大金を手に入れて世界旅行に旅立った若い夫婦が様々な体験の末に真の幸せに気づくまでを描く、監督、脚本アルフレッド・ヒッチコック、主演ヘンリー・ケンドール、ジョーン・バリー、ベティ・アマン、パーシー・マーモント他共演のコメディ・ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:ジョン・マックスウェル
原作:デイル・コリンズ
脚本
アルマ・レヴィル
アルフレッド・ヒッチコック
ヴァル・ヴァレンタイン
撮影
ジャック・E・コックス
チャールズ・マーティン
編集
ウィニィフレッド・クーパー
レネ・マリソン
音楽:アドルフ・ハリス
出演
フレッド・ヒル:ヘンリー・ケンドール
エミリー・ヒル:ジョーン・バリー
王女:ベティ・アマン
ゴードン:パーシー・マーモント
女性:エルシー・ランドルフ
イギリス 映画
配給 British International Pictures
1931年製作 92分(イギリス) 83(北米)
公開
イギリス:1931年12月10日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン。
仕事を終えて帰宅したフレッド・ヒル(ヘンリー・ケンドール)は、マンネリ化した生活を変えたいことを妻エミリー(ジョーン・バリー)に伝える。
贅沢を好まないエミリーは、まず自分達の家を持つことだけを望んでいた。
生活を変えたいことを知ったおじからの手紙を受け取ったフレッドは、好きなところに旅するようにという言葉と共に大金を受け取る。
世界旅行に出発したフレッドとエミリーは、イギリス海峡を船で渡る。
パリ。
ミュージック・ホール”フォリー・ベルジェール”で楽しい夜を過ごしたフレッドとエミリーは、カフェに寄り酔ってホテルに戻る。
マルセイユ。 フレッドは船酔いで部屋に閉じ篭り、その間エミリーは、紳士のゴードン(パーシー・マーモント)と親交を深める。 地中海。 素晴らしいものだとも言われたゴードンは恋に興味を持ち、恋をしてみるのもいいかもしれないとエミリーに語る。 エミリーが自分との恋を望んでいることも考えたゴードンは、友人に自分達が夫婦だと間違われてしまう。 夕食後、ゴードンとデッキでくつろいでいたエミリーは、フレッドの様子を気にする女性(エルシー・ランドルフ)から、船酔いに効く貼り薬があると言われる。 女性からのブリッジの誘いを断ったゴードンは、エミリーと意識し合いキスしてしまう。 その場を離れたエミリーは、女性から貼り薬をもらいゴードンと別れる。 部屋に戻ったエミリーは、ベッドでうわ言を言いながら眠るフレッドを見て落胆する。 翌朝、気分が良くなったフレッドは、デッキに出て外の空気を吸う。 デッキ・テニスのリングを顔に当てられたフレッドは、謝罪する女性に(ベティ・アマン)注意するが、相手がドイツ人の王女だと知り驚いてしまう。 エジプト、ポートサイド。 乗客は観光を楽しむが、エミリーは、フレッドが王女と行動する姿を気にする。 スエズ運河。 船に戻ったフレッドは、王女といい雰囲気になり、彼女から部屋の番号を知らされてその場に向かう。 再びエミリーにキスしてしまったゴードンは、酔っていたと言って彼女に謝罪する。 ラウンジに向かったエミリーとゴードンは、酔っていたフレッドのテーブルに向かう。 そこに王女が現れたため、フレッドとエミリーは気まずい雰囲気になる。 セイロン(現スリランカ)、コロンボ。 悩みがあると言うエミリーは、フレッドと王女のことではなく、自分達が心配だとゴードンに伝える。 エミリーを裏切ったことを後悔していると言うフレッドは、王女以上に愛せなくなったと彼女に伝える。 旅の最終日の夜。 一人で船を降りると王女に言われたフレッドは、エミリーのことが気になり始める。 シンガポール。 フレッドを非難するゴードンは、彼が王女ではないペテン師に騙されたことを伝える。 夫を見捨てることができないエミリーは、フレッドの元に戻ろうとする。 エミリーが現れたために”王女”は席を外し、フレッドは、ゴードンが一人で発ったことを知らされる。 自分に恋したゴードンに同行を求められたことを話すエミリーは、彼との関係で、フレッドを客観的に見ることができたと伝える。 ”王女”はペテン師だと言われたフレッドは、それを信じようとせずに憤慨する。 