脚本家が悪友と共に犯罪に巻き込まれる姿を描く、製作、監督、脚本マーティン・マクドナー、主演コリン・ファレル、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、クリストファー・ウォーケン、トム・ウェイツ、アビー・コーニッシ、オルガ・キュリレンコ他共演のブラック・コメディ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・マクドナー
製作
マーティン・マクドナー
グレアム・ブロードベント
ピーター・チャーニン
製作総指揮:テッサ・ロス
脚本:マーティン・マクドナー
撮影:ベン・デイヴィス
編集:リサ・ガニング
音楽:カーター・バーウェル
出演
マーティ・ファラナン:コリン・ファレル
ビリー・ビックル:サム・ロックウェル
チャーリー・コステロ:ウディ・ハレルソン
ハンス・キエシロフスキ:クリストファー・ウォーケン
ザカライア・リグビー:トム・ウェイツ
カーヤ:アビー・コーニッシュ
アンジェラ:オルガ・キュリレンコ
パウロ:ジェリコ・イヴァネク
マイラ:リンダ・ブライト・クレイ
ベトナム人僧侶/ティック・クアン・ドック:ロング・グエン
クエーカー教徒:ハリー・ディーン・スタントン
マギー:アマンダ・メイソン・ウォーレン
キラー:ジェームズ・ヘバート
フッカー:クリスティン・マルツァーノ
デニス:ケヴィン・コリガン
シャリース:ガボレイ・シディベ
ラリー:マイケル・ピット
トミー:マイケル・スタールバーグ
ブロンドの女:ヘレナ・マットソン
陪審員:クリスピン・グローヴァー
アメリカ 映画
配給
Momentum Pictures(イギリス)
CBS Films(北米)
2012年製作 110分
公開
イギリス:2012年12月5日
北米:2012年10月12日
日本:2013年11月2日
製作費 $13,000,000
北米興行収入 $15,024,000
世界 $19,422,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
ギャングのラリー(マイケル・ピット)とトミー(マイケル・スタールバーグ)は、アンジェラ(オルガ・キュリレンコ)を殺すようボスに命じられていたが、背後から接近した覆面をした男に気づかず射殺される。
男はその場に、ダイヤのジャックのカードを2枚残す。
● サイコパス No.1
脚本家のマーティ・ファラナン(コリン・ファレル)は、締め切りが過ぎたというエージェントからの連絡を受ける。
マーティンを訪ねた親友で失業中の俳優ビリー・ビックル(サム・ロックウェル)は、彼の恋人カーヤ(アビー・コーニッシュ)に迎えられる。 マーティとビリーは映画館に向い、他愛もない話で盛り上がる。 その後ビリーは、犬泥棒詐欺の相棒ハンス・キエシロフスキ(クリストファー・ウォーケン)と共にある女性の犬を盗み、見つけた振りをして飼い主から礼金を受け取る。 ハンスは、その金をガンの手術をした妻マイラ(リンダ・ブライト・クレイ)に渡す。 ”セブン・サイコパス”の脚本がなかなか書き進まないことをマーティから知らされたビリーは、ギャングが二人殺された”ダイヤのジャック”事件の新聞記事を彼に見せる。 事件の犯人をアイデアとして提供されたマーティは、それが気に入る。 マーティは、クエーカー教徒の女性を殺害したキラー(ジェームズ・ヘバート)が、被害者の父親(ハリー・ディーン・スタントン)の陰に怯えて自殺するものの、地獄まで追われる物語を考える。 ギャングのボス、チャーリー・コステロ(ウディ・ハレルソン)は、愛犬ボニー(シーズー)がいなくなったことで、世話をしていたシャリース(ガボレイ・シディベ)を責める。 シャリースを殺そうとしたチャーリーだったが、手下のデニス(ケヴィン・コリガン)から、最近、付近で犬の失踪が頻発していると言われる。 その件を調べ、ボニーを捜すようデニスに命じたチャーリーは、シャリースに発砲するものの弾を外して彼女を許す。 盗んだボニーをアパートに残し、ビリーはカーヤの誕生パーティーに出席するためにマーティの家に向かう。 自分が教えたクエーカー教徒の話をする酔ったマーティと言い争いになったビリーは、カーヤに制止される。 酔った勢いでマーティは、口出しするカーヤを侮辱してしまう。 著作権侵害で訴えられるとカーヤに伝えたビリーは、トラブルを避けるためにその場を去る。 