1988年に発表された、主人公ジョシュア・ウェイツキンの父親フレッド・ウェイツキンの著書”Searching for Bobby Fischer: The Father of a Prodigy Observes the World of Chess”を基に製作された作品。 天才チェス・プレイヤー、ボビー・フィッシャーの再来と言われた少年ジョシュア・ウェイツキンを見守る家族や周囲の人々との関係を描く、製作総指揮シドニー・ポラック、監督、脚本スティーヴン・ザイリアン、主演マックス・ポメランク、ジョー・マンテーニャ、ジョアン・アレン、ベン・キングズレー、ローレンス・フィッシュバーン他共演による実話の映画化。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーヴン・ザイリアン
製作
ウィリアム・ホーバーグ
スコット・ルーディン
製作総指揮:シドニー・ポラック
原作:フレッド・ウェイツキン
”Searching for Bobby Fischer: The Father of a Prodigy Observes the World of Chess”
脚本:スティーヴン・ザイリアン
撮影:コンラッド・L・ホール
編集:ウェイン・ワーマン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演
ジョシュア”ジョシュ”ウェイツキン:マックス・ポメランク
フレッド・ウェイツキン:ジョー・マンテーニャ
ボニー・ウェイツキン:ジョアン・アレン
ブルース・パンドルフィーニ:ベン・キングズレー
ヴィニー:ローレンス・フィッシュバーン
ジョナサン・ポー:マイケル・ニーレンバーグ
ジョナサンの後見人:ロバート・スティーヴンス
カレブ・ペーメ:デヴィッド・ペイマー
モーガン・ペーメ:ハル・スカーディノ
教師:ローラ・リニー
ジョシュと対戦する少女の父親:ウィリアム・H・メイシー
トーナメント・ディレクター:ダン・ヘダヤ
チェス・クラブのメンバー:ジョシュ・モステル
チェス・クラブのメンバー:トニー・シャルーブ
エイサ・ホフマン:オースティン・ペンドルトン
リポーター:トム・マクゴーワン
本人:カルマン・シラジ
本人:ロマン・ジンジハシヴィリ
本人(映像):ボビー・フィッシャー
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1993年製作 110分
公開
北米:1993年8月11日
日本:1994年2月5日
北米興行収入 $7,266,380
■ アカデミー賞 ■
第66回アカデミー賞
・ノミネート
撮影賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、マンハッタン、ワシントン・スクエア公園。
家族と誕生日を祝っていた7歳のジョシュア”ジョシュ”ウェイツキン(マックス・ポメランク)は、その場でチェスにする人々に興味を持つ。
ジョシュは、目の前に現れたホームレスのヴィニー(ローレンス・フィッシュバーン)に野球のボールを差し出され、拾ったチェスの駒と交換しようとする。
家に帰ったジョシュは、父フレッド(ジョー・マンテーニャ)から贈られたグラブにオイルを塗る。
フレッドに眠るように言われたジョシュは、ヴィニーと交換しなかった駒を見つめる。
翌日、学校が終り、迎えに来た母ボニー(ジョアン・アレン)と妹カティアと共に帰ろうとしたジョシュは、公園のゲームが見たいと言い出す。 そこが子供がいるような場所でないと思ったボニーは帰ろうとするが、ジョシュは、インターナショナル・マスターのカルマン・シラジとヴィニーのチェスの対戦を見て、その場を離れようとしなかった。 数日後、ボニーは、1953年に世界チャンピオンのミハイル・タリに勝ったことがあるロシア人に5ドルを渡し、ジョシュとチェスをしてもらう。 ジョシュは負けてしまうものの、それを見ていたヴィニーは、”ボビー・フィッシャー”を見ているようだと言って、彼のフルネームをメモする。 子供達を連れて、スポーツ記者であるフレッドの仕事場に向かったボニーは、ジョシュが公園でチェスをしたことを伝える。 できないはずだと言うフレッドだったが、ボニーはその事実を伝える。 休日、しまってあったおもちゃのチェスを見つけたフレッドは、ジョシュにゲームをさせようとする。 車のカタログを貰いに行きたいジョシュは、それに興味を示さない。 ボニーに、公園でしたようにプレイしてみるよう促されたジョシュは、後でカタログを貰いに行こうとフレッド言われる。 