サイトアイコン That's Movie Talk!

死体の告白 Scared to Death (1947)

謎の怪奇事件に翻弄される人々に襲いかかる恐怖を描く、監督クリスティ・キャバンヌ、主演ベラ・ルゴシジョージ・ザッコナット・ペンドルトンモリー・ラモントジョイス・コンプトングラディス・ブレイク他共演のスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


スリラー/ホラー

マスターズ・オブ・モンスターズ Masters of Horror / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:クリスティ・キャバンヌ

製作:ウィリアム・B・デヴィッド
脚本:W・J・アボット
撮影:マルセル・ル・ピカード
編集:ジョージ・マクガイア
音楽:カール・ホーフル

出演
レオニード教授:ベラ・ルゴシ
ジョセフ・ヴァン・イー医師:ジョージ・ザッコ
ビル・レイモンド:ナット・ペンドルトン
ローラ・ヴァン・イー/ローレット・ラ・ヴァッレ:モリー・ラモント
ジェーン・コーネル:ジョイス・コンプトン
リリーベス:グラディス・ブレイク
ウォード・ヴァン・イー:ローランド・ヴァーノ
テリー・リー:ダグラス・フォーリー
病理学者:スタンリー・アンドリューズ
インディゴ:アンジェロ・ロシット
レネ:リー・ベネット
検死科医:スタンレー・プライス

アメリカ 映画
配給 Screen Guild Productions
1947年製作 65分
公開
北米:1947年2月1日
日本:未公開
製作費 $135,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
セントラル・シティ、死体安置所。
病理学者(スタンリー・アンドリューズ)と検死科医(スタンレー・プライス)は、亡くなった女性ローラ・ヴァン・イー(モリー・ラモント)が、どのような原因で死んだかを考えると、解剖するのが辛かった。

外傷もないローラの死因は分からなかったが、病理学者は、彼女が死の直前に何を考えたかを知りたいと思う。
__________

診察台で目隠しをされそうになり怯えるローラは、夫ウォード(ローランド・ヴァーノ)の父親である医師ジョセフ(ジョージ・ザッコ)から、息子との離婚に応じない理由を訊かれる。

治ったら離婚すると答えたローラは、ジョセフの診察を受ける。

そこに現れたウォードから、父を困らせるなと言われたローラは、彼に嫌味を言って、贈られたガウンを返して自分の部屋に向かう

ジョセフは、メイドのリリーベス(グラディス・ブレイク)から、ウィリアム夫人と元刑事である探偵ビル・レイモンド(ナット・ペンドルトン)が来ていることを知らされ、ビルの対応をウォードに任せる。

ウォードは、ローラから返されたガウンをリリーベスにあげてしまう。

どうすればローラに離婚を決意させるかを考えるジョセフは、自分に任せてほしいとウォードに伝える。

ジョセフはウィリアム夫人と話し、過去を探る彼女に、脅されはしないと言って帰ってもらう。

リリーベスは、自分に好意を持ちつきまとうビルを迷惑に思う。

しばらくして、ジョセフのいとこレオニード教授(ベラ・ルゴシ)が、小人のインディゴ(アンジェロ・ロシット)を連れて現れる。
...全てを見る(結末あり)

