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プレタポルテ Ready to Wear / Prêt-à-Porter (1994)

パリ・プレタポルテ・コレクションの内幕を描く、製作、監督、脚本ロバート・アルトマンマルチェロ・マストロヤンニソフィア・ローレンアヌーク・エーメ他豪華スター競演の群像風刺コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・アルトマン

製作:ロバート・アルトマン
脚本
ロバート・アルトマン

バーバラ・シャルガサー
撮影
ピエール・ミニョー

ジャン・ルピーヌ
編集:ジェラルディン・ペローニ
音楽:ミシェル・ルグラン

出演
セルゲイ・オブローモフ/セルジオ:マルチェロ・マストロヤンニ

イザベラ・ド・ラ・フォンテーヌ:ソフィア・ローレン
シモーヌ・ローヴェンタル:アヌーク・エーメ
オリヴィエ・ド・ラ・フォンテーヌ:ジャン=ピエール・カッセル
キティ・ポッター:キム・ベイシンガー
マイロ・オブラニガン:スティーヴン・レイ
ソフィー・ショワゼ:キアラ・マストロヤンニ
ジャック・ローヴェンタル:ルパート・エヴェレット
フィオナ・ウルリッヒ:リリ・テイラー
スリム・クライスラー:ローレン・バコール
ジョー・フリン:ティム・ロビンス
アン・アイゼンハウアー:ジュリア・ロバーツ
ニナ・スキャント:トレイシー・ウルマン
サイ・ビアンコ:フォレスト・ウィテカー
コート・ロムニー:リチャード・E・グラント
レジーナ・クルム:リンダ・ハント
フォルジェ警視:ミシェル・ブラン
トンピ警視:ジャン・ロシュフォール
メジャー・ハミルトン:ダニー・アイエロ
アルベルティーヌ:ウテ・レンパー
ピラール:ロッシ・デ・パルマ
ルイーズ・ハミルトン:テリー・ガー
シシー・ワナメイカー:サリー・ケラーマン
クリント・ラムロー:ライル・ラヴェット

アメリカ 映画
配給 ミラマックス

1994年製作 133分
公開
北米:1994年12月23日
日本:1995年5月27日
北米興行収入 $11,300,650


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
モスクワ
クリスチャン・ディオール”のブティックで、第二次大戦後にイタリアから亡命した仕立て屋セルゲイ・オブローモフ(マルチェロ・マストロヤンニ)が、2組の派手なブルーのネクタイを購入する。

パリ
プレタポルテ協会の会長オリヴィエ・ド・ラ・フォンテーヌ(ジャン=ピエール・カッセル)は、モスクワから送られてきたそのネクタイを受け取る。

ファッション・レポーターのキティ・ポッター(キム・ベイシンガー)は、翌日から始まる1994年・秋冬プレタポルテ・コレクションの舞台裏をレポートし、ティエリー・ミュグレーにインタビューする。

オリヴィエと不仲である妻イザベラ(ソフィア・ローレン)は、愛犬の相手ばかりしていた。

ショーの準備を進めるデザイナーのシモーヌ・ローヴェンタル(アヌーク・エーメ)と息子のジャック(ルパート・エヴェレット)は、妊娠して現れたモデルのアルベルティーヌ(ウテ・レンパー)に驚く。
...全てを見る(結末あり)

そこに現れたオリヴィエは、愛人であるシモーヌに空港に向かうことを伝え、夕食の約束をしてその場を去る。

礼のネクタイをしたオリヴエは、送り主(セルゲイ)を迎えに行くためシャルル・ドゴール空港に向かう。

空港でショーの関係者を待つキティは、偶然に現れたオリヴィエにインタビューする。

ネクタイが気になるキティは、そのブランドが”ディオール”だと当てて質問を始めるが、オリヴィエは、同じネクタイをしたセルゲイが近づき合図したため、それを気にして立ち去る。

”ヒューストン・クロニクル”の編集補佐アン・アイゼンハウアー(ジュリア・ロバーツ)は、ヒューストンの空港のバーに荷物を置いて来てしまい、同じアメリカ人のルイーズ・ハミルトン(テリー・ガー)に協力を求める。

セルゲイに会ったオリヴィエは、朝食をとっていないことを伝える。

ファッション主要三誌の編集長”ハーパーズ バザー”のシシー・ワナメイカー(サリー・ケラーマン)、イギリス版”ヴォーグ”のニナ・スキャント(トレイシー・ウルマン)、”ELLE”のレジーナ・クルム(リンダ・ハント)が到着し、キティのインタビューに答える。

