1897年に発表された、エドモン・ロスタンの戯曲”シラノ・ド・ベルジュラック”を基に製作された作品。 鼻が異常に大きい消防署長と美しい天文学者の恋を描く、監督フレッド・スケピシ、製作総指揮、脚本、主演スティーヴ・マーティン、ダリル・ハンナ、リック・ロソヴィッチ、シェリー・デュヴァル他共演のロマンチック・コメディ。 |
・スティーヴ・マーティン / Steve Martin / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:フレッド・スケピシ
製作
マイケル・ラックミル
ダニエル・メルニック
製作総指揮:スティーヴ・マーティン
原作:エドモン・ロスタン”シラノ・ド・ベルジュラック”
脚本:スティーヴ・マーティン
撮影:イアン・ベイカー
編集:ジョン・スコット
音楽:ブルース・スミートン
出演
C・D”チャーリー”ベイルズ:スティーヴ・マーティン
ロクサーヌ・コワルスキー:ダリル・ハンナ
クリス・マコーネル:リック・ロソヴィッチ
ディキシー:シェリー・デュヴァル
チャック:ジョン・カペロス
ディーブス町長:フレッド・ウィラード
ディーン:マックス・アレクサンダー
アンディ:マイケル・J・ポラード
ロールストン:スティーブ・ミットルマン
ジェリー:デイモン・ウェイアンズ
トレント:マット・ラッタンジー
サンディ:シャンドラ・ベリ
酔っ払い:ケヴィン・ニーロン
クイン夫人:メリリン・ガン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1987年製作 107分
公開
北米:1987年6月19日
日本:1987年12月19日
北米興行収入 $40,050,880
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ワシントン州、ネルソン。
消防署長のC・D”チャーリー”ベイルズ(スティーヴ・マーティン)は、異常に大きな鼻であったため、当然コンプレックスをもっていた。
彗星の観測のため町を訪れて家を借りた天文学者のロクサーヌ・コワルスキー(ダリル・ハンナ)は、外に出た愛猫を捕まえようとして、誤って入り口のドアをロックしてしまう。
ガウンも挟んでしまい動けなくなったロクサーヌは、それを脱いで助けを求めに行く。
消防署に向かったロクサーヌは裏口のドアを叩き、それに気づいたベイルズは、家から閉め出されたと身を隠しながら説明する彼女に対応する。
ロクサーヌが裸だと知ったベイルズは、コートもいらないと言われたため、道具だけ持って彼女と共に家に向かう。 クレジットカードで鍵が開けられないため、ベイルズは曲芸師の様に建物に上り二階に向い、屋根裏部屋から内部に入る。 ロクサーヌに毛布を渡したベイルズは、入り口を開けて彼女を家に入れる。 キッチンで勝手に何かを食べようとしたベイルズは、ロクサーヌにワインを注いでもらう。 鼻が邪魔なためにワイングラスでそれを飲むことができないベイルズは、仕方なく鼻を突っ込み吸い込む。 ロクサーヌに感謝されたベイルズは、物理学の話などを聞きながら彼女に惹かれてしまう。 毛皮や剥製の販売店を経営する消防士でもあるチャック(ジョン・カペロス)は、新人のクリス・マコーネル(リック・ロソヴィッチ)を連れて消防署に向かう。 チャックは、その場にいた、消防士を兼ねる町長のディーブス町長(フレッド・ウィラード)、同僚のディーン(マックス・アレクサンダー)とトレント(マット・ラッタンジー)をクリスに紹介する。 ベイルズとは兄妹のような仲のディキシー(シェリー・デュヴァル)のダイナーにいたロクサーヌは、チャックと共に現れたクリスを気にする。 それに気づいたクリスが何も行動を起こさないために、ロクサーヌに話しかけたチャックだったが、からかわれただけで退散する。 ロクサーヌに見つめられたクリスは動揺し、店を出て路地で吐いてしまう。 消防士のアンディ(マイケル・J・ポラード)は、署長ベイルズに会っていないクリスに、顔を合わせても決して余計なことを言うなと助言する。 天体望遠鏡を運ぶのを手伝ったベイルズは、ロクサーヌが秘密にしていた彗星を見つけたという話を聞く。 その後、ディキシーと彼女の店のバーテンダーのサンディ(シャンドラ・ベリ)と共にカフェにいたロクサーヌは、その場に現れたクリスが、自分と目を合わせて慌ててトイレに駆け込んだために驚く。 ロクサーヌは、ディキシーとサンディから、クリスにアタックするべきだと冷やかされる。 動揺するクリスは誤って股間に水をかけてしまい、仕方なく窓から外に出る。 