謎のブリーフケース強奪戦に暗躍する陰謀を描く、監督ジョン・フランケンハイマー、主演ロバート・デ・ニーロ、ジャン・レノ、ステラン・スカルスガルド、ショーン・ビーン、ナターシャ・マケルホーン他豪華スター競演のサスペンス・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フランケンハイマー
製作総指揮:ポール・ケルメンソン
製作:フランク・マンキューソJr.
原作:J・D・ザイク
脚本
J・D・ザイク
リチャード・ウェイズ(デヴィッド・マメット)
撮影:ロベール・フレース
編集:アントニー・ギブス
音楽:エリア・クミアル
出演
サム:ロバート・デ・ニーロ
ヴィンセント”バンサン”:ジャン・レノ
ディアドラ:ナターシャ・マケルホーン
グレゴール:ステラン・スカルスガルド
スペンス:ショーン・ビーン
ラリー:スキップ・サダス
シーマス・オローク:ジョナサン・プライス
ジャン=ピエール:マイケル・ロンズデール
ミキー:フェオドール・アトキン
CIA情報員:ロン・パーキンス
セルゲイ:バーナード・ブロック
ナターシャ・キリロワ:カタリナ・ヴィット
ミキーの部下:ジャン・トリスカ
アメリカ 映画
配給 MGM
1998年製作 121分
公開
北米:1998年9月25日
日本:1999年5月29日
製作費 $55,000,000
北米興行収入 $41,609,590
世界 $70,692,100
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ、モンマルトル。
ビストロで働くアイルランド人でIRAのメンバーであるディアドラ(ナターシャ・マケルホーン)は、男達を待つ。
店にいたラリー(スキップ・サダス)、現れたヴィンセント”バンサン”(ジャン・レノ)、警戒しながら銃を表に隠し、閉店間際に入って来たサム(ロバート・デ・ニーロ)はディアドラと共に車に乗りその場を去る。
スペンス(ショーン・ビーン)や現れたグレゴール(ステラン・スカルスガルド)と合流したディアドラは、ある者達から奪ってほしいものがあるとだけ言い残してその場を去る。
男達はその場で夜を明かし、翌日、現れたディアドラから、週5000ドルの報酬、仕事を終えたら2万ドルを渡す条件で、ブリーフケースを奪うよう依頼される。 ケースの中身は不明、相手は5~8人で手強い相手だということだけを知らされた、戦略のプロでアメリカ人、のサム、フランス人コーディネーターのヴィンセント、元KGBである電子工学の専門家グレゴール、アメリカ人ドライヴァーのラリー、武器の専門家スペンスらは、謎の司令塔ディアドラの指示を受けて準備を始める。 ”アレクサンドル3世橋”。 ディアドラは、IRA連絡員シーマス・オローク(ジョナサン・プライス)と接触し、ニースで、ケースをロシア人が買う気でいることを知らされる。 準備不足を伝えるディアドラだったが、シーマスは、直ちにケースを奪い返すよう命ずる。 ディアドラは、行動を開始するよう指示を出すが、サムは、ケースの中身も知らされない情況では、20万ドルに報酬を上げるよう要求する。 更にサムは、スペンスの経験不足を指摘して、彼をメンバーから外す。 ディアドラは、それまでの報酬をスペンスに渡して、全て忘れるよう指示して別れる。 ニース。 取引場所のホテルに、夫婦を装いディアドラと向かったサムは、ケースを所持する者達のを写真に撮る。 写真を確認したサムは、ディアドラに仲間を増やすことを拒まれ、ケースの買い手が現れるのも翌日以降だと知らされる。 納得いかないサムは、それを自分の目で確かめるために、”ヴィルフランシュ=シュル=メール”の、ケースを所持する者達の別荘をディアドラと監視する。 