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リオ・ブラボー Rio Bravo (1959)

悪党に立ち向かう保安官らの戦いを描く、製作、監督ハワード・ホークス、主演ジョン・ウェインディーン・マーティンリッキー・ネルソンアンジー・ディキンソンウォルター・ブレナンウォード・ボンドジョン・ラッセルクロード・エイキンス他共演による傑作西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ハワード・ホークス

製作:ハワード・ホークス
原作:B・H・マッキャンベル”Rio Bravo”
脚本
ジュールス・ファースマン

リー・ブラケット
撮影:ラッセル・ハーラン
編集:フォルマー・ブラングステッド
音楽:ディミトリ・ティオムキン

出演
ジョン・ウェイン:ジョン・T・チャンス
ディーン・マーティン:デュード”ボラチョン”
リッキー・ネルソン:コロラド・ライアン
アンジー・ディキンソン:フェザーズ
ウォルター・ブレナン:スタンピー
ウォード・ボンド:パット・ウィーラー
ジョン・ラッセル:ネイサン・バーデット
クロード・エイキンス:ジョー・バーデット
ペドロ・ゴンザレス=ゴンザレス:カルロス・ロバンテ
エステリタ・ロドリゲス:コンスエラ・ロバンテ
ハリー・ケリーJr.:ハロルド(クレジットのみ)

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1959年製作 141分
公開
北米:1959年4月4日
日本:1959年4月21日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
テキサス州、プレシディオ郡、リオ・ブラボー。
酒場で、落ちぶれた酔っ払いデュード(ディーン・マーティン)が、町の悪党ジョー・バーデット(クロード・エイキンス)がタンツボに投げ込んだ金を拾い出そうとする。

デュードは、保安官ジョン・T・チャンス(ジョン・ウェイン)にそれを止められる。

チャンスを殴り倒したデュードは、ジョーにも殴りかかるが、彼の手下が加勢しデュードは叩きのめされる。

それを止めようとした男をジョーが撃ち殺し、彼は、何食わぬ顔で、町を牛耳る兄ネイサン・バーデット(ジョン・ラッセル)の酒場に向かう。

チャンスとデュードはジョーの後を追い、二人は協力してジョーを捕え、留置場に入れてしまう。

その後、ジョーの逮捕を知ったネイサンは、人を雇い町をうろつかせ、チャンスを威嚇する。

翌日、町を訪れた、チャンスの親友のパット・ウィーラー(ウォード・ボンド)の、ダイナマイトなどを運ぶ幌馬車隊は、町の入り口でネイサン一味に、そして、その後、保安官補になったデュードに止められる。
...全てを見る(結末あり)

ウィーラーは、話しかけてきたデュードに見覚えがあり、スペイン語で”ボラチョン”(飲んだくれ)と言う意味だと本人から教えられる。

そしてウィーラーは、保安官事務所でチャンスにも止められるが、その理由を彼に尋ねるのも面倒になる。

チャンスは新入りが気になり、早撃ちで鳴らした男の息子、二挺拳銃の生意気な青年コロラド・ライアン(リッキー・ネルソン)を、ウィーラーから紹介される。

ウィーラーは、チャンスがトラブルを抱えていることを察し、ダイナマイトの積荷を川岸に向わせ、チャンスから事情を聞く。

チャンス側は、足の悪い老人のスタンピー(ウォルター・ブレナン)と、飲んだくれのデュードしかいなかった。

スタンピーはジョーの見張り役で、最後の砦としてショットガンを片手に息巻いていた。

その後、ウィーラーからの届け物を受け取ったチャンスは、ホテルの主人カルロス・ロバンテ(ペドロ・ゴンザレス=ゴンザレス)の元に向う。

カルロスは、待っていた物を手に入れ、妻コンスエラ(エステリタ・ロドリゲス)におかしな目で見られながら、チャンスと二階に向う。

荷物はコンスエラにプレゼントする下着で、それを確認していたチャンスとカルロスの部屋に、町に立ち寄った女ギャンブラーのフェザーズ(アンジー・ディキンソン)が現れる。