ベトナム人僧侶(ロング・グエン)は、かつてアメリカに苦しめられた恨みを果たそうとする。 カーヤに追い出されたマーティはビリーの部屋で目覚め、人前で彼女を侮辱したためだとビリーに言われる。 酔っていたので覚えていないマーティは、カーヤに電話をして謝罪するようビリーに促される。 カーヤと話したマーティだったが、許す雰囲気でない彼女に電話を切られる。 マーティが新聞に目を通していたためにビリーは、あるページを読むようにと伝えてその場を去る。 ビリーが掲載した、”サイコパスのネタ募集!”の広告を見たマーティは驚く。 盗んだ犬を飼い主に返すハンスを監視していたデニスは、彼に銃を向けて脅し、ボニーの居場所を聞き出してその場に向かう。 現れたデニスらに銃を向けられたマーティは、ボニーの居場所を聞かれる。 その場にいたハンスは話す必要がないと言うが、マーティは脅される。 そこに押入って来た覆面の男はデニスらを銃撃し、ダイヤのジャックを残してその場を去る。 ビリーの家に戻ったマーティは動揺し、ハンスがギャングに襲われたことをビリーに伝える。 ボニーがチャーリー・コステロの犬だと知ったビリーは、ダイヤのジャックを仲間にして、相手を皆殺しにすることを提案する。 警察に行こうと言うマーティの意見を却下したハンスは、マイラの元に向かう。 ビリーの倉庫を調べたチャーリーは、ボニーがいないことを確認し、瀕死のデニスを病院に運ぶよう手下のパウロ(ジェリコ・イヴァネク)に指示する。 チャーリーは、病院にハンスの妻が入院していることをパウロから知らされる。 マーティと家に向かったビリーは、広告を見て待っていたザカライア・リグビー(トム・ウェイツ)を招き入れる。 用があると言ってビリーが出かけた後、マーティは、かつて”シリアルキラー”ハンターだったザカライアが、恋人である相棒のマギー(アマンダ・メイソン・ウォーレン)の残虐な行為に耐えきれなくなったという話を聞く。 マギーと別れたザカライアは、彼女を捜しているとマーティに伝える。 自分の話を脚本に使うなら、マギーを手伝うべきだったと後悔しているために、会いたいという言葉を最後に入れてほしいと、ザカライアはマーティに頼む。 マーティにそれを約束してもらったザカライアは、安堵してその場を去る。 メモ帳を出したマーティは、サイコパスの5番目をマギー、6番目をザカライアとして記入する。 マイラの病室に現れたチャーリーは、相手がポーランド系女性だと思っていたため、黒人のマイラがハンスの妻だとは気づかない。 キエシロフスキ夫人は手術中だと伝えたマイラは、銃を手にするチャーリーに相手を撃つのかを尋ねる。 チャーリーは、脅して犬の居場所を聞くだけだと答える。 犬の居場所を知らない場合は怒るだろうとチャーリーに言われたマイラは、トイレに行くことを許してもらえない。 窓の外を見たマイラは、ハンスがこの場に来ることを知り、彼が毎日、見舞いに来ることなどをチャーリーに話し、自分が妻だと見抜かれてしまう。 覚悟を決めたマイラはチャーリーを侮辱し、ハンスに別れを告げる。 マイラを射殺して病室を出たチャーリーは、犬を盗んだ犯人が驚く姿を見届けるとパウロに言いながらハンスとすれ違い、彼がマイラの元に向かう姿を確認する。 射殺されたマイラを発見したハンスはショックを受ける。 待合室にいたチャーリーは、目の前に座ったハンスに何を見てるのかを尋ねる。 何も見ていないと答えるハンスのクラバットが気になったチャーリーは、それを譲ると言われる。 クラバットを外した首の切り傷を見たチャーリーは驚き、気味が悪くなりその場を去る。 チャーリーの愛人アンジェラに会ったビリーは、彼の犬を預かっていることを話す。 焦るアンジェラにチャーリーから金を巻き上げると言うビリーは、相手がサイコパスだと知っても気にしない。 アンジェラはチャーリーに説明しようと考え、ハンスからの電話を受けたビリーは、マイラがチャーリーに殺されたことを知らされる。 驚いたビリーは直ぐに戻るとハンスに伝え、チャーリーに電話中のアンジェラを銃撃してダイヤのジャックを渡し、救急車を呼びその場を去る。 ビリーの秘密の日記を読んでいたマーティは、彼が現れたため、ハンスも連れてその場から逃れる。 直後にその場に着いたチャーリーとパウロは、ビリーを取られられない。 ボニーが殺されるかもしれないと考えるチャーリーは悲しくなり、何も考えらなくなる。 ビリーは100セットのカードを持っていたのだが、ダイヤのジャックがなくなっていることをパウロから知らされたチャーリーは、彼がサイコパスだと気づく。 