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紅塵 Red Dust (1932)

1928年に上演された、ウィルソン・コリソンの舞台劇”Red Dust”を基に製作された作品。
熱帯地方で逞しく生きる男と2人の女の関係を描く、製作アーヴィング・タルバーグ、監督ヴィクター・フレミング、主演クラーク・ゲーブルジーン・ハーロウジーン・レイモンドメアリー・アスター他共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

クラーク・ゲーブル / Clark Gable / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ヴィクター・フレミング

製作
アーヴィング・タルバーグ

ハント・ストロンバーグ
原作:ウィルソン・コリソン”Red Dust”
撮影:ハロルド・ロッソン

脚本:ジョン・リー・メイヒン
編集:ブランチ・シューエル

出演
デニス・カーソン:クラーク・ゲーブル

ヴァンタイン・ジェファーソン:ジーン・ハーロウ
ゲーリー・ウィリス:ジーン・レイモンド
バーバラ・ウィリス:メアリー・アスター
”マック”マカーグ:タリー・マーシャル
ギドン:ドナルド・クリスプ
ライミー船長:フォレスター・ハーヴェイ
ホイ:ウィリー・ファン

アメリカ 映画
配給 MGM

1932年製作 83分
公開
北米:1932年10月22日
日本:1933年10月
製作費 $408,000
北米興行収入 $1,223,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
フランス領インドシナ、北コーチン。
ゴム農園の主任デニス・カーソン(クラーク・ゲーブル)は、苦力達が怠けてばかりいるために苛立つ。

同僚の”マック”マカーグ(タリー・マーシャル)から、部下のギドン(ドナルド・クリスプ)が今夜の船で戻ると聞いたカーソンは、彼の現地人の躾の仕方を批判する。

その時、いつものように紅塵が襲い掛かり、カーソンは苦力達を非難させる。

その夜、戻ったギドンが酔い潰れていたため、カーソンはマックと共に彼を寝室に連れて行きベッドに放り投げる。

カーソンは、その場にいた見知らぬ女性ヴァンタイン・ジェファーソン(ジーン・ハーロウ)に驚く。

サイゴン(現ホーチミン市)でトラブルに巻き込まれたため、落ち着くまで滞在させてほしいとヴァンタインはカーソンに伝える。
...全てを見る(結末あり)