フェザーズは、ネイサンが町を封鎖してしまったために、駅馬車の出発が遅れて足止めされていた。

夜になり、アルコールが切れて落ち着かないデュードを連れ、チャンスは町の見回りに出る。

チャンスは、ウィーラーが、町の者に保安官側に加勢するよう、言い回っているということをカルロスから聞く。

酒場でウィーラーに釘を刺したチャンスは、デュードに失言してしまったウィーラーに、デュードが、酒に溺れる以前には優秀な助手だったことを知らせる。

ウィーラーは、飲んだくれと足の悪い老人しか頼れないチャンスに、コロラドを加勢させようとする。

しかし、コロラドは、他人事にはかかわりたくないと言ってそれを断る。

その後チャンスは、手配書も出ているフェザーズの、イカサマ賭博の一件で彼女と揉める。

しかし、 コロラドがイカサマ師が居ることをチャンスに告げて、彼はそれを突き止める。

チャンスは、コロラドに促されフェザーズの元に向うが、彼女にはっきりとは謝罪せず、ギャンブラー生活から足を洗うよう忠告するに留める。

その後、チャンスへの協力を町中に触れ回っていたウィーラーは、ネイサン一味によって命を奪われる。

それを知ったコロラドは、揉め事に手を貸さなかったことを後悔し、チャンスとデュードは犯人を追う。

馬屋に逃げ込んだと思われた犯人は逃げるが、デュードが銃撃して怪我を負わせる。

チャンスとデュードは、犯人をバーデットの酒場に追い詰めて、酒びたりから立ち直ろうとするデュードが、チャンスの援護で表から酒場に入る。

デュードは、酒場にいたネイサンの手下を調べ始めるが犯人らしき男は見つからない。

ネイサンの手下はデュードを嘲り笑い、タンツボに銀貨を投げ入れて彼を侮辱する。

しかしデュードは、二階から犯人の怪我の傷の血が滴り落ちるのに気づき、振り向き様に犯人を撃ち殺す。

犯人は、50ドル金貨一枚で人殺しとして雇われたと見られ、それを知ったチャンスは怒りを露に、ネイサンの手下達を威嚇する。

デュードは、タンツボに銀貨を投げた男にそれを拾わせ、チャンスと共にその場を立ち去る。

事務所に戻ったチャンスらの元にコロラドが現れ、ウィーラーの敵討ちの礼を言う。

幌馬車隊は解散することになり、コロラドの、当座の世話を買って出るチャンスだった。

宿のホテルに帰ったチャンスは、彼が命を狙われている事情も知らずに憤慨したことを、フェザーズに謝罪される。

フェザーズから、手配書に載った理由などを聞いたチャンスは、それを破り捨ててそそくさと部屋に向う。

チャンスに惹かれ始めていたフェザーズは、相変わらず素っ気無い彼の態度に苛立つ。

翌朝、フェザーズが自分を一晩中見張っていたことを知ったチャンスは、そのことで再び彼女と揉めてしまう。

町の入り口で、流れ者の武装解除をしていたデュードは、ジョーに面会に来たネイサンの銃を預かり、彼らを町に入れる。

ネイサンを待ち構えていたチャンスは、彼を牢屋に案内して、土地を奪われネイサンに恨みを持つスタンピーが、ジョーの命を預かっていることを伝える。

チャンスは、財力に物を言わせて殺し屋を雇い、圧力をかけるネイサンに、劣勢を承知で脅しをかける。

その後チャンスは、フェザーズが駅馬車に乗らなかったのをカルロスから知らされ、彼女の元に向かい意見しようとする。

しかし、女の扱いに慣れないチャンスは、完全にフェザーズのペースに巻き込まれ、彼女を抱きしめて部屋を後にする。

その頃、酒場で次の対策を思案していたネイサンは、”アラモの砦”を包囲した、サンタ・アナ軍が奏でた”El Deguello/皆殺しの唄”を演奏させる。

その意味をコロラドから聞いたチャンスは、ネイサンの考えを知り、落ち着かない時を過ごす。

気晴らしにホテルに向かったチャンスは、買い戻しておいた二挺拳銃をデュードに渡し、彼の身なりも整えさせようとする。

風呂に入り、服を着替えてフェザーズにヒゲまで剃ってもらったデュードは、事務所の入り口でスタンピーに発砲されてしまう。

酒浸りで野良猫のようだったデュードだと、見分けがつかなかったスタンピーは、くどくどと彼の不甲斐なさを話し始め、立ち直りかけたデュードの気分を害してしまう。

ホテルに帰ったチャンスは、再び見張りをするフェザーズを抱きかかえて部屋に向う。

