1970年代にF1で活躍した宿命のライバル、ジェームス・ハントとニキ・ラウダの闘いと友情を描く、製作ブライアン・グレイザー、製作、監督ロン・ハワード、主演クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリヴィア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロン・ハワード
製作
ロン・ハワード
ブライアン・グレイザー
アンドリュー・イートン
エリック・フェルナー
ブライアン・オリヴァー
ピーター・モーガン
製作総指揮
トビン・アームブラスト
タイラー・トンプソン
トッド・ハロウェル
脚本:ピーター・モーガン
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集
ダニエル・P・ハンリー
マイク・ヒル
音楽:ハンス・ジマー
出演
ジェームス・ハント:クリス・ヘムズワース
ニキ・ラウダ:ダニエル・ブリュール
スージー・ミラー:オリヴィア・ワイルド
マルレーヌ・クナウス・ラウダ:アレクサンドラ・マリア・ララ
クレイ・レガツォーニ:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
ルイス・スタンレー:デヴィッド・コールダー
ジェマ:ナタリー・ドーマー
アラステア・コールドウェル:スティーヴン・マンガン
アレクサンダー・ヘスケス卿:クリスチャン・マッケイ
スターリング・モス:アリスター・ペトリ
アンソニー”バブルス”ホースリー:ジュリアン・リンド=タット
テディ・メイヤー:コリン・スティントン
ハーベイ・ポスルスウェイト:ジェイミー・デ・コーシー
エンツォ・フェラーリ:アウグスト・ダラーラ
ハンス・ラウダ:ハンス=エッカート・エックハルト
ルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロ:イラリオ・カルボ
ガイ・エドワーズ:ジェームス・ノートン
ピーター・ハント:ジェフリー・ストリートフェイルド
本人:ヨッヘン・マス
長谷見昌弘:ザック・ニイザト
高原敬武:小家山晃
ジョディー・シェクター:マーティン・J・スミス
ブレット・ランガー:ロブ・オースティン
ハラルド・アートル:トム・ヴラシア
イギリス/ドイツ/アメリカ 映画
配給
ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)
StudioCanal(イギリス)
Universum Film AG(ドイツ)
2013年製作 122分
公開
イギリス:2013年9月13日
ドイツ:2013年10月3日
北米:2013年9月27日
日本:2014年2月7日
製作費 $38,000,000
北米興行収入 $26,947,620
世界 $90,247,620
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1976年8月1日、F1、ドイツGP、ニュルブルクリンク。
2年連続のチャンピオンを目指していたフェラーリのニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)は、ライバルであるマクラーレンのジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)がウェット・タイヤのままだと知り、スリックタイヤに換えず彼と同じ条件でスタートする。
6年前、ロンドン。
F3のドライバーだったハントは喧嘩をして病院に向い、プレイボーイとして知られる彼は、早速、看護師のジェマ(ナタリー・ドーマー)に目をつけて愛し合う。
