貧しい家庭で育ち大富豪の妻となった実在の人物バーバラ・デイリー・ベークランドの苦悩と愛憎を描く、主演ジュリアン・ムーア、スティーヴン・ディレイン、エディ・レッドメイン、ヒュー・ダンシー他共演、監督トム・ケイリンによるドラマ。 |
・ドラマ
・ジュリアン・ムーア / Julianne Moore / Pinterest
・エディ・レッドメイン / Eddie Redmayne / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:トム・ケイリン
製作
クリスティーン・ヴァション
イケル・モンフォルト他
製作総指揮
ジョン・ウェルズ
テンプル・フェネル他
原作
”Savage Grace”
ナタリー・ロビンス
スティーヴン・M・L・アロンソン
脚本:ハワード・A・ロッドマン
撮影:フアン・ミゲル・アスピロス
編集
ジョン・F・ライオンズ
トム・ケイリン
エナラ・ゴイコチェア
音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演
バーバラ・デイリー・ベークランド:ジュリアン・ムーア
ブルックス・ベークランド:スティーヴン・ディレイン
アントニー・ベークランド:エディ・レッドメイン
ブランカ:エレナ・アナヤ
ブラック・ジェイク・マルティネス:ウナクス・ウガルデ
ピラール・デュラン:ベレン・ルエダ
サム・グリーン:ヒュー・ダンシー
フランス/スパイン/アメリカ 映画
配給 IFC Films
2007年製作 97分
公開
フランス:2007年5月18日
スパイン:2008年1月25日
北米:2008年5月28日
日本:2008年6月7日
製作費 $4,600,000
北米興行収入 $434,420
世界 $1,432,800
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
貧しい家庭で育ち、そこから抜け出すことを願っていたバーバラ・デイリー(ジュリアン・ムーア)は、大富豪のブルックス・ベークランド(スティーヴン・ディレイン)と結婚する。
天性の社交家であったバーバラは、直ぐに上流階級に馴染み、美しい容姿と温和な性格で人々の注目を集める存在となる。
待望の息子アンソニーも生まれたバーバラは、思うがままに人生を楽しむ。
1959年、パリ。
溺愛するアンソニーとの日々を楽しんでいたバーバラは、友人のピラール・デュラン(ベレン・ルエダ)を家に招待するが、彼女が連れてきた男性達に侮辱されて憤慨する。
ピラールらは帰り、ブルックスも出て行くと言って屋敷を去る。 ホテルのブルックスの部屋に向かったバーバラは、夫と激しく愛し合う。 翌朝、屋敷に戻ったバーバラとブルックスは、アントニーが女友達と一夜を過ごしたことを知り驚く。 1967年、スペイン、カダケス。 両親に、ブランカの家柄を詮索されるアントニーは、うんざりして席を外す。 ブランカも連れて家族と共に行動したアントニーは、ブランカが、父ブルックスと話す姿をバーバラと共に気にする。 家にに戻ったアントニーはブランカと愛し合うが、彼女がブルックスのものになると考える。 1968年、マジョルカ島。 タクシーの運転手を誘い愛し合ったバーバラは、彼に口止め料を払って別れ、惨めさから涙してしまう。 アントニーはゲイのジェイクと過ごしていたが、現れたバーバラから、サム・グリーン(ヒュー・ダンシー)を空港に迎えに行った際、ブルックスとブランカに出くわしたことを知らされる。 バーバラの相談相手である同性愛者のサムは、バーバラの生活感を変える方法を考える。 ブルックスを理解するのは諦めたと言うバーバラに、アントニーは愛を伝える。 バーバラのことでサムに感謝したアントニーは、自分自身を大切にするよう助言する彼と愛し合う。 二人が愛し合ったことを良く思わないバーバラは、アントニーの人生は自分で決めさせるべきだと言うサムを非難する。 ブルックスに手紙を書いたアントニーは、バーバラが不幸であり、戻ってきてほしいことを伝える。 手紙をブルックスの家の庭に隠したアントニーは、それを父とブランカに見つかってしまい、その場から逃げ去る。 アントニーは、バーバラのために生まれ変わる決心をする。 バーバラとサムが眠っているベッドに入ったアントニーは、目覚めた二人と愛し合う。 その後、サムは二人の元を去り、座薬の睡眠薬を使用していたバーバラは、手首を切って自殺未遂を図る。 