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サラトガ本線 Saratoga Trunk (1945)

1941年に発表された、エドナ・ファーバーのベストセラー小説”Saratoga Trunk”を基に製作された作品。
テキサスのギャンブラーと一族への恨みを果たそうとする女性の恋を描く、製作ハル・B・ウォリス、監督サム・ウッド、主演ゲーリー・クーパーイングリッド・バーグマンフローラ・ロブソン他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

イングリッド・バーグマン / Ingrid Bergman / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:サム・ウッド

製作:ハル・B・ウォリス
原作:エドナ・ファーバーSaratoga Trunk
脚本:ケイシー・ロビンソン
撮影:アーネスト・ホーラー
編集:ラルフ・ドーソン
音楽:マックス・スタイナー

出演
クリント・マルーン:ゲーリー・クーパー
クリオ・デュレイン:イングリッド・バーグマン
アンジェリク:フローラ・ロブソン
キュピドン:ジェリー・オースティン
バーソロミュー・ヴァン・スティード:ジョン・ウォーバートン
ソフィー・ベロップ:フローレンス・ベイツ
オーガスティン・ホッシー:クルト・ボウワ
ロスコー・ビーン:ジョン・アボット
クラリッサ・ヴァン・スティード:エセル・グリフィス
レイモンド・スール:ルイス・ペイン
ホテルのメイド:リリアン・ヤーボ

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1945年製作 135分
公開
北米:1945年11月21日
日本:1950年3月1日
製作費 $1,750,000
北米興行収入 $5,148,000
世界 $7,801,000


アカデミー賞
第19回アカデミー賞

・ノミネート
助演女優賞(フローラ・ロブソン


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1875年、ニューオリンズ、ランパート通り。
フランス人貴族の父と愛人の間に生まれた”クレオール”クリオ・デュレイン(イングリッド・バーグマン)は、混血の使用人のアンジェリク(フローラ・ロブソン)と小人のキュピドン(ジェリー・オースティン)と共に、亡き母の屋敷に到着する。

荒れ果てた部屋の中を確認したクリオは、虐待されて自殺を考えた母が、誤って父を射殺してしまった時の血痕を見つける。

クリオは、両親を苦しめた親戚の貴族たちへの復讐と、母の名誉を回復させることを誓う。

そのために資金が必要なクリオは、金持ちの男性を探そうとする。

屋敷の修復と掃除を済ませたクリオは、日曜日の朝、アンジェリクとキュピドンを伴い街に出て、シャンフレ伯爵夫人を名乗り注目を集める。

市場でジャンバラヤを食べたクリオは、その場にいた、ステットソンを被る長身のテキサス人クリント・マルーン(ゲーリー・クーパー)が自分を見つめていることに気づき、彼に惹かれてしまう。
...全てを見る(結末あり)

その場を去ろうとしたクリオはクリントに話しかけられ、馬車で送ると言われて喜ぶ。

それを良く思わないアンジェリクは、キュピドンにクリントの邪魔をさせて、その間にクリオを馬車に乗せて教会に向かう。

その後、レストランに向かったクリオは、デュレイン家の予約席に親戚だと言って座ってしまう。

そこに、クリオの異母妹たちが現れ、彼女らはクリオに気づき帰ってしまう。

クリントも現れたために気にするクリオは、フランス語のメニューが読めずに困っている彼を席に呼ぶ。

呆れたアンジェリクは席を立ち、クリオは彼女とキュピドンを追い払い、クリントとの食事を楽しむ。

馬車でクリオを送ったクリントは、彼女が自分を誘ったと思い失言してしまう。

気分を害したクリオは、アンジェリクとキュピドンと共に屋敷に向かい、門を閉めてしまう。

その後アンジェリクは、毎日のように屋敷に姿を現すクリントが気になり、クリオへの彼の手紙を見つける。

読み書きができないアンジェリクは、それをキュピドンに読んでもらい、クリントがクリオに惹かれていることを知る。

アンジェリクと共に日曜の教会のミサに向かったクリオは、現れたクリントを屋敷に招待する。

クリオと屋敷で暮らし始めたクリントは、強情な彼女に梃子摺る時もある。

クリントは、この地は好きでないと言いながら、クリオに北に向かう考えを話し、サラトガに行くつもりだったために彼女を誘う。

クリントは、父と本妻の娘シャルロットのスキャンダルをクリオが暴こうとしていることを知り、自分を利用するつもりだと気づく。

その後、自分を無視するアンジェリクと話をしたクリントは、クリオを幸せにするために、キュピドンと3人で協力し合うことを提案し、それを彼女に約束する。

ギャンブラーのクリントと行動を共にして街中で注目されるクリオは、デュレイン家の前を何度も通り刺激する。

オペラ観賞のため劇場の桟敷席に着いたシャルロットらは、クリオに気づき退席する。

その後もデュレイン家への復讐に執着するクリオは、付き合いきれないと言って憤慨するクリントから家族の話を聞く。

クリントは、両親がテキサスで開拓した土地を鉄道会社にだまし取られたと話す。

復讐するべきだと言って興奮するクリオを落ち着かせたクリントは、北に向かうことを彼女に伝える。

クリオはクリントに誘われるものの、大金を手に入れるまではこの地を離れる気になれず、彼は去って行く。

クリントは馬車に隠れていたキュピドンに気づき、クリオの世話を知ろと言って彼を追い返す。

その後クリオは、デュレイン家の弁護士オーガスティン・ホッシー(クルト・ボウワ)を迎えて、ニューオリンズを去り二度と戻らないことなどを条件に、1万ドルを支払うことで同意する。