1970年、クリスタル・パレス・サーキット。 ポール・ポジションのハントはロータス59に乗り込み、オーストリア人の新人ラウダを気にしながらスタートしてトップを守る。 レースはハントとラウダの首位争いとなり、ラウダが抜くものの二台は接触してスピンアウトする。 後続車に抜かれた二人だったが、ハントはスタートすることができてレースに復帰し、ラウダはリタイアしてしまう。 結局、ハントが優勝して祝杯を挙げ、ラウダに走行を非難されるものの彼は気にしない。 名家の生まれであり実業家になることが義務付けられていたラウダは、レーサーになることを祖父ハンス(ハンス=エッカート・エックハルト)に批判される。 納得できないラウダは資金援助を求めることを諦め、レースで世界を制すると断言して祖父に勘当される。 実績は認められてもF1への道は開けないでいたハントは、ラウダがBRMと契約したことを知る。 フランス、ポール・リカール・サーキット。 早速、マシンP160をチェックしたラウダは、車重を減らし馬力を上げるようメカニックに指示し、夜を徹して改造する。 翌日のテスト走行でラウダは、レガツォーニに改造した車をドライブさせるようスタンレーに提案する。 タイムが2秒縮まると言うラウダの意見に頭を傾げるスタンレーだったが、仕方なくレガツォーニにドライブさせた結果に驚く。 レガツォーニと同条件で2年契約とシートの保証を条件に、改造した内容を教えるとラウダはスタンレーに伝える。 強引なラウダに戸惑うスタンレーは、改造したマシンが早かったのは事実であり損得を考えるよう伝え、連絡を待つと言い残してその場を去る。 オフィスの女性と付き合う考えでいたラウダは、元恋人がハントだということをレガツォーニから知らされる。 ヘスケス卿に呼ばれたハントはF1マシンを見せられ、経費的な問題がクリアできたため参戦することを知らされる。 夢が叶ったハントは喜び胸が高鳴る。 1973年、アメリカ、ワトキンズ・グレン・インターナショナル。 ティレルのドライバー、フランソワ・セベールが予選でガードレールに衝突して死亡し、流石のハントも動揺する。 レースは続行されることになり、中止するべきだと言うハントだったが、ラウダはセベールのドライビングのミスを指摘してコースに向かう。 ヘスケス卿の友人でモデルのスージー・ミラー(オリヴィア・ワイルド)と出会ったハントは、1974年に彼女と結婚する。 式を終えたハントは、ラウダがフェラーリと契約をしたことを知る。 フェラーリに戻ったレガツォーニが、ラウダを推薦したらしいということだった。 イタリア、フィオラノ・サーキット。 ルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロ(イラリオ・カルボ)と共に記者会見を開いたエンツォは、レガツォーニとラウダをファミリーとして迎える。 孤独なラウダに友人を紹介しようとしてパーティーに向かったはレガツォーニは、ラウダに意見されて気分を害してしまう。 謝罪するラウダはパーティーに参加せず、帰ろうとしていたマルレーヌ・クナウス(アレクサンドラ・マリア・ララ)に駅まで送ってもらうことになる。 車の異常に気付いたラウダだったが、それを信じないマルレーヌは、その後に車の故障で立ち往生してしまう。 青年達の車をヒッチハイクで止めたマルレーヌは、彼らがラウダを見て驚く姿を不思議に思う。 ラウダが車を運転することになり、彼がF1レーサーだと知らされたマルレーヌは、そのイメージでもなく安全運転だったのでそれを信じない。 早く走る必要がないと答えるラウダは、自分の頼みでもダメかとマルレーヌに言われ、急加速して街道を疾走する。 1975年10月5日、アメリカGP、ワトキンズ・グレン・インターナショナル。 優勝したラウダは世界チャンピオンとなり、寄り添うマルレーヌと抱き合う。 レース後、生活態度やレースに対する考えが違うことをラウダとハントは確かめ合う。 来年は必ずタイトルを取ると意気込むハントだったが、ヘスケス卿から資金が尽きたことを知らされる。 来季に乗るマシンが見つからないハントは焦り、自分の評判が悪いため声がかからないことを、会計士である弟ピーター(ジェフリー・ストリートフェイルド)に指摘されて苛立つ。 気分転換に旅行することをスージーに提案されたハントだったが、そんな気になれない。 一人で悩み続けるハントを見ていられないスージーは、仕事があるニューヨークに行けと言われ、彼を見限りその場を去る。 その後、ピーターからの連絡を受けたハントは、エマーソン・フィッティパルディがマクラーレンから移籍したことを知らされる。 マクラーレンの代表テディ・メイヤー(コリン・スティントン)とチーム・マネージャーのアラステア・コールドウェル(スティーヴン・マンガン)に会ったハントは、シートを確保するためなら何でもすると言って、勝利を約束して自分を売り込む。 1976年1月25日、ブラジルGP、インテルラゴス・サーキット。 