1956年公開の「誘拐」のリメイク。 誘拐事件の被害者が犯人を逆に脅迫する奇抜なストーリーが話題になった、製作ブライアン・グレイザー、監督ロン・ハワード、主演メル・ギブソン、レネ・ルッソ、ゲイリー・シニーズ、デルロイ・リンド、リーヴ・シュレイバー他共演による犯罪サスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロン・ハワード
製作
スコット・ルーディン
ブライアン・グレイザー
キプリング・ハゴピアン
原作
シリル・ヒューム
リチャード・メイバーム
脚本:リチャード・プライス
撮影:ピョートル・ソボチンスキー
編集
ダニエル・P・ハンリー
マイク・ヒル
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演
メル・ギブソン:トム・マレン
レネ・ルッソ:キャサリン”ケイト”マレン
ゲイリー・シニーズ:ジェームズ”ジミー”シェイカー刑事
デルロイ・リンド:ロニー・ホーキンス捜査官
リリ・テイラー:マリス・コナー
リーヴ・シュレイバー:クラーク・バーンズ
ドニー・ウォルバーグ:カビー・バーンズ
ブローリー・ノルティ:ショーン・マレン
エヴァン・ハンドラー:マイルス・ロバーツ
ダン・ヘダヤ:ジャッキー・ブラウン
アメリカ 映画
配給 タッチストーン・ピクチャーズ
1996年製作 121分
公開
北米:1996年11月8日
日本:1997年2月15日
製作費 $80,000,000
北米興行収入 $136,448,820
世界 $309,492,680
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
高級アパートのペントハウスに住む、急成長した航空会社の社長トム・マレン(メル・ギブソン)は、妻ケイト(レネ・ルッソ)と息子ショーン(ブローリー・ノルティ)と共に幸せを満喫し、今まさに人生の絶頂にあった。
ある日、ケイトが主催するジュニア科学フェアのイベントに、トムとショーンも参加する。
しかし、トムとケイトが目を離した隙に、クラーク・バーンズ(リーヴ・シュライバー)、弟のカビー(ドニー・ウォルバーグ)とマイルス・ロバーツ(エヴァン・ハンドラー)らに、ショーンが誘拐されてしまう。
その後、トムとケイトの元にメールが届き、200万ドルの身代金を要求される。
ベッドに縛られたショーンの映像と共に、警察への通報や発信機が見つかった場合は、彼を殺すと脅迫される。 トムとケイトは、ショーンの安否を気遣い、警察ではなくFBIに通報する。 やがて、変装したロニー・ホーキンス捜査官(デルロイ・リンド)らが現れる。 トムとケイトは、他社との契約で賄賂を受け取って逮捕され、トムが、組合とのトラブルで賄賂を渡したという情報を差し出して司法取引しようとした、自分を恨んでいる、ジャッキー・ブラウン(ダン・ヘダヤ)の犯行だろうということをホーキンスに告げる。 ホーキンスは、それを承知していることをトムに告げて、動揺して興奮する彼を落ち着かせようとする。 その頃、犯人の一人カビーはショーンに同情し、トムの会社のパーティーのスタッフだった、マリス・コナー(リリ・テイラー)にそれを責められる。 トムは、賄賂が事実だったことをホーキンスに伝えて、ブラウンだけが刑務所に入り、自分は、それを逃れたことも話す。 その後、刑務所のブラウンに面会に行ったトムは、彼が犯人でないことを知る。 しかし、事件の黒幕は、マリスの恋人ジミー・シェイカー刑事(ゲイリー・シニーズ)だった。 犯人(シェイカー)から、身代金受け渡しの連絡を受けたトムは、自ら現場へ向かうことにする。 トムは、シェイカーに指示されながら、途中で車を替えさせられて、組合の賄賂の件を見抜いていることを知らされる。 そして、身代金の引き渡し現場に着いたトムが、現れたカビーに金を渡すが、監視していたFBIのヘリコプターが現れ、彼は射殺されてしまう。 自宅に戻ったトムは、勝手な行動をとったホーキンスに殴りかかり、妻ケイトも取り乱してしまう。 手がかりを失ったかに思えたトムとFBIは、犯罪歴のあるカビーの兄クラークが、いつも行動を共にしていることに目を付ける。 弟カビーが殺されて、自分にも捜査が及ぶと思い焦るクラークを、シェイカーは落ち着かせる。 ショーンの様子を見に行ったマリスは、目隠しが外れかけていた彼に、会ったことがあると言われる。 金を払っても、ショーンは助からないだろうという思いが巡る中、トムは身代金を渡すのを止めようとする。 再びシェイカーから取引の連絡が入り、多くのマスコミが囲むアパートを出たトムは、途中で気が変わり、テレビ局に向かう。 それをシェイカーに告げたトムは、カメラの前で、犯人に身代金支払い拒否を伝え、さらに現金200万ドルを前に、これを懸賞金にすると、毅然とした態度で言い放つ。 