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桑港 San Francisco (1936)

20世紀初頭のサンフランシスコを舞台に、クラブ経営者である街の顔役と歌手の恋愛を描きながら、歴史的な大地震に遭遇する2人の運命を描く、製作、監督W・S・ヴァン・ダイク、主演クラーク・ゲーブルジャネット・マクドナルドスペンサー・トレイシージャック・ホルト他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

クラーク・ゲーブル / Clark Gable / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:W・S・ヴァン・ダイク

製作
W・S・ヴァン・ダイク

ジョン・エマーソン
バーナード・H・ハイマン
脚本
ロバート・E・ホプキンス

アニタ・ルース
撮影:オリヴァー・T・マーシュ
編集:トム・ヘルド
音楽
ハーバート・ストサート

エドワード・ウォード
ブロニスラウ・ケイパー
ワルター・ユルマン

出演
ブラッキー・ノートン:クラーク・ゲーブル

メアリー・ブレイク:ジャネット・マクドナルド
ティム・マリン神父:スペンサー・トレイシー
ジャック・バーリー:ジャック・ホルト
メイジー・バーリー:ジェシー・ラルフ
マット:テッド・ヒーリー
トリクシー:シャーリー・ロス
ベイブ:ハロルド・ヒューバー
デラ・ベイリー:マーガレット・アーヴィング
保安官:エドガー・ケネディ
レッド・ケリー:ラッセル・シンプソン

アメリカ 映画
配給 MGM

1936年製作 115分
公開
北米:1936年6月26日
日本:1936年12月16日
製作費 $1,300,000
北米興行収入 $2,868,000


アカデミー賞 ■
第9回アカデミー賞
・受賞
録音賞
・ノミネート
作品・監督・助監督
主演男優(スペンサー・トレイシー
原案賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1905年大晦日、サンフランシスコ
クラブのオーナーでギャンブラーでもあるブラッキー・ノートン(クラーク・ゲーブル)は火事が起きたことを知る。

それが自分の店でないことを確認したブラッキーは、新年に沸く人混みをかき分けて、バーバリー・コーストのクラブ”パラダイス”に向かう。

職を求めて来た歌手のメアリー・ブレイク(ジャネット・マクドナルド)に会ったブラッキーは、彼女の声が気に入り集75ドルで雇う。

気絶してしまったメアリーは食事を与えられ、ブラッキーは、彼女の素性などを聞く。

ブラッキーに迫られそうになったメアリーは去ろうとするが、彼に引き留められる。

行き先もないメアリーは、ブラッキーからその場に泊まるように言われてそれに従う。

翌日、幼馴染のティム・マリン神父(スペンサー・トレイシー)と共にボクシング・ジムでひと汗流したブラッキーは、現れた街の名士達から、建物改革委員に立候補してほしいと頼まれる。
...全てを見る(結末あり)

クラブに向かったブラッキーは、その場いたメアリーに威圧的な態度で接し、親友でもある部下のマット(テッド・ヒーリー)に彼女と契約するよう指示する。

その夜からメアリーはステージに上がり、ブラッキーはその様子を見ながら、現れた富豪で街の実力者ジャック・バーリー(ジャック・ホルト)を席に招く。

バーリーは、委員に立候補したブラッキーに不満を訴える。

そんなバーリーは、メアリーの歌声が気に入り席に呼び、自分の”ティヴォリ劇場”でオペラ歌手になることを勧める。

ブラッキーは、メアリーを褒めるバーリーに2年の契約があることを伝え、彼女はブラッキーに恩があるためそれに従うしかなかった。

やや不満げなメアリーに、マリン神父の教会で歌うよう指示したブラッキーは、街の開発に反対するバーリーの話を聞き入れる気はなかった。

その後、マリンからの電話を受けたブラッキーは、歌を聴きに来てほしいと言われるが遠慮する。

オルガンを寄付してくれたことをブラッキーに感謝したマリンは、メアリーと聖歌隊の歌を聴きながら祈りを捧げる。

マリンはメアリーをオフィスに招き、ブラッキーのことなどを語り、悪名高きこの周辺の顔役の彼が、オルガンを贈ってくれたことなどを話す。

その能力を良い方に使うよう説得していると言うマリンは、幼い頃からの親友である自分でもそれができないことを語る。

嘘をつかず、騙しもしない、そして人を利用したりもしないブラッキーの人柄も話したマリンは、彼が善行を恥じる男であるため、オルガンの件は黙っていてほしいとメアリーに伝える。