仕方なくゲームを始めたジョシュは、直ぐにフレッドに負けてしまう。 父親を気遣いジョシュがわざと負けたとボニーに言われたフレッドは、もう一度ゲームをさせる。 フレッドを全く相手にしないジョシュは、他のことをしながら先手を読み父に勝ってしまう。 メトロポリタン・チェス・クラブ。 しかしパンドルフィーニは、その場にいたメンバー(トニー・シャルーブ)に勝ったジョシュが気になる。 公園に向かったパンドルフィーニは、ジョシュがヴィニーとチェスをする姿に注目し、周囲が彼のことを若き”ボビー・フィッシャー”だと言っているのを知る。 その夜ジョシュは、ホームレスのヴィニーがどこで眠るのかが気になり、自分の二段ベッドの上に寝かせてあげたいとボニーに伝える。 優しいジョシュの考えを聞いたボニーは、大切な考えだと言って息子を寝かせる。 競技会会場を尋ねたフレッドは、その場にいたパンドルフィーニに声をかけられ、世界10位に入った、全米チャンピオン2度のロマン・ジンジハシヴィリなどがいることと、超エリートの地位を捨てて、チェスだけに打ち込むエイサ・ホフマン(オースティン・ペンドルトン)の現状を知らせる。 現実を見せてやめさせたいのではなく、ジョシュにチェスをやらせたいのかと聞かれたパンドルフィーニは、チェスとは何かともフレッドに聞かれ、それに一生捧げる者にとっては”学問”だと答える。 ボビー・フィッシャーは更に深く追及し、それに”芸術”を見出したと語るパンドルフィーニは、彼のようにチェスをしようと努力したと伝える。 しかし、結局はまね事に過ぎず敵わないと認めるパンドルフィーニは、ボビー・フィッシャーの後を継ぐ者は、フレッドの家で今眠っていると伝え、ジョシュには、同じような洞察力の深さがあると指摘する。 公園で見ただけで分かるというパンドルフィーニは、ボビー・フィッシャーと共に失われたものを呼び戻したいとフレッドに語る。 精神を病む者にしか見えないエイサの話をしながら、パンドルフィーニは、決めるのは自分だとフレッドに伝える。 フレッドの家を訪ねジョシュを紹介されたパンドルフィーニは、チェスのことは何も話さずに過ごす。 それをフレッドに伝えたパンドルフィーニは、翌週の約束もして、報酬を受け取りその場を去る。 その後もジョシュに会ったパンドルフィーニは、ごく少ない者しか受け取れないマスター・コースの認定書を見せる。 それに値する点をとれた者にしか贈られないと話すパンドルフィーニは、10点を取ったことをジョシュに伝えて、彼の手帳にメモする。 公園のチェスが悪影響を及ぼすと言うパンドルフィーニは、ジョシュをその場に行かせることを禁ずるが、本人が楽しみにしているため、ボニーはそれに反対する。 勝敗にこだわることはど意味がないとフレッドに伝え、初めての大会出場に同行する気のないパンドルフィーニは、ジョシュには用事で行けなくなったと伝える。 会場のホテルで出場者の父親カレブ・ペーメ(デヴィッド・ペイマー)に声をかけられたフレッドは、彼の息子モーガン(ハル・スカーディノ)とジョシュが、プールで一緒に遊んでいることを知る。 子供達は会場ではしゃぎ回り、トーナメント・ディレクター(ダン・ヘダヤ)は、ルールを守るようにと親にも説明する。 その後、騒ぎを起こした者のせいで、親達はその場から退去させられるが、子供達はそれを歓迎する。 ジョシュと対戦している少女の父親(ウィリアム・H・メイシー)に話しかけられたフレッドは、落ち着かない彼から、たかがゲームだと言われる。 気が気ではないフレッドだったが、結局ジョシュは優勝し、その後の大会でも勝ち続けてランキングは1位になる。 学校の催しに出席したフレッドは、ジョシュの担任教師(ローラ・リニー)に話しかけられ、親子で方々に遠征していることなどを聞かれる。 ところが、ジョシュが、学校で学ぶことを疎かにしているようなことを担任に言われたフレッドは、気分を害する。 更に、ジョシュが打ち込んでいるチェスを単なる遊び程度としか思っていない担任の言葉をフレッドは批判するが、ボニーから、確かにチェスばかりしていると言われる。 担任の意見を侮辱と捉えたフレッドは、ジョシュが偉大な才能を持ち、自分達は間違いなく敵わないと伝え、それを認めることができるようになったら話をすると言って、息子を連れてその場を去る。 フレッドは、ジョシュをモーガンもいる学校に転校させることを考えるが、ボニーはそれに賛成できない。 翌日、公園でそのことをヴィニーに話していたジョシュは、人だかりができていることに気づき、ボビー・フィッシャーが現れたと思い見に行く。 