翌朝、気分が優れず苛立つデュードは、不意をつかれてネイサンの手下に捕まってしまう。

銃を隠し持って町に入ったネイサンの手下は、油断していたチャンスに銃を突きつける。

それを知ったコロラドは、フェザーズの協力でチャンスにライフルを投げ渡し、その間にコロラドが早撃ちで敵を倒す。

縛られていたデュードを助けたチャンスだったが、立ち直る自信をなくし、弱音を吐くデュードに厳しい言葉をぶつける。

デュードはチャンスを殴り、彼は立ち直れないデュードを見限り、保安官補を辞めようとする彼を止めようといない。

チャンスは、倒した犯人が100ドル金貨を持っていたことを知り、殺し合いを見たフェザーズは動揺してしまう。

ネイサンから見て、コロラドはチャンス側だと判断されることになり、彼は保安官補になるために事務所に向う。

デュードは、保安官補になったコロラドを見て、バッジを外して酒を手にするが、その時、”皆殺しの唄”が聴こえてる。

デュードはそれを聞いた瞬間、手の震えが止まりついに立ち直ることができる。

頼もしさの戻ったデュードとコロラドが加わり、チャンス側に余裕が出て、陽気なムードに包まれる事務所だった。

しかし、カルロスと妻コンスエラがネイサンの手下に脅され、デュードとチャンスは罠はまり、デュードが捕らえられてしまう。

手下達にジョーの釈放を要求されたチャンスに、それを承諾するようデュードが説得する。

スタンピーの出方を知るデュードは、事務所で彼が手下を倒すと考えていたのだ。

チャンスは事務所に向い、思惑通りスタンピーとコロラドが手下を倒すが、デュードは連れ去られてしまう。

それを知ったチャンスは、カルロスに、ネイサンの様子を見に向わせる。

ネイサンは、デュードと交換でジョーの引渡しを要求してきたため、決着の時と見たチャンスは、ジョーを連邦保安官に引渡すのを止めて対決に備える。

町にネイサン一味が現れ、チャンスは、足の悪いスタンピーを置いて川辺の小屋に向かう。

そして、デュードとジョーの引渡しが始まるが、デュードの機転で彼がジョーを叩きのめして銃撃戦が始まる。

コロラドがデュードに銃を投げ渡し、スタンピーやカルロスまでもが現れ、チャンスとコロラドに加勢する。

ダイナマイトの積荷の、幌馬車近くにいたスタンピーの元に向ったチャンスは、スタンピーのアイデアでダイナマイトを使い、ネイサン一味が立てこもる倉庫を吹き飛ばす。

そしてネイサンは観念して、町に平和が訪れる。

全てが解決したチャンスだったが、フェザーズが旅立とうとすることが気がかりだった。

チャンスは、デュードとスタンピーに促され、仕方なくフェザーズの元に向かう。

しかし、口下手なチャンスは、まともに愛を語ることができず、終いには、肌を露にしていたフェザーズに、”人前に出たら逮捕する”と言ってしまう。

それを聞いたフェザーズは、それがチャンスの愛情表現だと知り二人は愛を確かめる。

そして、チャンスは、フェザーズの脱いだタイツを窓から投げ捨てる。

それを通りで拾ったスタンピーは、チャンスがフェザーズとうまくやっていることをデュードと共に確信する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
リオ・ブラボーの保安官ジョン・T・チャンスは、丸腰の男を射殺した、町を牛耳っているネイサン・バーデットの弟ジョーを逮捕する。
チャンスは、足の悪い老人スタンピーとで詰め所を守っていた。
かつては凄腕ではあったが、女と酒に溺れて酔いどれとなったデュードを保安官補にてし、チャンスはネイサンの圧力に対抗しようとする。
劣勢のチャンスは、自分に加勢しようとして殺された、旧友で幌馬車隊のリーダー、ウィーラーを慕う、早撃ちの若者コロラドの加勢を得ることになる。
そしてチャンスらは、女ギャンブラーのフェザーズ、ホテルの主人カルロスらの協力で、多数の殺し屋を雇ったネイサンに立ち向かおうとするのだが・・・。
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ハワード・ホークスジョン・ウェインコンビによる、「エル・ドラド」(1967)と「リオ・ロボ」(1970)に加えた”テキサス3部作”の第1作。

