1969年に発表された、イタリア人作家ジオバンニ・アルピーノの”l buio e il miele”の2度目の映画化。 生き甲斐をなくした盲目で偏屈な元軍人とエリート青年の親交を描く、製作、監督マーティン・ブレスト、主演アル・パチーノ、クリス・オドネル、フィリップ・シーモア・ホフマン、ガブリエル・アンウォー共演による感動のヒューマン・ドラマ。 |
・ドラマ
・アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・ブレスト
製作:マーティン・ブレスト
原作:ジオバンニ・アルピーノ”Il buio e il miele”
脚本:ボー・ゴールドマン
撮影:ドナルド・E・ソーリン
編集
ウィリアム・ステインカンプ
マイケル・トロニック
ハーヴェイ・ローセンストック
音楽:トーマス・ニューマン
出演
アル・パチーノ:フランク・スレイド
クリス・オドネル:チャーリー・シムズ
ジェームズ・レブホーン:トラスク
フィリップ・シーモア・ホフマン:ジョージ・ウィリスJr.
ニコラス・サドラー:ハリー・ハヴァマイヤー
ガブリエル・アンウォー:ドナ
ブラッドリー・ウィトフォード:ランディ・スレイド
リチャード・ヴェンチャー:ウィリー・R・スレイド
ジーン・キャンフィールド:マニー
フランセス・コンロイ:クリスティン・ダウンズ
ロン・エルダード:ゴア巡査
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1992年製作 156分
公開
北米:1992年12月23日
日本:1993年4月
北米興行収入 $63,895,610
世界 $134,095,250
■ アカデミー賞 ■
第65回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(アル・パチーノ)
・ノミネート
作品・監督・脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
名門高校ベアード校の奨学生チャーリー・シムズ(クリス・オドネル)は、感謝祭の休日を旅行などで過ごす金持ちの同僚達とは違い、アルバイトを見つけてクリスマスに故郷に帰る旅費を稼ごうとする。
チャーリーはアルバイト先に出向き、目の不自由な退役軍人フランク・スレイド中佐(アル・パチーノ)の、休日中の世話を彼の姪から依頼される。
スレイドはかなり偏屈な男で、いきなりチャーリーにかみつくが、彼はバイトを受けることにする。
高校の生徒ハリー・ハヴァマイヤー(ニコラス・サドラー)らは、理事長からジャガーをもらったトラクス校長(ジェームズ・レブホーン)をからかおうとする。
それを知った、ジョージ・ウィリスJr.(フィリップ・シーモア・ホフマン)もそれに加担し、トラスク校長とジャガーを生徒達の前でペンキまみれにしてしまう。 前日の夜、ハリーがペンキを仕掛けるのを目撃したチャーリーとジョージは、トラスク校長から、犯人捜しに協力しない場合は、退学もあると警告される。 さらに、チャーリーは、ハーバード大学の推薦を交換条件に、週明けに結論を出すよう言われる。 そして、スレイドの元を訪れたチャーリーは、彼の身支度をさせられ、無理矢理にニューヨークに連れて行かれる。 ファーストクラスの航空券、超高級ホテルのウォルドルフ=アストリアのスィートルーム、プラザホテル”オーク・ルーム”での食事にリムジンを用意するレイドの行動に、チャーリーは呆気にとられてしまう。 スレイドをホテルに残して、チャーリーは帰ろうとするが、それ許さないスレイドは、チャーリーを連れて”オーク・ルーム”の夕食に向かう。 チャーリーはリムジンの中で、学校で起きたことをスレイドに聞かれ、彼は、好きなことをやり尽くし、最後に自殺すると言い出す始末だった。 結局、帰ることが出来なかったチャーリーは、翌朝スレイドに、それほど親しくもない、金持ちで、将来、何の不自由もしないジョージのことを気にせずに、犯人を吐いてしまわないと自滅すると助言される。 