脚本のアイデアを出してほしいとマーティに言われたビリーは、それを約束する。 その代わりにマーティは、映画が完成するまで酒を断つと言ってビリーを喜ばせる。 その後、マーティは脚本の内容をハンスに聞かれ、クエーカー教徒の話をするものの、ビリーに制止される。 ハンスが結末を知りたいと言うためにそれを話したマーティは、彼の首の傷を見せられる。 その話には省かれていることがあると話すハンスは、娘が殺されたのなら復讐するべきだとビリーに言われる。 度を越した暴力を嫌がるマーティだったが、7人のサイコパスの話であるため、過激でなければ意味がないとビリーは言い張る。 三人は砂漠にテントを張り野営し、翌朝、目覚めたマーティは、脚本を読んでいたハンスから、女の描き方に自己主張がないと意見される。 マーティは、ベトナム人僧侶の話を始める。 優秀な兵士だった僧侶は、妻子をアメリカ兵に殺されたためにアメリカに向い、6人を殺害する。 僧侶は、娼婦に爆弾を抱かせた殺害計画を実行するのだが、マーティは、そんな内容の話を書きたくなくなったことをビリーにも伝える。 それならば、”7人のレズビアン”にしたらどうだと、ビリーはマーティンに提案する。 その夜、焚火を前に脚本のアイデアを出すビリーは、サイコパスの7人とチャーリーらの戦いを語る。 翌日、ハンスはその過激さを馬鹿げていると思うが、マーティはあり得る話だとも考える。 最寄りの店に買い物に向かったマーティは、ビリーがアンジェラを殺害した可能性があるという新聞記事を見て、彼がサイコパスだと気づき、ハンスは映画に使えばいいと提案する。 その夜、殺人の件をビリーに尋ねたマーティは、女を殺すようなやつとは行動したくないと伝える。 ハンスと共に帰ろうとしたマーティだったが、ビリーが車を爆破してしまう。 責められたビリーは、犬を取り来るようにとチャーリーに電話をしたことをマーティとハンスに伝える。 翌朝、酔ったマーティに殴られたビリーは、マイラの言葉を山の上で聞いたとハンスに言われる。 それは自分だったと言うビリーは、証拠となる言葉の内容を語りハンスを納得させる。 マーティに謝罪されたビリーは、気にしていないと言って、撃ち合いが怖いならハンスと共に逃げるよう伝える。 どうなるかを見届けると答えたマーティは、体のために酒は控えろとビリーに忠告される。 一人で現れたチャーリーは、言われた通り丸腰だと言うものの、ビリーに背中を撃たれてしまう。 銃がないことを信じないビリーは、チャーリーの車の照明弾を見つける。 最期にボニーを撫でたいと言うチャーリーの言葉と、彼を病院に運ぼうとするマーティの意見を、ビリーは聞き入れない。 一人、砂漠を歩くハンスは、街道に出たところでチャーリーを待つパウロらに出くわす。 パウロに銃を向けられたハンスは動ずることなく、撃ちたければ撃てと伝える。 そこにパトカーが現れたため、パウロは銃を降ろす。 チャーリーを車に乗せて病院に連れて行こうとするマーティを止めようとするビリーだったが、マーティは銃も持たずにその場を去る。 照明弾が仲間への合図だと気づいたビリーは、それを発射する。 それを確認したパウロは、丸腰のハンスをその場に残して現場に向かおうとする。 ハンスがジャケットの中に手を入れたため、パウロは彼を銃撃してその場を去る。 警官はパウロらの車に発砲し、その場に倒れたハンスは息を引き取る。 街道でパウロらに出くわしたマーティは車を止め、かすり傷だったチャーリーは車を降りる。 パウロは、ハンスを殺したため警官が来ることをチャーリーに伝える。 それを知りショックを受けるマーティは、ボニーを取り戻すと言うチャーチーと共にビリーの元に戻ることになる。 岩場で待ち構えていたビリーは、チャーリーらが現れたため発砲するが、マーティが人質に取られているので銃を捨てる。 脚本を書いていただけのマーティは無関係だと言いながら、ボニーに照明弾を向けて姿を現したビリーは余裕を見せる。 マーティを解放するようチャーリーに指示するビリーは、ハンスが殺されたことを知り悲しむ。 チャーリーは自分が殺したのではなく、パウロがやったことだと知らぬ振りをする。 一緒に逃げようと言うマーティに、自分流の死に方を選ぶとビリーは伝える。 マーティは車で走り去り、チャーリーはビリーを射殺しようとするものの銃が故障する。 チャーリーにビリーを撃つよう指示されたパウロだったが、自分とボニーのことしか考えないボスを見限る。 