それが少年ジョナサン・ポー(マイケル・ニーレンバーグ)であったために驚くジョシュは、ジョナサンが、タリに勝ったことがあるロシア人を負かす姿を見つめる。 その後、ジョシュとクラブにいたパンドルフィーニは、ジョナサンを連れてきた知人である彼の後見人(ロバート・スティーヴンス)から、入会させたいと言われる。 後見人はジョナサンを4歳の時に親から任されたと語り、学校にも行かない彼がチェス以外に興味を示さないと知らされたパンドルフィーニは、申込用紙を渡す。 勝ってもトップ・ランクだからだと言われ、負けを恐れるジョシュは、決勝大会に出場したくないことをフレッドに伝える。 励まされたジョシュだったが、トップにはならない方がいい、負けても構わないと言いながら拾った駒を見つめる。 フレッドは何も答えずにその場を去る。 決勝大会。 雨の中、濡れながら敗因を探りジョシュを責めるフレッドだったが、なぜ自分から離れていくのかと言われ、後悔した彼は息子を抱きしめる。 新たな決意の下、ボビー・フィッシャーの全てを知るパンドルフィーニから勝つ方法を教えられるジョシュは、公園に行くことを禁じられる。 以前より厳しく接し始めたパンドルフィーニは妥協を許さず、容赦なく認定ポイントを減らす。 ジョシュは、公園に行けないことを寂しく思う。 勝つためにはゲームの相手を”軽蔑”することが必要だとパンドルフィーニに教えられたジョシュだったが、彼はそれを拒む。 ボビー・フィッシャーは全てを軽蔑したと言われたジョシュは、自分は彼ではないと反論する。 その後、ジョナサンが勝ち続けて、ジョシュはスランプに陥る。 反抗し始めたジョシュにポイントや認定書のことをしつこく聞かれたため、パンドルフィーニは、鞄に入っていたそれを全部渡す。 その行為を見ていたボニーは、パンドルフィーニに出て行くよう伝える。 準備もしないで勝負させるのは間違っていると言うパンドルフィーニだったが、ボニーに再び出て行くように指示される。 ジョシュの気持ちを察するボニーは、息子を抱きしめる。 その夜、フレッドからパンドルフィーニが正しいと意見されたボニーは、父親の愛を失うことをジョシュが恐れていると伝える。 ジョシュを弱いと思っているのは間違いだと言うボニーはそれを否定し、誰であれ、彼を苦しめたら許さないとフレッドに言い切る。 部屋をきれいに片づけたジョシュは、単独で大会の準備を始め、フレッドからチェスをやめてもいいと言われる。 本心はやめてもらいたいとフレッドに言われたジョシュは、それはできないと答え、勝ちたいと伝える。 意味のない唯のゲームだと言われたジョシュは、フレッドに違うと答える。 翌朝、これまで獲得したトロフィーをジョシュの部屋に戻したフレッドは、息子と共に公園に向いヴィニーとプレイさせる。 職場にいたフレッドを訪ねたパンドルフィーニは、以前のように楽しそうにプレイをしている、ジョシュのためになることの手助けをするだけだと言われる。 敗者にさせないのが父親の務めで、訪れるのは完全な敗北だとパンドルフィーニに言われたフレッドは、それを理解しているつもりであり、大会に一緒に来てもらいたいと伝える。 ジョシュも心強いだろうと言われたパンドルフィーニだったが、それを断りその場を去る。 シカゴ。 大会は始り、順調に勝ち進み7回戦でジョナサンと対戦するジョシュは、部屋で駒を見つめていた。 そこに現れたパンドルフィーニは、負けるかもしれないと言うジョシュに、額に入れた”グランド・マスター”の認定書を渡す。 誇りに思うと言うパンドルフィーニは、コーチになれて光栄だと付け加える。 怖いと言うジョシュをパンドルフィーニは固く抱きしめて、終りまでいることを約束する。 会場に向かったジョシュは席に着き、ジョナサンとの対戦は始まる。 フレッドとボニーと共にそれを見守るパンドルフィーニは、ジョシュの戦い方でヴィニーと意見が合わない。 ジョシュがクイーンをとられたためにフレッドとパンドルフィーニは諦めるが、取り返したことをヴィニーが伝える。 その後パンドルフィーニは、あと12手で勝てると指摘する。 ジョシュは、駒を全て払い除けて考えるよう、パンドルフィーニに助言された時のことを思い出し、チェスボードを見つめる。 パンドルフィーニは、ジョシュがその手を理解したことを確信する。 ジョシュは握手を求め引き分けを申し出て、自分が勝ちだとジョナサンに伝える。 ジョナサンがそれを拒み続けるよう言われたジョシュは、プレイを再開してルークをとる。 負けを認めたジョナサンに、いいゲームだったと伝えたジョシュは、ヴィニーに祝福される。 引き分けたかったとジョシュに言われたフレッドは、分かっていたと伝えて息子を抱きしめる。 失意のモーガンを慰めるジョシュは、自分の歳になれば強くなれると言って彼を励ます。 フレッドとボニーは、そんな二人を見つめる。 ジョシュア・ウェイツキンはその後もチェスを続け、現在、18歳未満でのアメリカ最高のチェス・プレイヤーである。 ジョシュは、野球、フットボール、サッカーを楽しみ、そして、夏には釣りにも出かける。 1992年9月、ボビー・フィッシャーは姿を現し、ライバルのボリス・スパスキーに挑戦して勝利し、その後、再び姿を消した。
