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ヨーク軍曹 Sergeant York (1941)

1928年に発表された、アルヴィン・C・ヨークとトム・スキーヒルによる伝記小説”Sergeant York: His Own Life Story and War Diary”を基に製作された作品。
第一次大戦の戦功でアメリカの英雄となったアルヴィン・C・ヨークが荒れた青年時代から信仰に目覚め苦悩しながら戦場で自由のために戦う姿を描く、製作ハル・B・ウォリス、監督ハワード・ホークス、脚本ジョン・ヒューストン、主演ゲイリー・クーパーウォルター・ブレナンジョーン・レスリー他共演の伝記ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:ハワード・ホークス

製作
ジェシー・L・ラスキー

ハル・B・ウォリス
原作
”Sergeant York: His Own Life Story and War Diary”
アルヴィン・C・ヨーク

トム・スキーヒル
脚本
ジョン・ヒューストン

ハワード・E・コッチ
エイベム・フィンケル
ハリー・チャンドリー

サム・コーワン
撮影:ソル・ポリト
編集:ウィリアム・ホームズ
音楽:マックス・スタイナー

出演
アルヴィン・C・ヨークゲイリー・クーパー

ロジエ・パイル:ウォルター・ブレナン
グレイシー・ウィリアムズ:ジョーン・レスリー
マイケル・T”プッシャー”ロス:ジョージ・トビアス
バクストン少佐:スタンリー・リッジス
メアリー・ブルックス・ヨーク:マーガレット・ワイチャーリイ
アイク・ボトキン:ウォード・ボンド
バック・リプスコム:ノア・ビアリーJr.
ロージー・ヨーク:ジューン・ロックハート
ジョージ・ヨーク:ディック・ムーア
ジーク:クレム・ビーヴァンス
ゼブ:ロバート・ポーターフィールド
コーデル・ハルチャールズ・トロウブリッジ
ネイト・トムキンス:アーヴィル・アンダーソン
カッティング伍長:ジャック・ペニック
兵士:ギグ・ヤング

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1941年製作 134分
公開
北米:1941年7月2日
日本:1950年9月15日
製作費 $1,400,000
北米興行収入 $16,361,890


アカデミー賞 ■
第14回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(ゲイリー・クーパー
編集賞
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ウォルター・ブレナン
助演女優(マーガレット・ウィッチャーリー)
脚本・美術 (白黒部門)・撮影 (白黒部門)・録音・ドラマ音楽賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1916年、春、テネシー州、カンバーランド山脈ポール・モール
教会でロジエ・パイル牧師(ウォルター・ブレナン)の話を聞いていた信心深い人々は、酔って銃を乱射するアルヴィン・C・ヨークゲイリー・クーパー)と仲間のアイク・ボトキン(ウォード・ボンド)とバック・リプスコム(ノア・ビアリーJr.)の起こす騒ぎに驚く。

息子が暴れたことを知ったメアリー(マーガレット・ワイチャーリイ)は、酔っている割にはヨークの射撃の腕は確かだとパイルに伝えてその場を去る。

翌日、パイルの雑貨店に集まっていた男達は、行商人の語るヨーロッパでの戦争も、自分達には関係ない話だと言って興味を示さない。

酔うと手が付けられないヨークだったが、畑の仕事には精を出すと言って、その場に現れたメアリーは息子を庇うが、住民に迷惑をかけていることを気にする。
...全てを見る(結末あり)