カーソンはヴァンタインを相手にせず、マックと共に食事をしようとする。

愚痴ばかりこぼすカーソンに、それほど悪い女でもないヴァンタインと楽しむことでも考えるようマックは助言する。

眠れないと言うヴァンタインが食卓にいることも迷惑なカーソンは、彼女を無視して仕事の準備をする。

静かにしようとしないヴァンタインと言い合いになったカーソンだったが、そんな彼女が気に入り抱き寄せる。

翌日、船が着き、それに乗るヴァンタインはカーソンとの別れを惜しむ。

到着する測量技師ゲーリー・ウィリス(ジーン・レイモンド)のことが気になるカーソンは、ヴァンタインには金を渡してサイゴンでの再会についてだけを伝える。

気分を害したヴァンタインは船に乗り込む。

ゲーリーを呼びに行ったカーソンは、彼が妻のバーバラ(メアリー・アスター)を伴っていたために驚いてしまう。

暑さで体調が悪そうなゲーリーに部屋で休むよう伝えたカーソンは、美しいバーバラが気になる。

プライバシーもない浴室や簡素な部屋に驚くゲーリーとバーバラだったが、贅沢は言えないと考えて諦める。

疲れて休もうとしたゲーリーは、カーソンが現れたため農園再建計画を話そうとする。

ゲーリーを休ませたカーソンは、彼が熱病だと診断してバーバラに薬を与える。

動揺するバーバラは医師を呼ぶ提案をするが、それが無理だと答えたカーソンは、ゲーリーは翌日が山で自分の処方を守れば助かる見込みもあると伝える。

納得できないバーバラは、ゲーリーを苦力と同じような扱いをするカーソンを非難するが、彼は気にも留めない。

その夜、仕事から戻ったカーソンは、部屋で下着姿だったバーバラに目を奪われる。

トラの声で驚き部屋を出たバーバラに心配ないことを伝えたカーソンは、今朝のことを謝罪する。

仲直りできるかを聞くカーソンだったが、バーバラは仕事以外での自分達への干渉を嫌う。

ギドンにバーバラの魅力についてを聞かれたカーソンは、喧嘩を売る気なのかと言い返し、マックにはヴァンタインがいたら大事になるとからかわれる。

その心配はないと言うカーソンだったが、ヴァンタインがライミー船長(フォレスター・ハーヴェイ)と共に戻って来たために驚く。

急流で船が沼地にはまってしまったことをライミーは話し、カーソンは仕方なくヴァンタインを滞在させることにする。

ウィリス夫妻が部屋を使っているため、2階でおとなしく寝るようカーソンはヴァンタインに指示する。

翌朝ヴァンタインは、使用人のホイ(ウィリー・ファン)に戻ったことを歓迎される。

バーバラはゲーリーを休ませて、朝食をとっていたヴァンタインに挨拶する。

ヴァンタインは農園を持つ兄を頼ってこの地に来たことを話し、ジェファーソン家の令嬢であることを伝える。

その話を信用できないバーバラは席を立ち、彼女を引き留めたヴァンタインは、兄の話は嘘で農園には男がいたと伝える。

船が沼地にはまったのは本当の話で、この場では孤独だと言うヴァンタインに対し、バーバラは何も言わずに部屋に戻る。

そこにに現れたカーソンは、上品なバーバラを困らせるような真似はするなと言ってヴァンタインに釘を刺す。

そんな不機嫌なカーソンを相手に、ヴァンタインはキュートだと言って笑顔を見せる。

バーバラに呼ばれたカーソンは、ゲーリーの病状が悪化したことを知り、彼の様子を見て看病する。

その後、ゲーリーの病状が山を越したことで安心したカーソンは、バーバラに感謝され初日の言動を謝罪される。

気持ちを受け入れたカーソンはその場を去り、バーバラは頼りになる彼に惹かれる。

部屋にいたヴァンタインは退屈だったと言うのだが、カーソンは彼女を相手にしない。

ゲーリーは回復して仕事を始めることになり、カーソンは宿舎に残ったバーバラの様子を見に行く。

ヴァンタインがカーテンも降ろさずに入浴していることを知ったカーソンは注意するが、彼女は飲料水の樽に入ってしまう。

カーソンはヴァンタインの扱いに手を焼き、現れたバーバラを誘ってゲーリーの仕事場に向かう。

天然ゴムの加工作業をバーバラに見せたカーソンは、この地での女の扱われ方なども話し、彼女はヴァンタインのことを気にする。

今後も暮らしていけるか不安を感じているバーバラに、努力しようとする者には誰もが協力を惜しまないとカーソンは伝える。

嵐になり避難した二人は宿舎に戻り、バーバラを抱きかかえているカーソンを見てヴァンタインは嫉妬する。

部屋に入ったカーソンはバーバラにキスし、それを拒むことができない彼女は困惑する。

手遅れだと言ってカーソンはその場を去り、バーバラは後悔して悩む。

バーバラとのことで嫌みを言うヴァンタインを無視して、カーソンは嵐の中、仕事場に向かう。

戸惑う様子のバーバラに皮肉を言うヴァンタインだったが、彼女に酒を勧めて落ち着かせる。

カーソンに迫られ拒めなかったことをヴァンタイン追及されたバーバラは、後悔しながら怖かったことを伝える。

それにもかかわらず火遊びをしてみたかったと言うバーバラに、次は更にスリルを味わえるとヴァンタインは伝える。

夕食の際、無事に仕事を終えたゲーリーは気分よく会話を弾ませるが、その話をうわの空で聞いているバーバラは席を外す。

カーソンとヴァンタインは、バーバラの様子が気になる。

翌日にマックとギドンと共に奥地に向かうことになったゲーリーは、バーバラが同行できるような場所でないことを確認する。

部屋に戻ったゲーリーから、3~4週間仕事でこの場を離れると知らされたバーバラは、不安を感じて同行を求める。

この場の”混乱”から逃れるためにサイゴンに戻る考えをカーソンに伝えたヴァンタインだったが、人手が足りないと言われそれを拒まれて苛立つ。

ヴァンタインから”農地の拡大”に関して意見されたため、気分を害したカーソンは仕事に口出しすることを許さない。

当事者のゲーリーにバーバラとのことを知られてもいいのかと言い寄るヴァンタインは、カーソンを牽制してその場を去る。

結局、ゲーリーはバーバラを連れて行かずに奥地に向い3週間が経つ。

その間、バーバラとの愛を深めたカーソンは、いつかはこの地を出て二人で暮らすことを考える。

ゲーリーのいる現場に向かう用ができたと話すカーソンは、彼と話をつけることをバーバラに伝える。

バーバラはゲーリーが傷つくことを気にするが、カーソンは時が解決すると考える。

怯えるバーバラは、2日後に戻ると言うカーソンとを信じるしかなかった。

バーバラを困らせないようにとヴァンタインに忠告したカーソンは出発する。

現場に着いたカーソンは、ゲーリーからバーバラのことを聞かれ”愛している”と言っていたと伝える。

マックと長く時間を過ごして話題が尽きたと言うゲーリーは、カーソンと組むことを希望し語り合いたいことを伝える。

病気が再発する恐れがあるものの、ゲーリーが仕事熱心だとマックに言われたカーソンは、彼が自分を心から信頼していることも知らされる。

仕事の妨げになるトラを退治するため、カーソンとゲーリーは木の上で監視する。

離れて暮らしてみて、バーバラなしでは生きられないことに気付いたというゲーリーの話を聞いたカーソンは、家族と平穏に暮らしたいと語る彼の考えを知り心が痛み、話を止めさせる。

