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セブン・イヤーズ・イン・チベット Seven Years in Tibet (1997)

1952年に発表された、オーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーの自伝”Seven Years in Tibet”を基に製作された作品。
登山家であるハインリヒ・ハラーチベットへの旅とダライ・ラマ14世との親交を描く、製作、監督ジャン=ジャック・アノー、主演ブラッド・ピットデヴィッド・シューリスB・D・ウォンマコ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

ブラッド・ピット / Brad Pitt 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:ジャン=ジャック・アノー

製作
ジャン=ジャック・アノー
ジョン・H・ウィリアムズ
製作総指揮:デヴィッド・ニコルズ
原作:ハインリヒ・ハラーSeven Years in Tibet
脚本:ベッキー・ジョンストン
撮影:ロベール・フレース
編集:ノエル・ボワソン
音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演
ハインリヒ・ハラーブラッド・ピット
ペーター・アウフシュナイターデヴィッド・シューリス
ンガプー・ンガワン・ジクメB・D・ウォン
クンゴ・ツァロンマコ
摂政:ダニー・デンゾンパ
中国の代表:ヴィクター・ウォン
イングリッド・ハラー:インゲボルガ・ダクネイト
ダライ・ラマ14世/テンジン・ギャツォジャムヤン・ジャムツォ・ワンチュク
ペマ・ラキ:ラクパ・ツァムチョエ
聖母(ダライ・ラマの母):ジェツン・ペマ
張経武将軍:リック・ヤン

アメリカ 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ
1997年製作 136分
公開
北米:1997年10月10日
日本:1997年12月13日
製作費 $70,000,000
北米興行収入 $37,901,510
世界 $131,457,680


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1939年、チベットノルブリンカ
4歳のテンジン・ギャツォは、ダライ・ラマ14世に認定される。

様々な物が献上される中で、ダライ・ラマはオルゴールが気に入る。

オーストリアグラーツ
ナチス統制下の祖国から旅立つ登山家のハインリヒ・ハラーブラッド・ピット)は、身重の妻イングリッド(インゲボルガ・ダクネイト)と言い争いをしながら駅に向かう。

ヒマラヤに向かう登山チームの隊長のペーター・アウフシュナイターデヴィッド・シューリス)に迎えられたハラーは、アイガー北壁に初登頂した英雄として、ナチスの宣伝に使われることを嫌う。
...全てを見る(結末あり)

素っ気ない態度でイングリッドに別れを告げて、4か月後に戻ると伝えたハラーは、送ってくれた友人のホルストに後を任せて列車に乗る。

泣きながらホルストと共に去って行くイングリッドの後姿を見つめるハラーは、アウフシュナイターらとは別の個室に向かい、8000キロ彼方の世界第9位の高峰”ナンガ・パルバット”を目指す。

