は、興行主ヒュー・フェニマン(トム・ウィルキンソン)に借金返済を催促される。
ヘンズローは、思わず人気劇作家ウィリアム・シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)の新作、”ロミオとエセル,海賊の娘”が完成すると答えてしまい、フェニマンを一応納得させる。
ヘンズローは、早速、シェイクスピアの元に向かうものの、彼が新作どころではないスランプに陥っていることを知る。
シェイクスピアは、芝居小屋”カーテン”の経営者リチャード・バーベッジ(マーティン・クルーンズ)と手を組むことも考えていた。
富豪令嬢ヴァイオラ・デ・レセップス(グウィネス・パルトロー)は、芝居や恋に憧れる、若くて快活な美しい女性だった。 ペストの蔓延で劇場閉鎖が相次いでいたが、それも解除されることになり、再びフェニマンに脅されていたヘンズローは安堵する。 しかし、ようやく書き上げた新作を、シェイクスピアはバーベッジに渡そうとする。 シェイクスピアが、心を寄せていた女性のために書いた新作だったが、彼女が饗宴局長エドマンド・ティルニー(サイモン・キャロウ)と愛し合っているところに出くわしてしまう。 ショックを受けたシェイクスピアは、その原稿を燃やしてしまう。 再開された”ローズ”では、新作のオーディションの準備もされていたが、そこに、トマス・ケント/ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)という青年が現れ、誰もいない舞台でセリフを語りだす。 それを見たシェイクスピアは、ケントの演技に驚き声をかけるが、”彼”はその場から逃げ去ってしまう。 シェイクスピアは後を追い、”彼”がデ・レセップス邸に向かうのを目撃する。 屋敷に着いたシェイクスピアは、乳母(イメルダ・スタウントン)に、劇の内容を書いたメモをケントに渡すよう伝える。 それを呼んだヴァイオラは、その内容に感激し、両親が留守の間、男装してケントに成りすますことを決意する。 その夜、シェイクスピアは、デ・レセップス邸のパーティーに忍び込み、令嬢ヴァイオラの美しさに心奪われてしまう。 ダンスに参加したシェイクスピアはヴァイオラと踊り、彼女は目の前に現れた”詩人”に驚いてしまう。 ヴァイオラの美しさに言葉を失ってしまったシェイクスピアだったが、彼女を妻にしようとするウェセックス卿(コリン・ファース)が現れる。 ウェセックスに脅されたシェイクスピアは、自分が劇作家のクリストファー・マーロウだと名乗ってしまう。 諦めきれないシェイクスピアは、ヴァイオラがいるベランダに向かい言葉を交わすが、乳母に見つかり逃走する。 その後シェイクスピアは、一気に構想が浮かび、作品を書き上げてしまう。 そして舞台稽古は始まるが、シェイクスピアの思い通りに準備が進まなかったところに、ネッド・アレン(ベン・アフレック)の一座が戻ってくる。 ケント(ヴァイオラ)も加わった稽古は続き、シェイクスピアはその間、ヴァイオラへの手紙を彼に託す。 そんな時、ヴァイオラは屋敷を訪れたウェセックスから、既に父親との話は進み結婚式が行われることを知らされる。 この結婚により、商人だったヴァイオラの父は地位を築き、貧乏貴族のウェセックスは財産が得られるという、計略結婚だと言いわれてしまう。 さらにウェセックスは、結婚後にアメリカに数年間移住する計画もヴァイオラに伝える。 愛のない結婚を自分本位で考え、強引に唇を奪おうとするウェセックスにヴァイオラは怒りを露にする。 女王エリザベス1世(ジュディ・デンチ)の承認を得るための、検分に向かうことも決まっていたヴァイオラは、悲しみに堪えながらシェイクスピアに別れの手紙を書く。 そしてシェイクスピアは、その手紙をケントの前で読み、”彼”はそれを聞きながらどのくらいの愛があったのかを確かめる。 それに聞き惚れてしまったケントは、思わずシェイクスピアにキスしてしまう。 それに驚いたシェイクスピアは、船漕ぎがケントのことをヴァイオラだと言ったため屋敷に向かう。 バルコニーによじ登ったシェイクスピアは、ヴァイオラの部屋に向かい、彼女と愛し合ってしまう。 その後、二人は、稽古中に指導だと言ってキスして愛を確かめ、夜は台本を手に愛し合う。 稽古は順調に進み、口うるさかったアレンもシェイクスピアの台本を賞賛し、題名を”ロミオとジュリエット”に変えることで二人は合意する。 