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硫黄島の砂 Sands of Iwo Jima (1949)

太平洋戦争末期、硫黄島攻撃に向かうアメリカ海兵隊員を描く、主演ジョン・ウェインジョン・エイガーフォレスト・タッカー他共演、監督アラン・ドワンによる戦争ドラマの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:アラン・ドワン

製作:エドマンド・グレンジャー
原案:ハリー・ブラウン
脚本
ジェームズ・エドワード・グラント

ハリー・ブラウン
撮影:レジー・ラニング
編集:リチャード・L・ヴァン・エンガー
音楽:ヴィクター・ヤング

出演
ジョン・M・ストライカー:ジョン・ウェイン

ピーター・コンウェイ:ジョン・エイガー
アリソン・ブロムリー:アデル・マーラ
アル・トーマス:フォレスト・タッカー
チャーリー・バース:ジェームズ・ブラウン
ロバート・ダン:アーサー・フランツ/ナレーター
ベニー・ラガージ:ウォーリー・カッセル

ダン・シップリー:リチャード・ウェッブ
フランク・フリン:リチャード・ジャッケル
エディ・フリン:ウィリアム・マーフィー
ジョイス大尉:ジョン・マクガイア
メアリー:ジュリー・ビショップ
マイク・マクヒュー:マーティン・ミルナー
L・D・ファウラーJr.:ウィリアム・セルフ
本人:ハロルド・G・シュライアー

アメリカ 映画
配給 リパブリック・ピクチャーズ

1949年製作 110分
公開
北米:1949年12月14日
日本:1952年6月19日
製作費 $1,000,000


アカデミー賞 ■
第22回アカデミー賞

・ノミネート
主演男優(ジョン・ウェイン
原案・編集・音響賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
太平洋戦争下、ニュージーランド
ガダルカナル島占領後、後方に回されたロバート・ダン(アーサー・フランツ)らの海兵隊ライフル分隊に、補充兵ベニー・ラガージ(ウォーリー・カッセル)、ダン・シップリー(リチャード・ウェッブ)、フランク・フリン(リチャード・ジャッケル)、エディ・フリン(ウィリアム・マーフィー)兄弟らが配属される。

分隊長のジョン・M・ストライカー軍曹(ジョン・ウェイン)は、徹底的に鍛え上げる方針を部下達に告げる。

かつて、中国で共に戦ったストライカーに恨みを持つ、ボクサーでもあるアル・トーマス(フォレスト・タッカー)は、彼が分隊長であることに不満を漏らす。

かくして、ストライカーの指導の下、厳しい訓練は始まる。

そんなストライカーは、新兵のピーター・コンウェイ(ジョン・エイガー)が、尊敬する、かつての上官の息子であることを知る。
...全てを見る(結末あり)