署に戻ったクリスは、同僚のロールストン(スティーブ・ミットルマン)とジェリー(デイモン・ウェイアンズ)からも、ベイルズの鼻を決して見つめるなと言われる。 その夜、ダイナーでディキシーとロクサーヌと共に話をしていたベイルズは、客に絡まれる。 その男をからかったベイルズは、相手を一撃で叩きのめしてその場を去る。 書店にいたロクサーヌは、入って来たクリスがサルトルの”存在と無”を求めて帰ったため、彼に知性を感じる。 しかしそれは、クリスがアンディに頼まれて買った本だった。 ベイルズがロクサーヌに惹かれていることに気づいたディキシーは、彼女にアタックすることを勧める。 しかし、鼻のことでコンプレックスがあるベイルズは、それを躊躇する。 ディキシーから、整形手術やメイクで鼻を小さく見せることを提案されたベイルズは、ロクサーヌが恋していることをサンディから知らされる。 署に向かったベイルズは、初対面のクリスに声をかける。 ベイルズの鼻を見て驚くクリスは、同僚達に忠告されていたことを忘れてしまう。 鼻のことについて話してしまい焦ったクリスだったが、大事にはならなかった。 その後、ベイルズはディーブス町長やチャックらに訓練をさせるが、まともな消火活動ができない。 ベイルズを誘い山に登ったロクサーヌは、恋している相手の話をする。 それが自分だと思っていたベイルズは、ロクサーヌがクリスに惹かれていることを知り、夏の間しか滞在しないことなどと共に彼に気持ちを伝えてほしいと言われ、それを承知する。 ショックを受けたベイルズは、鼻を切り落とすことを決心して医師の元に向かうが、麻酔薬アレルギーだと指摘される。 そんな鼻に生まれたのには意味があるはずだと、ベイルズは医師に言われる。 ロクサーヌが好意を抱いていると知らされたクリスは喜ぶが、相手が女性だと緊張して話せないことをベイルズに伝える。 ベイルズは、焦らずに、まず手紙を書くことをクリスに勧める。 手紙なら自分の思っていることを伝えられると言うクリスは、書いてみることをベイルズに伝える。 鼻をシャドーで小さく見せようと考えたベイルズは、化粧品を手に入れようとする。 その場でロクサーヌに出くわしたベイルズは、クリスには気持ちを伝えたことを伝え、手紙を書くと言っているということも付け加える。 クリスの手紙を読ませてもらったベイルズは、その内容ではだめだと言って書き直させる。 結局は自分が書くことになってしまったベイルズは、仕方なくペンをとる。 手紙を受け取っていたロクサーヌは、その内容に感激していることをベイルズに伝え、彼は二人のデートを段どることになる。 それを知らされたクリスは喜ぶが、胸が苦しくなってしまい、まともにデートなどできる状況ではなかった。 その夜、耳あての付いた帽子にマイクとイヤホンを隠してロクサーヌに会ったクリスは、車で待機するベイルズの指示に従って話す。 最初はうまくいくものの、他の無線連絡が入ってきてしまったクリスは帽子を取ってしまい、意味不明な話をし始める。 ロクサーヌに下品なことを言ってしまったクリスは、ベイルズの元に戻り失敗だと伝える。 諦められないクリスは、ロクサーヌに声をかけるようベイルズに指示され、二階に石を投げて窓を割ってしまう。 憤慨したロクサーヌは、クリスを追い払おうとする。 ベイルズがパントマイムで指示する様に話をするクリスが、何を言っているのか理解できないロクサーヌは呆れてしまう。 木陰に隠れながらクリスに代わり話をしたベイルズは、声が違うようだと言われながら、甘い言葉でロクサーヌに語りかける。 次第に自分の気持ちを伝えるようになったベイルズは、ロクサーヌに愛を伝える。 感激したロクサーヌは、気持ちを受け入れることをクリスに伝える。 クリスは喜んでロクサーヌの元に向かうが、ベイルズは後悔する。 10月祭。 彗星のことで大学に呼ばれたため暫く町を離れることになったロクサーヌは、それをベイルズに伝えて、手紙を待つという伝言をクリスに残す。 その頃、女性が苦手だったはずのクリスは、気さくなサンディと意気投合する。 クリスのカードの扱いがプロ級だと思いながら、ラスベガスでカクテル・ウエイトレスをして高給を稼ぐつもりだと、サンディは彼に伝える。 年をとったらリノに行く計画も語るサンディは、クリスと話が弾むもののロクサーヌに気を遣う。 ロクサーヌとは特別な関係ではないと言うクリスは、様々な場所に滞在経験のある話などをして、サンディと楽しい時間を過ごす。 ベイルズは何通もの手紙をロクサーヌに送り、それを受け取った彼女は、その内容に心ときめく。 今一、気分が乗らないベイルズは、ロクサーヌに告白するべきだとディキシーに助言される。 違う人間としてそれは果たしたと言うベイルズは、ロクサーヌが戻ったことを知り、手紙のことを教えるためにクリスの元に向かう。 