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セブン Seven (1995)

キリスト教の“七つの大罪”に従い起きる猟奇殺人事件捜査を担当する若手とベテラン刑事が犯人に翻弄されながら事件解決に挑む姿を描く、監督デヴィッド・フィンチャー、主演ブラッド・ピットモーガン・フリーマングウィネス・パルトローR・リー・アーメイリチャード・ラウンドトゥリーケヴィン・スペイシー共演によるサスペンス・スリラーの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー

ブラッド・ピット / Brad Pitt 作品一覧
モーガン・フリーマン / Morgan Freeman 作品一覧
モーガン・フリーマン / Morgan Freeman / Pinterest
ケヴィン・スペイシー / Kevin Spacey / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・フィンチャー

製作総指揮
ジャンニ・ヌナリ

ダン・コルスルッド
アン・コペルソン
製作
アーノルド・コペルソン

フィリス・カーライル
脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
撮影:ダリウス・コンジ
編集:リチャード・フランシス=ブルース
音楽:ハワード・ショア
主題歌:デヴィッド・ボウイハーツ・フィルシー・レッスン

出演
デイヴィッド・ミルズ刑事:ブラッド・ピット
ウィリアム・サマセット刑事:モーガン・フリーマン
トレイシー・ミルズ:グウィネス・パルトロー
警部:R・リー・アーメイ
マーティン・タルボット検事:リチャード・ラウンドトゥリー
マーク・スワー弁護士:リチャード・シフ
ジョン・ドゥ:ケヴィン・スペイシー
テイラー刑事:ダニエル・ザカパ
カリフォルニア:ジョン・C・マッギンリー
グリージーFBI捜査官:マーク・ブーンJr.
マッサージ・パーラーの客:リーランド・オーサー
マッサージ・パーラーの受付係:マイケル・マッシー

アメリカ 映画
配給 ニュー・ライン・シネマ

1995年製作 127分
公開
北米:1995年9月22日
日本:1996年1月27日
製作費 $33,000,000
北米興行収入 $100,125,000
世界 $316,400,000


アカデミー賞 ■
第68回アカデミー賞

・ノミネート
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
退職が迫るベテラン刑事ウィリアム・サマセット(モーガン・フリーマン)は、ある殺人事件現場で、赴任して現われたデイヴィッド・ミルズ刑事(ブラッド・ピット)に、なぜこの街に来たのかを質問する。

明確な答えを返せないミルズに、自分が退職までの7日間は、黙って仕事をするようサマセットは指示する。

月曜日。
妻トレイシー(グウィネス・パルトロー)とベッドの中にいたミルズは、新たに起きた殺人現場に向うよう指示される。

現われたサマセットと共に、ミルズは、食べ物と汚物にまみれた、異常に太った男の死体を調べる。
...全てを見る(結末あり)

被害者の死因は、食物の過剰摂取による内蔵破裂で、殺人であると断定される。

署に戻り、今回の事件を警部(R・リー・アーメイ)に報告したサマセットは、殺し方には、何か意味があると考える。

警部は、サマセットの、ミルズには無理だという意見を聞き入れ、彼を担当から外す。

火曜日。
弁護士が殺害され、詰め掛けた報道人に対し、マーティン・タルボット検事(リチャード・ラウンドトゥリー)が会見を開く。

警部は、サマセットが本当に退職するかを探りに行くが、彼は、繰り返し起きる犯罪に対処することが嫌になったことを告げる。

帰り際に警部は、太った男の胃の中から見つかった、無理矢理に食べさせられたと思われる、プラスチックのようなものを、サマセットに渡す。

現場を調べたサマセットは、太った男と弁護士殺害事件には関連性があり、残されていた”暴食/GLUTTONY”と”強欲/GREED”という文字から、これが“七つの大罪”だということを、警部とミルズに伝える。

