フランス革命期、独裁権力を手に入れることを企む革命家マクシミリアン・ロベスピエールを倒そうとする愛国者の戦いを描く、製作総指揮:ウォルター・ウェンジャー、監督アンソニー・マン、主演ロバート・カミングス、リチャード・ベイスハート、リチャード・ハート、アーレン・ダール、アーノルド・モス、ノーマン・ロイド他共演の歴史ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アンソニー・マン
製作総指揮:ウォルター・ウェンジャー
製作:ウィリアム・キャメロン・メンジース
脚本
フィリップ・ヨーダン
イーニアス・マッケンジー
撮影:ジョン・アルトン
編集:フレッド・アレン
音楽:ソル・カプラン
出演
シャルル・ドービニー:ロバート・カミングス
マクシミリアン・ロベスピエール:リチャード・ベイスハート
フランソワ・バラス:リチャード・ハート
マデロン:アーレン・ダール
ジョゼフ・フーシェ:アーノルド・モス
ジャン=ランベール・タリアン:ノーマン・ロイド
軍曹:チャールズ・マッグロー
ブランチャード夫人:ビューラ・ボンディ
ルイ・アントワーヌ・ド・サン=ジュスト:ジェス・バーカー
ダントン:ウェイド・クロスビー
ピエール・ブランチャード:ジョン・ドーセット
ピエールの長男:ラス・タンブリン
アメリカ 映画
配給 Eagle-Lion Films
1949年製作 89分
公開
北米:1949年10月15日
日本:1953年2月4日
製作費 $771,620
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1794年7月26日、フランス王国、パリ。
革命家マクシミリアン・ロベスピエール(リチャード・ベイスハート)は、右腕のルイ・アントワーヌ・ド・サン=ジュスト(ジェス・バーカー)、秘密警察の長官ジョゼフ・フーシェ(アーノルド・モス)らを従え、独裁的権力を手に入れようとしていた。
オーストリア。
愛国者シャルル・ドービニー(ロバート・カミングス)は、ロベスピエールを倒すために、亡命中のラファイエット侯爵からすべてを託されて指輪を受け取り、ストラスブールに向かい指令を受ける。
ロベスピエールは、同志であるダントン(ウェイド・クロスビー)に有罪判決を下す。
フーシェと共に現れたフランソワ・バラス(リチャード・ハート)と話したロベスピエールは、有能な兵士ダントンに会おうとする彼に、独裁権を得るための指名を求める。 それを拒んだバラスはその場を去り、ロベスピエールは、1か月で500人を処刑した、検事のデュヴァルを呼んであることをフーシェに伝えて、秘密本部があるパン屋に連れて来るよう指示する。 デュヴァルは宿に到着して宿主に歓迎され、愛国者マデロン(アーレン・ダール)がそれを確認する。 部屋に向かったデュヴァルは、何者かに襲われて殺される。 デュヴァルの部屋に向かったマデロンは、暗闇にいた男からデュヴァルが死んだことを知らされる。 デュヴァルに扮しロベスピエールの元に向かおうとしていた男は、マデロンから彼の独裁を阻止したいと言われ、ローソクに火を点けて彼女の顔を確認する。 マデロンは、男がかつて愛し合っていたドービニーだったために驚き、ロベスピエールに会った後でカフェに来るようにと伝えて立ち去る。 その後フーシェが現れ、デュヴァルに扮したドービニーは、ロベスピエールがあるリストを持っていると言う彼と共に出かける。 パン屋に到着したドービニーは地下に案内され、ロベスピエールに歓迎される。 ドービニーと2人で話したロベスピエールは、自分が糾弾して処刑しようとしている者の名前が書かれた秘密ファイル”ブラック・ブック”が盗まれたことを伝える。 同志の中にも名前が記された者がいため、それを知り団結して対抗勢力になる可能性があると、ロベスピエールはドービニーに話す。 ロベスピエールは、ブラック・ブックの内容を知られる前に取り戻す必要があると言って、総会まで姿を隠していると思われる疑わしいバラスのことを話す。 ドービニーに革命政府の特別代理人にして権限を与えたロベスピエールは、24時間以内にブラック・ブックを取り戻すよう指示する。 カフェに向かったドービニーは、マデロンの友人だと言うジャン=ランベール・タリアン(ノーマン・ロイド)から、踊り子を紹介される。 女を追い払ったタリアンは席を外し、ドービニーはその場にいたサン=ジュストに話しかけられ、デュヴァルであることを疑われるものの気にしなかった。 タリアンに呼ばれたドービニーは殴り倒され、サン=ジュストは敵だと言われ、現れたマデロンの部屋に向かう。 寄りを戻す気はないと言うドービニーは、マデロンから街に来た理由を訊かれ、恐怖政治から国を救える唯一の人物バラスに会うためだと答える。 そこにバラスが現れ、ドービニーは、ロベスピエールを抹殺するつもりの彼に、ブラック・ブックが奪われたことを伝える。 