ロシア十月革命に立ち合った、”世界を揺るがした10日間”で知られるアメリカのジャーナリストで社会主義者のジョン“ジャック”サイラス・リードと女性解放運動の先駆者ルイーズ・ブライアントの恋と激動の時代を描く、製作、監督、脚本、主演ウォーレン・ベイティ、ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、ポール・ソルヴィノ、モーリン・ステイプルトン、ジーン・ハックマン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・ジャック・ニコルソン / Jack Nicholson 作品一覧
・ジャック・ニコルソン / Jack Nicholson / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウォーレン・ベイティ
製作:ウォーレン・ベイティ
製作総指揮
サイモン・レルフ
デデ・アレン
脚本
ウォーレン・ベイティ
トレヴァー・グリフィス
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集
クレイグ・マッケイ
デデ・アレン
美術・装置
リチャード・シルバート
マイケル・セイルトン
衣裳デザイン:シャーリー・ラッセル
音楽
スティーヴン・ソンドハイム
デイヴ・グルーシン
出演
ジョン“ジャック”サイラス・リード:ウォーレン・ベイティ
ルイーズ・ブライアント:ダイアン・キートン
ユージン・オニール:ジャック・ニコルソン
マックス・イーストマン:エドワード・ハーマン
グリゴリー・ジノヴィエフ:イエジー・コジンスキー
ルイス・C・フレイナ:ポール・ソルヴィノ
エマ・ゴールドマン:モーリン・ステイプルトン
ピート・ヴァン・ウェリー:ジーン・ハックマン
マックアルパイン:シェーン・ライマー
ハリー:ジェリー・ハーディン
エディ:ジャック・キーホー
ポール・トラリンジャー:ニコラス・コスター
ジュリアス・ガーバー:ウィリアム・ダニエルズ
リベラル・クラブの講師:M・エメット・ウォルシュ
フロイド・デル:マックス・ライト
パートロー:イアン・ウルフ
パートロー夫人:ベッシー・ラヴ
ホーレス・ウィガム:ジョージ・プリンプトン
ビッグ・ビル・ヘイウッド:ドルフ・スウィート
国務省職員:ジョセフ・ソマー
政府捜査官:R・G・アームストロング
ジョー・ヴォルスキー:ジョセフ・バロフ
アレックス・ゴンバーグ:ステファン・グリフ
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1981年製作 195分
公開
北米:1981年12月4日
日本:1982年4月10日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $40,382,660
■ アカデミー賞 ■
第54回アカデミー賞
・受賞
監督
助演女優(モーリン・ステイプルトン)
撮影賞
・ノミネート
作品
主演男優(ウォーレン・ベイティ)
主演女優(ダイアン・キートン)
助演男優(ジャック・ニコルソン)
脚本・録音・美術・衣裳デザイン・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1915年、オレゴン州、ポートランド。
展覧会で作品を鑑賞していたジャーナリストのルイーズ・トラリンジャー(ダイアン・キートン)は、自分の裸体が描かれた絵を見た夫のポール(ニコラス・コスター)から非難される。
芸術作品だと言うルイーズは、仕事があるので自分で暮らしを立てるとポールに伝えるものの、注目を浴びたいだけだと言われる。
ポールの話を聞かずにリベラル・クラブに参加したルイーズは、ジャーナリストのジョン“ジャック”サイラス・リード(ウォーレン・ベイティ)にインタビューを申し込む。
