神に仕える身でありながら罪を犯した新興宗教のカリスマ的教祖がスタッフを巻き込んで引き起こす騒動を描く、出演ジェニファー・コネリー、グレッグ・キニア、ピアース・ブロスナン、エド・ハリス、マリサ・トメイ、キーラン・ハインズ、イザベル・ファーマン他共演、監督ジョージ・ラトリフによるコメディ・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・ラトリフ
製作
マーク・ヴィクター
セリーン・ラットレイ
原作:ラリー・ビーンハート”Salvation Boulevard”
脚本
キャシー・シュルマン
ジョージ・ラトリフ
撮影:ティム・オー
編集:マイケル・ラハイエ
音楽:ジョージ・S・クリントン
出演
グウェン・ヴァンダーミーア:ジェニファー・コネリー
カール・ヴァンダーミーア:グレッグ・キニア
ダン・デイ:ピアース・ブロスナン
ポール・ブレイロック:エド・ハリス
ハニー・フォスター:マリサ・トメイ
ジム・ハント:キーラン・ハインズ
アンジー・ヴァンダーミーア:イザベル・ファーマン
ジェリー・ホブソン:ジム・ガフィガン
ホルヘ・グズマン・デ・ヴァカ:ユル・ヴァスケス
アメリカ 映画
配給 IFC Films
2011年製作 100分
公開
北米:2011年7月15日
日本:未公開
製作費 $5,500,000
北米興行収入 $28,470
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
カール・ヴァンダーミーア(グレッグ・キニア)は、新興宗教“三千年紀教会”についての体験を語る。
”三千年紀教会”の巨大なコミュニティー”丘の上の町”の建設計画を進めるカリスマ的教祖のダン・デイ牧師(ピアース・ブロスナン)は、無神論者の大学教授ポール・ブレイロック(エド・ハリス)との討論会を開く。
ダンのファンである妻グウェン(ジェニファー・コネリー)と共に会場に向かったカールは、彼女の父ジム・ハント(キーラン・ハインズ)の隣の席に座る。
ダンとブレイロックの舌戦は繰り広げられ、災害やテロの際に神はどこにいたとブレイロックに指摘されたダンは、それに反論する。
客席のカールを立たせたダンは、”グレイトフル・デッド”のファンでかつて”デッドヘッド”だったカールの乱れた生活は不幸であり、神が、素晴らしい妻グウェンと義娘のアンジー(イザベル・ファーマン)に出会わせ、教会の出版部の仕事もして生まれ変わったと語る。 これこそ神の証だと言って信者に支持されるダンは、ブレイロックから、それは証ではなく単なるドラッグの代用だと言われる。 討論会は終わり、父ジムと共にダンと話したグウェンは、感激したことを伝える。 カールは、スタッフであるカメラマンのジェリー・ホブソン(ジム・ガフィガン)から、いい映像が撮れたと言われる。 警備員のハニー・フォスター(マリサ・トメイ)から話しかけられたカールは、”グレイトフル・デッド”のファンだったハニーから、昔コンサートで会ったかもしれないと言われ、簡単な会話を交わして別れる。 元海軍上等兵曹のジムは、キリスト教関連の映画を毎日上映する映画館を”丘の上の町”に開く構想をダンに話し、そこにカールも現れる。 カールの協力に感謝したダンは、ブレイロックから声をかけられる。 研究室で酒を飲もうと言うブレイロックに誘われたダンは、彼に付き合うことになる。 グウェンとジムは無神論者のブレイロックを軽蔑し、カールは彼の研究室に向かう。 ブレイロックから、互いの著書は売れているが、共著したらどうなるかと言われたダンは、別荘で対談した内容を本にすることを提案される。 忙しい身だが興味はあると言うダンは、ブレイロックの話を聞きながら、その場にあった年代物の銃を手に取り彼に向ける。 それが暴発してしまったために驚いたダンは、救急車を呼ぶと言うカールを制止して、頭部に弾丸を受けたブレイロックが自殺したようにみせかける。 その場を去ったダンは動揺しながら、”丘の上の町”の各施設の建設が始まろうとしている状況で、全てを無駄にするわけにはいかないとカールに伝える。 これも神の導きだと言われたカールは、公衆電話から警察に通報して帰宅する。 ガレージに入り込んだコウモリをアンジーと共に捕らえたカールは、それを殺さずに逃がす。 家でテレビを観ていたダンは、番号非通知の電話に出て、見知らぬ男から友達だと言われる。 秘密を知っているような話をされたダンは、電話を切る。 ジェリーの家に向かったダンは、巨大な力が働いている今夜、神に導かれてここに来たと言って、涙しながらある話をする。 翌朝、昨夜のことを気にしながら朝食をとったカールは、グウェンに全てを話そうとする。 教会本部に行かなければならないカールは、何も話さずにグウェンとアンジーと共にイベントに参加する。 部隊に立ったダンはブレイロックの事故の件を話し、年代物の銃から放たれた弾丸は手術により摘出され、昏睡状態に陥っている彼のために祈ろうと伝える。 