何度も映画化されている、チャールズ・ディケンズの”クリスマスキャロル”の現代版コメディ。 傲慢で冷酷なTV局社長の元に現れたゴースト達が彼の行いを悔い改めさせようとする姿を描く、製作、監督リチャード・ドナー、主演ビル・マーレイ、カレン・アレン、ロバート・ミッチャム、アルフレ・ウッダード他共演、終盤に向け一気に盛り上がる正にクリスマスに相応しいハートウォーミング・コメディの快作。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・ドナー
製作総指揮:スティーブン・J・ロス
製作
リチャード・ドナー
アート・リンソン
脚本
ミッチ・グレイザー
マイケル・オドノヒュー
撮影:マイケル・チャップマン
編集
フレデリック・ステインカンプ
ウィリアム・ステインカンプ
音楽:ダニー・エルフマン
出演
フランク・クロス:ビル・マーレイ
クレア・フィリップス:カレン・アレン
プレストン・リーネランダー:ロバート・ミッチャム
グレイス・コーリー:アルフレ・ウッダード
ルー・ヘイワード(ゴースト):ジョン・フォーサイス
ブライス・カミングス:ジョン・グローヴァー
エリオット・ラダーミルク:ボブキャット・ゴールドスウェイト
ジェームズ・クロス:ジョン・マーレイ
過去のクリスマスのゴースト:デイヴィッド・ヨハンセン
現在のクリスマスのゴースト:キャロル・ケイン
ハーマン:マイケル・J・ポラード
カルヴィン・コーリー:ニコラス・フィリップス
本人:ジョン・ハウスマン
本人:ロバート・グーレ
本人:リー・メジャース
本人:メアリー・ルー・レットン
ストリート・ミュージシャン:マイルス・デイヴィス
ストリート・ミュージシャン:ラリー・カールトン
ストリート・ミュージシャン:デイヴィッド・サンボーン
ストリート・ミュージシャン:ポール・シャッファー
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ UIP
1988年製作 101分
公開
北米:1988年11月23日
日本:1988年12月10日
制作費 $32,000,000
北米興行収入 $60,328,560
■ アカデミー賞 ■
第61回アカデミー賞
・ノミネート
メイクアップ賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アメリカのテレビ界の史上最年少社長フランク・クロス(ビル・マーレイ)は、来るクリスマス特番”スクルージ”の編成会議で、幹部らの提案を退けてしまう。
そして、フランクは視聴率を上げるためならば、おぞましい企画でも実行する方針を幹部らに伝える。
フランクは、社員のエリオット・ラダーミルク(ボブキャット・ゴールドスウェイト)が、自分の企画に口出ししたことで、クリスマス前にも拘らず、非情にも容赦なくクビにしてしまうほど、冷酷で自分本位の男だった。
同じく、この時期には家族と時間を過ごしたいフランクの秘書のグレイス・コーリー(アルフレ・ウッダード)は、彼に扱き使われていた。 自分や実の弟ジェームズ(ジョン・マーレイ)にも、社名入りのただのタオルしかプレゼントしようとしないフランクに、グレイスは呆れてしまう。 そんなフランクは、会長のプレストン・リーネランダー(ロバート・ミッチャム)から、社運を賭けた特番への期待をかけられ、庶民から愛されるペットを意識した、”動物” を登場させる番組構成を提案される。 その後、クリスマスを毛嫌いするフランクは、弟ジェームズのパーティーの招待も断り、”今年の人道賞”の授賞式に向かう。 式の後、受賞トロフィーをタクシーに置き忘れ、テレビ局に戻ったフランクの前に、かつて彼が世話になった、今は亡き元社長ルー・ヘイワード(ジョン・フォーサイス)がゴーストして現れる。 ヘイワードのゴーストは、フランクの暴挙を戒めるために、次々と現れるであろう3人のゴーストのことを伝える。 聞く耳を持たないフランクは、ヘイワードに悔い改めるよう迫られビルから落される”悪夢”から目覚める。 