アメリカ海軍中佐エドワード・L・ビーチJr.の体験を基に、1955年に発表された小説”Run Silent, Run Deep”を原作に製作された作品。 監督ロバート・ワイズ、主演クラーク・ゲーブル、バート・ランカスター、ジャック・ウォーデン、ブラッド・デクスター、ドン・リックルズ共演による戦争ドラマの秀作。 |
・クラーク・ゲーブル / Clark Gable / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・ワイズ
製作:ハロルド・ヘクト
原作:エドワード・L・ビーチJr.
脚本:ジョン・ゲイ
撮影:ラッセル・ハーラン
編集:ジョーギ・ボームラー
音楽:フランツ・ワックスマン
出演
”リッチ”リチャードソン:クラーク・ゲーブル
ジム・ブレッドソー:バート・ランカスター
ミューラー:ジャック・ウォーデン
ローラ・リチャードソン:メアリー・ラロシュ
カートライト:ブラッド・デクスター
ルッソ:ニック・クラヴァット
ルビー:ドン・リックルズ
ラート:エディ・フォイJr.
コーラー:ジョー・マロス
カレン:ルディー・ボンド
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1958年製作 92分
公開
北米:1958年3月27日
日本:1958年5月27日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1942年、太平洋戦争の最中、日本の豊後水道。
”リッチ”リチャードソン中佐(クラーク・ゲーブル)艦長が指揮するアメリカ海軍の潜水艦は、日本軍の輸送船に撃沈される。
1年後、真珠湾。
責任を取り待命中のリチャードソンは、部下のミューラー(ジャック・ウォーデン)から、豊後水道で最近の一隻を含め、既に4隻の潜水艦が沈められていることを知らされる。
リチャードソンは、艦長の負傷で副官が指揮を執るナーカ潜水艦の寄港を知る。
部下に慕われる、ナーカの副艦長ジム・ブレッドソー大尉(バート・ランカスター)は、艦長用のジャケットを部下達から贈られる。 しかし、現場復帰を上層部に直訴したリチャードソンが、ナーカの艦長になることがブレッドソーに伝えられる。 ブレッドソーは憤慨し、副艦長を拒否しリチャードソンの元を訪ねる。 リチャードソンと妻ローラ(メアリー・ラロシュ)はブレッドソーを歓迎するが、彼は副艦長の任務を断固拒否する。 しかし、リチャードソンは任務に従うよう強要し、ローラに彼のことを頼まれたブレッドソーは、仕方なく副艦長としてナーカに乗り込み出航する。 ミューラーを伴いナーカの指揮を執ったリチャードソンは、豊後水道は避ける行動目的を乗組員に説明する。 操舵手ルビー(ドン・リックルズ)ら乗組員は、厳しい訓練と危険な目的地”第7海域”に不満を抱くが、ブレッドソーは最も危険なのは豊後水道だと言って部下達を安心させる。 やがてナーカは、背後に日本軍の潜水艦を発見するが、リチャードソンは攻撃を避け航行を続け、そして訓練を行う。 訓練中に死者を出しかねなかったことで、リチャードソンはブレッドソーを責め、訓練を倍にすることを告げる。 その後、リチャードソンは、日本軍の駆逐艦と大型タンカーを発見する。 ナーカは、タンカーを撃沈した後に、駆逐艦に艦首攻撃を仕掛ける。 訓練の不満に対する答えを出すというリチャードソンは、的確な指示で見事に駆逐艦も撃沈する。 リチャードソンは訓練の成果を評価し、翌日から通常訓練に戻すことを乗組員に告げる。 乗組員はリチャードソンを見直すが、ブレッドソーはあまりにも見事な攻撃を見て、艦長の目的が豊後水道でないかと疑い始める。 そして、潜航中ナーカは、日本軍の輸送船団を見つけるが、リチャードソンは進路を変えてその場を離れる。 目的地が豊後水道だと確信したブレッドソーは、輸送船団を避け魚雷などを温存するリチャードソンに食って掛かる。 当初から目的は豊後水道だったというブレッドソーに対し、リチャードソンは、1年前の撃沈時から考えていた、犠牲者や艦のための復讐だったことを告げる。 