1939年7月29日。
国民の期待を背負いながら登頂を始めたハラーは、生まれた子供が1か月になることを考える。

氷壁から滑り落ちたハラーは、アイゼンで左足を傷つけてしまうものの、応急処置をして痛みを堪え登り続ける。

その後、ハラーのサポートを受けていたアウフシュナイターが、岸壁で宙づりになってしまう。

足の痛みに耐えながら、何んとかザイルを話さなかったハラーは、登ってきたアウフシュナイターから、傷の手当てが必要だと言われる。

それを迷惑に思うハラーは、アウフシュナイターから、自分の命にかかわる問題だとに言われて、自分は命の恩人だと反論する。

再び怪我を隠したらチームから外すとアウフシュナイターから忠告されたハラーは、気にする様子もなかった。

8月4日。
吹雪のために雪崩を恐れて動かない、アウフシュナイターの考えに苛立つハラーは、イングリッドのことを想う。

翌日、雪崩に襲われたチームは下山することになり、反対するハラーは頂上を目指そうとするものの、アウフシュナイターの命令に従う。

その後、ドイツとの開戦をイギリス軍から知らされた隊員は、戦争捕虜としてデヘラードゥーンの収容所に入れられることになる。

10月15日。
収容所に着いたハラーは、来年の夏はイングリッドと過ごすことを誓い、脱走してヒマラヤに逃げ込むことを考える。

1940年10月。
4度目の脱走に失敗したハラーは、アウフシュナイターらが考える大規模な脱走計画を知る。

イングリッドからの手紙を受け取ったハラーは、ホルストとの結婚を決めた彼女からの、離婚届にサインする要望だったためにショックを受ける。

生まれたロルフは2歳になり、ホルストを父と呼んでいるというイングリッドは、いずれ、本当の父親はヒマラヤで消息を絶ったと話すことを手紙に記していた。

苛立つハラーは、自分を痛めつける。

1942年9月。
脱走計画は実行され、アウフシュナイターイギリス軍将校に、ハラーらはインド人労働者に扮して、集団で収容所から脱出することに成功する。

その後ハラーは、単独で行動すると言ってアウフシュナイターらと別れる。

インド北部。
ある町で食料を盗んだハラーは食あたりのために苦しみ、現れたアウフシュナイターから薬を貰い、行動を共にすることになる。

アウフシュナイターから、日本軍が撤退し始めたことを知らされたハラーは、合流は難しいと言われ、古郷には戻らないと伝える。

中国で仕事を探す考えのアウフシュナイターに、2000キロ以上離れた地より68キロ先のチベットを目指すと伝えたハラーは、65キロ先だと言われ、食料を賭けて国境を目指す。

ハラーが賭けに勝ちチベットに入った彼らは、馬に乗った二人の男から、外国人は帰れと言われる。

それを無視するハラーは、二人を追い払ってしまう。

ある村に着いたハラーアウフシュナイターは、県の長官の話を聞くことになるが、それが追い払った男だと知り焦る。

村から追い出された二人は、ガイド付きでインド国境に向かう。

ある村に着いたアウフシュナイターは、ハラーから、食料を手に入れるために父の形見の腕時計を手放すべきだと言われる。

村の男をからかい小高い丘に逃げた二人だったが、ハラーが腕時計を3個も持っていたことを知ったアウフシュナイターは、市場で食料のために時計を手放せと言った彼を痛烈に非難する。

壊れている時計だと言うハラーに、人間性の問題だと伝えたアウフシュナイターは、謝罪する気のない彼を見限る。

アウフシュナイターを追ったハラーは、彼に謝罪して時計を渡す。

それを受け取ったアウフシュナイターは、付いていた結婚指輪をハラーに返すが、彼は受けとらなかった。

父親は死んだと言われているはずの息子ロルフのことをアウフシュナイターに話したハラーは、手紙を書くことを提案されてそれに従う。

助け合いながら旅を続けたハラーアウフシュナイターは、山賊に捕らえられるものの、隙を見て馬を盗み逃走する。

その後ハラーアウフシュナイターは、聖なる都”ラサ”に向かう人々と共に、外国人は入ることができないその地に到着する。

ラサの検問を通過することができたハラーアウフシュナイターは、新聞を見つけて、連合軍ノルマンディーに上陸したため終戦に向かうだろうと考える。

ある家の犬の餌を奪おうとした二人は、家主であるダライ・ラマ13世の国防大臣だったクンゴ・ツァロンマコ)に世話になることになる。

摂政(ダニー・デンゾンパ)の元に向かったツァロンは、ハラーアウフシュナイターの件を話して滞在の許可を得る。

その後ハラーアウフシュナイターは、現れた仕立て屋のペマ・ラキ(ラクパ・ツァムチョエ)から、貴族でもある大臣の秘書官ンガプー・ンガワン・ジクメB・D・ウォン)からの贈り物だと言われ、洋服を作ることになる。