三人の編集長はその場を去り、ファッション・ディレィターだと言うメジャー・ハミルトン(ダニー・アイエロ)がキティにインタビューを受けてもいいことを伝えるが、彼女はそれを断る。

人気カメラマンのマイロ・オブラニガン(スティーヴン・レイ)に気づいたキティはインタビューする。

ハムのサンドイッチを買い、セルゲイを車に乗せて空港を出たオリヴィエは、車内でサンドイッチをのどに詰まらせて死亡してしまう。

渋滞で止まっていた車から降りたセルゲイはその場から離れ、運転手がオリヴィエの死に気づく。

運転手に追われたセルゲイは、その場に居合わせた”ニューヨーク・タイムズ”の記者フィオナ・ウルリッヒ(リリ・テイラー)に写真を撮られながら、アレクサンドル3世橋から川に飛び込む。

電話を受けたシモーヌはオリヴィエが殺害されたことを知らされ、それをテレビのニュースで確認する。

愛犬のコンクールに出場していたイザベラは、同じ参加者だったトンピ警視(ジャン・ロシュフォール)からオリヴィエの死を知らされるものの悲しみもしなかった。

アレクサンドル3世橋”。
警察の捜査は始まり、駆けつけたフォルジェ警視(ミシェル・ブラン)は、写真を撮ったと言うフィオナにフィルムの提供を求める。

川から上がったセルゲイは、関係者が宿泊するホテルのロビーで、スポーチ記者ジョー・フリン(ティム・ロビンス)の荷物を盗もうとする。

その後でキティは、”ヴォーグ”の編集長スリム・クライスラー(ローレン・バコール)にインタビューする。

チェックアウトしようとしていたジョーは電話を受け、オリヴィエの事件を取材するよう指示される。

ジョーはチェックアウトを取り消して、その部屋に宿泊しようとしたアンと揉める。

テキサスのブーツ・メイカーである富豪のクリント・ラムロー(ライル・ラヴェット)を、スリムはキティに紹介する。

荷物がなくなっていることに気づきながら、ジョーは部屋に向いアンとそれを奪い合う。

キティは、有名なジャーナリストであり作家のエルザ・クレンチにインタビューする。

ホテルに着いたメジャーは荷物に女性ものの下着が入っていたため、妻ルイーズに電話をして”秘密”がばれてしまうと言って注意する。

ニナとレジーナは、お互いの部屋が間違っていることに気づき入れ替わる。

セルゲイは、掃除中の部屋に忍び込みジャケットを着てみるが、ジョーは長身だったためサイズが合わない。

署に戻ったトンピ警視はフィオナの写真を確認するが、犯人の顔が写っていなかった。

オリヴィエを殺した犯人は見つからず溺死したものと思われ、そのニュースを見ていたジョーは、アンがまだ部屋にいることに気づく。

イザベラとシモーヌは遺体安置所で出くわすが言葉も交わさず、オリヴィエの死を確認して報道陣に囲まれる。

ジョーのジャケットをハンドミシンで仕立て直していたセルゲイは、テレビに映ったイザベラを見て思いに耽る。

ジャックは、妻の妹のアパートに向い彼女愛し合う。

ジョーとアンは仕方なく同じ部屋で過ごすことになり、食事をしようとしてワインを飲み始めるが、アンの酒癖には問題があった。

デザイナーを集めた写真撮影が行われ、マイロはシモーヌ抜きで参加者に説明を始める。

そこにシモーヌが現れ、彼女はジャン=ポール・ゴルチエの横に案内されマイロの説明を受ける。

ルーブル美術館、中庭。
1994年・秋冬プレタポルテ・コレクションは開催され、クリスチャン・ラクロワがオープニングを飾り、ショーの後にキティのインタビューを受ける。