それを了承してくれたリードを仕事場兼スタジオのアパートに連れて行ったルイーズは、クラブで、戦争の目的を利益の追求だと答えたことについて質問する。 一晩中、持論をとめどもなく語るリードに戸惑いつつも興味を持ったルイーズは、彼に自分の文章についての批評を求める。 朝の6時だったために帰ることになったリードは、ルイーズとの別れを惜しみながらその場を去る。 資産家パートロー(イアン・ウルフ)に会い、雑誌”ザ・マッセズ”のための資金提供を求めたリードは、話が進展しないので戸惑う。 そこにルイーズが現れたために驚いたリードは、パートロー夫人(ベッシー・ラヴ)から彼女を紹介される。 初対面のように振る舞ったリードは、ルイーズに歯科医の夫がいることを知る。 食事をした二人は、屋敷の外で愛し合う。 翌朝、ニューヨークに戻るリードをアパートに残して出かけようとしたルイーズは、少し話したいと言われる。 ジャーナリストをするにも自由な生活を送るのにもいい居場所だと言って、リードはルイーズにニューヨーク行きを勧める。 自分の立場を確認したルイーズは、リードから、もうすぐ感謝祭なので七面鳥として来るようにとジョークを言われる。 ニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジ。 その後ルイーズは、リトアニア出身でアナキストでありフェミニストのエマ・ゴールドマン(モーリン・ステイプルトン)と共に戻ったリードに気づく。 エマが帰った後で、ルイーズが部屋にいることを知ったリードは、彼女から預かっていた文章の批評をする。 反逆者の街グリニッジ・ヴィレッジでの生活を始めたルイーズは、新聞・雑誌の編集者であるフロイド・デル(マックス・ライト)、エマ、作家のマックス・イーストマン(エドワード・ハーマン)、そして、劇作家のユージン・オニール(ジャック・ニコルソン)らと知り合う。 第一次大戦へのアメリカの参戦について議論するリードが、アパートを集会場のようにして使っているために、仕事ができないと言ってルイーズは不満を訴える。 雑誌の編集者ホーレス・ウィガム(ジョージ・プリンプトン)をリードから紹介されたルイーズは、自分の仕事に興味を持つ彼から話し合いたいと言われる。 ”IWW”(世界産業労働組合)の創設者ビッグ・ビル・ヘイウッド(ドルフ・スウィート)と共に労働者達の話を聞いたリードは、待遇改善のために団結を呼びかけ、資本家達を敵視する。 ウィガムに会ったルイーズは彼に記事を見せるものの、目的は自分だったことを知る。 雑誌社のピート・ヴァン・ウェリー(ジーン・ハックマン)から、”IWW”やグリニッジ・ヴィレッジが共産主義者の巣だと言われたリードは、自分の記事は真実だと伝える。 約束を守らず遅れて帰宅したリードを非難するルイーズは、男にすがる主婦のような現状の生活を嘆き、耐えられないと言って自立することを伝える。 フランスに取材に行くと言うルイーズに、もっと重要なテーマを記事にするべきだと伝えたリードは、激動の時代に書いているのが、3年も前の美術展についてでは誰も読まないと伝えて彼女の記事を批判する。 出て行くと言うルイーズと罵り合ったリードだったが、冷静になった二人は、ニューヨークを出てじっくり仕事をすると彼女に伝えて愛を確かめる。 マサチューセッツ州、プロビンスタウン。 オニールから、リードの元に向かわないかと訊かれたルイーズは、やることがあると答える。 注目の的になりたいことをオニールに見抜かれたルイーズ、周囲に影響されて自分を見失うだけだと言われる。 自由に生きる権利があると言うルイーズに、グリニッジ・ヴィレッジ流の社会主義論は遠慮すると伝えたオニールは、君が自分のものなら置いて行ったりはしないと言って、一人で仕事をするより愛されていた方がいいはずだと尋ねる。 自分達は自由恋愛を信じるが、あなたは傷つくと言うルイーズは、リードも悲しむと伝える。 その場を去ろうとしたオニールだったが、ルイーズが自分を求めていることを知り、二人は愛し合う。 皆の元に戻ったリードは裏口から入りルイーズを驚かせようとするが、彼女が部屋の陰でオニールと寄り添っている姿を見てしまう。 入り口に向かい皆やルイーズに迎えられたリードは、ウィルソン大統領の考えを訊かれ、支配階級の利益を優先させて参戦するだろうと話し、今は時間を稼ぐために応援するしかないと伝える。 皆は帰った後で、残ったオニールは、リードの様子がおかしいことを気にしながら酒を勧められるものの、それを断りその場を去る。 ルイーズから話があると言われたリードは、何言わなくてもいいと伝てプロポーズする。 