1981年に発表された、トマス・ハリスの同名小説を基に製作された作品であり、”ハンニバル・レクター”シリーズの第3作。 殺人鬼レクターを逮捕したFBI捜査官が終身刑になったレクターから助言を受けながら新事件を解決するまでを描く、監督ブレット・ラトナ、主演アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、ハーヴェイ・カイテル、エミリー・ワトソン、メアリー=ルイーズ・パーカー、フィリップ・シーモア・ホフマン共演によるサイコ・スリラー。 |
・レイフ・ファインズ / Ralph Fiennes / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ブレット・ラトナー
製作総指揮:アンドリュー・Z・デイヴィス
製作
ディノ・デ・ラウレンティス
マーサ・デ・ラウレンティス
原作:トマス・ハリス
脚本:テッド・タリー
撮影:ダンテ・スピノッティ
編集:マーク・ヘルフリッチ
音楽:ダニー・エルフマン
出演
アンソニー・ホプキンス:ハンニバル・レクター
エドワード・ノートン:ウィル・グレアム
レイフ・ファインズ:フランシス・ダラハイド
ハーヴェイ・カイテル:ジャック・クロフード
エミリー・ワトソン:リーバ・マクレーン
メアリー=ルイーズ・パーカー:モリー・グレアム
フィリップ・シーモア・ホフマン:フレディ・ラウンズ
アンソニー・ヒールド:フレデリック・チルトン
ケン・レオン:ロイド・ボウマン
ビル・デューク:警察署長
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2002年製作 124分
公開
北米:2002年10月4日
日本:2003年2月8日
製作費 $90,000,000
北米興行収入 $92,930,010
世界 $209,196,300
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1980年ボルチモア。
犯罪精神医学の権威ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)は、FBI捜査官ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)の訪問を受け捜査協力を依頼される。
後一歩のところで捜査に行き詰るグレアムは、連続殺人鬼が犠牲者を食していることを察していた。
グレアムは、レクターの書斎で”死のレシピ”を見つけた瞬間、彼にわき腹をナイフで刺されてしまう。
レクターはグレアムに止めを刺そうとするが、グレアムは抵抗しレクターを銃撃する。
グレアムは重傷を負いレクターも負傷するが、レクターの狂気の殺人歴が明らかにされ裁判が始る。 退院したグレアムが証言台に上がり、レクターは有罪を宣告され終身刑となる。 しかし、ストレスと披露の極に達したグレアムは職を辞してしまう。 数年後、フロリダ州、マラソン。 クロフォードは、新たに発生した二つの事件解決の協力をグレアムに依頼するが、彼はそれを拒絶する。 しかし、被害者二家族の写真を見せられたグレアムは、現場を見た助言だけでいいというクロフォードの説得に負ける。 それに反対する妻モリー(メアリー=ルイーズ・パーカー)をなだめ、グレアムはアトランタに向かう。 ジョージア州、アトランタ、被害者リーズ家。 グレアムは、犯行が仕組まれた計画的なものだったと判断し、やがて夫人の目の角膜から、犯人の指紋が検出される。 そこでクロフォードは、レクターの意見を取り入れるため、自分達を相手にしない彼にグレアムを会わせようとする。 ボルチモア州立病院、精神科。 犯人の、内向的な人物像を指摘したレクターの意見をヒントに、グレアムはアトランタに戻る。 再び被害者宅を調べたグレアムは、家族が映る作製されたファミリー・ビデオに目をやる。 アラバマ州、バーミンガム、被害者ジャコビ家。 その頃、”ダラハイド老人ホーム”跡に潜む犯人は、特ダネを狙う記者フレディ・ラウンズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)のグレアムの記事で彼の動向を監視していた。 