ダンスが人生の全てと考える青年が年上のパートナーと出会い様々な体験をしながら成長していく姿を描く、監督ジョン・バダム、本作により大スターになるきっかけを掴んだジョン・トラボルタ主演、カレン・リン・ゴーニイ他共演による、世界中にディスコ・ブームを巻き起こした大ヒット作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・バダム
製作:ロバート・スティグウッド
原作:ニック・コーン”Tribal Rites of the New Saturday Night”
脚本:ノーマン・ウェクスラー
撮影:ラルフ・D・ボード
編集:デイヴィッド・ローリンズ
音楽
ビー・ジーズ
デヴィッド・シャイア
出演
アンソニー”トニー”マネロ:ジョン・トラボルタ
ステファニー・マンガーノ:カレン・リン・ゴーニイ
ボビーC:バリー・ミラー
ダブルJ:ポール・ベイブ
ジョーイ:ジョセフ・カリ
ガス:ブルース・オーンスタイン
アネット:ドナ・ペスコウ
フロー・マネロ:ジュリー・ボヴァッソ
フランク・マネロSr.:ヴァル・ビソリオ
フランク・マネロJr.:マーティン・シャカー
リンダ・マネロ:リサ・ペルソ
ダン・フスコ:サム・コッポラ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1977年製作 112分
公開
北米:1977年12月14日
日本:1978年7月22日
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $121,060,575
世界 $237,113,184
■ アカデミー賞 ■
第50回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優賞(ジョン・トラボルタ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、ブルックリン、ベイ・リッジ。
金物店のペンキ担当として働く19歳のイタリア系アメリカ人アンソニー”トニー”マネロ(ジョン・トラボルタ)は、父フランク(ヴァル・ビソリオ)と母フロー(ジュリー・ボヴァッソ)、妹リンダ(リサ・ペルソ)そして祖母と暮らしていた。
トニーの兄は神父になり、それが家族の唯一の自慢ではあったが、失業中の父フランクと母は言い争いばかりしていた。
地元では”キング・オブ・ザ・ダンス・フロア”と呼ばれるトニーは、友人のボビーC(バリー・ミラー)、ダブルJ(ポール・ベイブ)、ジョーイ(ジョセフ・カリ)、ガス(ブルース・オーンスタイン)らと共に、働いた金を週末ディスコで使い果たす生活を続けていた。
土曜の夜、仲間達とクラブに向かったトニーは、自分に気のあるアネット(ドナ・ペスコウ)と軽く踊る。 その後、自分のファンだという女性と踊ろうとしたトニーは、冴えない曲だと言ってDJに注文を付ける。 ところが、フロアで踊るステファニー・マンガーノ(カレン・リン・ゴーニイ)の見事なステップを見たトニーは、年上の彼女に惹かれてしまう。 アネットは、次のコンテストで組むことをトニーに提案し、ダンス以上の関係はなしという条件でそれに同意する。 その後もダンスを楽しんだトニーは、朝まで踊り明かす。 週が明け、金物店の主人ダン・フスコ(サム・コッポラ)は、トニーがペンキ職人に引き抜かれそうになったため4ドル昇給することを彼に告げる。 トニーは、わずかな金額ではあるが自分が認められたことで喜ぶ。 しかし、父フランクにその金額が低いと批判されたためトニーは苛立つ。 ダンス・スタジオでアネットとレッスンをしたトニーは、その場にステファニーがいることに気づく。 レッスンを終えてアネットを帰したトニーは、ステファニーに声をかけるものの、相手にされないため気分を害しその場を去る。 帰宅したトニーは、神妙な表情の両親から兄フランクが戻ったことを知らされる。 フランクの帰りを喜ぶトニーは、兄が聖職から離れたことを知り驚く。 両親の意向で信仰を持てないまま聖職に就いたフランクは、悩んだ末の決断だった。 自分だけが落ちこぼれだと考えていたトニーは、気分を良くしてダンス・スタジオのステファニーの元に向かう。 トニーはコンテストで組むことをステファニーに提案し、話をすることになり二人はカフェに向かう。 しかし、マンハッタンで働く洗練されたステファニーと、知識もなく視野も狭い子供のようなトニーの話は噛み合わない。 