ペマを意識するようになったハラーアウフシュナイターは、仕上がった洋服を着て町を歩き、出くわしたジクメに感謝する。

中国の代表(ヴィクター・ウォン)の元に向かったジクメは、大臣らが寄付を拒む理由を訊かれ、自分は単なる秘書官だと答える。

代表は、ジクメの外交手腕を評価して、自分達の考えに従わせようとする。

その場を去ろうとしたジクメは、中国側が武器を補充していることを知り警戒する。

アウフシュナイターがペマに惹かれたことに気づいたハラーは、彼女にスケートを教えて気を引こうとする。

しかし、アウフシュナイターの優しさに惹かれたペマは、彼と手を取り合って滑り、仕方なくハラーは男性の相手をする。

ダライ・ラマジャムヤン・ジャムツォ・ワンチュク)は、その様子を望遠鏡で観察していた。

その後もハラーは、ロルフに手紙を書き続けていた。

1945年5月。
ペマと結婚したアウフシュナイターを祝福したハラーは、国土を制圧し始めた中国共産党の動きを気にする。

ラサの測量を任されていたハラーは、ドイツが降伏して戦争が終わったことをジクメから知らされ、オーストリアに帰ることを考える。

しかし、ロルフからの手紙を受け取ったハラーは、”父親でない人からの手紙は欲しくない”という内容にショックを受ける。

聖母/ダライ・ラマの母(ジェツン・ペマ)に呼ばれたハラーは、ダライ・ラマに会うための儀礼を教えられる。

ダライ・ラマが自分との面会を望んでいることを知らされたハラーは、聖母と共にポタラ宮に向かう。

ハラーを歓迎したダライ・ラマは、映画に興味があると言って、宮殿内に映画館を作りたいと伝える。

映画館の建設をダライ・ラマから以来されたハラーは、他にも話したいことがたくさんあると言われる。

その後、映画館の基礎作りを始めたハラーは、作業員から、土の中のミミズは殺せないと言われて困惑する。

ダライ・ラマと話したハラーは、あらゆる生き物は前世で母親だったかもしれないと考えるチベットの教えに従うしかなく、ミミズを殺さないように工夫をして作業を進める。

ハラーと親交を深めたダライ・ラマは、様々なことを彼から学ぶ。

その頃、昇進したジクメは大臣となる。

毛沢東中国共産党の指導者となり、チベットを含めた全土の統一を実現することを言明する。

それに反発する摂政は、中国政府関係者の国外退去を求め、代表らはラサを去る。

知識欲旺盛なダライ・ラマに、あらゆることを教えるハラーは、家族のことを訊かれ、妻とは離婚して息子には会ったこともないと話す。

車を発電機として電気を供給し、完成間近の映画館の映写テストをしたハラーは、それに成功して満足する。

クリスマス・パーティーが開かれ、皆を招待したハラーは、アウフシュナイターとペマらにプレゼントを渡す。

プレゼントを開けたアウフシュナイターは、ハラーが市場で見つけたという、父親の腕時計だったために驚く。

感激したアウフシュナイターは、ハラーに感謝して彼を抱きしめる。

その時、倒れたラジオから中国側の放送が流れ、その場の人々は、外国の資本主義に傾倒するチベット政府を批判し、仲間になるようにと国民に呼びかける内容を聴く。

生まれた村タクツェル人民解放軍に滅ばされた悪夢を見たダライ・ラマは、単なる夢だと言うハラーに、その悲惨な状況を語り悲しむ。

翌日、北部の人民解放軍の侵攻をツァロンから知らされたハラーは、タクツェルが襲撃されたと言われて驚く。

摂政に呼ばれたツァロンは国防強化を求められ、100万の人民解放軍に対抗するのは現在の体制では無理だと答えるものの、引き受けるしかなかった。

ハラーアウフシュナイターは協力を求められ、人民解放軍の三人の将軍を迎えるための滑走路の建設などを手伝う。

張経武リック・ヤン)、張国華孫志遠ら各将軍を宮殿に案内したジクメだったが、将軍らはチベット人を見下して侮辱する。

対等な立場でなければ話さないと言う張経武将軍に従ったダライ・ラマは、チベットは、平和を望み暴力を忌み嫌うことを伝える。

宗教は毒だとジクメに伝えた張経武は、二人の将軍と共にその場を去りチベットを離れる。

その後、張経武将軍指揮下の8万4000の人民解放軍が国境に迫り、チャムドの新知事ジクメが、進攻を前にチベット軍を配備し、抵抗の準備を進めたことをハラーは知る。

野営をしていたチベット軍は、人民解放軍の奇襲に遭い全滅する。

その報告を受けたジクメは、チャムドを死守すると言っていたにも拘らず、降伏の許可を政府に求め、武器庫を爆破してラサに戻る。

降伏調印が行われ、戦う方法は残されていたものの降伏したジクメを非難するハラーは、彼から送られたジャケットを突き返す。

恥を背負って長生きして苦しめとジクメに言い残したハラーは、その場を去る。