結果、ラウダが優勝してハントはエンジントラブルのためリタイアする。 3月6日、南アフリカGP、キャラミ。 5月2日、スペインGP、ハラマ・サーキット。 5月16日、ベルギーGP、ゾルダー・サーキット。 優勝したラウダは余裕を見せるが、スペインGPで抗議したことをハントに批判される。 5月30日、モナコGP、モンテカルロ市街地コース。 妻が逃げるわけだとラウダに批判されたハントは、エリザベス・テイラーの元を去ったリチャード・バートンとスージーが熱愛中という報道を知らされる。 ニューヨーク。 7月4日、フランスGP、ポール・リカール・サーキット。 7月18日、イギリスGP、ブランズ・ハッチ。 しかし、幸せは自分を弱くして迷わせると考えるラウダは悩む。 幸せを敵だと考えたたら終りであり勝てるはずがないと、マルレーヌはラウダに伝える。 8月1日、ドイツGP、ニュルブルクリンク。 ラウダが優勝するために有利な考えだとハントは意見し、怖いのかと言う発言も出る。 恐怖は当然だと言うラウダは、死亡率が高くなるレースの開催に断固として反対し、唯一7分を切っている自分が走れば有利だと付け加える。 それならば勝負しようとハントらに挑発されたラウダは、レース決行賛成多数の意見に従うことになる。 マクラーレンのヨッヘン・マスだけがスリックタイヤを選び、ハントと同じレインタイヤのままスタートしたラウダは首位に立つ。 しかし、スリックタイヤのヨッヘン・マスが二台を抜き去ったため、ハントとラウダはピットインしてタイヤを換える。 遅れたラウダは苛立ちながらピットアウトし、ポジションを20番手に落とす。 ミスを取り戻そうとするラウダだったが、”ベルグヴェルグ”の手前のコーナーで挙動を乱し、スピンしながらフェンスに激突する。 そのショックでラウダはヘルメットが脱げてしまい、マシンは大破して炎に包まれる。 ガイ・エドワーズ(ジェームス・ノートン)はコース上のラウダのマシンをかわすものの、ブレット・ランガー(ロブ・オースティン)は正面衝突してハラルド・アートル(トム・ヴラシア)もそれに巻き込まれる。 エドワーズら三人に加わったアルトゥーロ・メルツァリオがラウダを救出する。 車を運転中に事故の報道をラジオで聴いたマルレーヌは、ラウダが負傷し、ヘリコプターでマンハイム大学病院に搬送されたことを知る。 一命を取り留めたラウダは、ヘルメットが脱げたために頭部に大火傷を負った。 それよりも、FRP製のボディが燃えて発生したガスを吸い込み肺を痛めたことが深刻であり、医療チームが全力で対処する。 レースは中断され、1時間後に再開されたレースでハントは優勝するものの、ラウダが中止を訴えたことを考えて心を痛め、謝罪の手紙を書こうとする。 病院に駆けつけていたマルレーヌは、ラウダの意識が戻ったことを知らされて病室に向うが、変わり果てた夫の姿に驚く。 14日後、8月15日、オーストリアGP、エステルライヒ・リンク。 28日後。8月25日。 オランダGP、ザントフォールト・サーキット。 早くも復帰を考えるラウダは、マルレーヌの制止も聞かずに痛みに耐えながらヘルメットを被る。 9月、イタリアGP、モンツァ・サーキット。 顔が元に戻るのは諦めたと言うラウダに、ハントはドイツGPのことで謝罪する手紙を書こうとしたことを伝える。 自分の責任だと語るハントに、勝利する姿を病室で見て生きる闘志が湧いたと答えるラウダは、自分が戻れたのはハントのお蔭だと言って感謝する。 記者会見を開いたラウダは受けた治療の内容を聞かれ、右大腿部の皮膚を顔に移植したため、発汗がなく汗が目に入らない利点があるとジョークで答える。 マルレーヌを引き合いに出し容姿のことで侮辱を受けたラウダは、記者を罵倒してその場を去る。 その記者を追ったハントは、彼を痛めつける。 9月12日。 レースはスタートし、大きく出遅れたラウダは驚異的な追い上げを見せる。 ハントはマシントラブルでリタイアし、4位に入り奇跡の復帰を果たしたラウダに全ての視線が注がれる。 10月24日、F1世界選手権イン・ジャパン、富士スピードウェイ。 豪雨の中レースの決行が発表され、ラウダはマルレーヌを見つめながらヘルメットを被る。 チャンピオンとなるために圧勝する必要があるハントは、いつものように緊張と興奮で嘔吐する。 コールドウェルは曇り止めのためにハントのヘルメットにドリルで穴を開けて、トップで走り続ければ水は入らないと伝える。 