バラスは驚き、彼がブラック・ブックを持っていると思ったドービニーは、秘密警察がカフェを包囲したことを知り、2人で逃げようとする。 フーシェはバラスを逮捕しようとするが、自分が捕らえたと言うドービニーから、ロベスピエールから受け取った権限書を見せられる。 その場から逃げようとしてドービニーとバラスは、サン=ジュストが馬車にいることに気づく。 バラスは連れ去られ、ドービニーは、現れたタリアンと共にマデロンの部屋に戻る。 タリアンは、ドービニーがバラスをサン=ジュストに引き渡したことをマデロンに話す。 どちら側なのか訊かれたドービニーは、バラスを救いたいと答えるものの、マデロンに信じてもらえない。 マデロンはドービニーを殺そうとするが、ブラック・ブックを盗んだ者を知っている可能性があるため彼は生かされる。 マデロンと共に仲間のランバートの元に向かったドービニーは、彼が殺されていることを知る。 現れたフーシェから、他の2人も殺されたことを知らされたドービニーは、そのことでマデロンの信頼を回復し、互いの愛を確認する。 サン=ジュストは、デュヴァル(ドービニー)がバラスを逃がそうとしていたことをロベスピエールに話し、それを信じない彼に、宿の主人も疑っていたと伝える。 デュヴァルは影響力があるために、敵に回すことはできないと言うロベスピエールは、彼の妻が到着することをサン=ジュストから知らされる。 そこに現れたドービニーは、サン=ジュストがランバートら3人を殺したと考え、部屋が荒らされていなかった理由を彼に尋ねるものの、明確な答えを得られずにその場を去る。 ドービニーは投獄されているバラスに会い、疑われるものの、本名を名乗り、ラファイエット侯爵から受け取った指輪を見せて信用させる。 サン=ジュストに仲間が殺されたことをバラスに知らせたドービニーは、ブラック・ブックがあれば救えると伝える。 部屋も荒らされていないことと、自分たちの分裂を企んでいると言うバラスの話から、ドービニーはブラック・ブックが盗まれていないことに気づき、ロベスピエールが隠して入ると考える。 バラスは、去ろうとするドービニーに、ブラック・ブックを手に入れたらタリアンに渡すよう指示する。 監房を出ようとしたドービニーは、現れたサン=ジュストに権限書を見せるが、それを焼いた彼から妻が到着することを知らされる。 デュヴァル夫人(マデロン)を伴い監獄に向かったロベスピエールは、ドービニーを呼ぶ。 夫人は、ドービニーにキスして、ここで何をしているのか尋ねる。 その様子を見たロベスピエールはデュヴァルを信用し、夫妻は外に向かう。 そこにデュヴァル夫人が現れ、ドービニーとマデロンは、ロベスピエールに用があると言う彼女を気にしながら馬車に乗り、誤解していたと言うサン=ジュストに見送られる。 本物のデュヴァル夫人に気づいたサン=ジュストは、ドービニーの馬車を追う。 パン屋に寄ったドービニーは、その場にいた自分の正体を知るフーシェに、ブラック・ブックの在りかを知っていることを伝える。 フーシェは、ロベスピエール失脚後にバラスにつくことをドービニーに話し、ブラック・ブックが部屋にあることを知らせる。 部屋の鍵を開けたフーシェは、ドービニーと共にブラック・ブックを捜し、棚の本を確認する。 そこに現れた番犬が、棚のある場所を気にするため、そこの本に肉が隠されていることに気づいたドービニーは、その奥にあったブラック・ブックを見つける。 その内容を確認するドービニーから、自分の名前があることを知らされたフーシェは、ナイフを手にして彼に襲いかかるものの、首を絞められて気を失う。 その場から逃げようとするドービニーは、戻って来たロベスピエールの部下を叩きのめし、馬車に向かい逃走する。 市場に向かったドービニーは、キャベツを売る協力者ピエール・ブランチャード(ジョン・ドーセット)と妻に会う。 タリアンにブラック・ブックを見せたドービニーは、総会まで隠れていろと言われ、ピエールの身分証と馬車を借りて郊外に向かう。 ピエールと妻を尋問したサン=ジュストは、2人を逮捕して、彼らの農場に向かう。 検問を通過できたドービニーとマデロンは、ピエールの家に着く。 ピエールの母親(ビューラ・ボンディ)に息子の友人だと伝えたドービニーとマデロンは、泊めてもらうことになる。 ピエールの長男(ラス・タンブリン)らに声をかけたドービニーは、ソファーで横になる。 その後、追手が来たことに気づいたマデロンに起こされたドービニーは、ソファーにブラック・ブックを置き忘れたまま、農場に向かい納屋に隠れる。 家に押し入ったサン=ジュストと軍曹(チャールズ・マッグロー)は、眠っていた子供たちと祖母が誰も見なかったことを確認する。 サン=ジュストは、ピエールと妻が反逆罪で逮捕されたことを祖母に話し、逃亡者が見つからなければ2人は処刑されると伝える。 祖母が何も知らない様子だったために、サン=ジュストは食事とワインを用意させる。 1人の子供に再び質問したサン=ジュストは、誰も見ていないと言われ、農場を調べた軍曹から誰もいないという報告を受ける。 