グレアムは、犯人が犯行のナイフで刻んだ文字が、”レッド・ドラゴン”だということを突き止める。 そしてグレアムは、レクターの助言でウィリアム・ブレイクの画集の中の、”レッド・ドラゴンと太陽をまとう女”に目をつける。 現像所で働くフランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)は、赤外線フィルムを取りに行った部署で、リーバ・マクレーン(エミリー・ワトソン)という盲目の女性と知り合う。 ワシントンD.C.、FBI本部。 その間レクターは、巧みな方法でグレアムの自宅住所を突き止める。 FBIは、レクターがその返事を新聞の広告欄に出したことを知り、それを捜査官ロイド・ボウマン(ケン・レオン)が解読する。 その内容が、グレアムの自宅がフロリダのマラソンで、一家を殺せという指示書だったことがわかる。 連絡を受けたクロフォードは、直ちに家族を保護してグレアムの元に連れて行く。 一家はクロフォードの兄の家に身を潜め、グレアムは妻のモリーに拳銃の使い方を教える。 度を過ぎた取材を続けたラウンズは警察に拘束され、身柄がFBIに渡されることになり、クロフォードは彼を利用して犯人を挑発させる記事を書かせる。 ラウンズの記事が掲載された直後、彼は犯人ダラハイドに捕らえられ、自分を神と信ずる彼に舌を噛み切られて火達磨にされ新聞社に返される。 レクターに面会したグレアムは、ウィリアム・ブレイクの絵にある半人半竜の絵がヒントで、事件の鍵が”変身”にあることを知らされ、情報提供の見返りにディナーとビデオ鑑賞をレクターから要求される。 ダラハイドは、全身に刺青をしている自分の正体を知らないリーバと親密な関係になり、もう一人の自分に彼女を奪われたくない彼は混乱してしまう。 グレアムとクロフォードは、ジャコビ家のビデオを検証し、犯人が被害者宅を下見していたことに気づく。 リーバを守るために、ダラハイドは、ブルックリン美術館秘蔵の、ウィリアム・ブレイクの”レッド・ドラゴンと太陽をまとう女”を食いちぎってしまう。 そしてグレアムは、犯人がビデオを見ていたような雰囲気に気づき、ホームビデオの製作会社に犯人が関連していることを知る。 ブルックリン美術館の事件報告を受けたグレアムは、犯人が美術館職員の女性2人を殺さなかったことから、今後の犯行を止める気になったのではと思い始める。 ダラハイドは、グレアムが既に会社の捜査をし始めようとしていたのに気づき動揺する。 グレアムとクロフォードは、犯人の特徴をビデオ会社役員に伝え、ついに”フランシス・ダラハイド”にたどり着く。 リーバに接近する会社の同僚を殺したダラハイドは、彼女を眠らせ自宅に連れて行く。 ダラハイドは、リーバが家の中を探ったものと疑い、錯乱して家に火を放ち、彼女を殺し自殺しようとする。 しかし、ダラハイドはリーバを撃つことができず、彼女の目の前で自殺する。 グレアムとクロフォードがダラハイドの自宅に到着し、家から逃れたリーバから、彼が自殺したことを聞かされる。 リーバを慰めたグレアムは、ダラハイドの家の耐火金庫に隠されていた日記を、クロフォードから渡される。 ダラハイドは、幼児期から虐待を繰り返し受けたために、モンスターに変身してしまったのだ。 その頃、ダラハイドの家で発見された遺体が、彼のものでないことがクロフォードに報される。 フロリダに戻っていたグレアムは、自宅に侵入者の気配を感じ、クロフォードからの留守電でそれがダラハイドだと察する。 ダラハイドは、息子を捕らえグレアムを脅すが、彼は日記にあった、祖母に罵られた彼と同じように息子を罵倒する。 動揺したダラハイドはグレアムに襲い掛かかるものの、グレアムは撃たれながらもダラハイドを銃撃する。 グレアムを気遣うモリーに、ダラハイドは尚も襲い掛かろうとするが、彼女は夫の銃でダラハイドに止めを刺す。 そして傷の癒えたグレアムは、”外観が損なわれなければいいが”と、レクターから彼の傷を気にする、思わせ振りな手紙を受け取る。 州立精神病院のレクターは、院長フレデリック・チルドン(アンソニー・ヘルド)から、女性のFBI捜査官が訪ねて来たことを知らされ、彼女の名前を尋ねる・・・。
...全てを見る(結末あり)