息子に信仰心を持たせたいと言うメアリーから、会って話をすることを頼まれたパイルは、それを彼女に約束する。

家に戻ったメアリーは、下の息子ジョージ(ディック・ムーア)にヨークの居場所を知らせて呼びに行かせる。

州境に建つ酒場でアイクとバックと共に酒を飲んでいたヨークは、ジョージが迎えに来たために帰ろうとする。

その場にいた男達にからかわれたヨークは、ひと暴れしてジョージと共にその場を去る。

朝方、家に着いたヨークは、頭が上がらないメアリーにバケツの水を浴びせられ、目を覚まして朝食をとる。

土地を耕していたヨークに会ったパイルは、信仰を持つ生活についてを話すものの、ヨークは興味を示さなかった。

ジョージと共に猟をしていたヨークは、グレイシー・ウィリアムズ(ジョーン・レスリー)の家の敷地内を駆け抜けていく。

グレイシーに気づいたヨークは、子供の頃に会った彼女が美しく成長していたため惹かれてしまい、彼女もヨークが気になる存在となる。

その夜、求婚もしていないグレイシーと結婚するとメアリーに伝えたヨークは、彼女の家に向かう。

その場にいたゼブ(ロバート・ポーターフィールド)が邪魔だったため、ヨークはグレイシーがリンゴ・ジュースを取りにいっている間に、彼を痛めつけて追い払う。

それを知ったグレイシーはヨークを批判するが、そんなこともお構いなく、ヨークは彼女に結婚を迫る。

女心など考えないヨークは、良い土地を持っているゼブに対抗するため、自分も必ず土地を手に入れるとグレイシーに伝えてその場を去り、帰宅後にメアリーにもそれを約束する。

ラバや毛皮を地主のネイト・トムキンス(アーヴィル・アンダーソン)に売り、不足分は働いて稼ぎ土地を手に入れようとしたヨークは、様々な仕事を見つけて昼夜を問わず働き続ける。

そんなヨークを見たグレイシーは、彼に好意を示すようになる。

メアリーは、息子を見守ってほしいと神に祈る。

支払い期限を翌日に控え、現金が足りないヨークは、射撃大会の賞品で金を工面しようと考え、トムキンスに支払いを待ってもらう。

大会当日、見事な射撃で七面鳥を撃ち、牛も獲得したヨークは、それを賭けて現金を手に入れようとする。

現れたトムキンスに現金を見せたヨークだったが、土地はゼブに売ってしまったと言われて憤慨する。

パイルは、神には何か考えがあると言ってヨークを落ち着かせる。

グレイシーに慰められたヨークだったが、納得いかない彼は、アイクとバックと共に酒場に向かう。

怒りが収まらないヨークは、嵐の中、銃を手にしてトムキンスの家に向かう。

途中で雷に打たれたヨークは、銃が使い物にならなくなったことに気づき、パイルの教会から聞こえる歌声に誘われる。

神の導きを感じたヨークは、パイルや母メアリー、弟のジョージと妹のロージー(ジューン・ロックハート)、そしてグレイシーや人々と共に神に祈りを捧げながら歌う。

改心したヨークは、トムキンスにラバを買い戻すことを伝え、彼に謝罪する。

ヨークの気持ちを理解したトムキンスは、買い取った金額より安い値段でラバを売る。

ゼブにも会ったヨークは、責める気はない彼に例の土地で働かせてほしいことを伝える。

腹いせに買ったと言うゼブは、土地は貸すことを伝え、数年後には自分の物になるだろうと言ってヨークを励ます。

ゼブの気持ちを善意と受け取ったヨークは、彼が立派な男だとグレイシーに話し、結婚するべきだと提案する。

未だに女心を理解できないヨークに腹を立てたグレイシーは、自分が結婚する相手はヨークだと言ってその場を去る。

その後ヨークは、パイル牧師の助手として子供達に神の教えを語る。

1917年4月。
激化する第一次大戦に、遂にアメリカが参戦する。

徴兵が始り男達は登録を始めるが、人を殺すことが神の教えに反すると考えるヨークは、パイルに促されてもそれを拒む。

登録は済ませても、特定の宗派の信者は兵役を免除されるとパイルに言われたヨークは、仕方なくそれに従う。

ところが、パイルの宗派は認められていないと判断され、ヨークの兵役免除は却下されてしまう。

申請してみると言うパイルの言葉を信じ、ヨークはグレイシーとの将来に希望を抱く。

招集されたことをパイルから知らされたヨークは、それを拒むものの、説得されて入隊を決意をする。

家族と涙するグレイシーに別れを告げたヨークは、必ず戻ると言って旅立つ。

ジョージア州、キャンプ・ゴードン。
ニューヨークから来たマイケル・T”プッシャー”ロス(ジョージ・トビアス)の地下鉄の話などに驚きながら訓練を受けるヨークは、兵役免除を考えたことで士官に監視される。