フレッドは、”王女”と発つと言って部屋を出る。 涙するエミリーは、愛を伝えるゴードンからの手紙を受け取る。 戻って来たフレッドは、”王女”がビルマのラングーン(現ミャンマー、ヤンゴン)に旅立ったことをエミリーに伝える。 ”王女”が、単なるベルリンのクリーニング店の娘でペテン師だと知ったフレッドは、怒りを抑えながら今後のことを考える。 帰国することになったフレッドとエミリーは、蒸気船で故郷に向かう。 船が揺れて部屋のドアが開かなくなり、フレッドとエミリーは、船体が沈み始めていることに気づいて焦る。 死を覚悟した二人は、互いの愛を確かめ合う。 夜が明けて日の光に気づいたエミリーは、船が沈んでいなかったため、窓を開けてそれを確認してフレッドと共に喜ぶ。 窓から外に出た二人はデッキに向かうものの、誰もいなかった。 二人は着るものを探し、炊事係の死体を発見する。 猫を見つけてバーで酒を飲んだ二人は、大きな揺れと共に船が沈み始めたことに気づく。 フレッドとエミリーはジャンクに乗り移り、船員達が、溺れる仲間を助けない様子を見守る。 女性から食事を与えられたフレッドとエミリーは、それが猫を料理したものだと分かる。 その後、妊娠していた女性が船内で出産したことを知った二人だったが、男達が、生れたばかりの赤ん坊に海水をかけたためにエミリーは驚く。 中国人には彼らなりのやり方があると言うフレッドは、エミリーを愛しく思いキスする。 ロンドン。
豪華客船で東に向かおうとする二人だったが、海が荒れると聞いたフレッドは憂鬱になる。
...全てを見る(結末あり)
恋に縁がないというゴードンに、厄介で危険なものだとエミリーは伝える。
エミリーに気のない返事しかしないフレッドは王女と共に、エミリーはゴードンに声をかけられて下船する。
ゴードンと共にカーニバルを楽しんでいたエミリーは、フレッドと王女が寄り添う姿を目撃して心が沈む。
フレッドが王女と一緒だと知ったエミリーは、ゴードンと共に下船して街に向かう。
別れを惜しむゴードンは、面倒をみさせてほしいとエミリーに伝え、彼女は戸惑いながらその気持ちを理解する。
今まではフレッドの奴隷だったとエミリーに伝えたゴードンは、今後は自分が幸せにすることを約束する。
家に戻ったフレッドとエミリーは、愛を確かめ合いながら、家を引っ越す話になり口論になる。
*(簡略ストー リー)
ロンドン。
メンネリ化した生活を変えたいと考えていたフレッド・ヒルは、それを知ったおじから、旅に出るようにと言われ大金を受け取る。
妻エミリーと共に世界旅行に出発したフレッドは、パリを経由して、マルセイユから豪華客船に乗り地中海に向かう。
フレッドが船酔いで部屋に閉じ篭る間、エミリーは紳士のゴードンと親交を深める。
ようやく気分が良くなったフレッドは、ドイツ人の王女と知り合い、彼女と行動を共にする。
そんなフレッドを気にしながら、エミリーはゴードンの優しさに惹かれていくのだが・・・。
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アルフレッド・ヒッチコックと妻のアルマ・レヴィル、そしてヴァル・ヴァレンタインの共同脚本による、デイル・コリンズの小説を原作として製作された作品。
トーキーの初期であるイギリス映画ということで、場面の解説なども入る、サイレント的な作風であるところなどが興味深い。
また、その当時を考えると映像の美しさは驚きで、録音技術も確りしているところにも注目したい。
マンネリ化夫婦の気晴らし的な船旅が始り、それぞれが旅の友を見つけてしまい問題が発生するあたりまでは面白い。
しかし、終盤は、起きる出来事を淡々と描写するだけの単純な演出が気になる。
視覚的工夫の面白さも序盤に集中し、盛り上がりを期待するような内容でもないが、今一、物足りない雰囲気に終始する。
大金を手にして旅立ち、ペテン師に騙されながら、結局はその体験により、マンネリ化した生活から脱するきっかけを掴む主人公を演ずるヘンリー・ケンドール、その妻を愛らしく好演するジョーン・バリー、王女と偽り主人公を騙すペテン師のベティ・アマン、ヒロインに惹かれながら、彼女の幸せを願う紳士のパーシー・マーモント、客船のお騒がせな乗客エルシー・ランドルフなどが共演している。