ブラッキーが、悪の部分に勝る善の心の持ち主だとマリンは付け加える。

委員立候補の演説会で、ブラッキーは、火災条例制定のため全力を尽くすことを約束し、ヤジを飛ばすバーリーが手を回した男を殴り倒す。

ブラッキーは、惹かれていたメアリーを自分のペースに巻き込もうとする。

男と付き合ったことがないというメアリーに戸惑いながらも、ブラッキーは彼女に言い寄る。

自分の”ティヴォリ劇場”でメアリーを歌わせたいバーリーは、ブラッキーから彼女の契約を買い取ろうとする。

メアリーが同意したら無料で渡すと言うブラッキーは、彼女がそれを受けないことを確認する。

バーリーは1万ドルを提示するがブラッキーはそれを断り、同意すれば無料で渡したと聞いたメアリーは、彼の心遣いに感謝する。

メアリーはブラッキーに好意を示されるものの戸惑ってしまい、それを受け入れるというはっきりした答えを返せない。

ほぼ自分の思い通りになったと考える強引なブラッキーは、クラブの者達にシャンパンを振る舞う。

姿が見えなくなったメアリーを捜しに行ったブラッキーはマリンと出くわし、別れを告げた彼女が、バーリーの元に向かったことを伝える。

ブラッキーは驚くものの、マリンは、メアリーがバーリーを愛していないため、彼女にとってはその方がいいと話す。

”ティヴォリ劇場”
初舞台直前の楽屋で、バーリーから愛を告げられて、結婚を申し込まれたメアリーは戸惑う。

ブラッキーが部下のベイブ(ハロルド・ヒューバー)と共に現れたことに気づいたバーリーは、メアリーの契約は有効であり連れて帰ると言われてしまう。

保安官(エドガー・ケネディ)が同伴していることを知らされたバーリーは、法に訴えるというブラッキーに対抗するため手を回すものの、既にその裏をかかれていた。

ステージで歌うメアリーは桟敷席のブラッキーに気づき、その場にいたマリンも二人の様子を見てほほ笑む。

メアリーの素晴らしさに感心したブラッキーは、姿を消した保安官を捜し、彼を殴り倒して令状を破ってしまう。

舞台を終えたメアリーは絶賛され、楽屋で待っていたブラッキーに結婚してほしいことを伝える。

それに同意するブラッキーにキスするメアリーは、現れたマリンにも結婚することを知らせて祝福される。

マリンと入れ替わりで入って来たバーリーに、自分達が婚約したことを伝えたブラッキーは、メアリーを連れてパラダイスに向い歌わせようとする。

結婚はするが、パラダイスに戻る気はなかったメアリーは動揺してしまう。

結局、メアリーはパラダイスに戻り、ブラッキーとの結婚は選挙後ということになる。

しかしマリンは、メアリーを単なるショーガールとして成功させたいブラッキーに意見する。

考えを変えないブラッキーは、メアリーを連れて行こうとするマリンを殴ってしまう。

メアリーは、二度と戻れないとブラッキー言われながら、マリンと共にその場を去る。

そこにマットが現れ、バーリーが部下に命令して、店を壊していることをブラッキーに伝える。

バーリーの元に戻ったメアリーは彼の実家を訪ね、母親メイジー(ジェシー・ラルフ)に会う。

メイジーは、なぜ息子と結婚しないかを問い、メアリーは、上流階級と牧師の娘では釣り合わないと答える。

約半世紀前に船でこの地に着いたメイジーは、洗濯屋から始めて良き夫に出会い、そして今の地位を築いたことを話し、メアリーが伝統を受け継げるバーリー家の嫁になれることを伝える。

1906年4月17日。
再開したパラダイスはバーリーの策略で手入れを受けてしまい、その夜開かれる芸能コンテスト”チキンズ・ボール”の賞金を選挙資金にしようとしていたブラッキーは、ダンサーが連行されてしまい焦る。

更に、ブラッキー側についていた者も評判を気にして彼から離れていく。

クラブは閉鎖され、ブラッキーは、メアリーとバーリーの婚約を新聞記事で知る。

結婚式に招待されたマリンは、メアリーが幸せであるかを確かめる。

”チキンズ・ボール”に行くことになったメアリーは、その場にブラッキーがいるかを気にするが、バーリーは手を打ってあった。

会場の席に着いたメアリーは、ブラッキーの支持者であるデラ・ベイリー(マーガレット・アーヴィング)から、バーリーがパラダイスの警察の手入れを仕組んだことを知らされる。