クリオは、屋敷を買い取ったことにして解体し、家具も捨てて、母を埋葬することをホッシーに伝える。

クリオに惹かれたホッシーは、彼女の今後が気になり、美しいと伝えてその場を去る。

屋敷の片づけを始めたクリオは、クリントからの手紙を受け取り、それには、富豪の御曹司バーソロミュー・ヴァン・スティード(ジョン・ウォーバートン)を紹介したいと書かれていた。

母の立派な墓が完成し、花を手向けたクリオは祈りを捧げる。

サラトガ
電報を受け取ったバーソロミューは、母の到着を待っていた。

電報を打ったのは列車で到着したクリオで、彼女は街に向かう方法がないフリをして、バーソロミューの気を引く。

バーソロミューに声をかけられたクリオは、彼の馬車で街に送ってもらうことになる。

ホテルに着いたクリオは人々の注目を集め、シャンフレ伯爵夫人と名乗りチェックインしようとする。

名士であるバーソロミューが口添えしてスイートルームを用意させようとするが、支配人のロスコー・ビーン(ジョン・アボット)は、突然の到着だったために戸惑ってしまう。

明日なら部屋を用意できると言われたクリオは、その場で話を聞いていたクリントから声をかけられる。

初対面のフリをするクリオは、バーソロミューからクリントを紹介される。

クリントは、自分が3部屋を借りているので、部屋を提供することをクリオに伝える。

バーソロミューに感謝したクリオは、アンジェリクとキュピドンを伴い、ビーンと共に部屋に向かう。

社交界の大物ソフィー・ベロップ(フローレンス・ベイツ)はバーソロミューと話し、母親の代わりに魅力的な女性を迎えに行ったと言って彼をからかう。

クリオらを部屋に案内したビーンは、クリントとの続き部屋のドアの鍵をかけ、隣りからも鍵がかけられることを彼女に伝える。

ビーンは去り、クリントに合図をしたクリオは、部屋に入ってきた彼と話し、バーソロミューに送ってもらった理由を訊かれる。

バーソロミューの母に扮して電報を打ち、駅に迎えに来させたと答えたクリオは、アンジェリクから休息するようにと言われ、嫉妬するクリントをからかう。

クリオに桃を買いに行くよう指示されたキュピドンは、ソフィーから声をかけられ、彼女のことを探る。

クリントからバーソロミューの話を聞いたクリオは、彼が”サラトガ本線”という鉄道線を所有し、それが大変な財産になることを知る。

無煙炭の採掘地を結ぶ鉄道線なのだが、レイモンド・スール(ルイス・ペイン)という男が妨害して、バーソロミューから鉄道を安く買いたたく気だと、クリントはクリオに話す。