フランクは、それが悪夢か現実かわからないまま、自動的にかかった昔の恋人クレア・フィリップス(カレン・アレン)への電話に、会いたいというメッセージを残す。 翌日、過激な特番CMを見た老人が死亡したことを知らされたフランクは、”悪夢”のことなど忘れ、効果絶大だとそれを喜んでしまう。 その後フランクは、特番のスタジオ・リハーサルを視察に行き、留守電のメッセージを聞き現れたクレアと再会する。 しかしクレアは、傲慢で口やかましく、以前とは様子の違うフランクに驚き、慈善団体で働く自分の名刺を渡して姿を消す。 リーネランダー会長とのランチの際、フランクは補佐を付けると言われ、ヘイワードから正午にゴーストが現れると予告されたことを思い出す。 フランクは、そこに現れたブライス・カミングス(ジョン・グローヴァー)をゴーストと思い込み、幻覚まで見えて取り乱しレストランを飛び出してしまう。 しかし、飛び乗ったタクシー・ドライバーが過去のクリスマスのゴースト(デイヴィッド・ヨハンセン)だった。 ゴーストは1955年のクリスマスに向かい、フランクに子供時代の彼の家族を見せる。 ジェームズを身篭っている母が、自分に愛情を注ぐ姿を見たフランクは、ゴーストには強がっていたものの、滝のような涙を流してしまう。 そしてゴーストは、フランクを1968年の会社で開かれているクリスマス・パーティーに連れて行く。 当時のフランクは仕事に没頭し、パーティーや女性にも目もくれずに、がむしゃらに会社の下働きをしていた。 そんなフランクは会社の帰りにクレアと出会い、やがて愛し合うようになった2人は同棲生活を始める。 クレアとの楽しい日々を目の当りにしたフランクに笑みがこぼれる。 しかし、相変わらず仕事が第一優先のフランクは、クレアと別れて暮らすことになる。 ゴーストに別れを告げられたフランクは、ふと気がつくとリハーサル中のスタジオに戻っていた。 スタジオを出たフランクは、クレアの働く臨時避難所に向かい、恵まれない者と勘違いされてしまい、浮浪者ハーマン(マイケル・J・ポラード)らには”リチャード・バートン”と間違われてしまう。 クレアを見つけたフランクは、昔を思い出したことを彼女に伝え救いを求める。 しかし、クレアが忙しいとわかるとフランクは暴言を吐き、その場を立ち去る。 スタジオに戻ったフランクは、ブライスがリハーサルを仕切っていることを知りショックを受ける。 すると、スタジオが暗くなり、そこに現在のクリスマスのゴースト(キャロル・ケイン)が現れる。 ゴーストは、会社でフランクに扱き使われているグレイスの家に向かう。 そして、5年前に父親が殺されるのを目撃して、失語症になったグレイスの息子カルヴィン(ニコラス・フィリップス)などを含め、仲のよい彼女の家族が楽しむ姿を見せられる。 その後フランクは、弟ジェームズの家に連れて行かれるのだが、パーティーに現れない自分のために、ジェームズは祈りを捧げてくれる。 そんな場面を見ても改心しないフランクは、ゴーストに叩きのめされ、浮浪者ハーマンが地下で寂しく凍死している姿を発見する。 その場を逃れたフランクは、特番放映直前のスタジオに戻る。 そして、ジョン・ハウスマンの進行により、特番”スクルージ”は始まる。 社長室に戻ったフランクは、ジェームズからの手作りの写真立てのプレゼントに涙ぐむ。 その時、特番の進行状況を見ていたフランクの部屋に、会社をクビになったラダーミルクが乱入し、ショットガンを発砲して彼を襲う。 フランクが部屋から逃げ出しエレベーターに乗ると、そこに未来のクリスマスのゴーストが現れる。 特番の出演者だと思ったフランクだったが、ゴーストから、病院に監禁されたカルヴィンや、自分の言葉に従い傲慢になってしまったクレアの姿を見せられる。 さらにフランクは、自分が死んで火葬されてしまうの見ると炎の中で”生きたい!!”と叫び始めてしまう。 次の瞬間、正気に戻り、生きていることを知ったフランクは、目の前にいたラダーミルクに抱きつき、彼のクビを撤回して給料を2倍にし昇進を約束する。 そして、スタジオに戻ったフランクは、ラダーミルクにコントロール室を占拠させ、特番に割り込み中断させてしまう。 フランクはカメラの前に立ち、まずジェームズに悪い兄だったことを謝る。 