1923年にニューヨークで上演された、ジョージ・バーナード・ショウの同名舞台劇の映画化。 聖人のお告げを受けた田舎の一少女ジャンヌ・ダークの運命を描く、製作、監督オットー・プレミンジャー、主演ジーン・セバーグ、リチャード・ウィドマーク、リチャード・トッド他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:オットー・プレミンジャー
製作
オットー・プレミンジャー
ダグラス・ピアース
原作:ジョージ・バーナード・ショウ
脚本:グレアム・グリーン
撮影:ジョルジュ・ペリナール
編集:ヘルガ・クランストン
タイトルデザイン:ソウル・バス
音楽:ミシャ・スポリアンスキー
出演
ジーン・セバーグ:ジャンヌ・ダーク
リチャード・ウィドマーク:シャルル7世
リチャード・トッド:ジャン・ド・デュノワ
アントン・ウォルブルック:ピエール・コーション司教
ジョン・ギールグッド:ウォリック伯
フェリックス・アイルマー:宗教裁判官
ハリー・アンドリュース:ストガンバー神父
アーチー・ダンカン:ロベール・ド・ボードリクール
ケネス・ヘイ:マルティヌス修道士
フィンレイ・カリー:レイムズ大司教
ヴィクター・マダーン:英国兵
バーナード・マイルズ:拷問人
マーゴット・グレアム:トムレイユ公爵夫人
バリー・ジョーンズ:クルセール
フランシス・デ・ウルフ:トムレイユ公爵
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1957年製作 110分
公開
北米:1957年5月8日
日本:未公開
世界 $400,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1456年。
フランス国王シャルル7世(リチャード・ウィドマーク)は、悪夢にうなされていた。
やがて、25年前に異端者として火炙りの刑に処せられた元軍指揮官ジャンヌ・ダーク(ジーン・セバーグ)が、シャルル7世の枕元に現れる。
ジャンヌは、シャルル7世との関わりを思い出して語り始める。
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聖人カタリナとマルガリタのお告げを聞いたという17歳の少女ジャンヌ・ダークは、イギリス軍が包囲しているオルレアンを解放して、王太子(シャルル)を即位させることをヴォークルールの守備隊長ロベール・ド・ボードリクール(アーチー・ダンカン)に誓う。
ボードリクールは、ジャンヌの話を小娘のたわ言だと嘲り笑うが、説得力ある彼女の言動に一理あると考える。
そして、王太子への書簡を渡されたジャンヌは、兵と共にシノン城に向かわせる。
シノン城に着いたジャンヌは、王太子への書簡を渡し、彼女をからかった兵士を言葉だけで殺してしまう。 王太子は、神の使いだというジャンヌの正体を見極めようと、側近に成りすまして一芝居打つ。 見事に王太子を見分けたジャンヌは、大司教レイムズ(フィンレイ・カリー)の助言で、王太子と2人だけの場を持つことができる。 王位に就くことに消極的であり、戦いに向かないという王太子に、ジャンヌは勇気を与える。 そして王太子は、ジャンヌに軍隊を任せることを決意し、彼女は剣を抜きオルレアンに向かう。 ジャンヌは、ロワール川沿いで攻撃を躊躇して待機する、ジャン・ド・デュノワ大尉(リチャード・トッド)の部隊と合流する。 ジャンヌは、デュノワの前で奇跡を起こし、西風を吹かせてロワール川を渡ろうとする。 それを見たデュノワは、ジャンヌに全幅の信頼を寄せて、軍隊の指揮を任せる。 ジャンヌはオルレアンの包囲を解き、1429年7月17日、王太子は、ノートルダム大聖堂で戴冠式を執り行い、 フランス国王シャルル7世に即位する。 民衆は、王の即位よりもジャンヌの功績を称えて歓喜するが、王の側近は、彼女を厄介払いしようとする。 目的を達したジャンヌは故郷に帰ろうとするが、戦いが終わった空しさに涙する。 デュノワはそんなジャンヌを気遣い励し、彼女はパリの奪回を気にかける。 帰郷を取りやめたジャンヌは、国王シャルルにパリの奪回を進言する。 しかし、国王は和平協定を結んだことを彼女に伝え、金のかかる戦いを拒む。 レイムズ大司教は、ジャンヌの神のお告げを思い込みと決め付け、このまま言葉が過ぎると、教会は縁を切ると警告する。 デュノワもジャンヌの意見には賛同せず、レイムズ大司教は強引に行動すれば、魔女とみなされ火炙りになると言い切る。 それでもジャンヌは神の言葉を信じ、彼女を支持する市民の元へと向かう。 ジャンヌはブルゴーニュ人に捕らえられ、イギリス軍指揮官ウォリック伯に、1万6000ポンドで買い取られて、カトリック教会に引き渡される。 ボーヴェのピエール・コーション司教(アントン・ウォルブルック)を批判したジャンヌは、処刑執行人(バーナード・マイルズ)の拷問を受ける。 