二人は、パトカーが現れたために、恋人を装いキスした後、出会って以来、反発し合っていたものの、その場で求め合ってしまう。 翌日、チームは、移動を始めたケースと男達を待ち伏せして襲撃し、ケースを運ぶ車を追う。 ラリーが相手の車を止めて、チームはケースを奪おうとする。 ケースを奪ったグレゴールは、それをすり替えてサムに渡す。 しかし、ケースに爆弾が仕掛けられていることに気づいたサムは、間一髪、爆破を逃れ、警官が現れたために、仲間達と共にその場から逃走する。 負傷したラリーの傷の手当てをしたサムらは、グレゴールを捜そうとする。 ケースをロシア側に売ろうとしたグレゴールは、現れた元KGBの男が、自分を騙そうとしたために彼を殺す。 グレゴールは、ロシアン・マフィアのミキー(フェオドール・アトキン)に連絡を入れて、ケースをIRAに売ると言って脅し、値段を吊り上げる。 サムは、旧友のCIA情報員(ロン・パーキンス)とコンタクトを取り、グレゴールの所在を調べてアルルに向かう。 アルル。 その動きを察知していたサムらもその場に向かい、現地に現れたシーマスは、ラリーに近づく。 サムはグレゴールを捕え、ディアドラとヴィンセントはセルゲイらに銃を向ける。 ケースを郵送したと言うグレゴールは、観光客を利用し隙を見てその場を逃れるが、シーマスに捕えられる。 サムとヴィンセントは、セルゲイを射殺して劇場を離れ、車に戻ったディアドラは、ラリーが殺されていることに気づく。 ディアドラは、グレゴールを捕えたシーマスに銃を向けられて車を出し、銃弾を受けたサムとヴィンセントはラリーの死体を確認する。 サムはディアドラが裏切ったと考え、傷の手当てをするために、ヴィンセントの友人ジャン=ピエール(マイケル・ロンズデール)の別荘に向かう。 ”レ・ボー=ド=プロヴァンス”。 パリ。 気を失ったサムが、CIAなのかを考えたヴィンセントは、ジャン=ピエールに、ディアドラとグレゴールを捜したいことを伝える。 回復したサムは、ジャン=ピエールが趣味で作っているジオラマを見せられ、”四十七士”の話を聞かされる。 ジャン=ピエールは、切腹した47人の武士が、主を失った際の忠誠心などを話す。 武士達が、他に仕えることを考えず、誇りを選び切腹したと聞かされたサムだったが、彼はそれを理解できない。 パリ。 グレゴールは、届いたケースを受取るが、ディアドラは、現れたサムに銃を向けられる。 ディアドラは、なぜ裏切ったかを聞かれた直後に車を急発進させてその場を逃れ、グレゴールとシーマスを乗せて逃走する。 サムはディアドラらを追跡し、彼女は一方通行を逆走して、工事中の高架橋から落下してしまう。 グレゴールはケースを持ってその場から逃れ、ディアドラとシーマスは、爆破寸前で、その場にいた工事員に車から助け出される。 その後、ケースがスケート・シューズを入れる物だと気付いたサムとヴィンセントは、ロシア人がそれを作ったと考え、彼らを追えばグレゴールが見つかると判断する。 ロシア人のスケーター、ナターシャ・キリロワ(カタリナ・ヴィット)のアイス・ショーが開催されることを知った二人は、彼女のスポンサーがミキーであること確認する。 ショーは始り、サムとヴィンセントは、ナターシャの演技を見守るミキーを監視する。 グレゴールはミキーを呼び出し、ケースと金を交換して、自分が会場から無事に出られない場合は、狙撃手がナターシャを殺すと脅す。 ミキーはグレゴールを射殺し、ナターシャも狙撃される。 サムとヴィンセントは、グレゴールが殺されていることを確認する。 会場が混乱する中、ミキーはその場を離れるものの、シーマスに射殺されてケースを奪われる。 シーマスをヴィンセントに任せたサムは、ディアドラの元に向かい、彼女を逃がそうとする。 サムは、目的はシーマスであり、自分が組織の者だともディアドラに伝え、彼女は車で走り去る。 