抜群の射撃の腕前を評価されたヨークは、バクストン少佐(スタンリー・リッジス)から、伍長に昇進し射撃指導を行うことを命ぜられる。

それを断るヨークは、宗教上の問題があるのかをバクストンに問われ、神の教えにより人を殺すことへの疑問を語る。

アメリカ史の書籍をヨークに渡したバクストンは、”ダニエル・ブーン”の話を例に取り、彼のように”自由”を求める考えが国の根底にあり、今、我々がそれを求めて戦おうとしていることを語る。

農夫だと言うヨークに、自由に畑を耕し家族を養うためには、命が犠牲になることもあると話すバクストンは、心に新たな思いが芽生えた彼に休暇を与え、故郷で考えるよう伝える。

答えが出ない場合は兵役を免除すると言われたヨークは、本を借りて故郷の丘に向かう。

食事もせずに一晩中、聖書を読んだヨークは、国のために戦う決心をしてキャンプに戻る。

バクストンに会ったヨークは、まだ迷いはあるが、”自由よりも更に大きな存在を信じろ”と言うパイルの言葉に従うことを伝える。

ヨークの行動を信じると言うバクストンは、彼を伍長に昇進させて部隊に戻るよう伝える。

バクストンは、ヨークが戦場で戦えないのではないかと言う大尉に対し、そうは思わないと答える。

訓練を終えたアメリカ兵はフランスに渡り、戦場に向かうことになる。

上陸の直後に届いたヨークからの手紙をパイルに読んでもらったメアリーは、彼の身を案ずるグレイシーに心配はいらないと伝える。

1918年10月18日、ムーズ・アルゴンヌの戦い、2週目。
総攻撃を仕掛けたアメリカ軍は、捕虜を捕えるものの反撃される。

味方に被害が出て軍曹が負傷したためヨークが指揮を執ることになり、彼は単独で敵陣に攻め込みドイツ兵を降伏させる。

ヨークが所属する小隊は自軍の何倍もの兵力を破るが、プッシャーが敵兵の隠し持っていた手榴弾で戦死する。

憤慨するヨークは、敵指揮官に銃を向けて部下に武器を捨てさせるよう命じ移動する。

別の戦場で更に捕虜を捕えたヨークの小隊は、連隊に合流して132名の捕虜を引き渡そうとする。

それを知らされた士官は、ヨークらが8名でその人数を捕えたことに驚く。

ヨークの戦功は軍隊中で噂となり、遂に彼が皇帝ヴィルヘルム2世を捕えたと言う話に発展してしまう。

司令官に戦地での戦いを報告したヨークは、なぜ戦えたのかを同行したバクストン少佐に問われ、今でも迷いはあるが、仲間達の命を守るために戦うしかなかったと答える。

ヨークは、フランス陸軍フェルディナン・フォッシュ将軍より陸軍勲章を、アメリカ陸軍から殊勲十字章、そして最高栄誉の名誉勲章を受勲する。

ニューヨーク
英雄となったヨークは帰国し、テネシー選出の上院議員コーデル・ハルチャールズ・トロウブリッジ)と共に市民の歓迎を受ける。

ウォルドルフ=アストリア
その場の母メアリーの写真に気づいたヨークは、彼女からの電話を受け、グレイシーとも話し直ぐに帰ることを伝える。

その後ヨークは、訪れる場所で大歓迎を受けるが、故郷が恋しいことをハルに伝える。

映画出演や企業の宣伝など英雄に相応しい仕事で大金が稼げることをハルから知らされたヨークは、戦争のお蔭でその立場になったことについてを考える。

戦死した仲間達のことなどを考えると、戦争に関連したことで金を受け取る気になれないと答えたヨークは、全てを断り故郷に戻ることを伝え、ハルもその考えを支持する。

テネシー州、クロスビル
ヨークは、家族やグレイシー、そしてパイルや市民に歓迎され、母メアリーに帰郷の挨拶をする。

車で家に向かう途中、勲章やグレイシーとの結婚の話をパイルらからされたヨークは、トムキンスの土地がどうなったかを気にする。

土地の近くで降ろしてもらったヨークは、グレイシーと共にその場に向い、橋が直っていることに気づく。