レオニードは、リリーベスと共に迎えてくれたビルが探偵だと気づき、聾唖のインディゴが唇を読めることを2人に伝える。

ジョセフの部屋に無断で入ったレオニードは、家の警護を任せているビルを紹介される。

外国から戻ったレオニードから、数日、泊めてほしいと言われたジョセフは、いとこの縁は切ったと伝える。

過去は忘れてほしいと言われたジョセフは仕方なく納得し、レオニードとインディゴにローラの隣りの部屋を提供しようとする。

ローラが目隠しをされると怯えることを知っていたレオニードは、その恐怖心に興味があるとジョセフに伝える。

帰宅したウォードと話したレオニードは、ローラとの問題を抱える彼から質問される。

ウォードは、緑のマスクのレネとローレットというダンサーの写真を見せて、男には見覚えがあると言うレオニードから、どこで見つけたか訊かれ、ローラの部屋だと答える。

窓から、緑のマスクが部屋の中を覗いていた。

マスクの女はローラに違いないと言うウォードは、男のことを尋ねるものの、まともに答えてもらえない。

男が現れればローラとの関係が分かると言うウォードに、写真を預からせてほしいと伝えてレオニードは、それを拒まれる。

すべてを知っているレオニードは、レネがローレットを捕まえに来ると考える。

翌朝ローラは、リリーベスが運んできた荷物の中身を確認し、女の人形の頭部だったために驚く。

ローラは、叫び声を聴いて部屋に入ってきてビルが護衛の探偵だと知り、無礼なことを言う彼に銃を向ける。

リリーベスに荷物のことを訊き、写真を盗んだ彼女を責めるローラは、それを否定される。

ローラは、リリーベスが着ている自分のガウンのことも追及する。

ウォードにもらったと言うリリーベスは人形の頭部に気づいて驚き、荷物を誰が持ってきたかは分からないとローラに伝える。

リリーベスとウォードとの関係も疑うローラは、夫には別の女がいると伝える。

写真のことを気にするローラは、”男”が来ることを恐れる。

リリーベスは、自分が男を家の中に入れたと言って、ローラを”ラ・ヴァッレ”と呼ぶ。

何もかも知っていると言ってローラを脅したリリーベスは、部屋から追い出される。

ローラが投げた人形の頭部を受け取ったビルは驚き、それをジョセフに見せる。

ジョセフは、地下室に置いてあった人体模型の頭部だと気づく。

そこに現れたウォードは、地下室には鍵がかかっているので入れないことをジョセフと確認する。

ビルは、事件を解決して警察に復帰しようと考える。

レオニードが怪しいと考えたビルは、ジョセフから、ここが精神病院だった時に、彼が心の病で入院していたとという話を聞き、病室を巡回する際に使った隠し通路を探り当てたことを知る。

ジョセフは、レオニードが通路から脱出してヨーロッパに逃げたことをビルに話す。

その話を、階段でインディゴが聞いていた。

ビルが去った後で警察に電話をしようとしたジョセフは、何者かに殴られて意識を失う。

リリーベスを口説くビルは、訪ねて来た知人の記者のテリー・リー(ダグラス・フォーリー)を見て驚く。

連れのジェーン・コーネル(ジョイス・コンプトン)と共に家に入ったテリーは、ビルに彼女を紹介する。

テリーにかつての失態を冷やかされたビルは、殺人事件について訊かれ、この家から警察に電話があったことを知る。

ジェーンが電話の交換手だったためにそれを知ったと言うテリーは、途中で電話が切れたことで怪しいと思ったとビルに伝える。

ビルと共に診察室に入ったテリーは、電話線が切れていることを確認し、ジョセフが診察台で意識を失っていることに気づく。

意識が戻ったジョセフは、ビルからテリーとジェーンを紹介され、事件が起きたので来たと言う彼らに、転んだだけだと伝える。

テリーから、自分で起き上がり診察台に寝て布をかけたと思うかと言われたジョセフは、仕方なく調べることを許可する。

居間でビルとジェーンと共に話を始めたテリーは、ローレット・ラ・ヴァッレというクラブ歌手が、ウォードと勢いで結婚してしまったことを知り、彼女がヴァン・イー家で歓迎されていない理由を考える。