そこに現れたブラッキーはデラに呼ばれ、バーリーらが祝っていることを知らされる。

それを気にもしないブラッキーは、禁固刑を受けるために支度をすると言ってクラブに戻る。

司会者は、パラダイスのメンバーが欠席しているためコンテストを終了すると伝えるが、メアリーが席を立ち、自分がパラダイスの代表だと名乗り出る。

メアリーは、バーリーの制止を振り切りステージに上がり、デラはブラッキーを呼び戻す。

そしてメアリーは、”Theme from San Francisco”を熱唱し、会場は大いに盛り上がる。

結果発表となり、メアリーが圧倒的な支持を受けて優勝する。

戻って来たブラッキーは、メアリーをクラブの代表として認めていないことを伝え、賞金1万ドルの受け取りを拒否してその場を去る。

傷ついたメアリーは、バーリーと共にその場を去ろうとする。

4月18日、午前5時13分。
その時、大きな揺れと共に建物の崩壊が始まる。

メアリーは、ブラッキーの名を呼びながらバーリーに抱きかかえられてその場を離れる。

逃げ惑う人々は瓦礫の下敷きになり、揺れが収まった街は壊滅状態となる。

無事だったブラッキーは建物から出るが、余震が起きて目の前の人々が命を落とす。

ブラッキーはメアリーを捜し、バーリーの死体を発見するが、彼女の姿はなかった。

街は混乱し、クラブに戻ったブラッキーはメアリーが戻っていないことを確認し、大火災となった街並みを見つめる。

夜になり、避難所などを見て回ったブラッキーだったが、メアリーの姿はなかった。

丘の上のバーリー邸に向かったブラッキーは、その場にいたメイジーにメアリーの消息を尋ねる。

ジャックといるはずだと言うメイジーは息子の死を知り、神の意思だと涙しながらブラッキーに抱き寄せられる。

火事の勢いを止めるために、屋敷が爆破されたことを確認したメイジーはその場を去る。

火事は夜になっても収まらず、建物の爆破は続いた。

翌朝、救急避難所にマリンがいると聞いたブラッキーは、その場で負傷したマットに声をかけられる。

マリンを見つけたブラッキーは気まずい思いでいたが、彼に握手を求められ、メアリーがいないことを伝える。

クラブもなくなったのにまだメアリーのことを考えているのかとマリンに言われたブラッキーは、無事だった彼女の元に連れて行かれる。

メアリーは、避難所の人々のために讃美歌を歌っていた。

その姿を見たブラッキーは、神に助けられたとマリンに語り、跪いて心から感謝し祈りを捧げる。

ブラッキーに気づいたメアリーは彼に寄り添い、火事が鎮火したことで喜び、希望に満ち溢れる人々の笑顔に励まされる。

そして、ブラッキー、メアリー、マリンは、人々と共に街並みを見つめて再建を誓う。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1905年大晦日、サンフランシスコ
クラブのオーナーでギャンブラーでもあるブラッキー・ノートンは、街が火事で混乱する中、新年を迎える。
そんなブラッキーは、歌手の職を求めるメアリーの歌声が気に入り彼女を雇う。
ブラッキーはメアリーに惹かれるが、彼女は、ブラッキーの威圧的で粗暴な態度を受け入れられない。
富豪である街の実力者バーリーは、建物改革委員に立候補したブラッキーをよく思わない。
メアリーが気に入ったバーリーは、所有する”ティヴォリ劇場”で彼女を歌わせようとするが、契約があると言うブラッキーはそれを許さない。
ブラッキーの幼馴染で神父のマリンは、悪党と言われるブラッキーを善の心の持ち主と考えていた。
マリンはメアリーの幸せを願い、彼女に対するブラッキーの強引な態度を正そうとするのだが・・・。
__________

サンフランシスコ地震”が起きるまでの数か月間を描くドラマは、MGMの製作ということもあり、ミュージカルの要素も含めた娯楽大作となっている。

誰もかなわない圧倒的な雰囲気を持つクラーク・ゲーブルの個性と、正に、歌姫として当時絶頂期であったジャネット・マクドナルドの歌唱力を生かした、W・S・ヴァン・ダイクの力強い演出と脚本は見事だ。

大地震から30年経った時期に製作された作品であるため、もちろんサンフランシスコの街は再建、復興している。
その様子は、ラストで高層ビルも建つ街並みとして登場する。
大災害の苦しみや悲しみを乗り越えた人々を称える内容であり、大恐慌で疲弊しきっている当時の国民を、どれだけ励ましたことか想像できる。

クライマックスの地震のシーンは、当時を考えると驚異の映像とも言える素晴らしい出来栄えだ。

130万ドルという巨費が投じられた本作は、北米興行収入だけで約287万ドルの大ヒットとなった。

第9回アカデミー賞では、録音賞を受賞し、作品、監督、助監督、主演男優(スペンサー・トレイシー)、原案賞にノミネートされた。

主人公クラーク・ゲーブルの幼馴染であり、悪人と言われる友の善の心を信じる神父を好演するスペンサー・トレイシーは、アカデミー賞で主演と考えるのはやや疑問を感じるが、彼が演ずる人物の考えが、物語の行方を左右しているところなどが興味深い。

主人公と敵対する富豪ジャック・ホルト、その母親ジェシー・ラルフ、主人公の部下テッド・ヒーリーハロルド・ヒューバー、クラブのダンサー、シャーリー・ロス、主人公の支持者マーガレット・アーヴィング、保安官エドガー・ケネディ、街の名士ラッセル・シンプソンなどが共演している。


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