バーソロミューから届いた花を受け取ったクリオは、桃を浸したシャンペンを飲み気分を良くして眠ってしまう。

アンジェリクは、パリでもよくあった症状で、クリオは1日か2日眠ってしまうことをクリントに伝える。

その後、目覚めたクリオは、アンジェリクから2日間、眠っていたと言われ、キュピドンの情報でソフィーが街の実力者だということを知る。

ソフィーと簡単な会話を交わしたクリオは、誰も近づけないというスールに話しかけてしまう。

クリオは、アンジェリクとキュピドンを伴い、ビーンが教えてくれた皇帝の泉に向かう。

泉に着いたクリオは、現れたバーソロミューの気を引き、クリントが話していたサラトガ本線の件を話題にする。

そこに現れたクリントは、自分がバーソロミューと手を組んでスールに対抗すると話すクリオを馬車に乗せる。

クリオは、バーソロミューから夕食に誘われる。

馬車を出したクリントは、余計なことを話して混乱させたクリオを批判し、自分には考えがあると伝える。

クリオから愛していると言われたクリントは迷惑に思い、バーソロミューの母親に知られたら問題になると彼に伝えるものの、クリオは気にしなかかった。

その夜、クリオと食事をしたバーソロミューは、彼女に魅了される。

クリントは、ポーカーをしながら仲間にスールに対抗する方法を話し、自分に鉄道の株を預けることを提案する。

翌日クリントは、バーソロミューの母親クラリッサ(エセル・グリフィス)が到着したことを知り、それをクリオに知らせる。

動揺するクリオだったが、問題が起きることを楽しみにしているようなクリントの鼻を明かそうとする。

バーソロミューからクラリッサを紹介されたクリオは、伯爵夫人であることを疑われる。

そこにソフィーが口を挟み、クリオに恥をかかせたいだけのクラリッサを非難し、クリオと共に立ち去る。

クリントは、その様子を興味深く見守っていた。

部屋でソフィーと話したクリオは、手助けすると言う彼女から代償を求められる。

ソフィーと牽制し合うクリオは、現れたクリントがオールバニに行くことを知る。

バーソロミューとうまくやるようにとクリオに言い残し、クリントは旅立つ。

クリオは、問題に巻き込まれた母のように苦しみたくないだけだとソフィーに話し、自分で解決すると言って、親切にしてくれたお礼に指輪を渡す。

クラリッサを好きなれないと言って協力を約束したソフィーは、クリオに指輪を返してその場を去る。

駅に着いたクリントの馬車に潜んでいたキュピドンは、彼に見つかり追い返されるものの、走り出した列車に飛び乗る。

その後クリントは、仲間たちと共に駅を襲撃して次々と奪っていく。

それに対抗するスールは反対側から列車を送り込み、気づいたクリントらは衝突前に飛び降りる。

列車は正面衝突して大破し、双方は激しい戦いとなり、クリントとキュピドンは互いを助けようとして共に負傷してしまう。

仮装舞踏会の準備をするアンジェリクは、姿を消したキュピドンがクリントと行動を共にし、仲間と駅を襲撃したという噂が流れていることをクリオに話す。

アンジェリクは、金持ちを追い回しているクリオのせいだと言って彼女を責める。

クリオは、クラリッサが自分の正体を暴こうとしていることをソフィーから知らされ、理想の結婚をしてみせると言って舞踏会に向かおうとさうる。

迎えに来たバーソロミューが、自分の鉄道であるにも拘わらず、資金提供しただけで戦わなかったことを知ったクリオは、彼を非難し臆病者呼ばわりして追い払おうとする。

気の強い女は好きだというバーソロミューはクリオにプロポーズし、金持ちを狙う魂胆は見抜いていたと伝える。

ほしいものを手に入れるだけだと言うバーソロミューは、クリオを伴い舞踏会の会場に向かう。

クリントとキュピドンのことが話題になったクリオは、2人のことを気にする。

そこに、キュピドンを抱きかかえたクリントが現れる。

クリオはクリントに抱きつき、意識を失った彼を介抱する。

キュピドンはベッドに寝かせられ、付き添うアンジェリクにクリントの容態を聞き、意識を失っていることを知る。

意識が戻ったクリントは、クリオが涙しながら自分のために刺繡をしていることに気づき、他の女性の夢を見ているフリをする。

自分は変わったと言うクリオは、金持ちとの結婚は諦めてあなたと暮らすと泣きながら話し、彼に謝罪する。

自分に従うと言うクリオに、それが知りたかったと伝えたクリントは、からかわれていたと気づいた彼女を抱きしめる。

鍵穴から2人の様子を覗いていたキュピドンは喜ぶが、アンジェリクにベッドに戻される。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
1875年、ニューオリンズ
フランス人貴族の父と愛人の間に生まれた”クレオール”クリオ・デュレインは、使用人のアンジェリクとキュピドンと共に、亡き母の屋敷に到着する。
クリオは、母に酷い仕打ちをして父まで死なせた一族への復讐を誓い、必要な資金のために金持ちと結婚することを考える。
テキサス人ギャンブラーのクリント・マルーンに惹かれたクリオだったが、自分の考えを理解してもらえず、彼は北部に旅立つ。
その後クリオは、サラトガのクリントからの連絡で、自分に相応しい富豪の御曹司バーソロミューのことを知り、アンジェリクとキュピドンを伴い現地に向かうのだが・・・。
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エドナ・ファーバーのベストセラー小説”Saratoga Trunk”を基に製作された作品。

テキサスのギャンブラーと、一族への恨みを果たそうとする女性の恋を描く恋愛ドラマ。

誰が為に鐘は鳴る」(1943)の成功を受けて、監督のサム・ウッドと、ゲーリー・クーパーイングリッド・バーグマンの共演が再び実現した作品として大いに話題になった。

主人公のギャンブラーを演ずるゲーリー・クーパーの、ユーモアを交えた持ち味を活かした役柄は好感が持てるが、一族への復讐を果たそうとする、美しさは際立つイングリッド・バーグマンの、オーバーアクション気味の演技がやや気になる。

原作の面白味は伝わり、スケール感のある映像は楽しめるものの、作品自体の評価は低かった。

しかし本作は、上記のように大スターの共演作として注目され、1946年の最高のヒット作となった。
製作費 $1,750,000
北米興行収入 $5,148,000
世界 $7,801,000

第19回アカデミー賞では、ヒロインの使用人をメイクして演じたフローラ・ロブソンが、助演女優賞にノミネートされた。

主人公に協力するヒロインの使用人を愉快に演ずるジェリー・オースティン、ヒロインに惹かれる富豪の御曹司ジョン・ウォーバートン、その母親エセル・グリフィス、ヒロインに手を貸す社交界の大物フローレンス・ベイツ、ヒロインが恨む一族の顧問弁護士クルト・ボウワ、ホテルの支配人ジョン・アボット、鉄道線を奪おうとするルイス・ペイン、ホテルのメイド役リリアン・ヤーボなどが共演している。


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