ジョーとアンは一夜を共にしてしまい、アンはその件について話し始めるがジョーは全く気にしない。

ソニア・リキエルの訪問を受けたシモーヌは、その後に現れたデザイナーのコート・ロムニー(リチャード・E・グラント)にオリヴィエの死の件で励まされる。

会場ではディオールのショーが終り、デザイナーのジャンフランコ・フェレがキティのインタビューを受ける。

シモーヌを訪ねたデザイナーのサイ・ビアンコ(フォレスト・ウィテカー)はお悔やみを言うものの、オリヴィエは嫌いだったと正直に伝える。

ルイーズはブティックを回って服を買いまくり、三宅一生の店にも立ち寄り大きいサイズを求めようとする。

三宅一生のショーが終わり、彼がキティのインタビューを受けている映像がテレビで流れる。

その時、ジョーが自分のジャケットを着た男(セルゲイ)に気づく。

トンピとフォルジュ両警視は、オリヴィエが皆に好かれる男性でなかったことをシモーヌから知らされる。

スリムに伴われたラムローから自分のロゴ入りのブーツを贈られたシモーヌは、誰が使用許可を与えたのかを尋ねる。

イタリアのデザイナー、ニコラ・トラサルディに声をかけたキティだったがインタビューを断られてしまう。

コートのショーが始まり、キティはハリー・ベラフォンテの隣の席に座る。

セルゲイも会場をうろつき、トンピとフォルジュの横でショーを見る。

ショーは終わりコートにインタビューしたキティは、カメラのフラッシュを浴びるハリー・ベラフォンテに話を聞き、彼が映画撮影のため滞在中だと知る。

目の前にセルゲイが現れたためにイザベラは卒倒してしまい、キティがその様子を伝える。

イザベラの意識は戻り、その場で医師の診察を受ける。

街の散策を続けるルイーズは、イネス・ド・ラ・フレサンジュのブティックに立ち寄る。

愛し合う仲だったコートとサイは、電話でそれを確認する。

支配人から届けられたシャンパンを飲んだアンは、再びジョーに迫り愛し合ってしまう。

ショーを終えたゴルチエは、キティのインタビューを受ける。

レジーナに呼ばれたマイロは、”ELLE”と契約してほしいと言う彼女が土下座すると口にしたため、それを要求する。

マイロは、レジーナが土下座したところを写真に撮ってしまい、彼女は憤慨してマイロを追いだす。

ラムローと契約してしまったジャックは、シモーヌの服を持ち出し宣伝用のブーツの写真をマイロに撮影させる。

シシーもマイロを呼び出して色仕掛けで契約させようとするが、胸を見せたところを写真に取られたため彼を追いだしてしまう。

メジャーと廊下でぶつかりカード・キーを盗んだセルゲイは、衣服を物色して女性の下着を見つける。

夜になり”ブルガリ”のパーティーが開かれ、キティはパオロ・ブルガリにインタビューする。

ニナに質問していたフィオナはまともな話をしたいと言われる。

公害の大半は繊維工業によるものであるとフィオナに言われたニナは、意見を求められるものの答えを返せない。

愛し合ったジョーとアンは些細なことで諍いを起こすが、直ぐに仲直りする。

シェールに声をかけたキティはインタビューに応じてもらうが、イザベラとは話ができなかった。

その場に現れたセルゲイのジャケットを見たメジャーは、自分がなくしたものに似ていると言う。

フィオナに質問されたレジーナだったが、マイロの写真をニナが見ていることに気づきホテルに戻る。

イザベラに背後から近づいたセルゲイは”セルジオ”だと伝え、約40年前に別れた時のことなどを話す。

胸の露出写真をマイロから見せてもらい、ニナが笑っているのを知ったシシーは動揺する。

共産主義者だったセルジオは、モスクワに着いた直後にスターリンが死んだため、その混乱で連絡ができなかったことをイザベラに話す。

その後、仕立て屋になり、新聞でイザベラがオリヴィエの妻になったことを知りショックを受けたと言うセルジオは、今でも愛していると彼女に伝える。

マイロがアシスタントに写真と部屋のカード・キーを渡したのを見たシシーは、自分のアシスタントにその鍵を奪うよう指示する。

現場にいたと言ってオリヴィエが殺されていないことをイザベラに伝えたセルジオは、じっくり話したいため、翌日の午後4時に”ロダン美術館”の”考える人”の前で会う約束をする。