そのヒントだけを与えたサマセットは、後をミルズに任せると言ってその場を立ち去る。

サマセットは、図書館で、”神曲”や”カンタベリー物語”を調べ、それを読むようにというメッセージと資料を、ミルズのデスクに置く。

水曜日。
指示通りに資料などを調べていたミルズは、サマセットのオフィスに移り、彼の退職まで同じ部屋で仕事を始める。

その場にトレイシーから電話があり、サマセットは、彼女から夕食の招待を受ける。

その夜、食事を済ませて、トレイシーと共に楽しい時を過ごしたミルズとサマセットは、事件を検証して、被害者弁護士の妻に会いに行く。

現場の絵画が、逆さまになっていることを妻から知らされた二人は、現場に向かい、絵の掛けてあった壁に、指紋で書かれた”HELPH”という文字を発見する。

木曜日。
犯人”ヴィクター”の指紋が割れ、精神異常の犯罪者で被害者弁護士との関りも分かり、警部は即刻逮捕すると息巻くが、サマセットは、彼が事件の犯人ではないと考える。

ヴィクターのアパートに押し入ったSWATは、変死体を見つけ、ミルズと様セットは、”怠慢/SLOTH”という文字を確認する。

現場の検証を始めた二人は、ヴィクターが衰弱していく様を撮影した写真などを見つけるが、彼が生きていることが分かり、直ちに病院に運ばれる。

ヴィクターは、腕と舌を切られ1年以上も寝たままで、各種の薬を投与されながら、苦痛を味わっていたことが分かる。

その夜、トレーシーから電話を受けたサマセットは、翌朝、彼女と会うことになる。

金曜日。
トレイシーは、妊娠したことをサマセットに伝えるが、この街に馴染めない彼女は、その不安をサマセットに伝える。

サマセットも、かつて同棲していた女性に妊娠を伝えられたが、こんなひどい世の中で、子供を諦めた時のことをトレイシーに話す。

諦めるのなら、ミルズには妊娠を内緒にして、産む気があるのなら愛情を注ぎ育てるよう、サマセットはトレイシーに助言する。

ヴィクターを1年間も監禁して、自分達にそれを気づかせ、切り取った腕の指紋を現場に残すなどという、綿密に練られた計画的な犯行から、犯人が、“七つの大罪”についてを調べつくしているとサマセットは考える。

サマセットは、それに関する書籍全てを対象に、図書館で関連書籍を借りた者を洗い出そうとする。

FBIが、図書館の貸し出し記録から、それを捜査に利用していることを知っていたサマセットは、知人の捜査官グリージー(マーク・ブーンJr.)に協力を求めて、“七つの大罪”の関連書籍を借りた者のリストを受取る。

それを参考にして、”ジョン・ドゥ”という男のアパートに向った二人は、廊下で発砲してきた男を追う。

ミルズは左腕を負傷して、男に銃を突きつけられるが、彼は発砲せずにその場を去る。

令状がないために、ドゥの部屋に入る口実を作り、その場を調べたミルズとサマセットは、犯人の証拠となる様々な物を確認するが指紋が検出されなかった。

そしてミルズは、犯人がカメラマンに扮して、自分達に接近していたことを知り驚いてしまう。

その場には、犯人が書き記した、2000冊にも及ぶノートがあり、その後、大胆にも、ドゥから部屋に電話がかかってくる。

ドゥは、電話を受けたミルズに、自分を捜しだしたことを褒め称え、計画を変更することを伝える。

土曜日。
皮革店の領収書が現場にあったことから、その場に向ったミルズとサマセットは、ドゥが注文した物の写真を手に入れる。

現場にあった写真を参考に、それに写っていたマッサージ・パーラーの女性が殺害され、”色欲/LUST”という文字が残されていた。

ドゥが作ったもので女性を殺害させられた店の客(リーランド・オーサー)と受付係(マイケル・マッシー)を尋問したミルズとサマセットだったが、犯人の手掛かりは掴めない。