その後スレイドは、チャーリーと、郊外に住む兄のウィリー(リチャード・ヴェンチャー)を訪ねる。 しかし、ウィリーや息子ランディ(ブラッドリー・ウィトフォード)を含め、家族は、スレイドのことをあからさまに嫌う。 スレイドの毒舌は収まらず、ランディとトラブルを起こして追い出されてしまう。 翌朝、チャーリーは、スレイドが拳銃を組み立てているのを見て、慌てて依頼人に電話をかけようとする。 しかし、スレイドは電話のメモ書きを取り上げて食べてしまい、彼の世話に限界を感じたチャーリーは、その場を立ち去ろうとする。 帰りの旅費がないチャーリーは、それを思い止まり、スレイドも拳銃をチャーリーに渡す。 スレイドはチャーリーに、仲間を裏切ってハーバード行きを選ぶよう再び助言する。 その後、カフェで恋人を待つ女性ドナ(ガブリエル・アンウォー)に気づいたスレイドは、彼女と同席してすぐに打ち解けてしまう。 そしてスレイドは、ドナを誘いタンゴのレッスンを始める。 踊り終わったドナは迎えに来た恋人にせかされ、心残りのまま、スレイドとチャーリーに別れを告げて去って行く。 その夜、スレイドがリムジンのドライバー、マニー(ジーン・キャンフィールド)の手配した女性と過ごす間、チャーリーは、ジョージに連絡を入れる。 父親に学校のことを話したジョージは、卒業生であり多額の寄付金もしている父親が、校長に直談判して話をつけるだろうと高をくくる。 翌日、ベッドから起き上がろうとしないスレイドは、チャーリーに金を渡して帰らせようとする。 スレイドが、自殺すると言い出したのを聞いたチャーリーは、彼を連れ出してフェラーリの試乗をすることにする。 高価な車の試乗を、若者に任せるのを渋るディーラーに、スレイドは、2000ドルのチップを払い説得する。 路地でスレイドに運転させたチャーリーは、暴走を始めた彼に驚かされ、巡回中のゴア巡査(ロン・エルダード)に車を止められる。 ゴア巡査は、試乗車のフェラーリをすぐに返すという条件で二人を見逃す。 突然、塞ぎこんでしまったスレイドを連れて、チャーリーはホテルに戻ろうとうする。 しかし、スレイドは、車が往来する道路を横断し、疲労で倒れてしまう。 ホテルに戻ったチャーリーは、スレイドに買い物を頼まれるものの、彼が気になり様子を見に行く。 そして、スレイドは軍服に着替えて、チャーリーを道連れに自殺しようとする。 自分の人生には闇しかないと叫ぶスレイドを、涙しながらチャーリーは説得して彼を説得する。 平常心を取り戻したチャーリーが、スレイドの長所を並べると、笑顔を取り戻した彼とようやく対等に話しができて、心通じ合うことが出来る。 そして二人には、ほのかな友情のようなものが芽生え、リムジンでそのままチャーリーの学校に向かう。 週が開け、チャーリーは、スレイドと簡単な別れの挨拶を交わし、その後、ジョージと共に全校生徒の前で、真実を問われることになる。 そこに、親の代理だと言って、スレイドがマニーに付き添われて現れる。 懲戒委員会は始まり、演壇に立ったトラクス校長に追求され、父親に耳打ちされたジョージは、確信はないという前置きで、ハリーらの名前を口に出しす。 ジョージに責任を転嫁されされそうになったチャーリーは、犯人は見たものの、それは言えないと発言する。 トラクス校長は、名前の上がったハリーらを罰するだけの証拠はなく、ジョージの行いは、学校の名を汚してはいないということで、事実を隠ぺいするチャーリーの退学処分を委員会に提案する。 スレイドは、自分の身を守るために友を裏切る者と、そんな連中を育てて世に出し、名門校面する学校を痛烈に非難する。 その後もスレイドは、発言を止めようとするトラクス校長に耳を貸さず、自分の得のために友を売らないチャーリーの高潔さと勇気を称える。 指導者としての資質を備えたチャーリーを守るべきだという発言を終えたスレイドに、場内の生徒らは拍手を贈る。 そして委員会の討議は終わり、ハリーやジョージの処分が決まり、チャーリーはこの事件から解放される。 生徒達は総立ちでチャーリーとスレイドに拍手を贈り、二人はその場を立ち去る。 委員会の会場を出たスレイドは、構内で女性教師クリスティン・ダウンズ(フランセス・コンロイ)から声をかけられる。 自分の発言に感銘を受けたとダウンズに言われたスレイドは、彼女の香りを確かめ”フルール ド ロカイユ・・・”と告げてその場を去る。 チャーリーはスレイドを家に送って行き、再会を約束して別れを告げる。 スレイドは、今まで見せたことのない笑顔で、姪の子供達に接していた。 チャーリーは、それを見て安心してベアード校に向かう。