...全てを見る(結末あり)
USCF(チェス連盟)のナショナル・マスターでもあるブルース・パンドルフィーニ(ベン・キングズレー)に会ったフレッドは、ジョシュのコーチを依頼するものの断られる。
ジョナサンを意識するジョシュは、格下の少年に簡単に負けてしまう。
家族と共にヴィニーも伴い会場に向かったフレッドとジョシュは、釣りを楽しんできたことをカレブとモーガンに伝える。
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*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、マンハッタン。
スポーツ記者フレッド・ウェイツキンの7歳の息子ジョシュア”ジョシュ”は、チェスに興味を持ち始める。
ワシントン・スクエア公園でチェスをする、ホームレスのヴィニーらのプレイに参加し始めたジョシュは、その才能に気づいたフレッドと共にチェス・クラブを訪ね、グランド・マスターのブルース・パンドルフィーニにコーチを依頼する。
それを断ったパンドルフィーニだったが、公園で、天才チェス・プレイヤー、ボビー・フィッシャーの再来と言われながら、大人を相手にするジョシュの才能を認めて指導し始める。
その後、チェスの楽しみを覚えたジョシュだったが、同時に、その頂点を目指す厳しい世界を知り苦悩し始める・・・。
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主人公ジョシュア・ウェイツキンの父親フレッド・ウェイツキンが、チェスの才能を開花させた息子の苦悩と成長を綴った著書の映画化で、7歳の少年と家族や周囲の者達の苦悩や葛藤が丹念に描かれている。
脚本家、編集技師として知られ、前年の「シンドラーのリスト」(1993)でアカデミー脚色賞を受賞したスティーヴン・ザイリアンの監督デビュー作であり、繊細な人物描写や家族愛が心を打つ、感動の秀作ドラマに仕上がっている。
奇行を繰り返し映像のみで登場するボビー・フィッシャーをはじめ、著名なチェス・プレイヤーのほとんどが、異質な人物に思える世界を描きながら、人間性を追求する主人公家族の”闘い”に、力強いテーマが感じられる。
証明や光を調整した穏やかな映像、チェスの対戦場面や出演者の表情を捉える描写も見事で、第66回アカデミー賞では、コンラッド・L・ホールが撮影賞にノミネートされた。
著名なチェス・プレイヤーなども本人役で登場し、クライマックスの全国大会の初戦でジョシュが戦う相手役の少女は、ジョシュ・ウェイツキンの実の妹カティアが演じている。
表情や仕草が実に自然で、その眼差しがまた非常に印象的な、主人公ジョシュア”ジョシュ”ウェイツキン役のマックス・ポメランク、原作者でもある、息子を見守る父親フレッド・ウェイツキンのジョー・マンテーニャ、その妻を抑え気味に演じ、息子に対する母親の愛情を見事に表現しながら好演するジョアン・アレン、主人公にコーチをしながら、少年から人間性を学ぶような師匠ブルース・パンドルフィーニを演ずるベン・キングズレー、個性的な役柄で印象に残る、主人公と親交を深めるホームレスのチェス・プレイヤーのローレンス・フィッシュバーン、主人公のライバルの少年マイケル・ニーレンバーグ、その後見人ロバート・スティーヴンス、主人公と同じチェスの天才少年モーガン・ペーメのハル・スカーディノ、その父親デヴィッド・ペイマー、主人公の担任教師ローラ・リニー、ジョシュと対戦する少女の父親ウィリアム・H・メイシー、トーナメント・ディレクターのダン・ヘダヤ、チェス・クラブのメンバー、ジョシュ・モステルとトニー・シャルーブ、実在のチェス・プレイヤー、エイサ・ホフマンのオースティン・ペンドルトン、本人役でカルマン・シラジ、ロマン・ジンジハシヴィリ、そして、ボビー・フィッシャーが映像で随所に登場する。