家族と静かに暮らすグレアムを、かつての上司ジャック・クロフード(ハーヴェイ・カイテル)が訪ねてくる。
現場検証を始めたグレアムは、犯人が夫や子供を殺し、目に鏡の破片を入れ観客に見立て、夫人をもてあそんで殺した後、素手で彼女の目に触れたことに気づく。
レクターに面会したグレアムは、彼に事件の資料を渡し分析結果を待つ。
犯人の当時の動向を探ったグレアムは、裏庭の木の上で、犯人がつけたと思われる文字を発見し、レクターにそれを見せる。
クロフォードは、レクターの独房に犯人から手紙が届いたとの連絡を受け、その分析を急がせる。
参考:
・「羊たちの沈黙」(1991)
・「ハンニバル」(2001)
・「レッド・ドラゴン」(2002)
・「ハンニバル・ライジング」(2007)
*(簡略ストー リー)
1980年ボルチモア。
犯罪精神医学の権威ハンニバル・レクターは、FBI捜査官のウィル・グレアムの訪問を受け捜査協力を依頼される。
連続殺人鬼の捜査で行き詰っていたグレアムは、レクターが犯人だと思われる証拠をみつけてしまった瞬間に、ナイフで刺されてしまう。
しかし、抵抗してレクターを銃撃したグレアムは、彼を逮捕することに成功する。
レクターは、有罪判決を受け終身刑となるが、グレアムは、ストレスと疲労の極に達し辞職してしまう。
その後グレアムは、家族とフロリダで暮らしていたが、元上司のクロフォードの訪問を受け、二家族惨殺事件の捜査協力を依頼される。
一度はそれを断ったグレアムだったが、被害者の写真などを見せられて捜査を引き受ける。
現場検証を行ったグレアムは、計画的な犯行と判断し、クロフォードの指示で、レクターの意見を聞きに面会に行くのだが・・・。
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トマス・ハリスの同名小説(”ハンニバル・レクター”シリーズ)を基に製作された作品で、原作は1986年にも映画化された。
原作としては1作目の本作は、映画シリーズの1作目よりも過去に戻り、レクターに捜査の助言を求める場面から始まる。
1作目以外は国外での人気が高く、前作の「ハンニバル」(2001)の約3億万ドルには及ばないものの、全世界で2億ドルを超すヒットとなった。
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北米興行収入 $92,930,010
世界 $209,196,300
コメディ作品の監督として才能を発揮していたブレット・ラトナーが、2作目でエスカレートした残虐シーンを抑えながらも、緊迫した映像表現で上質な作品に仕上げている。
前2作と比べてもストーリーが非常に分かり易く、当代随一とも言える、実力派スター達の重厚な演技は見応え十分で、1作目の主人公であるクラリス・スターリングの登場寸前で終わる粋なラストも注目だ。
また、物語のポイントとなるウィリアム・ブレイクの”レッド・ドラゴンと太陽をまとう女”の絵が効果的に使われ、その不気味さがドラマを盛り上げる。
ダニー・エルフマンの、作品に風格を感じさせる厳かな音楽も印象的だ。
はまり役などという言葉では失礼とも言える、”ハンニバル・レクター”そのものを演じ、見事な演技を見せるアンソニー・ホプキンスと、彼に翻弄されながらも、観察力と推理で事件を解決に導いていくエドワード・ノートンの”対決”は見ものだ。
クラリスのような、若さと情熱で捜査を進める捜査官ではなく、やつれた雰囲気ながら、経験豊富な優れた捜査能力を発揮するFBI捜査官を演ずるエドワード・ノートンは、その後の活躍を含めて見逃すことができない。
同じく、体当たりの演技を見せ、鍛え上げた肉体までも披露してくれる、レイフ・ファインズの迫真の悪役ぶりも素晴らしい。
統率力と信頼感を兼ね備えたFBI捜査官のハーヴェイ・カイテル、出色の演技でドラマにアクセントを加える、盲目の女性役エミリー・ワトソン、グレアム(E・ノートン)の妻メアリー=ルイーズ・パーカー、グレアムを追う記者で、犯人の餌食になるフィリップ・シーモア・ホフマン、レクターの収監病院院長で、前作にも登場したアンソニー・ヒールド、暗号の謎を解く捜査官ケン・レオン、そして、ビル・デュークも警察署長役でわずかながら出演している。