リーネランダー会長は憤慨し、コントロール室に連絡すが、ラダーミルクが全てを責任者ブライスのせいにする。 そしてフランクは、思いやりと優しい心を持つことの尊さについて、視聴者に向かって熱弁を始める。 フランクは最高の気分を味わうが、今でも愛しているクレアが、傍にいてほしいことをカメラに向かって訴える。 クレアは、過去のクリスマスのゴーストのタクシーに乗ってスタジオに向かう。 フランクの独演会に見入ったリーネランダー会長にも、笑みがこぼれる。 興奮しながら、奇跡が起きることを待ち続けると語り続けるフランクに、グレイスの息子で失語症のカルヴィンが語りかける。 ”神は、全ての人を愛している” グレイスは感激し、スタジオに着いたクレアを、フランクはアメリカ中の人々に紹介し、スタジオ内は幸せが満ち溢れた歌に包まれる。 そんなフランクには、ヘイワードやハーマン、そして3人のゴーストが彼を温かく見守る姿が見えていた。 そして、番組を見ていた全ての人々に、幸せが訪れる素晴らしいクリスマスの夜は続く。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
テレビ界の史上最年少社長フランク・クロスは、クリスマス特番”スクルージ”の編成会議で、幹部らの提案を退け、視聴率を上げるため、おぞましい企画でも実行する方針を明らかにする。
クリスマスを毛嫌いするフランクは、当然、秘書グレイスを含め、社員達に労いの言葉もなく、弟ジェームズのパーティーの招待も断ってしまう。
そんなフランクの前に、かつて世話になった、今は亡き元社長ヘイワードのゴーストが現れる。
ヘイワードは、フランクの暴挙を戒めるために、3人のゴーストが次々と現れることを伝える。
フランクは、それが悪夢か現実かを理解できないまま、過激な特番CMを見た老人が死亡したことを知らされ、懲りもせず、効果絶大だとそれを喜んでしまう。
電話メッセージで再会を約束した、元恋人クレアがフランクを訪ねる。
しかし、傲慢で口やかましい、以前と様子の違うフランクに呆れたクレアは、慈善団体で働く自分の名刺を渡し、その場を去ってしまう。
そして、フランクの前に、予告した通りヘイワードのゴースト達が現れるのだが・・・。
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クライマックスに向けての最高に盛り上がりを含め、クリスマス・ストーリーとして間違いなく楽しめるお勧めの作品!!
軽いノリの単なるコメディ作品と考えてはいけない!!
個人的にはビル・マーレイ作品の中で、最も好きな作品だ。
ビル・マーレイは、いつものように”気怠い”笑いを誘う。
良心を持たない男が、最後には善行を施すという、彼らしくもあり、そうとも言えないキャラクターが最高にいい。
心温まるクリスマス・ストーリーを、終盤に向けてステップアップして盛り上げる、リチャード・ドナーの演出も見事だ。
第61回アカデミー賞では、メイクアップ賞にノミネートされた。
ダニー・エルフマンの、正にクリスマスの雰囲気にマッチした音楽、アン・レノックスとアル・グリーンの主題歌”Put a Little Love in Your Heart”は、ラストの感動を盛り上げる名曲だ。
主人公の役柄とは対照的な、ボランティアに励むカレン・アレンの、飾り気のない素朴な役柄、演技もなかなかいい。
さすが演技派、主人公との絡みが絶妙な秘書役のアルフレ・ウッダードが、最後に歌まで披露してくれるのは嬉しいばかりだ。
会長役のロバート・ミッチャムも貫禄十分で、本人役で出演するジョン・ハウスマン、リー・メジャース、メアリー・ルー・レットン、マイルス・デイヴィスら豪華な顔ぶれを見れば、本作の価値も分かる。
また、ダメ社員ボブキャット・ゴールドスウェイトや、浮浪者役のマイケル・J・ポラードの存在も作品のアクセントとなり、大いに笑わせてくれる。
主人公に警告を発する、恩師であるゴースト役のジョン・フォーサイス、補佐のジョン・グローヴァー、過去のゴースト、デイヴィッド・ヨハンセン、現在のゴースト、キャロル・ケインなどが共演している。