アメリカでは、他の二作は、本作のリメイクという位置づけに近い作品とされている。

男臭さ、チームワーク、見事なガンプレー、ユーモアとお色気に、陽気で楽しい歌まで盛り込んだ、巨匠ハワード・ホークスの、シャープな演出も冴え渡る、ハリウッド映画史上屈指の傑作西部劇。

2014年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

上映からタイトルロールをむ含む5分間に、惨めな酔っ払い、保安官、殺人者などが登場し、物語のきっかけとなる事件がいきなり起きるのだが、気づくとこの間は、セリフが一言もなく、思わず画面に引き込まれてしまうという、見事な演出にまず脱帽だ。

ハワード・ホークスは、本作から遺作となる「リオ・ロボ」(1970)まで、6作中4作がジョン・ウェイン主演作となる。
ハタリ!」(1962)もいいが、本作が彼の晩年のベストと言えるかもしれない。

ディミトリ・ティオムキンの、長閑で優しい雰囲気のテーマ曲とは対照的に、緊迫感を煽る”皆殺しの唄/El Deguello”のメロディの使い方は効果抜群だ。

拳銃を一度も抜かないジョン・ウェインは、ライフルをおもちゃのように扱い、いつもよりかなりスリムに感じられ、終始、寡黙な男で通している。

腕は立つが口下手で、女の扱いにも苦労し、それに加えて、才能ある酔いどれの助手を立ち直らせるエピソード、世話焼き老人との掛け合いなど、戦いとは別の筋立てが絶妙に絡み合い、娯楽の要素満載であり、140分余りの長編ながら飽きることなく楽しめる。

デュード(ディーン・マーティン)が立ち直り、保安官事務所での和やかな一時に見せる、ウェインの笑顔もまたいい。

もちろんウェインは、ハワード・ホークスに敬意を表し、「赤い河」(1948)のバックル”RED RIVER D”をつけている。

*私も愛用しています。
(レプリカなのでオリジナルとは違う)

落ちぶれた酔いどれがはまっているディーン・マーティンが、厳しいウェインと、人間味溢れる助手のウォルター・ブレナンに支えられながら、ようやく立ち直るシーンは、演技派としても十分通用する見事な演技であり、もちろん甘い歌声も聴かせてくれる。

また、ジョン・フォード作品の常連で、ウェインとはプライベートで親交深かったウォード・ボンドの遺作となった作品である。
彼は、翌年の11月に亡くなり、ウェインが葬儀委員長を務めた。

ややぎこちない演技だが、そこがまた初々しい早撃ち用心棒リッキー・ネルソン、口下手なウェインにやきもきしてしまう美女アンジー・ディキンソン、世話焼きで口うるさい老人ウォルター・ブレナンクリント・イーストウッドの「ペイル・ライダー」(1985)にも出演した、悪党のボス、ジョン・ラッセル、その弟で、まだ若いクロード・エイキンス、ホテルを経営する愉快なメキシコ人夫婦ペドロ・ゴンザレス=ゴンザレスとその妻エステリタ・ロドリゲスなど、個性溢れる共演者の出演も実に嬉しい。

ジョン・ウェインとはジョン・フォード作品やハワード・ホークスの「赤い河」(1948)などにも出演しているハリー・ケリーJr.だが、何回観ても、どこに登場しているのか不明だった。

実は彼は、何度も仕事をしているとはいえ、親子ほど年の違う巨匠ハワード・ホークスを、”ハワード”とファーストネームで呼んでしまい、激怒したハワード・ホークスは、クレジットの名前のみ残し、ハリー・ケリーJr.の登場場面をカットしてしまったという経緯があったことを、後に知って納得した。


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