フットボールの奨学生として名門校に編入しながら偏見に遭うユダヤ人少年の苦悩を描く、監督ロバート・マンデル、主演ブレンダン・フレイザー、マット・デイモン、クリス・オドネル、コール・ハウザー、ベン・アフレック他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・マンデル
製作
スタンリー・R・ジャッフェ
シェリー・ランシング
製作総指揮:ダントン・リスナー
脚本
ディック・ウルフ
ダリル・ポニクサン
撮影:フレディ・フランシス
編集
ジャクリーン・キャンバス
ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽:モーリス・ジャール
出演
デヴィッド・グリーン:ブレンダン・フレイザー
チャーリー・ディロン:マット・デイモン
クリス・リース:クリス・オドネル
リップ・ヴァン・ケルト:ランダル・バティンコフ
ジャック・コナーズ:コール・ハウザー
チェスティ・スミス:ベン・アフレック
リチャード”マクグー”コリンズ:アンソニー・ラップ
”マック”マクギヴァン:アンドリュー・ロワリー
サリー・ウィーラー:エイミー・ロケイン
バートラム:ピーター・ドナット
クリアリー:ジェリコ・イヴァネク
マクデヴィット:ケヴィン・タイ
ギーラッシュ:マイケル・ヒギンズ
アラン・グリーン:エド・ローター
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1992年製作 106分
公開
北米:1992年9月18日
日本:1993年5月8日
北米興行収入 $14,715,070
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1950年代半ば、ペンシルベニア州、スクラントン。
労働者階級の家庭で育ったユダヤ人デヴィッド・グリーン(ブレンダン・フレイザー)は、フットボールの奨学生としてマサチューセッツ州の、国内屈指の大学予備校である名門”セント・マシューズ”高校に編入することになる。
ユダヤ人であることをからかわれて喧嘩をしてしまったデヴィッドは、父アラン(エド・ローター)に軽率な行為を批判される。
この町から出てハーバード大学を目指す夢のために、我慢する必要があることをアランはデヴィッドに語る。
そしてデヴィッドは、アランそして妹と弟に見送られて旅立つ。
フットボール部のコーチ、マクデヴィット(ケヴィン・タイ)に迎えられたデヴィッドは、故郷とは全く雰囲気が違う高校の様子に驚く。 デヴィッドは、苦労知らずの上流階級の学生の中で、余計な話をするべきではないとマクデヴィッドに助言される。 寮に向い同室のクリス・リース(クリス・オドネル)に歓迎されたデヴィッドは、チャーリー・ディロン(マット・デイモン)、リップ・ヴァン・ケルト(ランダル・バティンコフ)、ジャック・コナーズ(コール・ハウザー)、”マック”マクギヴァン(アンドリュー・ロワリー)らを紹介される。 礼拝が行われ、学校長バートラム(ピーター・ドナット)は、200年近い歴史のある”セント・マシューズ”の”名誉の掟”のことなどを話し祈りを捧げる。 その後、チェスティ・スミス(ベン・アフレック)なども加わり部屋で騒いでいたデヴィッドらは、舎監でもあるフランス語教師のクリアリー(ジェリコ・イヴァネク)に注意されるるものの相手にしない。 仲間達と心触れ合うようになったデヴィッドは、故郷では隠していなかったユダヤ人であることを知られないでいる方が得策だと考える。 デヴィッドのクラスもクリアリーが担当することになり、彼は、部屋で騒いでいた際に、自分の指示に従わなかったマクギヴァンに恥をかかせる。 フットボールの練習も始まり、コーチのマクデヴィッドは、チャーリーをクォーターバックの控えに回し、ハーフバックを任せる。 新クォーターバックのデヴィッドを選手達に紹介したマクデヴィッドは、今年はパス中心の作戦で戦うことを伝える。 デヴィッドは、学費を稼ぐため食事の際の給仕をすることになる。 父アランに電話をしたデヴィッドは、試合の日であっても”ローシュ・ハッシャーナー”(新年祭)のための祈りをするよう指示される。 対抗試合の日、デヴィッドの活躍でチームは勝利する。 その夜、一人礼拝堂で祈るデヴィッドに気づいた学校長バートラムは、フットボールの奨学生であるため、彼が試合を優先したことを知る。 デヴィッドの気持ちを理解したバートラムは、静かに部屋に戻るよう指示し、今夜の規則違反は見逃すことを伝える。 バートラムに、試合のためにしきたりを破るのかを聞かれたデヴィッドは、学校のしきたりはどうなのかを尋ねてその場を去る。 その後、クリアリーに落第点を付けられたマクギヴァンは神経質になる。 