1916年、ニューヨーク州、クロトン・オン・ハドソン。 リードと結婚したことをオニールに伝えたルイーズは、そのために利用したのかと言う彼に、それを否定して友達でいたいだけだと伝える。 酷い女だと言ってルイーズを責めるオニールは、謝罪する彼女に何をすればいいかを問い、祈ってほしいと言われたため、君達のために祈ると伝えてその場を去る。 ルイーズは、オニールの詩を読まずに”ウォルト・ホイットマン”の”草の葉”に挟んでおく。 その後、ウィルソンは、参戦しないことを公約にして再選されるものの、1917年にドイツに宣戦布告した。 反戦活動を続けるリードは逮捕され、留置場で用を足した際に血尿が出たために驚く。 医師の診察を受けたリードは腎臓疾患だと診断され、今までのような生活を続けると命にかかわると言われ、ルイーズには話さなかった。 体調不良を感じながら社会党の支部の集会に参加したリードは、党員のルイス・C・フレイナ(ポール・ソルヴィノ)から、入党するべきだと言われる。 ”ウォルト・ホイットマン”の”草の葉”に挟んであったオニールの詩を見つけたリードは、知らずに読んでしまったとルイーズに伝える。 オニールとはもう会っていないと伝えたルイーズは、浮気は構わないがウソはつくなと言われる。 リードも浮気していたことを知ったルイーズは、相手が誰か訊いても答えないために出て行こうとする。 二人は口論になり罵り合い、ルイーズは出て行きリードは悲しむ。 1917年、パリ。 ボリシェヴィキの勢いを熱く語るウェリーは、いつまでの反戦活動をするリードを頑固者扱いする。 ウェリーから、記事が使いものにならず、ルイーズが一月半前に解雇されたことを知らされたリードは驚く。 戦場に向かいルイーズに会ったリードは、国内が激変しているロシアに行くことを伝えて、同行することを提案する。 取材に行くと言うルイーズに汽車の切符を渡したリードは、互いの幸運を祈りその場を去る。 汽車でペトログラードに向かうリードは、会ったことがあると言うジョー・ヴォルスキー(ジョセフ・バロフ)に声をかけられる。 ルイーズが現れたために驚いたリードは、夫人としてではなく自分の名で記事を書くと言われる。 旅を楽しんだリードとルイーズだったが、ロシアとの国境の町に到着し、戦いを止めてボリシェヴィキに加わろうとする多くの兵士達を目にする。 ペトログラード。 その後、リードとルイーズはボリシェヴィキの動きを取材し、戦争が終わる可能性を実感する。 レーニンやジノヴィエフからも話を聞いたリードとルイーズは、政府に攻撃されたら反撃すると言うトロツキーの宣言に歓喜する人々を見て革命が近いと考え、ロシア臨時政府大臣会議議長のケレンスキーにも会う。 自分の望む仕事ができるようになったルイーズは、リードに感謝する。 ルイーズと共にボリシェヴィキの集会に向かったリードは、アメリカの労働者について語るようにと言われ、壇上に上がりスピーチする。 アメリカの労働者は君達のストを手本にしたいと考えていると話すリードは、世界中の労働者が資本家の戦争を拒否しているため、団結すれば戦争は終わると語る。 皆、革命を望んでいると訴えるリードを聴衆は支持し、”インターナショナル”を歌う。 革命に身を投じたリードとルイーズは、愛を深めるとともに真の意味で一体となる。 そして、革命は成功し、ボリシェヴィキへと権力が集中される。 Intermission 1918年、ニューヨーク。 イーストマンに迎えられたルイーズは、リードが執筆している間に自分は講演をして回ることを伝えて、素晴らしい体験だったことを話す。 ワシントンD.C.。 考えを確実に実行に移したボリシェヴィキと、参戦しないと公約して当選しながら、結局は大量の死者を出した大統領とどちらがキリスト教的な思想かをルイーズは議長に問う。 国民は組合が強大になり革命が起きるのではないかと恐れ、政府は活動家を糾弾し、国民が共産主義に惑わされないような行動を進めた。 それに屈することなく、ルイーズは各地で講演を続けた。 拘留中のエマと面会したリードは、革命には協力してもらうことが必要だと言って、必ず助け出すと彼女に伝える。 ”世界を揺るがした10日間”を発表したリードは、アメリカにおける革命運動の原動力になった。 