好スタートを切ったハントだったが、ラウダは10位に後退し水煙で前方の視界を確保できず、マルレーヌの顔が脳裏を過る。 ラウダは減速してピットインし、マシンに異常がないことを伝えてレースを放棄し、危険過ぎると言いながらマルレーヌと共にその場を去る。 これによりハントは3位以内でチャンピオン獲得となり、完走するためにトップを守るが、タイヤが限界に達して減速し、パトリック・ドゥパイエとマリオ・アンドレッティに抜かれて3位になる。 たまらずピットインしてタイヤ交換をするが、ハントは5位に転落する。 コールドウェルに無理をするなと言われたハントはピットアウトし、助言を無視して激走し順位を上げる。 レガツォーニを抜いてゴールしたハントは3位となるのだが、混乱の中で5位との発表され、ラウダはピットで協議の結果を待つ。 諦めたハントだったが、テディ・メイヤーから3位だと言われ、チャンピオンになったことを知らされる。 ラウダは悔いはないことをマルレーヌに伝え、関係者と喜び合うハントを見つめながらヘリで飛び立つ。 世界チャンピオンとなったハントは全てを手に入れる。 イタリア、ボローニャ。 ラウダはハント呼び止め、彼を憎みながら活躍を見ていた病院で辛い治療を受けながら医師から忠告されたのは、敵を呪わず神の恵みだと思えるという言葉だったと話す。 その通りだったと語るラウダは、今後も自分を脅かしてほしいとハント伝える。 それを承知したハントは、人生は楽しまなくては意味がないもので勝利でもないと答える。 レースで会おうと言うラウダに、ジョークで返すハントはその場を去る。
ジェマをレースに連れて行ったハントは、チーム・マネージャーのアンソニー”バブルス”ホースリー(ジュリアン・リンド=タット)、カーデザイナーのハーベイ・ポスルスウェイト(ジェイミー・デ・コーシー)、そしてオーナーのアレクサンダー・ヘスケス卿(クリスチャン・マッケイ)を彼女に紹介する。
...全てを見る(結末あり)
テスト走行のためチームに合流したラウダは、オーナーのルイス・スタンレー(デヴィッド・コールダー)に会い、ファースト・ドライバーのクレイ・レガツォーニ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)と顔を合わせる。
最終戦を迎え、スポット参戦のヘスケス・レーシングは好成績を残していた。
エンツォ・フェラーリ(アウグスト・ダラーラ)が見守る中、テスト走行をするラウダはマシンを酷評する。
ラウダと激しい首位争いを繰り広げていたハントは、最終ラップでマシントラブルが発生する。
予選で最速ラップを出したポールポジションのハントに対し、0.02秒差でラウダが2位につける。
ラウダが優勝、ハントが2位、3位ヨッヘン・マス。
ハントが優勝してラウダが2位になるものの、マクラーレンのマシン(M23)が車幅違反で失格になる。
ハントはクラッシュしてリタイアし、メカニックにマシンの仕上がりに苛立つ。
*映画ではモナコGPが先に紹介される。
ラウダが優勝し、ハントはエンジントラブルでリタイアする。
スージーと会って話し合ったハントだったが、彼女を取り戻すことができなかった。
マシンを改良したハントが優勝してラウダはリタイアする。
ハントが優勝してラウダが2位となり、スペインGPのハントの失格が取り消されてポイントが回復し、年間チャンピオンのチャンスが残る。
*実際のレースはラウダが優勝し、ハントが0.06秒差の2位。
悪天候の回復の見込みはなく、レーサー達を招集したミーティングが開かれ、ラウダは最も危険なコースでのレースの中止を提案する。
火傷の治療を受けながら、ラウダは病室のテレビでレースを見守る。
ラウダは、非常に辛い肺のうみを吸引する処置を受ける。
フェラーリとロータスを全く寄せ付けないハントが圧勝する。
フリー走行中にピットが騒然となり、ラウダが走ると聞いたハントは彼の元に向い、焼けただれた顔を見て驚く。
観客と関係者の視線を集めながらラウダはレースに備え、ハントは複雑な思いでそれを見つめる。
余裕のラウダと共に記者会見に臨んだハントは、チャンピオンへの自信を語るものの、プレッシャーを感じていた。
*実際は、混乱するハントだけが自分の順位が分からないままゴールし、ピットでテディ・メイヤーから3位を知らされた。
*実際のラウダは、レースを見届けないままその場を離れている。
