1961年に発表された、リチャード・イエーツの”Revolutionary Road”を基に製作された作品。 将来への夢や希望を想い描きながら結婚した夫婦の心の葛藤を描く、製作、監督サム・メンデス、主演レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、キャシー・ベイツ、マイケル・シャノン他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・メンデス
製作
ボビー・コーエン
サム・メンデス
スコット・ルービン
原作:リチャード・イエーツ”Revolutionary Road”
脚本:ジャスティン・ヘイス
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ターリク・アンウォー
美術・装置
クリスティ・ズィー
デボラ・スカット
衣装デザイン:アルバート・ウォルスキー
音楽:トーマス・ニューマン
出演
フランク・ウィーラー:レオナルド・ディカプリオ
エイプリルウィーラー:ケイト・ウィンスレット
ヘレン・ギビングス:キャシー・ベイツ
シェップ・キャンベル:デヴィッド・ハーバー
ミリー・キャンベル:キャスリン・ハーン
ジョン・ギビングス:マイケル・シャノン
バート・ポロック:ジェイ・O・サンダース
モーリーン・グルーブ:ゾーイ・カザン
ジャック・オールドウェイ:ディラン・ベーカー
ハワード・ギビングス:リチャード・イーストン
アメリカ/イギリス 映画
配給 ドリームワークス/Paramount Vantage
2008年製作 119分
公開
北米:2008年12月26日
イギリス:2009年1月30日
日本:2009年1月24日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $22,911,500
世界 $75,225,690
■ アカデミー賞 ■
第81回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優(マイケル・シャノン)
美術・衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1955年、コネチカット州。
中流家庭の平凡なサラリーマンのフランク・ウィーラー(レオナルド・ディカプリオ)と妻のエイプリル(ケイト・ィンスレット)は、二人の子供と共に郊外の”レボリューショナリー・ロード”の一軒家で幸せな毎日を送っていた。
二人は、あるパーティーで知り合い結婚し、女優志願だったエイプリルは、市民劇団に入っていた。
その劇団の公演があり、フランクは、家を紹介してくれたヘレン・ギビングス(キャシー・ベイツ)には、儀礼として妻エイプリルの演技を褒められる。
しかし、エイプリル自身は、劇の出来が悪くショックを受けていた。 隣人のシェップ・キャンベル(デヴィッド・ハーバー)とミリー(キャスリン・ハーン)夫妻に、打ち上げに誘われるものの、エイプリルは気が進まない。 気を使ったフランクは、シェップ達の誘いを断り帰宅することになる。 帰宅途中、そんなエイプリルに、フランクは気にする必要はないと励ます。 しかし、エイプリルは納得できず、フランクの励ましを受け入れようとせず、二人は口論になってしまう。 夢を追い続け、自分はそれが必ずつかめると確信しながら生きてきたエイプリルには、厳しい現実だったのだ。 翌朝、フランクは、わだかまりを残しながらニューヨークの勤務先に向かう。 その日フランクは、同僚の女性社員モーリーン・グルーブ(ゾーイ・カザン)を誘い、昼間から酒を酌み交わしてしまう。 家事に追われていたエイプリルは、ヘレンの訪問を受け、精神治療で入院中の息子ジョン(マイケル・シャノン)の話し相手になって欲しいと頼まれ、彼女はそれを承諾する。 フランクも、父のようにはなりたくないと思いながら生きてきたが、結局は父と同じ会社で同じような地道な道を歩んでいた。 その後エイプリルは、フランクとの思い出に浸っていたが、飲み過ぎたたフランクは、モーリーンのアパートに向かい、ベッドを共にしていた。 モーリーンのアパートを後にしたフランクは帰宅し、着飾ったエイプリルから、芝居の後の態度を謝罪される。 そして、誕生日だったフランクは、子供達にも笑顔で迎えられる。 フランクは感激し、モーリーンのことで、罪悪感を感じてしまう。 エイプリルが着飾り機嫌を直したのには、他にも理由があった。 