その後、現れたトラを仕留めた二人はキャンプに戻り、カーソンは農場に帰ることをゲーリーに伝えて出発する。

暗闇に中、何時間もかけて戻る理由が分からないと言うゲーリーに、カーソンはバーバラが気になるから帰ったのだとギドンは話す。

言いがかりだとそれを否定するゲーリーは、カーソンがここに来た理由を語る。

カーソンがバーバラを誘惑したと言われたゲーリーはギドンを殴り、争う二人をマックが制止する。

その件が気になり眠れないゲーリーは、農園に向かう。

農園に向かう途中ライミー船長と出くわしたカーソンは、船が出発できるようになったことを知らされる。

宿舎に戻ったカーソンは沈む心を酒で紛らそうとするが、そこに現れたヴァンタインにからかわれる。

現場の件を知ったヴァンタインはカーソンに同情し、バーバラのことは明日になったら考えると言う彼と酒を酌み交わす。

カーソンはヴァンタインを抱き寄せ、物音に気付いたバーバラは二人を目撃して驚く。

ヴァンタインを追い払ったバーバラは、カーソンに説明を求める。

ゲーリーには何も話さなかったことを伝えたカーソンは、自分が本気で愛したと思っていたのかと言って、一人の女に束縛されるつもりはないことを伝え彼女を侮辱する。

バーバラは持っていた銃でカーソンを銃撃してしまい、騒ぎに気付いたヴァンタインが彼に駆け寄る。

そこにゲーリーが戻り、バーバラがカーソンを撃ったことを知る。

カーソンは、バーバラを口説いたことをゲーリーに伝える。

バーバラを抱き寄せるゲーリーは、ギドンの話が真実かを確かめようとする。

ギドンは嘘つきだと言うヴァンタインは、カーソンがバーバラを誘惑しようとして部屋に押し入ったため、彼女が発砲したことをゲーリーに伝える。

バーバラは野蛮人のようなカーソンを寄せ付けなかったと言って、こんな国からは早く去るようにとヴァンタインはゲーリーに助言する。

船に乗ることを勧めるカーソンをゲーリーは軽蔑し、許しを請うバーバラのとった行動に対しては誇りに思うことを伝える。

傷を見て動揺するヴァンタインに、カーソンは傷口を消毒させる。

その後、ヴァンタインは静養するカーソンを介抱し、サンフランシスコに着いたウィリス夫妻がフィラデルフィアに向かったという新聞記事を読んで聞かせる。

考えこむカーソンを励ますヴァンタインは、他の記事の物語を読み始める。

そんなヴァンタインが愛しくなったカーソンは、彼女を抱き寄せる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
フランス領インドシナ
ゴム農園の主任デニス・カーソンは、サイゴンから逃れて来た女性ヴァンタインの滞在を仕方なく許す。
そんなカーソンは、農地拡大のために呼び寄せた測量技師ゲーリーの妻バーバラに惹かれてしまう。
熱病に罹ったゲーリーを看病したカーソンは、バーバラに感謝される。
回復したゲーリーは仕事の現場に向い、カーソンとバーバラは惹かれ合う仲になってしまう。
その地を離れたヴァンタインは船が沼地にはまったため戻ってきてしまい、カーソンとバーバラの関係を知った彼女は嫉妬する・・・。
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1953年公開のジョン・フォードが監督した「モガンボ」は本作のリメイクであり、クラーク・ゲーブルは同作でも主演した。

男女の愛をストレートに描くロマンスとはかけ離れた内容であり、飾り気のない主人公の強引なまでの行動に翻弄される女性、トラブルを抱える謎の女を操る主人公の強かさなど、複雑な恋愛ドラマが展開される。

周囲にはあまりいないタイプの男性像に、女性ならずとも同性まで魅力を感じさせる、ヴィクター・フレミングの巧みな演出が見所の作品。

それに応えるクラーク・ゲーブルは、エキストラを脱しMGMと契約して前年から本格的に映画出演を始めたばかりで、撮影当時31歳とは思えない周囲を圧倒する雰囲気で貫録さえ感じさせる。
観客を魅了する才能を発揮する彼は、とにかく何をやってもムダなく手際よくこなし、その仕草などを見ているだけでも満足できるところがスターの証というところだろうか。

2006年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

クラーク・ゲーブルと相性抜群のジーン・ハーロウは、手が焼ける女ではあるがその存在がまた絶妙に描かれ、堅物の主人公の心の拠り所となる、トラブルを抱える軽い雰囲気の女性を好演している。

測量技師ジーン・レイモンド、その妻で許されない恋に苦悩するメアリー・アスター、主人公の同僚タリー・マーシャルドナルド・クリスプ、船長フォレスター・ハーヴェイ、使用人ウィリー・ファンなどが共演している。


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