1597年に上演されたウィリアム・シェイクスピアの代表的な同名戯曲を基に製作された作品。 監督、脚本レナート・カステラーニ、主演ローレンス・ハーヴェイ、スーザン・シェントール、フローラ・ロブソン、ジョン・ギールグッド他共演のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:レナート・カステラーニ
製作総指揮:アール・セント・ジョン
製作
サンドロ・ゲンツィ
ジョゼフ・ジャンニ
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本:レナート・カステラーニ
撮影:ロバート・クラスカー
編集:シドニー・ヘイヤーズ
音楽:ロマン・ヴラド
出演
ロミオ・モンタギュー:ローレンス・ハーヴェイ
ジュリエット・キャピュレット:スーザン・シェントール
ジュリエットの乳母:フローラ・ロブソン
ロレンス:マーヴィン・ジョーンズ
口上:ジョン・ギールグッド
パリス:ノーマン・ウーランド
ベンヴォーリオ:ビル・トラヴァース
キャピュレット:セバスチャン・キャボット
キャピュレット夫人:リディア・シャーウッド
マーキューシオ:ウバルド・ゾッロ
ティボルト:エンツォ・フィエルモンテ
エスカラス:ジョヴァンニ・ロータ
モンタギュー:ジュリオ・ガルビネット
モンタギュー夫人:ニエッタ・ゾッキ
ジョン:トーマス・ニコルズ
イタリア/イギリス 映画
配給
Rank Organisation
ユナイテッド・アーティスツ
1954年製作 140分
公開
イタリア:1954年11月25日
イギリス:1954年9月1日
北米:1954年12月21日
日本:1956年2月11日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
口上(ジョン・ギールグッド)は語り始める。
宿敵同士の両家に生まれた恋人の死が、親達の不仲を解消した・・・。
イタリア、ヴェローナ。
モンタギュー家とキャピュレット家は、皇帝派と教皇派の立場から争い合っていた。
ある日、両家の者達が街角で争い、モンタギュー側の者がキャピュレット側の者を撲殺する。
血で血を洗う争いは激化し、ヴェローナ太守のエスカラス(ジョヴァンニ・ロータ)は、理性のかけらもない両家の家長キャピュレット(セバスチャン・キャボット)とモンタギュー(ジュリオ・ガルビネット)とを呼び出す。
激怒する太守は、再び治安を乱した場合は死刑に処すことを両家に言い渡す。
ある日、モンタギュー家の世継ぎロミオは、従兄で友人ベンヴォーリオ(ビル・トラヴァース)に、恋の悩みを語る。 一方、14歳になるキャピュレット家の息女ジュリエット(スーザン・シェントール)は、母親(リディア・シャーウッド)から、太守の親戚で貴族のパリス(ノーマン・ウーランド)との縁談話があることを知らされる。 キャピュレットは、ジュリエットが若すぎることを心配するものの、彼女の心を射止めた場合は、それを許すことを約束し、その夜、催される夜会に彼を招待する。 その夜、ある女性が、その夜会に出席することを知ったロミオは、大胆にもキャピュレットの屋敷に足を踏み入れる。 それはキャピュレットに知らされ、不穏な空気が流れるものの、彼は、大切な夜に騒ぎを起こさぬよう指示する。 そしてロミオは、輝きを放つ美しさのジュリエットに見惚れて、その瞬間に恋に落ちてしまう。 自分を見つめるロミオに気づいたジュリエットも、彼を意識してしまう。 ロミオは、仮面をつけてダンスに参加し、ジュリエットと踊り、二人は手を触れて言葉を交わす。 口づけをしようとした二人だったが、ジュリエットの乳母(フローラ・ロブソン)がそこに現れる。 ロミオは、その場を去ったジュリエットが、キャピュレットの娘だと知らされる。 ジュリエットも、姿を消した男性が、モンタギューの息子だと聞き驚き、ロミオは、皮肉な運命だと嘆く。 気持ちを抑えられないロミオは、キャピュレット家の敷地内に忍び込み、自分に対して、家名を捨てて欲しいと祈リを捧げるジュリエットに気づき話しかける。 