そこにレオニードが現れ、テリーは、子供時代に奇術を見たことがあると伝える。

テリーが記者だと知ったレオニードは顔色を変えて、過去の秘密を探ろうとする彼を警戒する。

現れたローラから、幽閉されていると言われたテリーは、精神的に追い込み、恐ろしい過去があると信じ込ませようとしていると考える彼女の話を聞く。

ジョセフと共に現れたウォードは、記者のテリーを牽制する。

ローラは今のところ正常だと言うジョセフは、このまま思いつめれば危険な状態になるとテリーに伝える。

ローラは、いつものように自分を追い詰めるジョセフを非難し、テリーはこの件を記事にすると伝える。

そこに現れたリリーベスは、ローラに目隠しをしようとするが、それを拒まれて意識を失う。

ジョセフはリリーベスの死を確認し、ローラは叫び声をあげて気絶する。

ローラを寝室で休ませたジョセフは、鎮静剤を打とうとする。

ウォードは、口封じだと言うテリーと話をしようとする。

テリーが本当の記者だということを確認したウォードは、ローラを閉じ込めるどころか、出て行ってほしいと思っていると伝えるものの信じてもらえない。

ローラが、追い詰められているのか悪女かが判断できないテリーは、外にいたレオニードに気づく。

リリーベスの元に向かったテリーとウォードは、その場にいたレオニードが、彼女に術をかけたことを疑う。

かつての借りを返してもらっていると言うレオニードは、ジェーンの身を心配するべきだとテリーに伝える。

2階で銃声がしたために、テリーとウォードはその場に向かう。

縛られているビルを助けたテリーとウォードは部屋に入り、マスクを被せられたジェーンがベッドに横たわっていることに気づく。

ウォードは姿を消したローラを捜し、テリーは、目覚めたジェーンから、ローラを見張っていたという話を聞く。

テリーは、部屋の外にいたビルから話を聞き、香水の匂いがしたことなどを知る。

レオニードは、本棚の裏に隠された秘密の通路を通り、リリーベスを運び出す。

テリーとビルは壁の仕掛けなどを探し、玄関のドアが自然に開いたために、警戒しながら事件のことを話す。

ビルは、リリーベスが見つけたマスクを被った二人組の写真のことをテリーに話す。

玄関に現れたリリーベスに気づいたビルは、外にいた男を捕まえようとする。

外で倒れていたジョセフが家に戻り、リリーベスを診察室に運ぶようビルに指示する。

テリーからローラもいないことを知らされたジョセフは、ビルが運んだリリーベスは無事で、深い睡眠状態だと2人に伝える。

ジョセフは、リリーベスに指示を与えるために、誰かが催眠術をかけたと考える。

居間のソファでうたた寝をしていたジェーンは、中を覗く緑のマスクを見たような気がする。

現れたレオニードは、リリーベスの催眠術を解いてほしいと言われ、彼女を操ろうとしている者の怒りを買うことになるために、それを拒む。

テリーから、この家に戻った理由を訊かれたレオニードは、それを不快に思う。

ローラに鎮静剤を打ったジョセフが、彼女の失踪に関係していると思うテリーは、ビルに指示してそれを聞き出そうとする。

ビルからリリーベスを先に助けてほしいと言われたジョセフは、彼女が誰かに操られていると考える。

リリーベスに対するビルの愛を知ったレオニードは、彼女の催眠術を解くために頬を叩く。

目覚めたリリーベスは、憤慨してビルを殴り、テリーから何があったか訊かれ、香水の匂いがしたことを話す。

そこにジェーンが現れ、緑のマスクを居間とローラの部屋で見たので、彼女が銃を発砲したのだろうとテリーに伝えて、詳しい話をしようとする。

ジョセフからその時にいた場所を訊かれたテリーは、ウォードといたと答え、現れた彼と口論になる。

その時、部屋の照明が消えて、皆は、催眠状態のローラが居間にいることに気づき、事件の真相を語る何者かの声を聴く。

パリで人気のローレットとレネはスターだった。

ローレットは、真実を見るために目隠しし、レオニードは、それがレネの仕業だと考える。

ローラは、パートナーの男をスパイだと思う者がいて、調査に協力すれば100万フランを払うと言われたことを話す。

協力して男は殺され、ローラが売ったのは夫で、銃殺される彼に最後に贈ったのは、自分が目隠ししているような緑のスカーフだった。

自分が憎んでいたと分からせるためだと言うローラは、夫が自分を支配しようとしたのが、彼を裏切った理由だと伝える。

アメリカに渡るものの、男が生きていたと知ったと言われたローラは、目隠しを外し、穴が開いていることと血を確認する。

戻って来たと言われたローラは、緑のマスクを見て驚き意識を失う。

ジョセフとウォードは、ローラの死を確認する。

庭に隠れていたウィリアム夫人を見つけたビルは、それが女装した男だと気づく。

レオニードは、何もしていないと言うその男レネ(リー・ベネット)が、元助手だったことをテリーに話し、催眠術を教えたと伝える。

レネは独立後に成功したと言うレオニードは、強制収容所でも彼と再会したと皆に話す。

その後テリーは、ジェーンとビルと共に遺体安置所に向かう。

ジェーンを外で待たせたテリーは、スパイ容疑で捕まった夫が、復讐して妻を殺した事件の記事を病理学者に見せる。

死因がようやくわかったと言う病理学者は、恐怖で死んだのだろうとテリーとビルに伝える。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
開業医のジョセフ・ヴァン・イー(ジョージ・ザッコ)は、息子ウォードと共に、彼の妻ローラに離婚を迫っていた。
恐怖に怯え精神的に不安定なローラは、部屋に閉じこもっていた。
いとこのレオニード教授が訪ねて来たため、ジョセフは、過去がある彼を歓迎できなかったものの、数日、宿泊することを許可する。
その後、怪事件が度々起こるために、ジョセフらは、かつて精神を患っていたレオニードを疑うのだが・・・。
__________

サイレント時代から、脚本家、俳優としても活躍していたクリスティ・キャバンヌの監督作品。

怪奇スターのベラ・ルゴシが晩年に主演したスリラー映画で、カラー作品であることに注目したい。

死体安置所のヒロインの死因が、物語の進行と共に明らかになっていくという設定が、なかなか興味深い。

脚本や演出に粗さが目立つ、B級作品的な面はあるが、謎多き人物として登場するベラ・ルゴシの雰囲気ある演技や、復讐が絡む殺人事件が展開する内容はまずまず楽しめる。

主人公のいとこである開業医のジョージ・ザッコ、家の警護のために彼に雇われる、やや間抜けな探偵ナット・ペンドルトン、冒頭で遺体で登場する、義父と夫(ローランド・ヴァーノ)に離婚を迫られる、恐怖に怯えるヒロイン役のモリー・ラモント、事件を調べようとする記者ダグラス・フォーリー、その恋人ジョイス・コンプトン、家のメイド役グラディス・ブレイク、主人公の付き人アンジェロ・ロシット、裏切られた元妻への復讐を果たすリー・ベネット、病理学者のスタンリー・アンドリューズ、検死科医のスタンレー・プライスなどが共演している。


モバイルバージョンを終了