バーバラはアントニーに発見されて病院に運ばれ、ピラールが彼女を見舞う。 アントニーに会ったピラールはブルックスのことを聞かれ、父に嫌われていると言われる。 ピラールは、ブルックスが全ての人間を嫌っていると伝える。 ブランカをアントニーから奪ったと言ってブルックスを憎んでいるバーバラだったが、父は自分ではなく母を傷つけたとアントニーは考える。 それでもアントニーは、ブルックスが戻ることを望んだ。 そんなアントニーは、亡くなった愛犬ジオットの首輪がみつからないことを気にしていた。 1972年11月17日、ロンドン。 それについて明確に答えないバーバラは、アントニーと求め合ってしまう。 その後も首輪を気にするアントニーは、可愛がっていたジオットが死んでも、大切な首輪だけは取っておいたと興奮しながら声を荒げ、バーバラにそれを捜すよう指示する。 食器棚の中にあった首輪を見つけたアントニーは、バーバラが隠したと言って責める。 自分が置き忘れたのだろうとバーバラに言われたアントニーは、意味不明な話をし始め、その場にあったナイフで彼女を刺してしまう。 救急車を呼ぶと言ってその場を離れたアントニーは、中華料理の宅配を頼み、死亡したバーバラに寄り添う。 届いた料理をバーバラの死体の横で食べていたアントニーは、現れた警官に連行される。 バーバラのミサが行われるため、その通知をあいとうとするブルックスは、知人らに手紙を書く。 アントニー・ベークランドは、統合失調症の状態で殺人を犯し有罪となり、精神医療刑務所に収容された。 1980年に釈放されてアメリカに戻ったアントニーは、バーバラの母親ニニ・デイリーに引き取られた。 しかし、アントニーは、1週間もたたない内に、口論の末にニニを刺し、彼女は病院に運ばれて一命を取り留めた。 アントニーは逮捕されて、ニューヨークのライカーズ島の刑務所に送られた。 1981年、アントニーは、ビニール袋を頭からかぶり自ら命を絶った。
...全てを見る(結末あり)
成長したアントニー(エディ・レッドメイン)は、友人のブラック・ジェイク・マルティネス(ウナクス・ウガルデ)らと毎日、海岸で過ごし、美しいブランカ(エレナ・アナヤ)と知り合う。
空港で人を待っていたバーバラは、ブルックスがブランカと一緒にいることに気づき、二人を痛烈に非難してその場を去る。
以前からジオットの首輪を捜していたアントニーは、それをどこに置いたかをバーバラに尋ねる。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
貧しい家庭で育ち、そこから抜け出すことを願っていたバーバラ・デイリーは、大富豪のブルックス・ベークランドと結婚して、上流階級の仲間入りをする夢を叶える。
息子アントニーも生まれ、思うがままの日々を送り楽しむバーバラだったが、ブルックスの関係は悪化する。
パリに移り住み、成長した息子アントニーと共に平穏な毎日を過ごしていたバーバラだったが、ブルックスとの関係は改善しなかったた。
その後、一家はスペインで暮らし、バーバラは成人したアントニーが上流志向の自分を嫌うことを気にし、ブルックスは息子の恋人を奪い、やがて家族は崩壊しかける・・・。
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ナタリー・ロビンスとスティーヴン・M・L・アロンソンの著書”Savage Grace”を基に製作された作品。
実際に起きた忌まわしい殺人事件に向けて進行する物語は、事件までの複雑な家庭環境と、異常とも思える人間関係が描かれる異色のドラマに仕上がっている。
主人公は母親なのだが、殺人者となる息子の人生も重点に描かれている。
生まれたばかりの天使のような息子が、純情な少年に成長し、そして成人して異常者から殺人犯にまでなるという、恐ろしい人物像が描かれている内容も興味深い。
ドラマの主人公であるバーバラ・デイリー・ベークランドを演ずるジュリアン・ムーアは、ハリウッドを代表する演技派だけあり、喜怒哀楽を変幻自在に演ずる見事な演技を見せてくれる。
複雑な家庭環境の影響で異常者とも言える人物に変貌し、その内面の表現力も素晴らしい、主人公の息子役を演ずるエディ・レッドメインの演技にも注目したい。
主人公の夫スティーヴン・ディレイン、彼と愛人関係になる息子アントニーの恋人エレナ・アナヤ、アントニーの友人ウナクス・ウガルデ、主人公の友人ベレン・ルエダ、主人公の相談相手ヒュー・ダンシーなどが共演している。