その成功によりリードは躍進するが、新党を結成する考えのフレイナと意見が対立し、社会党支部は分裂してしまう。 少数派になったリードは苛立ち、ルイーズは、暴走気味の彼を支え続ける自信がなくなる。 1919年、シカゴ。 その場に現れたフレイナは、”アメリカ共産党が決起集会を開くことを伝えて参加者を募るものの、リード側は党名を”アメリカ共産労働党”とすることを決める。 今は分裂している時ではないと言うフレイナだったが、離反していなければ多数派でいられたとリードは彼を非難する。 参加者を歓迎すると言うフレイナの言葉を無視し、労働党は、リードをモスクワに派遣してコミンテルンの公認を得ることを決める。 その様子を見ていたルイーズは、イーストマンと顔を見合わせて立ち去る。 家に戻ったリードは、ルイーズから、今後は同行せず戻っても自分がいるかは分からないと言われ、クリスマスまでには帰ると伝える。 孤立するフレイナとは合流できないと言うリードは、イタリア人の彼には革命は起こせないとルイーズに伝える。 革命が起きるとは思えないルイーズは、馬鹿げた政治思想の対立を批判し、記者としての務めを果たすようにと言ってリードを説得する。 何も答えずに考え込むリードに、才能を無駄にしてはいけないと伝えたルイーズは、彼に抱きしめられる。 再びクリスマスまでには帰ると言われたルイーズは呆れてしまい、その場を去る。 その後、リードから、待っていてほしいと言われたルイーズは、分からないと伝えて出かける。 リードは、貨物船に密航して出国する。 映画を観ていたルイーズは途中で席を立ち、捜査官に監視されていることに気づかないままオニールを訪ねる。 ロシアで見たことやインテリの話に興味がないオニールは、理想主義のリードに同行せずに自分に会いに来た理由をルイーズに尋ねる。 帰ると言うルイーズに、過激派なのに夢は中産階級並みだと伝えたオニールは、リードの夢は労働者を革命へと導くことで、君の夢は革命を語り各地を回り相手と寝ることだと話す。 のめり込み過ぎで、自由恋愛をしていた頃はましだったと話すオニールは、ルイーズから、人の欠点を観察する専門家であり、人のために行動したこともないと非難される。 リードの行動を肯定しようとしたルイーズは、痛いところをつかれたと言われるものの、傷つけられたが仕返しできたとオニール伝えてその場を去る。 建物から出てきたルイーズを、捜査官は尾行する。 帰宅したルイーズは、愛犬のジェシーの姿が見えなくなったために警戒する。 押し入ってきた政府捜査官(R・G・アームストロング)は、司法長官の命令により、リードを扇動の容疑で逮捕することをルイーズに伝えて夫の居場所を訊く。 モスクワ。 アメリカの状況を調べるため、7月まで留まるようにと言われたリードは、個人的な理由で直ぐに帰国したいことをジノヴィエフに伝えるものの、妻に会うための許可など出せないと言われて却下される。 この8週間、妻や同志に連絡がつかないと伝えたリードは、ジノヴィエフから、個人的な責任はいつでも果たせるが、歴史の瞬間は二度と訪れないと言われる。 ジノヴィエフから、命令する権限はないと言われたリードは、その後、出国するもののフィンランドで投獄されてしまう。 連絡を受けたルイーズは、国務省に出向いてリードを救おうとするものの、職員(ジョセフ・ソマー)に聞き入れてもらえなかった。 その頃、尋問されていたリードは、決して仲間の名前を口にしなかった。 オニールを訪ねたルイーズは、ノルウェー行きの旅券を用意してほしいと伝える。 自分が船員として現地に向かうと言うオニールは、経験もあるし、友人のリードを救いたいとルイーズに伝えるものの、彼女の考えは変わらなかった。 容態が悪いリードは、医師の診察を受けて壊血病だと診断され、”同志”と言われたためにルイーズへの電報を頼む。 船でノルウェーに着いたルイーズは、密入国してフィンランドに向かう。 1920年、ペトログラード。 協力者と共に雪原をひたすら進むルイーズは、その電報を受け取るはずもなく、返事がないリードは彼女の身を案ずる。 現地に滞在するエマを訪ねてルイーズと連絡がとれないことを伝えたリードは、リースからの手紙に、彼女がニューヨークを離れたようだと書いてあったと言われる。 