日曜日。
”傲慢/PRIDE”という文字が残された現場で、顔を切り刻まれたために、睡眠薬を飲み自殺した女性の死体が発見される。

署に戻ったサマセットは、もう数日、捜査を続けたいことをミルズに伝えるが、そこに、血まみれのドゥが現われる。

ドゥは、指先の皮膚をそいでいたため、部屋から指紋も出かったのだった。

また、ドゥは資金や教養もある完璧な異常者だということも分かる。

ドゥの弁護士マーク・スワー(リチャード・シフ)は、彼が、あと二人の死体を隠してあるということを、ミルズとサマセットに伝える。

そしてドゥが、ミルズとサマセットをその場所に案内するということだった。

事件を終わらせるために、二人はそれに応ずることになり、隠しマイクをつけて、ドゥを車に乗せて現場に向う。

三人は街を離れ郊外に向かい、SWATのカリフォルニア(ジョン・C・マッギンリー)が乗る、警察のヘリコプターもそれを追跡する。

ドゥは、自分が選ばれた人間であり、救世主だとまで語りミルズを挑発する。

高圧線の鉄塔が立ち並ぶ場所で車を降りた三人だったが、間もなく、1台のバンが近づき、ミルズとサマセットは警戒する。

サマセットがバンに近づくが、それはミルズへの荷物を届けに来た運送屋だった。

男がサマセットに箱を渡したため、それを確認したヘリに乗るカリフォルニアは爆弾処理班を呼ぶ。

サマセットは、男を逃がして箱を開けようとするが、血がついていることに気づいた瞬間、中身を見て驚く。

ドゥの罠だと気づいたサマセットは、ヘリに近づくなと指示して、銃を捨てろと叫びながらミルズの元に向かう。

そしてドゥは、ミルズにトレイシーを殺害して、首をこの場に届けさせたことを伝える。

動揺するミルズをなだめながら、サマセットは、ドゥが自分を撃たせようとしていることを知らせる。

ドゥは、トレイシーが身篭っていたことをミルズに告げる。

ミルズは絶望し、サマセットは、ドゥを撃てば彼の勝ちだと言って尚も説得する。

しかし、ミルズは、ドゥの思い通りに挑発に乗り、彼を射殺してしまう。

その後、放心状態のミルズは、警部が面倒を見ることをサマセットに約束する。

そして、様々な思いをめぐらせながら、サマセットは現場を離れる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
退職を1週間後に控えるベテラン刑事ウィリアム・サマセットは、同じ署に赴任してきた若手刑事デイヴィッド・ミルズと組み、ある殺人事件の捜査を始める。
最後の日々を平穏に過ごしたいサマセットは、先走るミルズを覚めた目で見ていたが、再び事件は起きる。
二件の事件現場に残された”暴食”と”強欲”という文字から、サマセットは、それが“七つの大罪”だと考え、関連性がある事件だと断定する。
捜査が長引くことも考えたサマセットは、“七つの大罪”の関係書物を調べて資料を作り、ミルズにそれを渡して後を任せようとする。
その後も、次々と起きる犯行に、サマセットは、犯人が自分達を挑発していると考える。
様々な知識を得ようとしたと考えられる犯人の動きを、FBIの協力で突き止めたサマセットとミルズは、その男ジョン・ドゥの居場所を突き止めるのだが・・・。
__________

エイリアン3」(1992)で監督デビューしたデヴィッド・フィンチャーが、2作目にして大きな注目を集めた衝撃作。

陰気で憂鬱な雰囲気を漂わせながら、尚且つそれを鋭く描写する映像感覚など、独特の世界観で描き切る、デヴィッド・フィンチャーのスタイリッシュな演出、一時も目を離せられない。

北米興行収入は約1億ドルで、全世界では約3億1600万ドルの大ヒットとなった。

第68回アカデミー賞では編集賞にノミネートされた。

ファースト・クレジットは、若手刑事を味のある演技で好演する、当時、人気急上昇中のブラッド・ピットなのだが、物語の中心人物は、引退間近の刑事を淡々と演ずるモーガン・フリーマンであり、彼が主演と言っていいだろう。

将来に不安を抱きながら、そんな世の中の情勢が心に重くのしかかる、老後の希望など感じられない、素っ気無いベテラン刑事を演ずるモーガン・フリーマンだが、勤勉で人間味もある奥深い人物に描かれている、中盤からクライマックスにかけての、彼の重厚な演技は必見である。

さらには、同時期に公開の「ユージュアル・サスペクツ」(1995)で、この年のアカデミー助演賞を獲得するケヴィン・スペイシーが、クライマックスだけの登場となるが、同作の役”カイザー・ソゼ”を上回る怪演を見せてくれる。

衝撃の結末を迎える若手刑事の妻グウィネス・パルトロー、警部R・リー・アーメイ、検事リチャード・ラウンドトゥリー、犯人の弁護士リチャード・シフ、同僚刑事ダニエル・ザカパSWATのリーダー、ジョン・C・マッギンリーFBI捜査官マーク・ブーンJr.、マッサージ・パーラーの客のリーランド・オーサー、その受付係でマイケル・マッシーなどが共演している。


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