ベテランの歴史教師ギーラッシュ(マイケル・ヒギンズ)は、質問に答えられないチャーリーに、学習が足りないことを指摘する。 デヴィッドは、家族が5代続けてプリンストン大学に入っているマクギヴァンは、落第が許されないことを知る。 ある日、ハーバードがユダヤ人とコミュニストばかりだという話になり、チャーリーはあからさまにユダヤ人を嫌い、デヴィッドはそれを気にする。 女学生とのダンスパーティーに出席したデヴィッドは、チャーリーと踊っていたサリー・ウィーラー(エイミー・ロケイン)に惹かれてしまう。 チャーリーからサリーを紹介されたデヴィッドは、彼女がチャーリーとは幼馴染であることを知る。 デヴィッドと踊ったサリーも、彼が気になり興味を持つ。 落第を恐れ極度に緊張するマクギヴァンは、クリアリーの授業の際、朗読中に教室を飛び出してしまう。 デヴィッドは、サリーから連絡を受けてダイナーに誘われる。 マクギヴァンが姿を消したために、消灯後にも拘わらず、デヴィッドらはクリスやジャックらと共に彼を捜す。 荷物をまとめて制服に着替えたマクギヴァンは、フランス語の教室に向い朗読を始める。 デヴィッドらは、フランス語の教室の明かりに気づきその場に向い、正気を失ったマクギヴァンを発見する。 マクギヴァンは救急車で病院に運ばれ、憤慨したデヴィッドは、責任を取らせると言ってクリアリーを非難する。 デヴィッドを落ち着かせたチャーリーは、今回の件を語り合い、過去にも、ハーバードに入れなかったために自殺した学生がいることなどを話す。 チャーリーは、期待を背負っていないデヴィッドを羨ましく思う。 その後デヴィッドら学生達は、クリアリーの大切にしている車を壊して仕返しをする。 ダイナーでサリーとデートしたデヴィッドは、楽しい時を過ごす。 初戦を迎えたデヴィッドは、試合前にチャーリーとサリーの両親を紹介される。 試合は始まり、デヴィッドは、家族の前で活躍したいチャーリーのために彼にボールを渡す。 しかし、チャーリーはハンブルしてしまい、コーチのマクデヴィッドは、作戦通りに動くようデヴィッドに指示する。 デヴィッドの防御に回ったチャーリーは、彼がタッチダウンを決めてヒーローとなったために嫉妬する。 チャーリーとサリーの家族の食事に招かれたデデヴィッドは、サリーと踊り好意を伝えられる。 同じ気持ちだと答えたデヴィッドは、父親と話しているチャーリーを気の毒に思う。 素質を生かした働きで、チームの勝利に貢献したと父親に言われ励まされたチャーリーだったが、彼は納得いかないままサリーの元に向かう。 サリーは、自分を恋人扱いするチャーリーを非難し、デヴィッドは彼女と惹かれ合うようになってしまったことをチャーリーに伝える。 気分を害したチャーリーはその場を去り、バーで、デヴィッドがユダヤ人だという話を聞く。 チャーリーは仲間達の前で、デヴィッドがユダヤ人の大嘘つきだと言って批判し、二人は殴り合いになる。 部屋に戻ったデヴィッドは、理解ある人物と思われるクリスまでユダヤ人を特別扱いしていることを知り、苦しい胸の内を伝える。 クリアリーのフランス語のクラスで、”名誉の掟”に署名しておきながら、ジャックが翻訳を書き写しただけの不正を指摘される。 それを否定したジャックは、慰めようとするデヴィッドの行為を迷惑に思う。 その後、クラスメイトのリチャード”マクグー”コリンズ(アンソニー・ラップ)らは、デヴィッドのことをしつこくからかい諍いを起こす。 気持ちを押さえながら、疎外されるデヴィッドは辛い日々を過ごす。 デヴィッドは、卑劣な行為に対して相手を呼び出し決着を付けようとするが、名乗り出る者がいないため卑怯者呼ばわりする。 サリーの元に向かったデヴィッドだったが、戸惑う彼女も態度を一変させる。 歴史のテストを控え、チャーリーは、リップのノートを利用してカンニング用のメモを作る。 試験当日、ギーラッシュは”名誉の掟”にサインさせて席を外す。 デヴィッドとリップは、チャーリーがカンニングをしていることを確認する。 テストを終えたギーラッシュは、学生の誰かが落としていったカンニングのメモを見つける。 次の授業でギーラッシュは、カンニングをした者がいることを伝えて厳しく非難し、犯人が名乗り出ない場合は全員を落第にする考えを語る。 リップがテストのやり直しを提案するが、ギーラッシュは、それでは全体の名誉が汚され、黙認すれば自分の名誉が汚れることを伝え、自分達で解決する指示を学生に出してその場を離れる。 犯人は名乗り出るよう話し合われ、リチャードは、フランス語の翻訳で本を書き写したジャックを疑う。 ジャックは憤慨してその場を離れ、学生達は翌日、話し合うことになる。 デヴィッドは、カンニングをしたことを知っているとチャーリーに伝え、名乗り出ることを促す。 