その手紙を確認したエマは、リードからオニールからの手紙のことを訊かれて、それを渡す。 思い悩むだけのリードを落ち着かせたエマは、ロシアに来ることは違法出国であり、二度と帰国できない身だと話す。 革命に身を投じる覚悟などルイーズにあるはずがないと言うエマは、電報によりマークされて、妻というだけで犯罪者扱いされると伝え、彼女を解放してあげるべきだと伝える。 かつて住んでいたアパートを訪ねてみたリードは、当時のことを想い出す。 苦労してフィンランドに着いたルイーズは、リードが既に釈放されたことを知る。 コミンテルンの大会に参加したリードは、通訳の問題で考えを正確に伝えることができず、英語も公用語にしてほしいことを訴える。 フレイナにも協力してもらったリードは、体調不良のまま審議に加わり、自分達の立場を訴え続ける。 農民や労働者のための革命は、もうロシアにはないと言うエマは、自治も存在せず、中央政府の中枢だけが権力を握り共産主義を破壊していると話す。 政敵を排除することを革命とは言わないと言うエマは、報道機関は党の管理下に置かれ、反革命分子と疑われれば、裁かれることなく銃殺刑になる現実を嘆く。 革命だと言えば、この悪行を正当化できることを疑問視するエマは、失望したために脱出することをリードに伝える。 コーヒーを飲みながら話して革命が進むと思うかと訊かれたエマは、進んでいないと言って、飢えとチフスで去年は400万人が死に、自由も人権も踏みにじられていると話す。 連合軍の封鎖で食料の供給が止まり、サボタージュで鉄道や通信が寸断され、貧しくて無学な者が物事を動かしているが、それは理想であり、成功はすぐに手に入れられないと語るリードは、これは犠牲が伴う戦争だとエマに伝える。 400万人を殺したのは欠陥だらけの体制だと反論するエマに、始まったばかりであり、思っていたこととは違うが動きだしていると言うリードは、今、逃げだせば全てが無駄になると伝えてその場を去る。 ジノヴィエフの元に向かったリードは要求を退け、アメリカの労働者代表として中東の革命を指導してほしいと言われる。 リードは、ジノヴィエフらと共に危険が伴う演説旅行に出発する。 駅で出国が許可されないエマは、ルイーズを見かけて声をかけ、二人は再会を喜ぶ。 自分の演説原稿をジノヴィエフが変更していることに抗議したリードは、反対する者を粛正することでは真の革命は達成できないと訴え、反対するのが革命だと言って原稿を修正するなと伝える。 その直後に列車は攻撃を受け、車両から降りたリードらを守る兵士は反撃する。 何とか無事にモスクワに戻った列車をホームで迎えたルイーズは、歓迎されるジノヴィエフらの中にリードがいなかったために動揺する。 後方に向かい、運ばれていく死体を見つめんながら振りむいたルイーズは、自分を見つめるリードに気づく。 近づくルイーズを抱きしめたリードは、このままそばにいてほしいと伝える。 入院したリードに付き添うルイーズは、医師から更に検査を続けると言われ、最善を尽くすことを約束してもらう。 意識を失ったリードを看病するルイーズは、目を覚ました彼から、家に帰りたいと言われる。 リードが目を閉じたため水を取りに行ったルイーズは、落祈りを捧げる婦人を見つめながら落ちたコップが気になり、男の子にそれを拾ってもらう。 病室に戻ろうとしたルイーズは、入り口の前に患者が集まり、看護師が出できたため、リードが息を引き取ったことを悟る。
...全てを見る(結末あり)
リードのアパートに向かい、ドアが開いていたために中に入ったルイーズは、その場で待ちベッドで眠ってしまう。
仲間達と実験演劇などをして過ごすリードとルイーズだったが、取材のために旅立つリードを不満に思う。
引っ越したルイーズは、オニールが訪ねて来たために動揺し、殺してやりたいができないと言われて、愛を語った詩を受け取る。
腎臓を片方摘出して回復したリードに手紙を書いたルイーズは、近況を伝えて記事を同封する。
アレックス・ゴンバーグ(ステファン・グリフ)に迎えられたリードとルイーズは、アパートに案内される。
帰国したリードは、資料を没収されてしまう。
公聴会に呼ばれたルイーズは、議長から、ボリシェヴィキにもキリスト教はいるのかと訊かれる。
社会党大会への参加を拒否されたリードは強引に壇上に上がり、執行部を非難し、同調する者と共に地下に向かう。