式しか挙げられないが、あと数年、頑張ることをグレイシーに伝えたヨークは、彼女に目をつぶるよう言われて土地に向かう。

州から提供された土地と家に驚くヨークは感激し、神のなさることは分からないと呟きながら、グレイシーと共にその場に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1916年、テネシー州、カンバーランド山脈ポール・モール
働き者ではあるが酒を飲むと暴れるアルヴィン・C・ヨークは、パイル牧師に信仰についてを語られても興味を示さない。
そんなヨークは、美しいグレイシーに惹かれて結婚を決意し、土地を手に入れるために昼夜を問わず働き続ける。
しかし、支払期限を過ぎた地主は土地を売ってしまい、待つ約束を破られたヨークはショックを受ける。
地主に仕返ししようとしたヨークだったが、嵐の中で雷に打たれ、パイルの教会の人々の歌に誘われ、神の導きを感じる。
改心したヨークは、第一次大戦の兵役が神の教えに反すると言ってそれを拒む。
パイルに説得され兵役についたヨークは、迷いながらも自由のために戦う決意をして戦場に向かう・・・。
__________

アメリカの英雄であるアルヴィン・C・ヨークが、荒れた青年時代から改心し、神の教えと戦争との狭間で迷いながら自由のために戦うという、人生の歩み方や考えが、正にドラマになる題材として人々に受け入れられ、映画史に残る名作ともなった作品。

本作が公開されたのが1941年7月というところがポイントで、ヨーロッパで始まっていた戦争に、いつアメリカが参戦するかが注目されていた時期であり、やや戦意高揚的雰囲気もある。

神の教えに逆らうことで悩見ながら、戦場に向かうための訓練を受ける主人公が、上官から、自由をてにするためには犠牲が必要な場合もあると言われ、そのために戦いを決意するシーンなどは、アメリカ人が最も好む考えを映し出すシーンとして印象深い。

ユーモアを交えたヒューマン・ドラマ・タッチでもあり、シャープで無駄のない、ハワード・ホークスのダイナミックでもある演出は見応え十分だ。

第14回アカデミー賞では、作品賞をはじめ11部門にノミネートされ、主人公を演じたゲイリー・クーパーが主演男優賞を、そして編集賞も受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ウォルター・ブレナン
助演女優(マーガレット・ウィッチャーリー)
脚本・美術 (白黒部門)・撮影 (白黒部門)・録音・ドラマ音楽賞

2008年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

人間味溢れる主人公アルヴィン・C・ヨークを見事に演じて高い評価を受けたゲイリー・クーパーアカデミー主演賞を受賞し、戦火が迫る混沌とする時代を生きる人々に大きな希望を与えた。

主人公を温かく見守る牧師を味わい深く演ずるウォルター・ブレナン、主人公と惹かれ合う、撮影当時16歳になったばかりとは思えないジョーン・レスリー、主人公の戦友ジョージ・トビアス、思慮深い上官スタンリー・リッジス、主人公である息子を思う母親を切実に演ずるマーガレット・ワイチャーリイ、主人公の悪友ウォード・ボンドノア・ビアリーJr.、主人公の妹ジューン・ロックハート、弟ディック・ムーア、町の老人クレム・ビーヴァンス、住人ロバート・ポーターフィールド、地主アーヴィル・アンダーソンコーデル・ハル上院議員チャールズ・トロウブリッジ、兵士役でジャック・ペニックギグ・ヤングなどが共演している。


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