人々は、成人していないダライ・ラマに政治の実権が与えられることを願う。

ツァロンラサを去り、旅立つ決心をしたハラーは、この地を離れることをダライ・ラマに提案する。

指導者として、民を置いて逃げるわけにはいかないと言うダライ・ラマは、ラサに残り最善の道を考えることをハラーに伝える。

自分達が父子でもなく、もしそうなら気軽に話せなかったとハラーに伝えたダライ・ラマは、ロルフのことを尋ねる。

息子のいない世界は考えられないと言いながら、ハラーは涙する。

それならば、父として国に戻るべきだと言うダライ・ラマは、ここでの仕事は終わったと伝え、ハラーを即位式に招待する。

アウフシュナイターとペマに別れを告げたハラーポタラ宮に向かい、ダライ・ラマから友情を示され、贈り物を受け取る。

自分を見送るポタラ宮ダライ・ラマを見つめるハラーは、祖国へと旅立つ。

1951年、オーストリア
イングリッドとホルストの家を訪ねたハラーは、ロルフに会ってもらえなかった。

ロルフの部屋に、ダライ・ラマから贈られたオルゴールを置いたハラーは、その場を離れて、それに興味を示す息子をドアの隙間から見つめる。

その後、関係が修復したロルフと登山をしたハラーは、山頂にチベットの国旗を立てる。
__________

中国共産党の侵攻で100万のチベット人の命が奪われ、6000の僧院が破壊された。

ダライ・ラマインドに亡命し、現在でも中国との和平に努力し、1989年にはノーベル平和賞を受賞した。
そして、ハインリヒ・ハラーとの友情は今でも続いている。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1939年、第二次世界大戦前夜。
アイガー北壁に初登頂したオーストリア人の登山家ハインリヒ・ハラーは、ペーター・アウフシュナイターらと共に、ヒマラヤの世界第9位の高峰”ナンガ・パルバット”の登頂に挑む。
途中、雪崩に遭い下山を決めたハラーアウフシュナイターらは、ドイツとの開戦をイギリス軍から知らされ、戦争捕虜として収容所に入れられる。
脱走に成功したハラーアウフシュナイターは、外国人を受け入れないチベットの聖都ラサに向かう。
認定されて間もないダライ・ラマ14世は、滞在が認めらた訪問者である外国人のハラーアウフシュナイターに興味を持つ。
ハラーを呼び寄せたダライ・ラマは、彼からあらゆることを学び親交を深める。
その頃、国土統一を考える中国共産党は、チベットへの圧政を開始する・・・。
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アイガー北壁に初登頂したオーストリア人の登山家ハインリヒ・ハラーの自伝を基にした作品。

前半は、第二次大戦前夜、ヒマラヤの高峰”ナンガ・パルバット”の登頂を目指し、戦争の勃発によりイギリス軍の捕虜となった主人公らが、脱走してチベットの聖都ラサを目指す冒険の旅が描かれている。

後半は、中国共産党によるチベット支配の初期段階と共に、ハインリヒ・ハラーに興味を抱いたダライ・ラマ14世の彼との親交が、事実を基にして描かれている。

フランス人監督ジャン=ジャック・アノーが、アジアの中央に位置するチベットの神秘性と共に、幼くして指導者になるダライ・ラマ14世が背負う重責と、訪問者である登山家ハインリヒ・ハラーとの友情を描くドラマドラマなのだが、前半の冒険の旅は興味深いが、期待された後半は深みと盛り上がりに欠ける。

批評家に酷評されて失敗作と言われたため、北米興行収入は約3800万ドルに終わるものの、全世界では約1億3100万ドルのヒットとなった。

話題作への出演が続き、ハリウッドの頂点を極めつつあったブラッド・ピットの魅力が際立つ作品であり、利己的であり野性味を感じさせながら、美しい金髪と共に画面に映える主人公ハインリヒ・ハラーを演ずる彼の熱演は、ファンの心を捉えた。

主人公とは対立する場面もあるが、苦楽を共にして友情が芽生える登山家ペーター・アウフシュナイターデヴィッド・シューリスの、”やわらかい”表情が印象的な演技も心に残る。

チベットの貴族であり大臣になるものの祖国を裏切るンガプー・ンガワン・ジクメB・D・ウォン、先代のダライ・ラマ13世の国防大臣だった政治家クンゴ・ツァロンマコ、摂政のダニー・デンゾンパ中国の代表ヴィクター・ウォン、主人公の妻インゲボルガ・ダクネイトダライ・ラマ14世/テンジン・ギャツォジャムヤン・ジャムツォ・ワンチュクアウフシュナイターと結婚する現地の女性ラクパ・ツァムチョエ、聖母(ダライ・ラマの母)ジェツン・ペマ、人民解放軍の将軍張経武リック・ヤンなどが共演している。


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