コミンテルン議長グリゴリー・ジノヴィエフ(イエジー・コジンスキー)に会い、党の公認を求めたリードだったが、それが認められず、アメリカ共産党との合併を指示される。
フィンランド人の教授との交換でロシア側に引き渡されたリードは、列車で到着した直後に電報局に向かい、ルイーズに電報を打つ。
*(簡略ストー リー)
1915年、オレゴン州、ポートランド。
社会主義者であるジャーナリストのジョン“ジャック”サイラス・リードは、同じジャーナリストで既婚者のルイーズ・ブライアントと出会い、愛し合う中になり、現状に満足していない彼女をニューヨークに誘う。
グリニッジ・ヴィレッジで暮らし始めた二人は、アナキストでありフェミニストのエマ・ゴールドマン、作家のマックス・イーストマン、劇作家のユージン・オニールらと集い、第一次大戦への参戦に反対して議論し合う。
その後、労働者を団結させる活動で飛び回るリードとの生活や、自分が理想としている仕事ができないルイーズは、次第に不満を抱くようになる・・・。
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1917年のロシア十月革命について執筆したルポルタージュ”世界を揺るがした10日間”で知られるアメリカのジャーナリストで社会主義者のジョン“ジャック”サイラス・リードと女性解放運動の先駆者ルイーズ・ブライアントとの恋と激動の時代を描く、歴史的背景を基に描くドラマ。
第一次大戦への参戦で国論が二分されていた時代のアメリカを舞台に、その反戦活動から社会主義者となり労働者の団結を訴え、ロシア十月革命を目の前で体験したジャーナリスト、ジョン“ジャック”サイラス・リードを演じ、製作、監督脚本を兼ねたウォーレン・ベイティの意欲作であり、彼の才能を世界に知らしめた超大作。
社会主義革命前夜から、その成功を経て共産主義社会の拡大に身を投ずる者達の力強い生き様と共に、その激動の時代を生き抜いたジャーナリストと女性運動家の恋を描く姿が見事に描かれた作品。
実力派スターの激しい演技のぶつかり合いの中で、随所で挿入されるヴィットリオ・ストラーロの美しい映像が非常に印象的で、その時代を見事に再現した衣裳なども注目だ。
第54回アカデミー賞では、作品賞をはじめ最多の12部門でノミネートされ、監督、助演女優(モーリン・ステイプルトン)、撮影賞を受賞した。
・ノミネート
作品
主演男優(ウォーレン・ベイティ)
主演女優(ダイアン・キートン)
助演男優(ジャック・ニコルソン)
脚本・録音・美術・衣裳デザイン・編集賞
ヒロインのルイーズ・ブライアントを演ずるダイアン・キートンは、主人公と反発し合いながらも彼を愛し続ける女性運動家を熱演している。
ルイーズ・ブライアントと関係を持つ劇作家ユージン・オニールを好演するジャック・ニコルソン、作家のマックス・イーストマンのエドワード・ハーマン、ロシアの革命家グリゴリー・ジノヴィエフのイエジー・コジンスキー、アメリカの社会主義者ルイス・C・フレイナのポール・ソルヴィノ、リトアニア出身でアナキストでありフェミニストのエマ・ゴールドマンを印象的に演じオスカーを獲得したモーリン・ステイプルトン、雑誌編集者のジーン・ハックマン、
主人公の同志である社会主義者シェーン・ライマー、ジェリー・ハーディン、ジャック・キーホー、ジュリアス・ガーバーのウィリアム・ダニエルズ、ヒロインの夫ポール・トラリンジャーのニコラス・コスター、リベラル・クラブの講師M・エメット・ウォルシュ、新聞・雑誌の編集者のフロイド・デルのマックス・ライト、資産家のイアン・ウルフ、その妻ベッシー・ラヴ、雑誌編集者のジョージ・プリンプトン、”IWW”(世界産業労働組合)の創設者ビッグ・ビル・ヘイウッドのドルフ・スウィート、国務省職員のジョセフ・ソマー、政府捜査官のR・G・アームストロング、主人公がロシアで出会う紳士ジョセフ・バロフ、ペトログラードでの主人公の協力者ステファン・グリフなどが共演している。
また、ロシア臨時政府大臣会議議長アレクサンドル・ケレンスキーは、彼の孫のオレグ・ケレンスキーJr.が演じ、ドラマの随所では、登場人物と関係した人々が主人公らとの思い出を語っている。