そして、目的地を乗組員に知らせるというブレッドソーの前で、リチャードソンは自ら艦内連絡でそれを知らせる。 カートライト少尉(ブラッド・デクスター)らは、軍紀にのっとり艦長を解任させようとするが、ブレッドソーがそれを止める。 豊後水道に入り再び船団を発見したナーカは、輸送船を撃沈し敵機の攻撃を受けながら潜航する。 ナーカは、4隻の潜水艦を撃沈した駆逐艦”アキカゼ”の爆雷攻撃を受け、3名の死傷者を出しリチャードソンも負傷してしまう。 ブレッドソーは、仕方なく撃沈を装う手段に出て、油や残骸を艦から放出しようとする。 リチャードソンは、死者の遺体も放出するようブレッドソーに指示する。 難を逃れたナーカだったが、リチャードソンは、頭部を強打していたため、重い脳震盪で意識を失ってしまう。 リチャードソンの様子を見たブレッドソーは、彼から指揮権を奪い真珠湾に戻ろうとする。 しかし、”東京ローズ”の放送で、敵が自分達を撃沈しと思い込んでいることを知ったブレッドソーは、進路を豊後水道に変えることをリチャードソンに報告する。 リチャードソンは、ブレッドソーを激励し攻撃の指揮を執らせる。 多くの魚雷を残したまま、帰還することに不満もあった乗組員はそれを歓迎し、船団を発見して輸送船を撃沈する。 艦首攻撃で”アキカゼ”を捉えたナーカは、距離1500フィートで魚雷を発射し潜航する。 ナーカは見事に”アキカゼ”を撃沈し、リチャードソンが味方潜水艦を撃沈させた、日本軍の潜水艦の存在に気づく。 接近した双方の艦は、機関を停止し静寂を保つが、敵艦の方位を確認するため、リチャードソンは浮上するよう指示を出す。 敵艦一隻を沈めたナーカは、囮艦の陰に隠れようとする敵潜水艦を発見し見事に撃沈する。 その後、リチャードソンは死亡し、ブレッドソーは彼の武勲を称え海に葬る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
アメリカ海軍の潜水艦艦長リチャードソン中佐は、日本の豊後水道で撃沈されてしまう。
1年後、リチャードソンは、指揮官のいない潜水艦に強引に艦長として乗り込み、目的地を偽り撃沈の復讐のため豊後水道を目指す。
部下からの信頼厚い副艦長ブレッドソーは、仕方なく副官として艦に乗り込むものの、リチャードソンとことごとく対立してしまう。
猛訓練と指導力で、リチャードソンは、それなりの成果を発揮し、多くの乗組員の信頼は得る。
しかしブレッドソーは、最危険地域の豊後水道が目的地だと知り、それを艦長に追求するのだが・・・。
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出演者が、ハロルド・ヘクトと組んだ独立プロの”ヘクト=ランカスター・プロ”の作品。
アメリカ国防総省と海軍全面協力の下、多くの場面で使用された実戦艦”レッドフィッシュ”による海上撮影の迫力と、ミニチュアを利用した巧みな戦術を駆使した戦闘場面が、ゲームのような面白さで描かれ、当時の技術を考えると、その仕上がりの良さが際立つ作品でもある。
見事な海戦シーンもさることながら、軍服が良く似合う男臭いクラーク・ゲーブルとバート・ランカスターの共演が最大の話題となった作品で、大柄な二人が、狭い艦内で繰り広げるバトルと、敵艦との心理戦など、行き詰る場面を緻密に描いたロバート・ワイズの演出も合わせて、見応え十分だ。
緊迫感溢れる男達の戦いを、見事に描写したラッセル・ハーランの撮影、その映像を生かし、効果的にサポートするフランツ・ワックスマンの音楽も素晴らしい。
晩年の作品となったクラーク・ゲーブルは2年後に亡くなるのだが、本作では、衰えを全く感じさせない”復讐鬼”に近い、一刻な艦長を熱演している。
実際には、彼と一回り年齢が違うバート・ランカスターだが、この時期既にキャリアでクラーク・ゲーブルには負けていないだけあり、対等以上に渡り合っている。
憎しみまで抱くものの、亡くなった艦長をラストで称える姿は実に爽やかだ。
孤立する艦長を、副官として常に支えるジャック・ウォーデン、艦長の妻メアリー・ラロシュ、艦長を解任させようとする少尉ブラッド・デクスター、炊事係のニック・クラヴァット、操舵手ドン・リックルズなどが共演している。