愛妻家で家族思いのサラリーマンが真面目過ぎる妻の愛を取り戻そうと奮闘する姿を描く、製作、監督レオ・マッケリー、主演ポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード、ジョーン・コリンズ他共演のコメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:レオ・マッケリー
製作:レオ・マッケリー
原作:マックス・シャルマン
脚本
クロード・ビニヨン
レオ・マッケリー
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ルイス・R・ローファー
音楽:シリル・J・モックリッジ
出演
ポール・ニューマン:ハリー・バナーマン
ジョアン・ウッドワード:グレース・オグルソープ・バナーマン
ジョーン・コリンズ:アンジェラ・ホッファ
ジャック・カーソン:ホクシー大尉
ゲイル・ゴードン:ソールウォルド将軍
ドウェイン・ヒックマン:グラディ・メトカーフ
チューズデイ・ウェルド:コンフォート・グッドパスチャア
マーヴィン・ヴァイ:オスカー・ホッファ
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1958年製作 106分
公開
北米:1958年12月23日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨークの北80キロにあるパットナム上陸地。
通勤列車から降りたハリー・バナーマン(ポール・ニューマン)は、妻グレース(ジョアン・ウッドワード)が迎えに来ていないことに気づく。
息子が何かを飲み込んでしまい、グレースが迎えに来れないとわかり、ハリーは、夫オスカー(マーヴィン・ヴァイ)が列車に乗っていないことを知った知人アンジェラ・ホッファ(ジョーン・コリンズ)に送ってもらうことになる。
夫との倦怠期など愚痴をこぼすアンジェラに対し、ハリーは幸せな自分の家庭を自慢気に話す。
しかし、ハリーが帰宅すると、子供達は父親を無視して、夕食は冷凍食品、妻グレースとは言い争ってしまう。
仲直りをしようと、ニューヨークのホテルで羽目を外すことになった2人だったが、グレースは、自治会の会合続きだということを思い出し、結局は、水入らずの旅行など行けるはずもなかった。 ハリーは人生が複雑なものだと思ったが、アンジェラは、それをさらに混乱させる企みを考えていた。 アンジェラは、妻に無関心な夫オスカーを見限り、いよいよ行動に出る。 ベビーシッターに子供達を任せたハリーとグレースは、ゴミ処理についての自治会の会合に出かける。 アンジェラも参加していた会合は、地主が陸軍に土地を売ったがことから、”パットナムの女性を守る会”に変更されてしまう。 住民は大いに盛り上がるのだが、その委員会の会長に、なんとグレースが任命されてしまう。 ハリーのショックとは裏腹に、得意満面のグレースは、夫もその委員会に代表として引き入れてしまう。 アンジェラを送ったハリーは、彼女の家でウイスキーを数杯飲み干す。 そしてアンジェラは、妖しげな服に着替えてハリーを誘惑しようとする。 2人は酒を酌み交わし、大いに楽しんだハリーは上機嫌で帰宅する。 委員会の件で、国防総省のソールウォルド将軍(ゲイル・ゴードン)とホクシー大尉(ジャック・カーソン)に面会に行ったハリーは、町の見解を説明する。 温厚なソールウォルド将軍に対し、ホクシー大尉は短気で、喧嘩腰でハリーに接する。 ソールウォルド将軍に事情を説明したハリーは、ホテルの部屋に戻るが、部屋はスイートに変えられ、フロントでグレースが待っていると知らされる。 ハリーはハネムーン気取りで、キャビアやシャンペン、花束まで用意して部屋に向かった。 しかし、部屋でハリーを待っていたのは、悩ましい姿をしたアンジェラだった。 慌てるハリーをアンジェラはからかい、彼女のお気に入りの香水を、ハリーはスーツにこぼして焦ってしまう。 そんな時、グレースが部屋に現れ、混乱するハリーと彼女の目の前に、半裸のアンジェラがシャワー室から飛び出してくる。 ハリーの言い訳は通らず、グレースは憤慨して部屋を出て行ってしまう。 帰宅してグレースに謝罪したハリーだったが、彼女は離婚話を持ち出す。 一瞬ハリーを許しそうになったグレースは、彼のスーツの香水の臭いで癇癪を起こし、ハリーを追い出してしまう。 やがて、テネシーから大量の兵士がパットナムに向かい、指揮を執るホクシー大尉から、”最高機密”の重要任務を伝えられるが、兵士達は、”いかに女性を手に入れるか”で頭が一杯だった。 グレースを先頭に、軍隊の駐屯を阻止しようとするデモが繰り広げられるが、男性に興味津々の少女コンフォート(チューズデイ・ウェルド)達は、彼らを歓迎する。 ソールウォルド将軍に呼ばれたハリーは、テレビ中継されているデモの様子を見せられる。 