暫く眠ると言うサン=ジュストはソファーに向かい、祖母はその上にあったブラック・ブックに気づき、それを枕の下に隠す。 サン=ジュストが眠ったために、毛布を掛けながらブラック・ブックを取ろうとした祖母は、軍曹に離れろと言われて指示に従う。 ドービニーとマデロンは、外から中の様子を見てブラック・ブックを奪おうとする。 子供たちに騒ぎを起こさせたドービニーは、軍曹と目覚めたサン=ジュストが部屋出た隙に、マデロンにブラック・ブックを取りに行かせて、馬を奪い逃走する。 マデロンの馬が銃撃され、落馬した彼女を助けたドービニーは、追っ手に追いつかれたために森に隠れる。 月が雲に隠れたタイミングで森から脱出しようとしてドービニーだったが、マデロンが捕まってしまう。 パン屋に連れて行かれたマデロンは拷問を受けるが、何も話さなかった。 それを見ていたフーシェは、ブラック・ブックの在りかを簡単に知ることができるとロベスピエールに伝えて、マデロンのイヤリングを外す。 タリアンにブラック・ブックを渡したドービニーは、現れたフーシェからマデロンのイヤリングを見せられ、彼女の居場所を知ろうとする。 タリアンから、ブラック・ブックがなければ多くの者が死ぬと言われたドービニーは、フーシェにそれを渡すわけには行かなかった。 総会は始まり、ロベスピエールはバラスを裁こうとする。 タリアンはブラック・ブックを持っていることをサン=ジュストに知らせながら、それを人々に回し見させる。 軍曹は、意識を失っているマデロンを隠し部屋に連れて行く。 独裁的権力を求めたロベスピエールは、人々にそれを拒まれたためにその場から逃れ、暴徒化した者たちに追われ、部屋に押し入ってきた彼らを説得しようとする。 フーシェの指示を受けた兵士に顔面を撃たれたロベスピエールは、倒れ込む。 サン=ジュストからマデロンの居場所を聞き出そうとするドービニーは、ロベスピエールが知っていると言われるものの、彼は傷を負っているために話せなかった。 ロベスピエールは人々に連れ去られ、ドービニーはパン屋に向かいマデロンを捜す。 諦めたドービニーは、本棚の奥からワインが流れ出ていることに気づき、棚を壊して奥の部屋にいた軍曹に襲いかかり、格闘になり彼を殺す。 ある陸軍士官と言葉を交わしたフーシェは、ロベスピエールの死について話し、そこには未来があると言う彼に名前を訊く。 士官はナポレオン・ボナパルトと答え、フーシェは名前を覚えておくと伝える。 マデロンを救い出したドービニーは、ナポレオンのわきを通りながら、歓喜する民衆の元に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストーリー)
1794年7月、フランス王国、パリ。
独裁的権力を手に入れようとしていた革命家マクシミリアン・ロベスピエールは、処刑者リストの秘密ファイル”ブラック・ブック”が盗まれたことを、呼び寄せた検事デュヴァルに伝え、それを捜すよう指示する。
デュヴァルに扮していたシャルル・ドービニーは、亡命中のラファイエット侯爵から、ロベスピエールを倒す指令を受けていた。
かつての恋人マデロンの協力を得たドービニーは、ロベスピエールに捕らえられたバラスを救い、ブラック・ブックを手に入れようとするのだが・・・。
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フランス革命を舞台に、独裁権力を手に入れることを企む革命家マクシミリアン・ロベスピエールを倒そうとする愛国者の戦いを描く歴史ドラマ。
製作総指揮ウォルター・ウェンジャー、アンソニー・マンが監督し、本作以降、何作か彼と組むことになるフィリップ・ヨーダンが脚本を担当した作品。
混乱する社会情勢の中で、革命家ロベスピエール側に潜入した愛国者の命懸けの戦い、綿密に練られた計画の実行など、緊迫感あふれるアンソニー・マンの演出が光る力作に仕上がっている。
初公開時は”Reign of Terror”(恐怖政治)というタイトルだったが、その後”The Black Book”に変更された。
恐怖政治に対抗する勇敢な愛国者を熱演するロバート・カミングス、独裁権力を手に入れようとする革命家マクシミリアン・ロベスピエールのリチャード・ベイスハート、彼に糾弾され捕らえられるリチャード・ハート、主人公に協力する元恋人で美しさ際立つアーレン・ダール、双方と都合よく関係する秘密警察長官ジョゼフ・フーシェのアーノルド・モス、主人公の活躍によりブラック・ブックを手に入れる政治家ジャン=ランベール・タリアンのノーマン・ロイド、ロベスピエールの右腕ルイ・アントワーヌ・ド・サン=ジュストのジェス・バーカー、その部下の軍曹チャールズ・マッグロー、主人公に協力する農夫ジョン・ドーセット、その息子ラス・タンブリン、その祖母ビューラ・ボンディ、ロベスピエールに裁かれ処刑される兵士ウェイド・クロスビーなどが共演している。