CIAにも気づき焦るシーマスは、近づくサムを無視して、ヴィンセントを銃撃して逃走する。 シーマスは、追ってきたサムを銃撃するが、ヴィンセントに射殺される。 サムとヴィンセントが、IRAから行動を非難されていたシーマスを始末したことで、北アイルランド問題の和平協定が結ばれることになる。 その後サムは、会えてよかったことをヴィンセントに伝え、ディアドラが戻ってこないことを確認する。 ケースの中身などについては多くを語らず、それらを深く追及しないことが、自分達の仕事だと考える二人は別れを告げて、その場を立ち去る。
...全てを見る(結末あり)
武器装備の取引現場で、橋にいたスナイパーに待ち伏せされたサムらは、スペンスの行動で危険にさらされながらもその場を逃れる。
尚もケースの中身を知らされないことで苛立ちながらも、サムは計画の準備を始める。
グレゴールは、ロシア人セルゲイ(バーナード・ブロック)に会うため、”円形劇場”に向かう。
ジャン=ピエールに迎えられ、サムは、ヴィンセントに指示しながら手術を始めさせて弾丸を摘出する。
グレゴールを痛めつけたシーマスは、計画を失敗したディアドラを責めて彼女と口論になる。
サムとヴィンセントは、ジャン=ピエールの調べた場所に向かい、現れたディアドラ、グレゴール、シーマスを確認する。
*(簡略ストー リー)
パリ。
IRAのディアドラに雇われた、戦略のプロ、サムやヴィンセントらは、あるブリーフケースを中身も知らされずに奪うよう指示される。
それが、ニースでロシア人に売られると言う情報が入り、ディアドラは、サムらと共に現地入りして準備を整える。
白昼、ターゲットを待ち伏せたサムらは、街中の追跡と銃撃戦でケースを奪う。
ところが、メンバーの一員、元KGBのグレゴールが裏切り、ケースを奪い逃走する。
サムは、CIAの協力でグレゴールの居場所を突き止め、チームと共にアルルに向かう。
そしてサムらは、ケースがロシア側に渡ることを阻止しようとするのだが・・・。
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社会性のあるサスペンス作品を得意とするジョン・フランケンハイマーの晩年の作品にして、衰えなど微塵も感じない力強い快作に仕上がっている。
特に、アクション場面などに注目したいのだが、フランス各都市、とりわけ、パリ市全面協力による大掛かりなカーチェイスなどは、アメリカを舞台にした作品を上回るほどの迫力だ。
ドラマはスタイリッシュな展開で進行し、その内容よりも、大味に思えるアクション・シーンの細やかな演出や描写に注目したい。
美しい南フランスの町などをめぐる強奪戦の他、”四十七士”の武士の心が語られる終盤も実に興味深い。
豪華キャスティングが大きな話題になったのだが、北米では製作費の5500万ドルを回収できずに、興行収入は約4200万ドルに終わり全世界では約7000万。
謎の多い作品の中で、やはり、唯の報酬目当ての男ではないというところで存在感が増す、計画戦略担当のロバート・デ・ニーロ、彼に危機を救われ、恩義を感じながら行動する、”武士”に最も近い考えの役柄を好演するジャン・レノ、チームを指揮するIRAメンバーを熱演するナターシャ・マケルホーン、冷徹な元KGBを演ずるステラン・スカルスガルド、経験の浅さからチームを外れるショーン・ビーン、ドライバーのスキップ・サダス、後半での重要な役で、過激なテロリストを演ずるジョナサン・プライス、チームの協力者マイケル・ロンズデール、ロシアン・マフィアのボス、フェオドール・アトキン、CIA情報員のロン・パーキンス、ロシア人ギャング、バーナード・ブロックとジャン・トリスカ、そしてオリンピック金メダリストのカタリナ・ヴィットがアイス・スケーターとして登場する。