妻を同僚に奪われた刑事と殺人事件の容疑者となる女性の愛を描く、主演アル・パチーノ、エレン・バーキン、ジョン・グッドマン、マイケル・ルーカー、リチャード・ジェンキンス、サミュエル・L・ジャクソン他共演、監督ハロルド・ベッカーによるラブ・サスペンス。 |
・アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ハロルド・ベッカー
製作
マーティン・ブレグマン
ルイス・A・ストローラー
脚本:リチャード・プライス
撮影:ロニー・テイラー
編集:デヴィッド・ブレーザートン
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演
フランク・ケラー:アル・パチーノ
ヘレン・クルーガー:エレン・バーキン
シャーマン:ジョン・グッドマン
テリー:マイケル・ルーカー
フランク・ケラーSr.:ウィリアム・ヒッキー
グルーパー:リチャード・ジェンキンス
刑事部長:ジョン・スペンサー
ストラック:ジーン・キャンフィールド
男:サミュエル・L・ジャクソン
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2000年製作 113分
公開
北米:1989年9月15日
日本:1989年12月
北米興行収入 $58,571,510
世界 $110,879,510
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク市警の刑事フランク・ケラー(アル・パチーノ)は、相棒のグルーパー(リチャード・ジェンキンス)に妻を奪われながら6年間も一緒に仕事をしていた。
ある日、ケラーとグルーパーは、全裸の男性の殺人現場に向かう。
現場に残されていたタバコの吸殻の口紅と、”シー・オブ・ラブ ”のレコードから、ケラーは犯人が女性の可能性が高いということを、刑事部長(ジョン・スペンサー)に伝える。
その後、ケラーの元に同じ手口の殺人を捜査する、112分署の刑事シャーマン(ジョン・グッドマン)が現れ、情報交換をする。
その後ケラーとシャーマンは、被害者が独身者向け雑誌に恋人を募集する広告を出していたことを知る。
シャーマンは、二人で組んで事件捜査を行うことを提案し、ケラーは自分達も同じ広告を出してみることを思いつく。 そして二人は、広告を出した三人目の男に会い、情報を手に入れようとするが、男は犯人と思われる女との接触はないと言い切った。 しかし、数日後、男は同じ手口で殺されて発見される。 ケラーとシャーマンは、広告を出すことを部長に許可されなかっただったが、今回の犯行で、警戒しながらの囮捜査が許可される。 同僚のストラック(ジーン・キャンフィールド)らと、広告に掲載する詩を考えていたケラーは、父(ウィリアム・ヒッキー)が詠んでくれた母親の詩を使うことにする。 広告に対する返事の手紙が届き、ケラーとシャーマンは手当たり次第にアポを取り相手と会う約束をする。 レストランに席を取り、シャーマンがウエイターとなり、ケラーが会った女性の指紋を採取する。 初日の結果は散々に終わり、翌日、ケラーとシャーマンは、事件現場の建物にいたテレビの修理人テリー(マイケル・ルーカー)から不審人物を見たという情報を得る。 その情報を元に、ケラーとシャーマンは不審者の勤めていたスーパーに向かうが、手掛かりを掴むことはできなかった。 その後ケラーは、前日会った女性で、指紋もとることができなかったヘレン・クルーガー(エレン・バーキン)が、彼に接触してくる。 ケラーはシャーマンに連絡するが、彼は容疑者かも知れない女と行動することに反対する。 しかし、ヘレンに魅力を感じたケラーは、彼女を自宅に連れて行き愛し合おうとする。 その時、ヘレンのバックの銃を目撃してしまったケラーは焦り、彼女を強引に押さえつけてしまうが、それがスターターピストルだと分かる。 ヘレンは激怒するが、ケラーは咄嗟の判断だったと謝罪し、彼女もそれを受け入れ、その後、二人は愛し合う。 翌朝、彼女が帰宅した後、シャーマンに連絡したケラーだったが、彼女が使った指紋の付いたコップを鑑識に出すのを止めてしまう。 その後、高級靴店に勤めるヘレンに会いに行ったケラーは、たまたま入ってきたチンピラに絡まれ、自分が刑事だということを知られてしまう。 急に態度を変えるヘレンに、開き直ったケラーは気分を害しその場を去るが、彼女がそれを追い、お互いの誤解を解き和解する。 