ギーラッシュの脅しだと言うチャーリーだったが、この件が問題になった場合は大変なことになると伝え、偏見を持ったことなどをデヴィッドに謝罪する。 それとこの件は問題が違うと言われたチャーリーは、デヴィッドに口止め料を払おうとする。 デヴィッドはそれを拒み、名乗り出ろと言い残してその場を去る。 翌日、話し合いが行われ、成績も悪く問題も起こすジャックが疑われ、デヴィッドが発言しようとする。 それに気づいたチャーリーは席を立ち、デヴィッドが犯人だと言ってその場を驚かせる。 デヴィッドはそれを否定してチャーリーこそ犯人だと反論するが、話し合いで解決する”伝統”に従うことを認めてその場を去る。 デヴィッドがユダヤ人であることを隠していた事実と、自分達の将来のことを考え、学生達は彼を疑うが、リップは偏見を捨てるべきだと意見する。 リチャードはそれを無視してユダヤ人を批判し、クリスと言い合いになる。 ジャックは、自分も偏見はあるがデヴィッドを疑うことはできずチャーリーが犯人だと思うことを伝え、何人かがそれに賛成する。 話し合いは続き無記名投票を行った結果、デヴィッドが犯人であるということで結論が出る。 デヴィッドは、学校の伝統に従い、学校長の元に向かい”うそ”をついてくると言い残してその場を去る。 話し合いを仕切ったリップは、犯人を知っているために心を痛める。 学校長バートラムに会ったデヴィッドは、自分がカンニングをしたことを認める。 しかし、その場にいたギーラッシュはそれを否定し、デヴィッドは、リップがチャーリーの不正を話していたことを知る。 リップは、ルームメイトであるチャーリーを庇ってしまったことをデヴィッドに伝えて謝罪する。 バートラムは、”名誉の掟”を破ったことになるデヴィッドとリップの罪は忘れて、チャーリーを退校処分にすることを伝える。 牧師から誇りに思う学生だと言われたデヴィッドは、全て解決したと考えるバートラムに意見する。 自分を見る度に今回のことを思い出し、選手であることを利用したバートラムらを進学で利用すると言って、デヴィッドはその場を離れる。 学校を去るチャーリーは、今回のことがあっても自分はハーバードに入れるとデヴィッドに伝える。 10年経てばこの件は忘れられるが、ユダヤ人は変わらないとチャーリーは付け加える。 デヴィッドは、”心の傷は残る”とチャーリーに伝えてその場を去る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1950年代半ば。
労働者階級の家庭で育ったユダヤ人デヴィッド・グリーンは、フットボールの奨学生としてマサチューセッツ州の大学予備校である名門”セント・マシューズ”高校に編入することになる。
ルームメイトのクリスや同じチームのチャーリーらに歓迎されたデヴィッドは、上流階級で育った者達の中で、ユダヤ人であることを隠した方が得策だと考える。
そんなデヴィッドは、チャーリーのポジションだった正クォーターバックを任されて大活躍し、彼の幼馴染だったサリーとも惹かれ合うようになる。
嫉妬したチャーリーは、デヴィッドがユダヤ人であることを知り、それを仲間達に伝えてしまう。
その後、クラスメイトの自分に対する偏見に遭うデヴィッドの苦悩の日々は続き、サリーまで態度を一変させる・・・。__________
労働者階級の家庭で育った少年が、場違いとも言える名門校で、階級社会の問題に苦悩する姿を描くだけでなく、アメリカ社会に根付くユダヤ人への偏見を大きなテーマにした問題作でもある。
階級社会に絡む人種問題が題材のため、それが高校内で大きな事件になるという後半は、悲壮感も漂う重々しい雰囲気の展開となり、ラストもやや後味が悪い。
公開当時はさほど注目された作品ではないが、その後、ハリウッドを代表するスターとなる若手スター競演が注目の作品。
そんな中で、卑劣な富豪の息子を演ずる、非常に嫌な役柄ではあるがマット・デイモンの演技が印象に残る。
マット・デイモンとは、5年後に「グッド・ウィル・ハンティング」(1997)で共演と脚本を共に担当して脚光を浴びるベン・アフレックは、同僚学生を演じている程度で、同じく同作で共演したコール・ハウザーが重要な役を演ずるのだが、撮影当時16歳とは思えない。
学業優秀でスポーツでも活躍しながら、人種問題で苦悩する主人公を好演するブレンダン・フレイザー、主人公を偏見の目で見ないルームメイトのクリス・オドネル、同じく主人公を擁護する学生ランダル・バティンコフ、ユダヤ人を毛嫌いするアンソニー・ラップ、フランス語教師ジェリコ・イヴァネクのプレッシャーに耐えきれずに正気を失うアンドリュー・ロワリー、主人公と親交を深める良家の子女エイミー・ロケイン、学校長ピーター・ドナット、フットボール部コーチ、ケヴィン・タイ、歴史教師マイケル・ヒギンズ、主人公の父親エド・ローターなどが共演している。