とりあえずダンスのパートナーにはなるというステファニーから、単なる店員で週末に金を使い果たし、両親と暮らす生活に価値があるのか問われたトニーは苛立つ。 ダンスは今だけで、何かを見つけるというトニーに興味も持てないステファニーは、割り切って付き合おうとする。 ステファニーと別れたトニーは、ガスがプエルトリコ人に襲われたと仲間達から聞き復讐を考えるが、その夜は諦める。 帰宅したトニーは家族と共に食事をするが、兄フランクが帰ってこないため、それが自分のせいだと両親から責められる。 憤慨したトニーは母フローを侮辱してしまい、失言したことを彼女に謝罪する。 スタジオに向かったトニーは、入り口で待っていたアネットに別のパートナーと組むことを伝える。 トニーは現れたステファニーとレッスンを始め、徐々に自分を理解していることを感じる。 クラブに兄フランクを連れていったトニーは、フロアに向かい、注目を浴びながら踊る。 トニーの見事なダンスに感心したフランクは、ボビーCから恋人が妊娠したことで相談を受ける。 ローマ法王は堕胎を許すかと質問されたフランクは、それは無理だとボビーCに答える。 ステファニーが現れないことを気にするトニーは、帰るというフランクから見事なダンスについて褒めてもらう。 現れたアネットが仲間の誰かと寝ると言い出したため、トニーは仕方なく車の中で彼女と愛し合う。 しかし、アネットが避妊していないことを知ったトニーは行為を止め、仲間達と共に”ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ”に向かう。 トニーらは、そこから飛び降りたように見せかけてアネットを驚かせる。 翌日トニーは、旅立つという兄フランクを見送り、正しいと思ったことをするようにと助言をされる。 部屋には記念品だというフランクの”ローマンカラー”が残されていた。 その夜、ステファニーとスタジオでレッスンをしたトニーは、迎えに来た仲間達と彼女と共にバーガー・ショップに向かう。 ボビーCから恋人について相談されたステファニーは、頼りない彼が相手であることを確認し、即中絶すべきだと伝える。 仕事を早退させてもらえないことで店主フスコに意見したトニーはクビになってしまい、車を借りるボビーCから結婚の相談をされ、電話することを約束する。 マンハッタンに引っ越すステファニーの荷物を運んだトニーは、家を譲り受ける住人と彼女がかつて付き合っていたことを知る。 その関係を追及されたステファニーは、今の自分を援助してくれた恩人だと説明してもトニーが聞き入れないため泣き出してしまう。 トニーは後悔してステファニーに謝罪し、ブルックリンに戻り”ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ”を眺めながら橋についてを語り、二人は心を通わせる。 フスコに退職金を払ってもらおうとしたトニーは、解雇を撤回されて喜ぶ。 スタジオに向かったトニーは、ステファニーがマネージャーと踊っていたために憤慨してその場を去り、避妊具を手にして現れたアネットに飽きれてしまう。 その後トニーは、仲間達と共にプエルトリコ人の溜まり場に車で突っ込みガスが痛めつけられたことの仕返しをする。 大乱闘の末に入院しているガスの元に向かったトニーらは、相手を間違えた可能性があると言われたため彼を責める。 その後トニーらはクラブに向かい、いよいよコンテストが始まる。 そして、トニーとステファニーはフロアに上がり、息の合ったダンスで、その場の者達を魅了する。 ところが、直後に登場したプエルトリコ人カップルが、他を圧倒するダンスを披露する。 トニーは勝てる自信がなくなるものの、優勝者として発表されたため顔をしかめる。 プエルトリコに対する差別だと言って納得いかないトニーは、自分達より実力は上だとそのカップルに伝え、トロフィーと賞金を渡してしまう。 仲間達や地域全体の意識を批判するトニーは、ステファニーを車に乗せて強引に迫る。 ステファニーはそれを拒み、車を降りてその場を去る。 アネットが自分への腹いせで仲間達と楽しもうとしたため、トニーはそれを制止しようとする。 トニーはアネットを捨てたと言われ、諦めて彼女が車の中でジョーイらと愛し合っても黙っている。 ”ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ”。 