シャーマンに、署で指紋のことを聞かれたケラーは、ヘレンはシロだと断言する。 ケラーとシャーマンは、その夜は立場を逆転して女性に会い、その後ケラーは、ヘレンの家で一夜を過ごし、翌朝、”シー・オブ・ラブ ”のレコードを見つける。 ヘレンの社会保障カードを盗んだケラーは、彼女に犯罪歴がないことを知り安心する。 ケラーは、なぜ広告に返事を出し、見知らぬ男と会おうとしたのかをヘレンに問質し、彼女の気分を害してしまう。 暫く考えたケラーはヘレンの自宅に向かい、彼女に謝罪し一緒に暮らしたいということを伝える。 ヘレンは返事を保留するが、ケラーは彼女が犠牲者の広告記事をチェックしていたことを知ってしまう。 その後、帰宅したケラーの元にヘレンが現れ、持参した”シー・オブ・ラブ ”をかける。 ケラーは、ヘレンが銃を持っていないことを確認し、自分の銃を渡そうとして、彼女が殺人犯だと言い切る。 ヘレンは動揺し犯行を認めないまま、ケラーは彼女を自宅に帰してしまう。 その後、ドアのブザーが鳴り、ヘレンだと思ったケラーは、テレビの修理人のテリーに襲われる。 元妻ヘレンと愛し合った彼に、嫉妬心を抱いたテリーはケラーに銃を向ける。 二人は格闘となり、テリーは窓から転落死する。 その後、テリーがヘレンをつけ回し、彼女はそれを警戒し、恐れていたことをが分かる。 シャーマンには、ヘレンには会うのを断られたため、彼女を忘れると、ケラーは寂しげに語る。 しかし、ケラーはヘレンの元に向かい謝罪して、一緒に暮らそうと彼女を説得する。 そしてヘレンは、ケラーの熱意に根負けしてコーヒーを付き合う。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
捜査で組んでいる相棒に、妻を奪われた刑事フランク・ケラーは、孤独な独身生活を送っていた。
ある日、男が全裸で銃撃される殺人事件が続き、ケラーがその担当になる。
別の分署の刑事で、同じ手口の事件を捜査するシャーマンと組んだケラーは、被害者が恋人を募集する広告を出していたことを知る。
ケラーは、犯人を誘き出すために、自分達も広告を出して囮捜査を始める。
そして、広告に返事をしてきた、容疑者になり得る怪しげな女性ヘレンが、ケラーの前に現れる。
ケラーは、ヘレンを疑いつつも彼女の魅力に負け、愛し合うようになるのだが・・・。
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いきなり、犯人は女性だと決め付けながら、同僚刑事なども怪しく感じさせて、何度か容疑者女性の犯行をほのめかせる。
そんな描写で、見る者をドラマに引き込んでいくハロルド・ベッカーの演出は、ややパンチに欠けているところもあるが、ラストまで飽きることなく一気に観れる。
悪役面のマイケル・ルーカーが、どう見ても序盤の軽い出番だけでは終わらないだろうと思わせるところがポイントで、その時点で先が読めると言えばそれまでだが、そこまでは感じさせない演出もまずまずだ。
北米で約5860万ドルの興行収入を上げ、全世界では約1億1100万ドルを超すヒットとなった。
1959年のヒット曲である”シー・オブ・ラブ”のレコードを小道具として使っているところなどが古風でいい。
これ以前、出演作品を選んでいた感じのあるアル・パチーノが、「セント・オブ・ウーマン」(1992)で念願のアカデミー賞受賞に向け、再び精力的な活動を始めた頃の作品。
犯人を挙げなければならない使命感と、その容疑者でもある、魅力的な女性への愛・・・。
そんなジレンマに苦悩する、渋みを増した中年男性の孤独と悲哀を、充電期間を置いたせいか、アル・パチーノは、人間味と深い演技で、見事に演じ切っている。
いかにも怪しげな雰囲気を醸し出す、妖艶さと幼い子供の母親という役柄のギャップも面白いエレン・バーキン、人が良さそうなので、事件に絡んでいるのでは?と思うのは考え過ぎだと分かる終盤でホッとする相棒ジョン・グッドマン、やはり、と思える彼らしい犯人役のマイケル・ルーカー、主人公の父ウィリアム・ヒッキー、相棒でありながら主人公の妻を”奪った”ことになっているリチャード・ジェンキンス、実際は、アル・パチーノのより6歳も年下の上司役のジョン・スペンサー、「セント・オブ・ウーマン」(1992)でもリムジンの運転手役でアル・パチーノと共演する同僚のジーン・キャンフィールド、そして冒頭で端役出演するサミュエル・L・ジャクソンなどが共演している。