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*(簡略ストー リー)
名門高校ベアード校の奨学生チャーリー・シムズは、感謝祭の休日にアルバイトをして、クリスマスに故郷に帰る旅費を稼ごうとする。
チャーリーは、目の不自由な、退役軍人のフランク・スレイド中佐の休日中の世話を、彼の姪から依頼される。
偏屈なスレイドに戸惑うチャーリーだったが、彼はバイトを受けることにする。
そんな時、校内で、トラクス校長をからかう事件が起きる。
前日の夜、犯人の学生を目撃していたチャーリーとジョージは、校長から、犯人捜しに協力しない場合は退学もあると警告されてしまう。
さらに、チャーリーは、ハーバード大学の推薦を交換条件に、週明けに結論を出すことを指示される。
そんなチャーリーは、スレイドの元を訪れ、彼の身支度をさせられ、無理矢理にニューヨークに連れて行かれてしまう。
ファーストクラスの航空券、高級ホテル、リムジンなど、スレイドの行動に呆気にとられるチャーリーは、彼をホテルに残し帰ろうとする。
それ許さないスレイドは、チャーリーから、学校で起きたことを聞き、自分は好きなことをやり尽くし、最後に自殺すると言い出す始末だった・・・。
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1969年に発表された、イタリア人作家ジオバンニ・アルピーノの”l buio e il miele”の2度目の映画化。
*最初は1974年のイタリア映画”Profumo di donna”
8年前に「ビバリーヒルズ・コップ」(1984)を大ヒットさせたマーティン・ブレストの、主演のアル・パチーノ演ずる主人公の型破りな個性を見事に活かした、繊細でもある演出は出色だ。
第65回アカデミー賞ではアル・パチーノが主演男優賞を受賞し、作品、監督、脚色賞にノミネートされた。
ロケに使われた、ニューヨークの”Emma Willard School”の、伝統を感じさせる名門校の雰囲気は、権力や傲慢さを象徴するのに抜群の効果を上げている。
トーマス・ニューマンの、透き通るような清らかで美しいメロディーの音楽も素晴しい。
クライマックスの、主人公二人の友情により、心地よい気分に浸りつつ始まる、アル・パチーノの、何者もを恐れない正義感溢れる大演説は、念願であった、アカデミー主演賞受賞に相応しい熱演シーンであった。
目が不自由故に観察力が鋭く、プライド高い元軍人の生き様と挫折を表現する、全編を通しての演技も秀逸だ。
エリート校の苦学生を、違和感なく演じたクリス・オドネルの好演も光る。
自殺しようとする主人公を、涙ながらに必死に止めようとする、アル・パチーノと真っ向からぶつかり合うシーンは、演技には思えない緊迫感がある。
共演者では、本作が出世作となる、裏切り者の学生を演ずるフィリップ・シーモア・ホフマンが抜きん出て印象に残る。
後に「カポーティ」(2005)でアカデミー主演賞を受賞する演技派の才能の片鱗が窺える。
利己的な学校長ジェームズ・レブホーン、保身しか頭にない悪戯の犯人ニコラス・サドラー、主人公とタンゴを踊る女性のガブリエル・アンウォー、主人公と不仲の甥ブラッドリー・ウィトフォード、兄リチャード・ヴェンチャー、厳ついが気のいいリムジン・ドライバーのジーン・キャンフィールド、フェラーリを止める巡査ロン・エルダードなどが共演している。