再び心豊かになる、夢を実現するアイデアが浮かんでいたエイプリルは、就寝前にその計画をフランクに打ち明ける。 それは、フランクが軍人時代に滞在して、魅了されていたパリに、家族で移住するということだった。 そして、フランクは自由な生活を楽しみ、エイプリルが働き、生計を維持するという計画だった。 結婚生活の亀裂を修正しようというより、やはり価値ある人生に目を向けるエイプリルだった。 自分は、どうしても他人と違う人生を歩む運命だと強く信ずるエイプリルには、平凡な生活は耐えられないものになっていたのだ。 安定した仕事もあり、何不自由なく暮らしていることに疑問を見つけられないフランクは、当然反対する。 しかし、エイプリルの熱意に動かされ、フランクはその計画を受け入れる。 移住は9月に決まり、心も晴れたフランクは会社の同僚ジャック・オールドウェイ(ディラン・ベーカー)らにその計画を話すが、周囲は頭を傾げるばかりだった。 希望に燃えるフランクとエイプリルは、旅立ちの準備を始めて夢が広がる。 ある休日の午後、隣人のシェップの家を訪ねたフランクとエイプリルは、パリ移住計画を知らせる。 フランクとエイプリルは、シェップ達の驚いた顔に満足し、その夜、二人は愛し合う。 そして二人は、ヘレンと夫ハワード(リチャード・イーストン)に付き添われた、息子ジョンの訪問を受ける。 冒険心のあるエイプリルは、精神を病んではいるがインテリだというジョンと会うのを楽しみにしていた。 大柄なジョンは、初めて会うフランク達に臆することなく、挨拶もそこそこ、単刀直入に次々と意見を述べ始める。 息子の暴走を制止しようとしたヘレンだったが、フランクはジョンを森へ散歩に誘う。 そこでジョンは、”空虚な人生から逃れる”ため、パリに行くというフランクとエイプリルの意見に共感する。 その後もウィーラー家の移住の準備は進むが、フランクは、取引先の社長バート・ポロック(ジェイ・O・サンダース)から、コンピューターの新事業に誘われる。 フランクにとってはこの上ない条件の誘いに、彼の心は揺れ動くが、ポロックに移住の計画があることを伝える。 家に”売り家”の看板も付いた頃、フランクはエイプリルから妊娠した事実を知らされる。 パリ行きのために中絶するか、フランクはエイプリルと、12週目までに考えをまとめることにする。 その後エイプリルは、フランクが再び昇給に心を動かされたことを知り、彼と口論になる。 フランクは、エイプリルが自分の手で中絶しようとしていることに憤慨する。 自分の考えの正当性を訴えるフランクは、エイプリルが、理性を失いかけていると判断し、彼女を精神科医に診せようとする。 フランクは、この地でエイプリルを幸せにすることを約束し、そして彼女は移住計画を諦める。 翌日、フランクはポロックを訪ね、仕事を受けることを彼に告げる。 移住中止はシェップとミリーには歓迎され、4人はバーで楽しい時を過ごす。 駐車場でシェップの車が出られなくなり、気分が悪くなったミリーをフランクが先に送っていくことになる。 バーに残ったシェップは、自分達だけには輝ける未来があると信じて、それにすがって生きてきたというエイプリルの”秘密”を聞かされる。 そして、以前からエイプリルに好意を持っていたシェップは、移住に未練を残す彼女を慰め、二人は成り行きで結ばれてしまう。 問題の12週間が経ち、エイプリルとの会話がなくなったフランクは、自分が浮気をしたことを告白する。 しかし、エイプリルは、もはや愛情もなく、関心がないことだとフランクに言い放つ。 そこに、ヘレン一家が現れ、彼女らに移住中止を知らせたフランクとエイプリルだったが、ジョンはそれを猛烈に批判する。 ジョンに、心の内を読まれているように感じたフランクは、彼に怒りをぶつけて罵倒してしまう。 尚も自分を侮辱するジョンに、殴りかかろうとしたフランクだったが、ヘレンに制止され、彼女らはその場を立ち去る。 自分が思っていることを、ジョンが代弁してくれたとまで言い放ち、エイプリルはフランクを嫌い避けようとする。 フランクは憤慨し、エイプリルに中絶して欲しかったと言ってしまう。 森に駆け込んだエイプリルは、それを追ってきたフランクとの会話を拒絶し、その後、その日は二人とも別々に時を過ごし、彼女は考えを巡らせる。 翌朝、エイプリルは、何事もなかったかのように出社するフランクと食事を取り、彼を安心させて会社に送り出す。 その後エイプリルは、泣きながら食事の後始末を済ませ、子供を預けているミリーに電話をかける。 