”恋人”達は会場を離れ、それぞれ愛の時間を楽しむ。

マイロの部屋に忍び込んだセルゲイは、カード・キーを手に入れ写真を探しに来たシシーが現れたためクローゼットに隠れる。

そこにマイロとニナが戻り、シシーもクローゼットに入りセルゲイに気づく。

カメラを用意したマイロはニナを連れて寝室に向い、その間にシシーとセルゲイは部屋を出る。

マイロは下着姿のニナを写真に撮り、それに気づいた彼女はマイロを罵倒して部屋を去る。

検死結果が翌日分かることを確認したトンピとフォルジュは、犯人と被害者のネクタイが同じだと気づく。

翌朝、帰宅したジャックは母シモーヌからの電話を受け、マイロと何をしているのかを問われる。

そこに戻った妻の外出先を問い詰めるジャックだったが、妹の家だと言われて言葉を失う。

ホテル側から部屋が用意できたと言われたジョーは、もう必要ないと答える。

ショーを終えたソニア・リキエルのインタビューを始めたキティだったが、英語が得意でないと言われて揉める。

ボーイの持ってきたキーをジョーが不要だと言っている現場を見たセルゲイは、それを自分のものにしてしまう。

目覚めたマイロは、デスクの上からブーツのネガがなくなっているいることに気づき焦る。

サイのショーは地下鉄の廃駅で行われるとになり、その場にいたコートは、キティからマイクを向けられて迷惑に思う。

ニナとレジーナに写真の件を話したシシーは、自分達がマイロにからかわれたことを確認し、ブーツのネガを手に入れたことを話す。

サイのショーが始まった頃、ラムローに会社を売ってしまったことでジャックはシモーヌに責められる。

ジャックは会社の資金難を指摘し、仕方がないことだと言ってシモーヌを納得させ、外で待っているラムローを呼ぶ。

考える人”の前でイザベラと会ったセルジオは頬を叩かれてしまい、オリヴィエと会った理由を話そうとする。

ショーを終えたサイは、コートに呼ばれて車両の中で抱き合うが、それぞれのアシスタントもその場で抱き合っていることを知り驚く。

そこにキティが現れ、サイはインタビューを受ける。

スリムにブーツのネガに問題が起きたことを話したマイロは、現れたシシー、ニナ、レジーナから交渉に来たと言われる。

ジョーはバッグが見つかり、お詫びとしてホテル側からシャンパンを贈られる。

ルイーズはメジャーとパリの夜を過ごし、ショッピングの成果を見せる。

セルジオはイザベラを部屋に連れて行き、二人は昔を思い出す。

ルイーズが用意した服で女装したメジャーは、彼女と共にゲイ・クラブに向い、同性愛者のフィオナもそこで取材していた。

セルジオとイザベラはムードを作り愛し合おうとするが、彼は疲れてベッドの上で寝てしまう。

メジャーは写真を撮るフィオナに気づき、逃げる彼女を追いかける。

セルジオにメモを残したイザベラは、その場を去る。

翌日トンピは、オリヴィエの窒息死の原因がハムの脂身であることが判明したことを発表する。

それを知ったジョーは、戻ったジャケットの袖とズボンの丈が短くなっていることに気づき、その理由を探る。

”プレタポルテ”そのものだと言ってそう記事に書くと言うアンに、素敵だと伝えたジョーは彼女と別れる。

シモーヌのショーが始まり、モデルは全裸で登場して会場は静まり返り、妊婦のアルベルティーヌまで登場する。

キティは戸惑いながらその様子を伝え、場内では喝采が起きる。

これがファッションなのかと言って混乱するキティは仕事を放棄し、アシスタントのソフィー・ショワゼ(キアラ・マストロヤンニ)にマイクを渡してその場を去る。

レポートするソフィーは、どの服を着るかではなく、服に何を求めるか考えることをシモーヌが教えてくれたと締めくくる。

その後、オリヴィエの葬儀が行われ、マイロが”トラサルディ”の広告撮影をする公園のベンチで寝ていたセルゲイは、葬儀の参列に加わる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
パリ
1994年・秋冬プレタポルテ・コレクションを翌日に控え、モスクワから到着した仕立て屋セルゲイから送られてきたネクタイを締め、空港で彼を迎えたプレタポルテ協会の会長オリヴィエが、食べ物をのどに詰まらせて窒息死する。
車に同乗していたセルゲイは、殺人犯と疑われて逃亡する。
不仲だったオリヴィエの死を知らされた妻イザベラは悲しみもせず、彼の愛人だったデザイナーのシモーヌはショーを前に動揺する。
そしてショーは開催され、セルゲイは警察の捜査を逃れながら会場に姿を現し、ある理由があってイザベラに近づこうとするのだが・・・。
__________

複雑な人間関係が絡み合うロバート・アルトマン独特の演出を期待するものの、うまくまとめてあるという程度に留まる、オールスター競演だけが注目のにぎやかな作品。

シニカル・コメディということになっているが、その点もイメージ的には弱く、ロバート・アルトマン作品にしては平凡な内容の作品に終わってしまった。

最先端のファッション界を描くドラマだけあり、豪華スターやトップ・デザイナー総出演なども話題になり、華やかな映像は見栄えはする。

スタッフ、キャスト共にこれだけの大物を集めた作品にも拘わらず商業的にも失敗に終わり評価も低かった。

一応、主人公的なマルチェロ・マストロヤンニの、ソフィア・ローレンとのかつての愛を求める物語なのだが、その結末もしっくりこない。

*参考:スタッフ・キャスト


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