互いの愛を確かめ、結婚まで誓い合ってしまった二人は、別れを惜しみながら夜明けを迎える。 その後、フランシスコ会の修道士ロレンス(マーヴィン・ジョーンズ)を訪ねたロミオは、キャピュレット家の娘に恋をしたため、結婚を許可して欲しいことを伝える。 ロレンスは、大きな問題ではあるが、それが両家の和解に繋がる可能性を考え、ロミオに協力することを告げる。 乳母を使いに出したジュリエットは、彼女が、ロミオに好印象を持ったことで安堵し、翌日、二人は協会で再会できることになる。 乳母を伴い教会に向かったジュリエットは、待ち構えていたロミオと、ロレンスの誓いの言葉により結ばれれることになる。 二人は簡単な口づけと契りを交わし、ジュリエットは神に祈りを捧げる。 その後、この上ない幸せで心穏やかなロミオは、挑発してくるジュリエットの従兄ティボルト(エンツォ・フィエルモンテ)を愛するとまで言い始める。 その場にいた太守の親戚でロミオの友人マーキューシオ(ウバルド・ゾッロ)が、ティボルトの相手をしようとする。 現れたベンヴォーリオと共に、剣を交える二人に割って入ったロミオだったが、傷を負ったマーキューシオは息絶えてしまう。 怒りを抑えきれなくなったロミオは、ティボルトを追い、刺殺してしまう。 太守から死罪を言い渡される可能性があるロミオは、その場から逃走する。 キャピュレット家に運び込まれたティボルトを見て、それがロミオの仕業だと罵る夫人の声を聞き、ジュリエットは卒倒してしまう。 その後ジュリエットは、ロミオの行いを恨みただ涙する。 ベンヴォーリオは、ティボルトが挑発して、ロミオは争いを回避しようとしたことを太守に語る。 キャピュレット夫人は、モンタギュー側が嘘を言っていると主張する。 殺害の罪を負わなければならないものの、ロミオは死罪を免れて追放処分となる。 追放が死罪より辛いと嘆くロミオは、自殺したい気持ちを抑えながら、ロレンスの前で泣き崩れる。 そこに乳母が現れ、ただ涙するだけのロミオに、男らしくするよう告げる。 ロレンスは、ジュリエットに別れを告げてマントヴァに向かうようロミオに指示し、結婚を公表して両家を和解させて、太守の特赦を得て呼び戻す考えを告げる。 ロミオはそれに従い、屋敷を出てジュリエットの元に向かい、彼女と一夜を共にする。 そしてロミオは、ジュリエットとの別れを惜しみながら旅立つ。 キャピュレットは、事の収まりがつかないまま、数日後にパリスとジュリエットの婚礼を、ささやかに行なうことを決めてしまう。 それを母親から伝えられたジュリエットは動揺し、結婚したくないことを父親に訴える。 キャピュレットは激怒して勘当すると言い出し、乳母に、パリスと結婚することが幸せへの道だとジュリエットは説得され、父親に謝罪して従うことを伝え、懺悔のために教会に向かう。 ロレンスを訪ねたジュリエットは、苦しい胸の内を伝え、彼からある秘策を告げられる。 婚礼の前夜、眠りにつく前に、42時間仮死状態になる薬を飲み、死者として墓地に運ばれたジュリエットは目覚めた後で身を隠し、手紙で知らせるロミオの元に向かうという考えだった。 ロレンスは早速、手紙を書き、修道士のジョン(トーマス・ニコルズ)に渡しマントヴァのロミオに届けるよう指示する。 ところが、マントヴァに着いたジョンは、病人の様子を見た際に、それがペスト患者だったために、逃げ遅れた彼は、その部屋に閉じ込められてしまう。 婚礼の前夜、ジュリエットは迷いながらも、覚悟を決めて薬を飲み干す。 翌朝、乳母はジュリエットが亡くなっていることに気づき、それが、ロミオにも知らされ、彼はヴェローナに向かう。 ロレンスは、ジュリエットの葬儀を執り行い、計画通りに時を待つ。 ヴェローナに戻り教会に着いたロミオは、キャピュレット家の墓の入り口を開けようとする。 ロレンスは、戻ったジョンから、ロミオに手紙が渡せなかったことを知らされる。 ロミオの元に現れたパリスは、絶望して正気を失いかける彼に殴られて息を引き取る。 