そして、エイプリルは死を覚悟して堕胎処置を行い、自ら救急車を呼ぶ。 病院に呼ばれたフランクは、エイプリルの出血が酷く、意識を失っていることを、駆けつけたシェップに知らされるが、彼女はそのまま息を引き取る。 シェップは、フランクとエイプリルの件を忘れることに決め、抜け殻のようになったフランクは、子供達の成長だけが支えになった。 フランク達に家を紹介したヘレンは、”レボリューショナリー・ロード”のあの家に、彼らが相応しい住人だったかを疑問に思う。 さらに、あれほど世話を焼いていたにも拘らず、ヘレンはフランク達の批判を始める。 それを聞いていた夫のハワードは、妻の言葉を聞くことが堪え難くなり、補聴器のスイッチを切ってしまう。
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*(簡略ストー リー)
1955年、コネチカット州。
中流家庭の平凡なサラリーマン、フランク・ウィーラーは、妻エイプリルと子供達と共に、郊外の”レボリューショナリー・ロード”の一軒家で、幸せな毎日を送っていた。
夢を追い続け、必ずそれが実現できると確信しながら生きてきたエイプリルは、厳しい現実の壁に突き当たることでショックを受けては、フランクと口論することもあった。
フランクも、父のようにはなりたくないと思いながらも、同じような地道な道を歩んでいた。
そんな時エイプリルは、パリに家族で移住して、心豊かになるという夢を、実現するアイデアが浮かぶ。
それを知らされたフランクは、当然それに反対するものの、平凡な生活は耐えられず、価値ある人生にを追い求めたいと言う、エイプリルの熱意に負け、その計画に同意する。
何不自由ない生活を捨て、夢を実現させるという二人の計画は、周囲からは奇異な目で見られる。
それを気にせず、二人は希望に燃え準備を進めるが、エイプリルの予定外の妊娠、そして、フランクの新事業への誘いなどで、彼らの心は揺れ動いてしまう・・・。
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現代の、アメリカの抱える様々な問題を描き、アカデミー作品、監督賞などを受賞した問題作「アメリカン・ビューティー」(1999)のサム・メンデスが、妻であるケイト・ウィンスレットを主演に(当時)、最も豊かで平和ではあったが、女性の社会進出は今ほど自由とはいえなかった、1950年代半ばのアメリカを舞台に、再び”アメリカの悲劇”を描いた作品。
豊かさの象徴のような、郊外の閑静な一軒家と家具調度品など、ロジャー・ディーキンスの整った映像表現、ストーリーや作風、トーマス・ニューマンの曲他、「アメリカン・ビューティー」に良く似た仕上がりとなっている。
現代風にコメディ・タッチで描かれた「アメリカン・ビューティー」に比べ、主演二人の、激しく意見をぶつけ合う姿などは、舞台劇を見ているような迫力もある。
第81回アカデミー賞では、助演男優(マイケル・シャノン)、美術、衣装デザイン賞にノミネートされた。
「タイタニック」(1997)以来となる、11年振りのレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの共演が話題にはなったが、甘いラブ・ストーリーを期待していると、ショックを受けるかもしれない衝撃的な展開が待ち構えている。
レオナルド・ディカプリオは前半、1950年代のグレゴリー・ペックやウィリアム・ホールデンを意識したような、仕草や物腰がどうも気になったのだが、馴染んでくると、それが次第に懐かしさや郷愁に変わり、好演と合わせて実にいい味を出しているという印象だ。
自分自身や、夫に対しての考えや心の葛藤を、見事な表現力で演ずるケイト・ウィンスレットは、設定年齢の割にはやつれている、苦悩する女性の雰囲気で演じ、ディカプリオ以上の熱演を見せてくれる。
精神を病んではいるが、主人公達の真意を鋭く捉え、短い出演だが助演陣の中では際立つ存在感を見せる、マイケル・シャノンの好演が光る。
主演の二人とは「タイタニック」(1997)でも共演した、主人公達の家の紹介者キャシー・ベイツ、密かにエイプリル(K・ウィンスレット)に思いを寄せる隣人役のデヴィッド・ハーバー、その妻役のキャスリン・ハーン、フランク(L・ディカプリオ)を事業に誘う取引先の社長ジェイ・O・サンダース、フランクの同僚で浮気相手ゾーイ・カザン(エリア・カザンの孫)、思慮深いヘレン(K・ベイツ)の夫リチャード・イーストンなどが共演している。