コンウェイは軍一筋の父親に反感を持ち、それに共通するストライカーにも反発する。

その後も、部下達がいくら愚痴をこぼしても、ストライカーは命を預かる身の当然の行為だと言い放ちながら、訓練の厳しさは一層増していく。

初めての休暇で、クラブに行ったコンウェイは、その場にいた女性アリソン・ブロムリー(アデル・マーラ)に一目惚れしてしまう。

ストライカーは、別れた妻に子供を取られたことで自棄酒を飲み泥酔してしまうが、それに気づいたトーマスらは彼を置き去りにしようとする。

しかし、MPに捕まりそうになったストライカーを見捨てられず、トーマスらは仕方なく彼を助ける。

コンウェイはアリソンとの愛を深めるが、それを知ったストライカーが、親代わりのような忠告をする。

そのため、コンウェイは一層ストライカーを嫌い、一方ではアリソンとの結婚を決意する。

そして、同僚達に祝福されながら、コンウェイとアリソンは結婚式を挙げる。

やがて部隊に出動命令が出て、彼らは行き先も知らせられない航海に出る。

目的が、タラワ環礁攻略だと知らされたストライカーの部隊は、上陸を開始する。

ストライカーの分隊は上陸には成功したものの、海岸線で敵の反撃に遭い、部下達が次々と戦死していく。

敵のトーチかを潰すため、敵陣に突進したストライカーは、爆薬でトーチかを爆破することに成功する。

内陸に進軍した部隊は分散し、弾薬がなくなったため補給に行ったトーマスは、仲間を残しコーヒーに誘われ休息してしまう。

その間に、弾薬が切れた二人の戦友は日本兵に襲われ、一人が死にもう一人は重傷を負う。

現在地の死守を命ぜられたストライカーは、無駄な行動も慎むよう上官に念を押される。

部下の救いを求める声を聞いたストライカーだったが、コンウェイの救出にも許可を出せず、心を痛めながら戦況を見守る。

4日後に島は占領され部隊はその場を離れ、ストライカーは部下達の労を労い酒を振舞う。

トーマスは、島を離れて以来塞ぎ込み、戦友を死なせたことに責任を感じていた。

そのことを知ったストライカーは、トーマスを連れ出し殴り倒し、二人は激しい殴り合いになる。

しかし、トーマスが素直に自分の責任を認めたため、ストライカーは彼を許す。

その後、アリソンが出産したという手紙がコンウェイに届き、部隊にはホノルルでの10日間の休暇が出る。

ストライカーは、夫に捨てられた子持ちの女性メアリー(ジュリー・ビショップ)と酒場で出会う。

騙されたと知りながら、ストライカーは妻と同じ名で子供もいる彼女に優しく接し、所持金を渡し立ち去る。

相変わらずストライカーを嫌うコンウェイだったが、訓練中もアリソンからの手紙を読んでいた。

そんな時コンウェイは、手榴弾の事故で危うく死に掛けるが、それを助けたストライカーが負傷てしまう。

そして、再び目的地の知れない出撃命令が部隊に下る。

出航から5日後、攻撃目標が小笠原諸島硫黄島だということが兵士に伝えられる。

1945年2月16日。
アメリカ軍の大船団からの艦砲射撃が始まり、2月19日、上陸は開始される。

ストライカーは上陸後、ハロルド・G・シュライアー中尉から、分隊が自分の指揮下に入ったことを告げられる。

部隊は死傷者を出しながら前進を続けるが、その惨状は信じ難いほどの状況で、戦闘は3日3晩続いた。

戦闘で一度は命を助けられ、コンウェイにようやく自分の意思が伝わりかけたストライカーは、彼から謝罪を受ける。

その後、シュライアー中尉に呼び出されたストライカーは、摺鉢山のパトロールを命ぜられる。

翌朝、摺鉢山を上り始めたストライカーの部隊は、頂上に星条旗を掲げるよう命令される。

不吉な予感を感じていたコンウェイだったが、摺鉢山占拠を前に、ストライカーと共に笑顔がこぼれる。

しかし、ストライカーは潜んでいた日本兵の弾丸を受けてしまう。

ストライカーは息を引き取り、トーマスは、彼が息子に宛てた手紙を見つける。

トーマスは、長くは生きられないと悟ったストライカーが、息子に別れを告げた文面を仲間達に読んで聞かせる。

コンウェイが途中で終わった手紙を受け取とり、その直後に摺鉢山の頂上に星条旗が掲げられる。

そして、コンウェイの掛け声で分隊員は戦闘に戻る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
太平洋戦争下。
アメリカ海兵隊ライフル分隊はガダルカナルを戦い、鬼軍曹ジョン・M・ストライカーの下、次の戦闘のために厳しい訓練を続けていた。
行き過ぎた行為が兵士達から批判される中、ストライカーは容赦なく部隊を鍛え上げる。
ストライカーが尊敬していた上官の息子である、新兵のコンウェイは、彼を、反感を持っていた父親に投影し毛嫌いする。
やがて出撃命令が下り、犠牲者を出しながらもタラワ環礁攻略を成し遂げた部隊は、休暇の後に、日本の国土である硫黄島に向かうことになる。
上陸後、大きな犠牲を出した部隊の中で、心を開いたコンウェイが、ストライカーへのわだかまりを捨て謝罪する。
しかし、摺鉢山の攻略を任された部隊は山頂を前にして、敵兵の攻撃を受け、ストライカーを弾丸が捉える・・・。
__________

ハリー・ブラウンの原作を基に、彼とジェームズ・エドワード・グラントとの共同で脚色し、第二次大戦後、間もなく製作された。

ハリウッド映画史上に燦然と輝く、パイオニア的存在のアラン・ドワン監督作品で、後に数多く作られる、鬼教官や上官が登場する映画の先駆けとなった作品でもある。

第22回アカデミー賞では、主演男優(ジョン・ウェイン)、原案、編集、音響賞にノミネートされた。
アカデミー賞授賞式で、受賞を逃したジョン・ウェインが、不満を露にして中座したというエピソードは有名だ。

原題には”硫黄島”が付くのだが、結局は終盤の約20分が”硫黄島”の戦闘場面で、実戦からわずか4年後の作品ということもあり、クライマックスで登場する摺鉢山に、星条旗を掲げる場面と共に、海兵隊を称えるための象徴として、”硫黄島”をタイトルに付けたようにも思える。

更には、テーマ曲として使われるのが”海兵隊讃歌”となれば、星条旗を掲げるシーンに参加した実際の兵士ジョン“ドク”ブラッドリーレイニー・ギャグノンアイラ・ヘイズ、そして本人役でハロルド・G・シュライアー中尉の登場も合わせて、正に海兵隊のための作品であることは確かだ。

ナレーションを入れたドキュメント・タッチでもあり、実録のフィルムを多用した、戦闘場面と合体させたシーンは荒っぽくは見えるが、当時を考えると、なかなかの迫力を出しているし、勇ましいヴィクター・ヤングの音楽も効果を上げている。

当然のごとく、硫黄島でのロケは実施されていない。

話題作に軒並み出演し、2ヶ月前には、西部劇の傑作「黄色いリボン」(1949)も公開された、ハリウッドの王者に君臨しつつあった頃のジョン・ウェインは、家族の問題に苦悩しながら、部下の命を預かる指揮官としての使命を果たそうとする軍曹を熱演している。

ウェインとは、前年の「アパッチ砦」(1948)、そして「黄色いリボン」(1949)でも騎兵隊の上官と部下を演じた新平のジョン・エイガー、その妻アデル・マーラウェインと体格では引けを取らない、迫力の演技を見せるフォレスト・タッカー、ナレーションも担当する兵士アーサー・フランツリチャード・ジャッケルマーティン・ミルナー、そして、主人公ウェインが酒場で出会う女性ジュリー・ビショップなどが共演している。


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