女王の元に向かう日、”ケント”としての自分を愛して欲しいことをシェイクスピアに伝え、ヴァイオラはウェセックスと宮殿に向かう。 シェイクスピアは乳母に扮し二人に同行し、そしてヴァイオラは女王に謁見する。 そこで、ヴァイオラは女王の言葉に反し、芝居が真実の愛を語ると述べてしまう。 女王は、機会があったら、それを証明してみせるようにとヴァイオラに約束させて、ウェセックスを愚か者呼ばわりする。 さらに女王は、ヴァイオラが既に他の男に体を許していることを女の感でウェセックスに伝え立ち去り、彼はその相手が劇作家のマーロウだと思い込む。 その頃、マーロウは新作の”パリの虐殺”が完成したことをバーベッジに知らせるが、彼はシェイクスピアの作品も控えていることを伝える。 しかしマーロウは、それがヘンズローに渡ってしまったことをバーベッジに知らせる。 バーベッジは、シェイクスピアが自分の女にも手をだした裏切り者だと罵りながら”ローズ”に現れる。 シェイクスピアとバーベッジは剣を交えた戦いとなるが、それを見たヘンズローは、それが芝居なのかと疑い、見事な戦いぶりにフェニマンは満足してしまう。 フェニマンも戦いに参加しバーベッジを叩きのめし、一座は勝利を祝い酒盛りを始める。 しかし、シェイクスピアに妻子がいることが分かったケント(ヴァイオラ)はショックを受け、その場から走り去ってしまう。 その時、マーロウが酒場で刺殺されたという連絡が入り、シェイクスピアは、それがウェセックスの仕業と悟り、罪深きことをしたことを後悔し神に許しを請う。 翌日、ウェセックスから劇作家が死んだことを知らされたヴァイオラは、シェイクスピアが亡くなったと思い込み打ちひしがれる。 しかし、シェイクスピアはウェセックスの前に現れ、彼は亡霊だと言ってその場から逃げ出してしまう。 シェイクスピアの姿を確認したヴァイオラは喜ぶが、彼は自分がマーロウを殺したのと同じだということを語る。 二人は改めて愛を確かめ合うが、結婚を諦めても、女王に事情が知られ、シェイクスピアが破滅することをヴァイオラは伝える。 その後シェイクスピアは、悲劇の結末を一座の全員に知らせ、そして完成した作品を製本しヴァイオラに渡す。 二人の密会は、ジョン・ウェブスター(ジョー・ロバーツ)から饗宴局長ティルニーに知らされ、それがウェセックスに伝わる。 ウェセックスは剣を抜き、稽古中のシェイクスピアに襲い掛かり二人は激しい戦いを繰り広げる。 結局は、シェイクスピアはウェセックスがマーロウを殺してはいないことと、同時に自分が殺したのでもないことを知ることになる。 ウェセックスは、自分の名を汚した舞台小屋を閉鎖させるよう、ティルニーに伝えて立ち去る。 ウェブスターがヴァイオラの正体を暴き、ティルニーは、女が舞台に上がることを禁じられていることを理由に、閉鎖が告示されることを告げる。 ヴァイオラは、ヘンズローやシェイクスピアらに謝罪し、その後、失意の彼女は部屋に閉じこもってしまう。 座員は絶望感を味わうが、そこに、ティルニーが、芝居関係者を軽蔑していることに憤慨したバーベッジが現れる。 バーベッジは、女王から劇場運営を許可されている以上、それに屈することなく見返す覚悟だと、一座に協力を要請する。 そしてバーベッジは、シェイクスピアの劇のために自分の劇場”カーテン”を提供する。 ロミオ役がいないまま開演の準備は整い、シェイクスピアはヴァイオラの元に向かう。 ウェセックスとヴァイオラは結婚式を済ませて、アメリカのヴァージニアに向かおうとするが、”ロミオとジュリエット”のチラシを見た彼女は姿を消してしまう。 劇場の客席は人々で埋まり、いよいよ劇は始まるのだが、ジュリエット役の少年が突然声変わりしてしまう。 ヘンズローが慌てふためきバーベッジに相談するが、劇場に姿を現したヴァイオラをジュリエット役に起用しようとする。 いよいよジュリエットが登場するという時、ウェセックスも劇場に到着し、そしてヴァイオラが舞台に上がる。 それを知ったシェイクスピアは驚き、女を舞台に上げたヘンズローは覚悟を決める。 シェイクスピアは笑顔でヴァイオラを見つめ、ロミオ役として自らも舞台で熱演する。 製作のフェニマンも薬剤師として出演し、劇はいよいよ舞台はクライマックスを迎え、悲劇のドラマは幕を閉じる。 劇場内は大喝采となり、人々は一座を称え惜しみない拍手を贈り続ける。 