慌てたベイルズが置いて行った手紙を、ディキシーは読んでしまう。 ロクサーヌの家に侵入し、手紙のことをクリスに知らせたベイルズは、20通送ったことを伝えてその場を去る。 本当の自分を知りたいとロクサーヌに言われたクリスは、動揺してしまい出て行ってしまう。 ディキシーは、ベイルズの書いた手紙をロクサーヌの家の入り口に置く。 町を離れようとしていたサンディは、クリスが現れたために喜ぶが、ロクサーヌに話すのが礼儀だと伝える。 手紙を書くと言われたサンディは納得し、クリスと共に旅立つ。 署に戻ったベイルズは、急用だという連絡がロクサーヌからあったとアンディに言われる。 ロクサーヌから手紙を渡されたベイルズは、それが、ラスベガスでカジノのディーラーになるという、旅立ったクリスからの手紙だったことを知る。 もう一通の手紙を渡されたベイルズは、その自分の文章とクリスの文章があまりにも違うことに気づきつつ、彼らしい内容だなどとロクサーヌに言ってしまう。 裏も見るように言われたベイルズは、自分がそれを書いたことを知らせるディキシーの添え書きがあったために言葉を失う。 外で自分に語りかけたのも手紙も自分だと言われたベイルズは、それを認めたためにロクサーヌに殴られる。 二人は言い合いになり、ロクサーヌは許そうとしないが、手紙の言葉は自分の気持ちだとベイルズは伝える。 追い出されて納得いかないベイルズは怒りが収まらなかったが、火事を鼻で感じて署に戻り、消防車を出動させて出火現場を探す。 町のマスコットの牛ボッシーの牛舎が燃えていることに気づいたベイルズは、皆に指示を出して消火活動を始める。 ボッシーを助けたベイルズらは、人々と共に祝杯を挙げる。 ディキシーと話し合ったベイルズは、友人であることを互いに確認して店を出る。 家に帰り屋根の上で考え込んでいたベイルズは、現れたロクサーヌから話しかけられ、”自分を変えてくれたのはあなただった”と言われる。 ロクサーヌから愛を告げられたベイルズは屋根から降りて、邪魔な鼻を気にしながら彼女とキスして、二人は家の中に入る。 ロクサーヌが、彗星に”チャーリー”という名前を付けたことを知り感謝したベイルズだったが、それが、彼女の父親の名だと言われる。
...全てを見る(結末あり)
ディーブス町長は、牛の”ボッシー”をキャラクターにして盛大なイベントを開催して、スキー・シーズンを前に町をアピールしようと考える。
*(簡略ストー リー)
ワシントン州、ネルソン。
消防署長のC・D”チャーリー”ベイルズは、異常に大きな鼻であったためコンプレックスをもっていた。
彗星の観測のため町に滞在していた天文学者のロクサーヌは、誤って家から閉め出されてしまい、それに対処したベイルズは彼女に惹かれてしまう。
新人の消防士のクリスは、ロクサーヌと意識し合うが、女性に接することが極端に苦手な彼は戸惑う。
そして、ロクサーヌからクリスに惹かれたことを知らされたベイルズは、自分の気持ちとは裏腹に、二人の恋の手助けをすることになってしまう・・・。
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古典的な名作であるエドモン・ロスタンの戯曲”シラノ・ド・ベルジュラック”を、現代風ロマンスにアレンジしたコメディの快作。
特別にその時代を象徴するような描写がある訳ではないが、心地よい雰囲気や音楽などが、なぜか1980年代を感じさせる作品だ。
スキー・シーズンを控える田舎町の、のどかな雰囲気の中で繰り広げられるロマンス、殆どの住民が友人のような関係などをユーモラスに描く、フレッド・スケピシの軽妙な演出も実にいい。
超一流コメディアンとしての地位を築いていたスティーヴ・マーティンが、製作総指揮、脚本、主演を兼ねた意欲作で、彼のキャリアの中でも非常に高い評価を得た作品でもある。
そのようなことで、スティーヴ・マーティンのワンマン映画になりそうなところを、田舎町に不似合いな美女の登場や、消防士のボケでうまく中和させている演出もなかなかよろしい。
スーパーモデルのような天文学者ではあるが、背伸びしない演技がいいダリル・ハンナ、誰もが羨む容姿なのだが、女生との正常な付き合いができない新人消防士リック・ロソヴィッチ、主人公の友人であるダイナーのオーナー、シェリー・デュヴァル、剥製、毛皮店オーナー兼消防士のジョン・カペロス、市長兼消防士のフレッド・ウィラード、消防士マックス・アレクサンダー、マイケル・J・ポラード、スティーブ・ミットルマン、デイモン・ウェイアンズ、マット・ラッタンジー、バーテンダーのシャンドラ・ベリ、酔っ払いケヴィン・ニーロン、住民メリリン・ガンなどが共演している。