ホクシーは、強行突破しようとして橋を壊してしまい、川に転落してしまう。 それを見ていた、ソールウォルド将軍は呆れてしまい、陸軍と住民の橋渡し役をハリーに任せる。 将軍に海軍少佐に任命されたハリーは、それをホクシーに伝え、自宅に帰り子供達に会うが、結局はグレースに追い出されてしまう。 グレースには内緒で家に居座っていたハリーは、なんとか軍に妥協するよう、彼女を説得しようとする。 そこに、陸軍次官から直々の協力要請書がグレースに届くが、無言電話がかかり、アンジェラだと察した彼女は、再びハリーを責め始める。 その頃、アンジェラはバーでホクシーと出会い、彼にハリーに電話をさせる。 ハリーが出たのを確認したアンジェラは電話を代わるが、それを疑ったグレースが電話に出ようとするので、ハリーは彼女に受話器を渡し、その間にアンジェラもホクシーに代わる。 再び電話を代わったアンジェラは、夫が自分達のことを疑い始めたことをハリーに伝えるものの、さらに彼を誘惑する。 受話器を取ってしまったグレースは、相手が交換手の芝居をするアンジェラだと気づくが、ハリーは開き直り、それを認め、バーで暴れているというホクシーを止めにいく。 ハリーは、酔いつぶれていただけのホクシーをアンジェラと連れ帰ろうとするが、そこにソールウォルド将軍が姿を現す。 さらに、アンジェラの夫オスカーまで現れ、彼女とハリーとの浮気を疑うが、隠れていたホクシーが相手だと思い、彼を殴り倒してしまい、将軍は再び呆れてしまう。 グレースは、陸軍次官からの要請を受け入れ、関係者を自宅に招き妥協案を発表するが、次官の書簡はハリーの仕組んだ偽装書類だった。 そこに、夫オスカーに付き添われたアンジェラが現れ、夫婦仲が戻ったことをハリーとグレースに伝える。 パットナムの町は陸軍を歓迎することになり、記念式典で歴史を伝える劇が行われるが大失敗に終わり、グレースはショックを受ける。 陸軍は最後の解決策として、町の代表に”最高機密”を公表することにする。 軍の機密とは、チンパンジーを宇宙に送る実験で、ロケットの発射の仕組みを、ソールウォルド将軍は人々に説明する。 そこに、将軍に謝罪に来たグレースが現れるが、ハリーが失意の彼女を励まし、2人は愛を取り戻す。 その瞬間、グレースがロケットの発射ボタンの上に座ってしまう。 チンパンジーの世話係になっていた、ホクシーが搭乗したまま、ロケットは発射されてしまう。 そしてハリーとグレースは、ホテルのスイートルームで、ようやく2人の休日を楽しむことが出来る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク郊外に住むハリー・バナーマンは、妻グレースと子供達と共に、平穏な暮らしをしていた。
しかし、グレースは自治会活動で忙しく、夫婦水入らずの時間もとれないハリーは、不満が募る。
そんな時、知人のオスカーと倦怠期を迎えていた妻アンジェラが、夫を見限りハリーに接近する。
自治会の会長に任命されたグレースは、地主が、陸軍に土地を売ったことに抗議するため、ハリーもその代表に引き入れてしまう。
そんな時、アンジェラとハリーをの仲を疑ったグレースは、夫に離婚を切り出し・・・。
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原題”Rally Round the Flag, Boys!”は、アメリカの作曲家ジョージ・F・ルートが、南北戦争時代の1862年に発表した愛国歌”Battle Cry of Freedom”の一説から引用されている。
人情派コメディ・ドラマの巨匠レオ・マッケリー晩年の秀作で、彼自身が製作、脚本を担当した作品でもあり、アメリカの典型的な中流サラリーマンの生活の中で巻き起こる騒動を、ドタバタ喜劇ではあるが、彼らしく温かみのある雰囲気にまとめ上げている。
中流家庭といっても、当時の日本の国情からすると夢のような生活に見える、豊かさを象徴するアイテムの数々が興味深い。
例えば、1950年代末の当時、既に冷凍食品は当たり前で、水道の蛇口からは好きなだけお湯が流れ、箱入りのティッシュペーパーも登場する。
多少のユーモアどころか、純粋なコメディに挑戦したポール・ニューマンは、結構大真面目に物事に取り組むのだが、要領が悪いために、それが全て裏目に出てしまう。
そんな彼の、うろたえて焦る姿が見られる貴重な作品。
この年の2月にポール・ニューマンと結婚していたジョアン・ウッドワードも、意外に機転が利かない、夫との意見が空回りしてしまう妻役を好演し楽しませてくれる。
ジェーン・マンスフィールドの予定であった役を演じた、20代半ばには思えない妖艶さで、主人公ポール・ニューマンに迫る知人役ジョーン・コリンズの魅力も見逃せない。
全くのズッコケ役が、容姿に合って実に可笑しいジャック・カーソン、彼に手を焼く上官ゲイル・ゴードン、デビュー直後で、まだ15歳のチューズデイ・ウェルドも可愛らしい。