ウォリック伯はコーション司教を呼びよせ、従軍神父ストガンバー(ハリー・アンドリュース)と共にジャンヌの裁判を始めるよう司教に迫る。 やがて裁判は始まり、宗教裁判官(フェリックス・アイルマー)は、ジャンヌが聞いた言葉が、悪魔の啓示だという教会の見解は賢明かという質問を彼女にする。 修道士マルティヌス(ケネス・ヘイ)の助言も聞かず、ジャンヌはそれを否定して火刑が決まる。 マルティヌスが書いた、お告げが偽りだという撤回書にジャンヌは署名する。 それを知った、ジャンヌの火刑を望むストガンバーは焦り、ウォリック伯の元に向かう。 ジャンヌは魂を邪悪から救うという理由で、火刑は免れ牢獄での終身刑を言い渡される。 釈放されないと知ったジャンヌは、撤回書を破り捨ててしまい、異端者として教会から破門される。 それを予知していたウォリック伯は冷静に対処し、軍をジャンヌの元に向かわせ、彼女を処刑場に連行する。 即刻、火刑に処せられた、ジャンヌの無残な姿を見たストガンバーは、あまりの惨さに絶句し、扇動した自分を悔いる。 シャルル7世の寝室に現れたウォリック伯とコーション司教に、ジャンヌは話しかける。 コーション司教はジャンヌの死後、責められて教会から破門されて死亡し、シャルル7世は、ジャンヌを救わなかったことから”腰抜け王”と中傷されていた。 健在のデュノワの魂も現れ、ジャンヌを助けられなかった正当性と教会が決めたことだということを主張する。 そこに、処刑場で、ジャンヌに木の枝で作った十字架を手渡した、イギリス軍兵(ヴィクター・マダーン)が聖人として現れ、未来の戦争の空虚さを語り始める。 シャルル7世は、共和国となる将来のフランスで再び王位に就かせてくれとジャンヌに頼む。 ジャンヌはシャルル7世に、奇跡を起こせる自分に心から頼むべきだと語る。 そしてジャンヌは、聖人である自分を、天国に迎え入れてくれるのはいつなのか神に問い質す。 シャルル7世は、ベッドにに向かい悪夢の世界に戻る。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
フランス国王シャルル7世は、25年前に異端者として火炙りの刑に処せられた元軍指揮官ジャンヌ・ダークが枕元に現れる悪夢に悩まされていた・・・。
聖人カタリナとマルガリタのお告げを聞いたという17歳の少女ジャンヌ・ダークは、イギリス軍が包囲しているオルレアンを解放し、王太子(シャルル)を即位させることを誓う。
ジャンヌは、神の使いだということを確かめられ、王位に就くことに消極的で、戦いに向かないという王太子に勇気を与える。
王太子に軍隊を任されたジャンヌはオルレアンに向かい、ジャン・ド・デュノワ大尉の協力を得て包囲を解く。
そして、1429年7月17日、王太子はノートルダム大聖堂で戴冠式を執り行い、 フランス国王シャルル7世に即位する。
しかし、国民は国王の即位よりもジャンヌの功績を称え、王の側近は彼女を厄介払いしようとする・・・。
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物語は、ジャンヌを救わなかったフランス国王シャルル7世の晩年から始まり、悪夢にうなされる彼の元に、ジャンヌや関係した者達が現れ、それを回想する展開で進んでいく。
見応えある内容と、魅力的なキャスティングの作品ではあるが、残念ながら日本では未公開に終わった。
ジャンヌを軍司令官に指名し、イギリス軍を破り百年戦争を終結させた功績にも拘らず、国王シャルル7世は、ジャンヌを処刑から救わずに見殺しにしたことが影響し、本作を含め愚かで無能な国王として描かれていることが多い。
有名なオルレアンの包囲の他、戦闘場面などは全くない、舞台劇らしく役者の演技のぶつかり合いだけで見せる、オットー・プレミンジャーの演出の力量が見ものだ。
オットー・プレミンジャーと言えばお馴染みの、ソウル・バスの力強く幻想的でもある、いかにも彼らしいタイトルデザインも印象的だ。
オープニングロールでは、主役の位置付けでない、当時19歳のジーン・セバーグは、幼さが残る容姿と華奢な体つきからは想像できない、デビュー作とは思えない熱演を見せる。
西部劇などのアクション作品で、いつもはタフな役柄が多いリチャード・ウィドマークの、ひ弱で無能なシャルル7世役の怪演もなかなか新鮮だ。
ジャンヌの奇跡を見て、その後、行動を共にするジャン・ド・デュノワ役のリチャード・トッド、教会からの破門をジャンヌに告げ、火刑を言い渡すピエール・コーション司教のアントン・ウォルブルック、イギリス軍指揮官ウォリック伯のジョン・ギールグッド、宗教裁判官フェリックス・アイルマー、英従軍神父ハリー・アンドリュース、仏軍守備隊長アーチー・ダンカン、修道士ケネス・ヘイ、大司教フィンレイ・カリー、ジャンヌの処刑前に十字架を渡すヴィクター・マダーン、処刑執行人バーナード・マイルズなど、多数のベテラン、実力派俳優が出演している。