墓に入ったロミオは、眠るようなジュリエットの亡骸を見ながら、そばに眠るティボルトに許しを請う。 ロミオは。ジュリエットに口づけして、短剣を抜き自ら命を絶つ。 ロレンスは、墓の入り口でパリスが死んでいることを確認して、ロミオの名を叫ぶ。 やがてジュリエットは目覚め、ロレンスに気づいた彼女は感謝して、その場を離れようとする。 しかしジュリエットは、傍らにロミオが横たわっていることを知り、剣を見て、彼が自分の死で命を絶ったことを悟る。 ジュリエットは、ロミオに口づけをして、その温もりを感じながら剣を胸に刺して息絶える。 エスカラス太守は、ロミオとジュリエットの亡骸を前に、涙するモンタギュー、キャピュレット両家の、憎しみの末の悲劇だと語る。 キャピュレットはモンタギューに歩み寄り、両者は手を取り合う。 太守は、数ある悲劇の中で、ロミオとジュリエットにまさるものはないと語り、その場を立ち去る。
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*(簡略ストー リー)
イタリア、ヴェローナ。
モンタギュー家とキャピュレット家は、皇帝派と教皇派の立場から争い合っていた。
死者を出す事件が起きたためエスカラス太守は、両家の家長を呼び出し、再び治安を乱した場合は死罪に処することを告げる。
そんな時、モンタギュー家の世継ぎロミオは、キャピュレット家の夜会に忍び込み、一家の息女ジュリエットの美しさに心奪われてしまう。
貴族のパリスとの縁談話も合ったジュリエットだが、彼女も一目でロミオに恋してしまう。
抑えきれない気持ちを、ジュリエットに伝えるロミオは、ロレンス修道士に協力を求める。
ロレンスは、それが両家の和解に繋がる可能性を考えて、結婚を望むロミオとジュリエットのに協力する。
夢見心地のロミオだったが、ジュリエットの従兄ティボルトに挑発され、彼を刺殺してしまう。
死罪は免れるものの追放となったロミオは、失意のままジュリエットに別れを告げて旅立つ。
父親の考えに従い、パリスと結婚することを承知せざるを得なくなったジュリエットは、ロレンスを訪ねて助けを請う。
そしてロレンスは、ロミオとジュリエットのを結びつけるための秘策を考えるのだが・・・。
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シェイクスピア文学の中でも最もポピュラーな作品だけに、何度も映画化されているが、その中でも本作の評価は高く、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた名作。
本作は悲劇ではあるが、シェイクスピアの四大悲劇と同等の扱いではない。
哀しい物語ではあるが、主人公らが命を絶つ場面などは意外なほどあっさりと描かれ、若い男女の燃えるような恋物語は、レナート・カステラーニによる力強い演出により、見応えある仕上りとなっている。
イタリア国内で撮影されたロケも、中世の雰囲気を十分に伝えるものであり、総天然色カラー映像に映える衣装なども実に美しい。
1973年に45歳の若さで他界するローレンス・ハーヴェイは、既にキャリアはあったものの、初々しい演技でヒロイン以上に輝いているようにも思える。
透き通るような白い肌も印象的なヒロインを熱演演するスーザン・シェントールは、本作に大抜擢されたのだが、これ以外に業界での仕事がないことが非常に残念だ。
ジュリエットの乳母フローラ・ロブソン、若者二人が結ばれることで、いがみ合う両家を和解させようとする修道士マーヴィン・ジョーンズ、口上として冒頭に登場する名優のジョン・ギールグッド、ジュリエットの結婚相手で貴族のノーマン・ウーランド、ロミオの従兄で友人のビル・トラヴァース、ジュリエットの父親セバスチャン・キャボット、母親リディア・シャーウッド、一族のエンツォ・フィエルモンテ、ロミオの友人ウバルド・ゾッロ、ヴェローナの太守ジョヴァンニ・ロータ、ロミオの両親ジュリオ・ガルビネットとニエッタ・ゾッキ、修道士トーマス・ニコルズなどが共演している。