銃を直しカウントダウンするビリーを銃撃したチャーリーだったが、現れた警官に銃を捨てるよう言われる。 チャーリーはボニーを呼び寄せるものの、ビリーの側を離れない。 ビリーは、ボニーが自分に懐いているところをチャーリーに見せつけて息絶える。 ハンスの射殺現場に着いたマーティは、彼が手にしていたボイスレコーダーを持ち去る。 ベトナム人の僧侶の話を考えてみたと言うハンスは、語り始める。 娼婦と愛し合った僧侶は、彼女の胴体にダイナマイトを縛りつけてガソリンを持参し、軍のイベント会場に向かう。 ガソリンを撒いた僧侶は、完璧なベトナム語を話す娼婦から、”やめなさい兄弟、こんなことは無意味だ”と言われる。 僧侶は目を閉じ、そして目を開くと、1963年のサイゴンの街角で僧衣を着てガソリンを浴びて座っていた。 怒りや憎しみを頭の中から排除したティック・クアン・ドックは、”やめなさい兄弟、こんなことは無意味だ”だと同僚から言われて説得される。 ティック・クアン・ドックの怒りは消え、反戦を訴える彼はささやく。 ”意味があるかもしれない・・・” ティック・クアン・ドックはマッチを擦り、炎に包まれて焼身自殺する。 マーティのベトナム人サイコパスの物語は、闇ではなく光を選んだ者の決意につながるとハンスは締めくくる。 ロサンゼルスに戻り、”セブン・サイコパス”を完成させたマーティは、脚本を手にしてダウンタウンに向かう。 その後、ザカライアからの電話を受けたマーティは、完成した映画を観たが、約束した内容が入っていないと言われる。 ジョークだと思っていたマーティは、内容を差し換えると伝えるが、納得しないザカライアは、火曜に殺しに行くと言って彼を脅す。 火曜は空いていると言われたザカライアは、マーティが以前とは違うことに気づき、態度を変えて連絡し直すと伝える。 待っているとマーティに言われたザカライアは、電話を切りその場から立ち去る。
...全てを見る(結末あり)
● サイコパス No.2
● サイコパス No.3
● サイコパス No.4
● サイコパス No.7 と No.1
*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス。
脚本家のマーティ・ファラナンは新作映画の脚本を催促されるものの、アイデアが浮かばない。
親友で失業中の俳優ビリーに協力してもらったマーティは、”サイコパス”(異常者)についてのアイデアをだしてもらい、残虐でおぞましい内容の物語を考え始める。
相棒のハンスと共に犬を盗み、見つけたような振りをして飼い主から礼金をだまし取っていたビリーは、ギャングのボス、チャーリーの愛犬を盗む。
チャーリーは、犯人を突き止めてビリーらを追うのだが、マーティもそれに巻き込まれてしまう・・・。
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「ヒットマンズ・レクイエム」(2008)で高い評価を受けたマーティン・マクドナー製作、監督、脚本による注目作品。
非現実と残虐性をミックスさせた奇抜なストーリー展開、それを映し出す映像や効果的なカーター・バーウェルの音楽、個性溢れる登場人物が繰り広げる”奇想天外”とも言える内容で迫る、マーティン・マクドナー自身の見事な脚本を生かした快作に仕上がっている。
ハリウッドの脚本家ではあるが、どちらかと言えば温厚で平凡な主人公が、自ら考える物語と共に、裏社会の揉め事や殺人事件に巻き込まれ、様々なことを体験して人間性が変化していく様子が面白い。
ラストでは雰囲気が一変してしまうという、その過程などが実に興味深く描かれ、主人公を演ずるコリン・ファレルの演技は絶賛された。
失業中の俳優から単なる犬泥棒の詐欺師、更には異常者”サイコパス”を怪演するサム・ロックウェル、そしてその相棒である、作品に重みを加えるクリストファー・ウォーケンの深い演技他、個性派を揃えた豪華スター競演が見所の作品。
三人を追うギャングのボス、ウディ・ハレルソン、その手下ジェリコ・イヴァネク、愛人オルガ・キュリレンコ、殺人鬼トム・ウェイツ、主人公の恋人アビー・コーニッシュ、クエーカー教徒のハリー・ディーン・スタントン、チャーリー(ウディ・ハレルソン)の手下ケヴィン・コリガン、愛犬の世話係ガボレイ・シディベ、ギャングのマイケル・ピットとマイケル・スタールバーグ、ブロンドの女ヘレナ・マットソン、陪審員クリスピン・グローヴァーなどが共演している。