心の危機に立ち向かうと言うダンの熱弁を聞いたカールは、彼の態度が気になる。 その後、自分を助けたいと言うジェリーと共に車で出かけたカールは、ダンが全てを話したことを知らされる。 自分がブレイロックを自殺に見せかけたと言われたカールは、ダンが撃ったと伝えてもジェリーに信じてもらえない。 採石場で車を停めたジェリーは、許しを請うと言ってカールと共に跪き、彼に銃を向かる。 教会を破滅に導く行為を止めなければならないと言うジェリーは、車にアンジーが乗っていたことに気づき、驚いた隙にカールに殴られて意識を失う。 グウェンからかかってきた電話に出たアンジーは、カールが人を殺したと話す。 電話を代わったカールは、何も心配ないと言って、かけ直すと伝えて電話を切る。 ジェリーを車に乗せたカールは、銃を川に捨てて街に戻る。 病院の入り口にジェリーを放置したカールは、ダイナーに向かいグウェンを待つ。 暫くするとグウェンとジムが現れ、昨夜起きた事故とジェリーのことを二人に話したカールは、ダンが人を殺すわけないと言われる。 ジェリーにも殺されかけたと話すカールは、ジムから、昔のようにラリっている幻覚だと言わるものの、どう見てもジェリーは正気ではなかったと伝える。 ジムとグウェンから、隠し事があるなら話してほしいと言われたカールは、トイレに行くと伝えて席を立ち裏口から逃げる。 大学に向かったカールは、警備をしていたハニーに昨夜のことを話し、監視カメラが自分達のことを撮影していたはずだと伝える。 映像がないことを確認したカールは、ジェリーが警備室に入ったことを知る。 ダンに会ったグウェンとジムは、ジェリーの妻べデリアの様子がおかしいことを気にする。 採石場でジェリーがカールに襲われたらしいと話すダンは、驚くグウェンとジムに、怪我をしたジェリーよりもカールのことを心配していると伝える。 カールはジェリーに襲われたと思っているようだとジムから言われたダンは、ブレイロックの件が影響しているのだろうと話す。 警察沙汰にはせずにカールをケアすると言うダンは、ジェリーの電話番号を教えて、カールの居場所が分かったら教えてほしいとグウェンとジムに伝える。 ダンは、そうしないとカールが自殺扱いになると二人に伝える。 そこに非通知で電話があり、それに出ようとしないダンは、映画館の資料に気づいたジムに、まだ目を通していないと伝える。 ジムは、その資料に血痕が付着していることに気づく。 警察に話そうとするカールを制止したハニーは、彼をアパートに連れて行く。 ハニーに迫られたカートは結婚指輪を見せるものの、マリファナを吸って楽しむ。 警察に向かったジムは、映画館の資料をピール刑事に見せて、それをダンに渡したことを伝える。 資料に付着している血液が何なのかダンに尋ねてほしいとピールに伝えたジムは、調べてみるが資料は保管するようにと言われる。 ハニーと車で出かけたカールは、”グレイトフル・デッド”のコンサートのことなどを思い出して話が弾む。 追い越した車が急停車したため衝突したカールは、降りて来たマスクをした男達に連れ去られる。 カールがいないため、父と娘の舞踏会への出席を止めようかと考えていたアンジーは、グウェンから行くべきだと言われる。 そこに、うちの車が事故に遭ったという連絡が入り、グウェンとアンジーは現場に向かう。 カールが事故に遭い連れ去られたことを知ったグウェンは、一緒に乗っていたハニーに言い寄る。 ダンがブレイロックを撃ったことしか知らないと言われたグウェンは、ハニーに襲い掛かり取り乱す。 ブレイロックの病室に向かい、意識のない彼に話しかけたダンは、これは神の導きだと伝える。 キリストを救世主として受け入れる合図をするブレイロックの指先が動いたことを確認したダンは、彼を認めた神に感謝する。 ベッドで目覚めたカールは、現れたホルヘ・グズマン・デ・ヴァカ(ユル・ヴァスケス)から、ここがメキシコ・シティの北にあるサンミゲルだと言われる。 ダンがブレイロックを撃つ瞬間を撮影した映像を見せられたカールは、ホルヘから、銃撃事件の目撃者であることを書面にしてサインすることを求められる。 犯罪組織のボスであるホルヘは、表向きの自分の事業で”丘の上の町”を建設することを考え、事件の証拠をダンに突き付けて脅そうとしていたのだった。 拒んだら命がないと言われたカールは、書面にサインする。 カールの代わりに舞踏会に行くことになったダンは、混乱しているグウェンを慰める。 軟禁状態ではあるがホルヘに厚遇されるカールは、彼の隙を見て事件の映像が記録されたDVDを盗む。 翌日、教会本部に着き、デモをする反対派に語りかけるダンは、非通知の相手ホルヘと話し、見せたいものがあると言われる。 聖書にDVDを隠して屋敷から脱出したカールは、そこがメキシコではなかったために、ダイナーからグウェンに電話をする。 