ラウダと再会したハントは、事故や勝利のことで考えが噛み合わないままその場を去ろうとする。
*(簡略ストー リー)
1970年。
F3のレーサーとして活躍していたジェームス・ハントは、オーストリア人の新人ニキ・ラウダをライバル視するようになる。
ラウダが資金を調達してBRMと契約したことを知ったハントは、彼の活躍を気にしながらヘスケス・レーシングでF1参戦を果たす。
モデルのスージー・ミラーと結婚したハントは、ラウダがフェラーリと契約したことを知る。
1975年、ハントとの戦いを続けるラウダは遂に世界チャンピオンとなり、二人は生活態度やレースに対する考えが違うことを確認しながらライバル意識を燃やす。
その後、所属するヘスケスがF1撤退を決め、ハントは苦労した末にマクラーレンのシートを確保する。
1976年8月、ドイツGP、チャンピオン連覇に向けて順調にシーズンをこなすラウダは、悪天候を理由に中止を提案するもののレース決行の決定に従い、ハントと同じ条件のレインタイヤのままスタートするのだが・・・。
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絶大な人気を誇るモータースポーツの最高峰”F1”の世界を描く、ハリウッドのヒットメーカー、ブライアン・グレイザーと盟友ロン・ハワードが組んだ注目作。
まず、当時のマシンとレースを再現する映像が、ほとんどCGでないことに驚かされる。
これを実写で撮った技術は素晴らしいの一言で、プロ意識を感じさせる見事な仕上がりには脱帽だ。
これだけの映像であるにも拘らず、製作費が3800万ドルに抑えられたのは、出演者のギャラが低かったためか・・・?
人生を楽しみ夢を追う天才レーサーのジェームス・ハントと、全てのことに対して情熱を傾ける姿勢が、あらゆる人を上回る雰囲気のあるニキ・ラウダの人物像を比較しながら細やかに描く、ロン・ハワードの演出手腕が見所の作品。
”ハリウッド的な変更はなく正確で感動した”と、試写を観たニキ・ラウダが感想を述べたのは正直な意見だとは思うが、ドラマの構成上、事実と変えられている場面が多々ある。
1976年のベルギーGPがモナコGPの後に登場し、イギリスGPではハントが優勝したことになっているが、実際の勝者はラウダである。
また最終戦の日本GPで、ゴールしたハントの順位の確定にオフィシャルが手間取る場面があるが、実際は、直前のピットインで動揺したハントだけが何位か分からないままゴールし、ピットでテディ・メイヤーからチャンピオン確定を知らされたのだった。
ドラマなので、演出を考えれば事実と変えるのは構わないのだが、熱烈なファンともなると気になって集中できない・・・そんな方も多かったはずだ。
評価は概ね良かったのだが、北米興行収入は約2700万ドルと振るわず、全世界でも約9000万ドルに留まった。
モータースポーツのメッカであるアメリカでの、F1不人気を象徴する結果か・・・。
無鉄砲なやんちゃ坊主的な役柄を熱演するジェームス・ハントのクリス・ヘムズワース、その衝撃的な生き様から主人公よりも印象に残る好演を見せるニキ・ラウダ役のダニエル・ブリュール、ハントの妻スージー・ミラー役のオリヴィア・ワイルド、ラウダの妻マルレーヌ役のアレクサンドラ・マリア・ララ、レーサーのクレイ・レガツォーニ役のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、本人で登場するヨッヘン・マス、BRMのオーナー、ルイス・スタンレーのデヴィッド・コールダー、ハントと付き合う看護師ナタリー・ドーマー、マクラーレンのチーム・マネージャー、アラステア・コールドウェルのスティーヴン・マンガン、代表テディ・メイヤーのコリン・スティントン、ヘスケス・レーシングのオーナー、アレクサンダー・ヘスケス卿のクリスチャン・マッケイ、チーム・マネージャーのジュリアン・リンド=タット、カーデザイナーのハーベイ・ポスルスウェイト役ジェイミー・デ・コーシー、エンツォ・フェラーリ役のアウグスト・ダラーラ、ラウダの祖父ハンス=エッカート・エックハルト、フェラーリ会長ルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロのイラリオ・カルボ、ハントの弟ジェフリー・ストリートフェイルドなどが共演している。