さらにトムは、ショーンを返すなら懸賞金は撤回すると付け加える。 動揺する犯人達はショーンを殺そうとするが、シェイカーがそれを阻止する。 自宅に帰ったトムは、自分がとった行動をケイトに理解させようとする。 ホーキンスは、身代金を払うようトムに言い聞かせるが、彼の考えは変わらず、仕方なくケイトを説得する。 ケイトの気持ちが動きかけた頃、シェイカーが身元を隠して彼女と接触し、息子を殺すと言って、トムに金を払わせるよう脅しをかける。 それを知っても気持ちを変えないトムは、マスコミを前に懸賞金を倍の400万ドルに吊り上げてしまう。 トムに連絡を入れたシェイカーは、考えを変えようとしない彼に、ショーンの声を聞かせて銃を放つ。 ショーンが死んだかもしれない状況の中で、トムは泣き崩れ、一度は彼を罵倒したケイトがそれに寄り添う。 そしてシェイカーは最後の手段に出て、仲間を裏切り自分が懸賞金を手に入れようとしたのだ。 クラークとマイルスを殺したシェイカーだったが、マリスに銃撃されてしまう。 シェイカーはマリスも射殺し、ショーンを解放させたように見せかけ、事件を解決させた英雄となる。 しかし、警察は、死亡した三人の犯人の他に首謀者がいるだろうという見解を発表する。 そうとは知らないトムはシェイカーに感謝し、懸賞金を払おうとするが、ショーンが、シェイカーに気づいてしまう。 それを察したトムだったが、罠だと分かったシェイカーに銃を突きつけられる。 シェイカーを連れて、銀行に向かうことになったトムは、秘書に電話すると見せかけてホーキンスに連絡を取る。 銀行で送金を済ませたシェイカーだったが、既に指名手配され、警官に拘束されそうになる。 トムとシェイカーは路上で乱闘となり、シェイカーの銃を奪ったトムは彼に銃を向ける。 しかし、駆けつけたホーキンスらがそれを阻止しようとする。 その時、シェイカーは隠し持っていた拳銃をトムに向ける。 トムは咄嗟にシェイカーに銃弾を浴びせ、ホーキンスの銃撃でシェイカーは射殺される。 そしてトムは、ホーキンスに同行していたケイトと共にその場から立ち去る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
実業家トム・マレンの息子ショーンが、トムと妻ケイトの目の前で誘拐され、身代金200万ドルを要求される。
FBIのホーキンスの協力を得て、身代金を届けたトムだったが、それに失敗して窮地に立たされる。
現金を渡しても、息子は犯人に殺されると考えたトムは、身代金を渡すことを拒否し、なんとそれを犯人逮捕のために懸賞金にしてしまう。
そして、犯人のリーダーである刑事のシェイカー は、それに対抗する秘策を実行する・・・。
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シリル・ヒュームとリチャード・メイバームの脚本による、1956年に公開されたグレン・フォード、ドナ・リード、レスリー・ニールセン出演の「誘拐」(Ransom!)のリメイク。
北米で約1億3600万ドル、全世界では3億ドルを超した大ヒット作品。
個人的意見だが、メル・ギブソンが昔からあまり好きになれない自分にとっては、どうも物足りない作品だ。
レネ・ルッソ、ゲイリー・シニーズ、デルロイ・リンドらの実力派共演陣は、ドラマに厚みを加える演技を見せている。
ロン・ハワードの、スピーディーでメリハリある演出は悪くはないが、あそこまで綿密な計画を立てた知能犯が、最後に懸賞金受け取りを焦るところなどは首を傾げてしまう・・・。
人間味を見せた犯人の描写を、好意的に見るかなどで評価が分かれるかもしれない。
子供にばれるので、早く高飛びしたいのかと思えば、声だけで犯人と判明してしまう展開・・・
そんなことなら、どこに逃げても間違いなく捕まってしまい、監禁現場を洗えば必ず犯人とばれる、そう思えてならない・・・。
旧作では犯人は不明のまま子供は戻り、身代金支払いを拒否した主人公グレン・フォードは、世論やマスコミを敵にまわしながらも、自分の考えを貫き勝利するという筋立てだ。
犯人不明というところと、社会悪に屈しない主人公の意思の力強さが伝わる、旧作のストーリーは興味深い。
演技派らしく悪役を演じてもなかなかいい面構えのゲイリー・シニーズが主人公に言うように、200万も400万もいくらでも都合できる、賄賂で疑われている権力者のエゴが、こんな事件を起こさせたとでも言いたげな、皮肉が見え隠れする作品でもある。
賄賂を渡した事実を後ろめたく思いながら、息子の救出に命をかける実業家メル・ギブソン、その妻レネ・ルッソ、誘拐の黒幕ゲイリー・シニーズ、FBIのベテラン捜査官デルロイ・リンド、犯人リリ・テイラー、リーヴ・シュレイバー、ドニー・ウォルバーグ、エヴァン・ハンドラー、誘拐される主人公の息子で、ニック・ノルティの実の息子ブローリー・ノルティ、犯人に疑われる囚人ダン・ヘダヤなどが共演している。