テレビでブレイロックが意識を回復したというニュースを見たカールは、現れたピール刑事の車に乗る。 停まった場所でジェリーが車に乗ったために、驚いたカールは降りようとするもののドアが開かない。 現れたジムからカールのことを訊かれたグウェンは、まだ騒いでいたが無事だと言って、ジェリーが迎えに行ったことを知らせる。 警察が行けば、ダンが言っていたように自殺扱いになると話すグウェンに、ジムは、ダンが嘘をついていることを伝える。 ブレイロックが目を覚ましたために自分の話を信じてくれると言うカールは、ジェリーが何も答えないために、証拠のDVDを渡そうとするものの聞き入れてもらえない。 廃墟の工場に向かいカールを焼き殺そうとしたジェリーは、スタンガンをうまく使えずにガソリン・タンクを撃ってしまい、ピールと共に炎に包まれ、カールはその隙に逃げる。 ダンに会ったホルヘは、”丘の上の町”の開発事業には関わらせないと言われたため、証拠のDVD映像を見せる。 それが、ホルヘが愛人と愛し合っている映像だったために、ダンは汚らわしいものを自分に見せたホルヘを非難して殴る。 しかし、ダンはホルヘに腹部を刺されてしまい、車に乗せられる。 手錠をかけられているために車が運転できないカールは、ひたすら歩き”丘の上の町”の開発現場にたどり着く。 乗り捨てられた車の中にいたダンを見つけたカールは、彼の携帯電話で救急車を呼ぶ。 瀕死のダンから、自分は天国に行けると思うかと訊かれたカールは、行けると答える。 ダン・デイは2年間、刑務所に服役し、瀕死の際に出会った天使に誘発され、不動産ブローカーになり、現在はアリゾナに住んでいる。 グウェン・ヴァンダーミーアは、カールと和解できずに離婚し、彼女が描いた”神の目”の絵は美術館に展示されている。 アンジー・ヴァンダーミーアは、カールとの関係は良好だが、今でも母親が心の支えであり、早く大学に行きたいと考える。 ポール・ブレイロックは、現在でも宗教に反対し、新著の”私の頭の穴と宗教”はベストセラーとなった。 元海軍上等兵曹のジム・ハントは、私立探偵事務所を開設し、アメリカ聖公会に登録を戻した。 カール・ヴァンダーミーアは教会を離れ、警備員のハニー・フォスターと再婚した。
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そしてカールは、元”デッドヘッド”となる。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
新興宗教“三千年紀教会”のカリスマ的教祖ダン・デイ牧師は、無神論者である大学教授ブレイロックとの討論会を開く。
その夜、ブレイロックの研究室で飲みながら話をすることになったダンは、スタッフのカールと共にその場に向かう。
そこにあった年代物の銃が暴発し、ブレイロックの頭部を撃ってしまったダンは、それを自殺に見せかけてしまい、カールは驚くもののダンに従うしかなかった。
翌日、カメラマンのジェリーに採石場に連れて行かれたカールは、ダンから話を聞いたと言われ、自分が犯人だということにされてしまう。
ジェリーから銃を向けられるものの何とかそれを逃れたカールは、妻のグウェンと義父ジムに昨夜の件などを話す。
しかし、ダンを熱狂的に支持するグウェンとジムは、ダンが人を人を殺すわけないと言ってカールの話を信じようとしない・・・。
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2008年に発表された、ラリー・ビーンハートの小説”Salvation Boulevard”を基に製作された作品。
犯した罪を隠そうとする新興宗教のカリスマ的教祖が、スタッフなどを巻き込んで引き起こす騒動を描くコメディ・ドラマ。
神の使いか偽善者か・・・新興宗教の教祖の行動と、教会の巨大コミュニティー建設の利権が絡む犯罪組織との関係から発展する事件がコミカルに描かれている。
人気スター豪華競演はファンには嬉しいのだが、拡大公開もされず、商業的には振るわなかった作品。
新興宗教のカリスマ的教祖を描いた内容の作品はアメリカ人に人気があり、スターのような教祖が、神を信じることについては一貫した考えを持ちながら暴走する姿を描いている。
主人公は誰かというのが絞り難い内容の反面、実力派スターの競演だけあり、各役柄の配分などのバランスはいい。
教祖の熱狂的な支持者であるジェニファー・コネリー、その夫であり事件に巻き込まれる教会のスタッフを熱演するグレッグ・キニア、周囲を翻弄するカリスマ的教祖のピアース・ブロスナン、彼に対抗する無神論者の大学教授エド・ハリス、カール(グレッグ・キニア)に協力する大学の警備員マリサ・トメイ、グウェン(ジェニファー・コネリー)の父親で信者のキーラン・ハインズ、その孫娘イザベル・ファーマン、教会のカメラマン、ジム・ガフィガン、犯罪組織のボス、ユル・ヴァスケスなどが共演している。