本意ではなかったアネットは動揺して車を離れ、トニーが言い過ぎたと謝罪する。 ボビーCがワイヤーにしがみついて上り始め、トニーらが説得する。 悩む自分の話を聞いてくれなかったと言って取り乱すボビーCは、橋から落下してしまう。 警察が駆けつけ、トニーはボビーCの自殺とも言えると答えてその場を離れる。 トニーは、仲間達を残してマンハッタンに向かい、ステファニーの家を訪ねる。 ステファニーに昨晩のことをドア越しに謝罪したトニーは、話をしたいことを伝えて中に入れてもらう。 トニーは、家を出て自立し仲間達とも別れ新しい仕事を見つけると語る。 ステファニーは、レッスンの相手として利用していたと言ったことは本意ではなく、一緒にいると癒される、頼れる存在であることをトニーに伝える。 自分もこの街で暮らすとしたら、友人として会ってもらえるかと尋ねたトニーは、男女の関係がそのままでいられるかをステファニーに問われる。 努力すると答えるトニーに、友達になると伝えたステファニーは、彼の手を握りしめる。 そして、ステファニーはトニーに寄り添い、二人は抱き合う。
...全てを見る(結末あり)
その場でふざけ始めたジョーイとダブルJを見ながら、トニーはアネットの行為を非難する。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、ブルックリン、ベイ・リッジ。
金物店のペンキ担当として働く19歳のイタリア系アメリカ人アンソニー”トニー”マネロは、週末のダンスが全てと考える夢もない青年だった。
地元では”キング・オブ・ザ・ダンス・フロア”と呼ばれるトニーは、クラブで華麗なステップを踏む年上の女性ステファニーに惹かれる。
ステファニーを説得しダンス・コンテストのパートナーになる承諾を得たトニーだったが、知識もなく視野も狭い子供のような彼とマンハッタンで働く洗練されたステファニーとでは話がかみ合わない・・・
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1976年、イギリスのロック・ジャーナリスト、ニック・コーンの雑誌”New York”に掲載された記事”Tribal Rites of the New Saturday Night”を基に製作された作品。
本作の公開時を知っている方なら理解できると思うが、何と表現していいか・・・一躍スターとなった23歳のジョン・トラボルタの登場、どこに行っても流れていたビー・ジーズの曲、世界中に吹き荒れたディスコ・ブーム、そして”フィーバー”と言う言葉と共に社会現象にまでなった作品。
当時は、イメージ的に”激しさ”が印象に残る作品だったのだが、今観ると、そのダンス・スタイルなども”穏やか”に思えて、時代の移り変わりを感じる。
派手なパフォーマンスのダンス映画ではなく、将来に夢もない青年が成長するきっかけを掴むまでをしっとりと描く、ジョン・バダムの卒のない演出を重点に観ると実に味わい深い内容でもある。
シルヴェスター・スタローンが製作、監督、脚本を担当した続編「ステイン・アライブ」(1983)は、プロ・ダンサーのシンシア・ローズなどをジョン・トラボルタの共演者に起用するものの失敗作に終わった。
2010年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第50回アカデミー賞では、ジョン・トラボルタが主演男優賞にノミネートされた。
300万ドルで製作された本作は、北米で約1億2100万ドル、全世界では約2億3700万ドルという、ジョン・トラボルタの次回作「グリース」(1978)の約3億9500万ドル(世界)と共に1970年代を代表するヒット作となった。
若くて魅力的なジョン・トラボルタなのだが、ダンスの才能以外は平均以下という平凡な役柄がいい。
悪ガキ風のイタリア系青年を演ずる彼だが、数年後に来日した際のインタビューで、非常に好感度の高い人物だったことを記憶している。
こちらもそれほど派手さはないヒロインのカレン・リン・ゴーニイ、主人公の友人達、バリー・ミラー、ポール・ベイブ、ジョセフ・カリ、ブルース・オーンスタイン、主人公に惹かれるドナ・ペスコウ、主人公の両親ジュリー・ボヴァッソ、ヴァル・ビソリオ、兄マーティン・シャカー、妹リサ・ペルソ、金物店店主サム・コッポラ、そしてその店の客役でジョン・トラボルタの実母ヘレンが出演している。