そこにティルニーが押し入り、女王の名において全ての者を逮捕することを告げる。 舞台に上がったバーベッジが立ちはだかるが、ティルニーは聞く耳を持たない。 その時、女王の声が劇場内に響き渡り、彼女は舞台に上がり”ケント”(ヴァイオラ)を呼び寄せる。 男として挨拶したヴァイオラは、女王に”男”であることを認められる。 そして女王は、ウェセックスに対し、芝居が真実の愛を語ることが証明されたことを伝え、シェイクスピアを正式に宮殿に招待する。 妻を失ったというウェセックスを前に、神に誓った結婚の解消は認められないことから、女王は”ケント”に彼の妻を捜すよう命ずる。 シェイクスピアに、次は喜劇をと伝えるよう言い残した女王は、その場を立ち去る。 女王の指示で、ヴァイオラはウェセックスから勝ち取った50ポンドの掛け金をシェイクスピアに届ける。 次は喜劇をという女王の言葉を伝えたヴァイオラに、気力を失ったシェイクスピアは言葉少なく応える。 ヴァイオラは、構想を手助けするように物語を語り始め、シェイクスピアが言葉を補い、その後、永遠の愛を誓った二人は別れを告げる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
経営難に悩む芝居小屋の経営者ヘンズローは、人気劇作家シェイクスピアに新作を催促するが、スランプにあえぐ彼の筆は動かずにいた。
ペストの蔓延で閉鎖されていた劇場も再開されることになり、ヘンズローは新作のオーディションを始めようとする。
そんな時、シェイクスピアは現れた青年ケントの演技に目を付け、逃げ去った彼の後を追う。
シェイクスピアは、ケントの向かった屋敷に忍び込み、令嬢ヴァイオラに心惹かれてしまう。
ヴァイオラの魅力にとり憑かれたシェイクスピアは、一気に新作を書き上げる。
詩人のシェイクスピアや美しい恋に憧れていたヴァイオラは、彼の新作劇の内容を知り心打たれる。
そして、ヴァイオラは青年”ケント”に扮し、その主役を演ずるために、一座の仲間入りをするのだが・・・。
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自らの恋が傑作”ロミオとジュリエット”を生み出すというドラマチックなストーリーに加え、その悲喜劇のコントラストと流れるようなセリフ回し、主役の二人を取り巻く役者達の達者な演技、そして、その多くの登場人物の細かな描写など、ジョン・マッデンの演出手腕は冴え渡る。
”ロミオとジュリエット”が書かれたのは、実際にはドラマの設定よりも数年後ということになるのだが、ヒロインのヴァイオラの登場により、その構想が一気に浮かぶ盛り上がりなどは、実に巧みな脚本と演出だ。
そのヴァイオラの夫となる貴族の嫉妬が、劇作家クリストファー・マーロウの死と関係するような筋立ても興味深く、彼の死因などは年代などを含めて事実に則している。
北米興行成績は1億ドルを突破して、全世界では約2億9000万ドルのヒットとなった。
第71回アカデミー賞では作品賞以下13部門にノミネートされた。
作品、主演女優(グウィネス・パルトロー)、助演女優(ジュディ・デンチ)、脚本、美術、衣装デザイン、音楽賞を受賞した。
・ノミネート
監督
助演男優(ジョセフ・ファインズ)
撮影・メイクアップ・音響・編集賞
夢物語から飛び出したようなヒロイン、透き通るような白い肌の美しいグウィネス・パルトロー、清潔感溢れる新鮮な魅力は衝撃的でもあった。
やや控えめな容姿ながら、その情熱が画面からほとばしる、シェイクスピア役のジョセフ・ファインズと、少ない出番ながら、他を圧倒する威厳を感じさせる、女王エリザベス1世を演ずるジュディ・デンチの演技も光る。
芝居小屋”ローズ”の経営者フィリップ・ヘンズローのジェフリー・ラッシュ、憎まれ役の貧乏貴族であるヒロインの婚約者を好演するコリン・ファース、撮影当時はG・パルトローの恋人だった役者ネッド・アレン役のベン・アフレック、劇作家クリストファー・マーロウのルパート・エヴェレット、次第に一座に溶け込んでゆく姿が楽しい興行主トム・ウィルキンソン、終盤で男気を見せる芝居小屋”カーテン”経営者リチャード・バーベッジ役のマーティン・クルーンズ、饗宴局長エドマンド・ティルニーのサイモン・キャロウ、ヒロインの乳母役イメルダ・スタウントン、後に劇作家になるジョン・ウェブスター役のジョー・ロバーツなどが共演している。