悪党兄弟”リノ・ギャング”を捕えるために探偵社から派遣された元諜報員の活動を描く、監督ティム・フェーラン、主演ランドルフ・スコット、フォレスト・タッカー、マラ・パワーズ、J・キャロル・ナッシュ他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:ティム・フェーラン
製作:ナット・ホルト
原案:フランク・グルーバー
脚本:ホレス・マッコイ
撮影:レイ・レナハン
編集:ハリー・マーカー
音楽:ポール・ソーテル
出演
ジェームズ・バーロウ:ランドルフ・スコット
フランク・リノ:フォレスト・タッカー
ローラ・リノ:マラ・パワーズ
シメオン”シム”リノ:J・キャロル・ナッシュ
判事:エドガー・ブキャナン
ジョン・リノ:マイロン・ヒーリー
ラティモア検事:ハワード・ペトリー
シーモアの保安官:レイ・ティール
ウィリアム・ピーターソン:ウィリアム・フォレスト
クリント・リノ:デンバー・パイル
フィッシャー:トレヴァー・バルデット
モンク・クラクストン:ケネス・トビー
アメリカ 映画
配給 RKO
1955年製作 87分
公開
北米:1955年6月2日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
”リノ・ギャング/ノ兄弟”のうち、クリントは尊敬される農夫だった。
しかし、フランク、シム、ジョン、ビルは、アメリカの歴史上で初めて列車強盗を行い、悪事の限りを尽くした。
彼らは、後の”ジェイムズ=ヤンガー・ギャング”や”ダルトン・ギャング”に影響を与えた。
1866年、インディアナ州南部。
フランク・リノ(フォレスト・タッカー)、シメオン”シム”(J・キャロル・ナッシュ)、ビル、ジョン(マイロン・ヒーリー)らリノ兄弟は、銀行を襲うためにノース・バーノンに向かう。
兄弟が来ることを察知したモーズリー保安官は、人々にそれを伝えて警戒させる。
町に着いたフランクらは、銀行の前に馬車を止めて中に入ろうとする。
発砲された兄弟は反撃して銃撃戦となり、ビルが射殺されたために、その場から逃げる。
兄弟を追ったモーズリーらだったが、郡境で追跡を諦めて町の戻る。
家に戻ったフランクらは、妹のローラ(マラ・パワーズ)から、悪事を続けることを批判される。
フランクは、襲撃を知られていたにも拘らず実行したことを悔やみ、現れたクリント(デンバー・パイル)からも、ビルを見捨てたことを非難される。 誰かが密告したと考えるシムに疑われたクリントは憤慨し、彼に殴りかかるものの、フランクとジョンに制止される。 父親から相続した家に、兄たちをかくまっていることをクリントに批判されたローラは、兄弟は追い出せないと伝える。 怒りが収まらないクリントだったが、町に向かいビルの遺体を引き取り、両親の隣りに埋葬しようとする。 シーモア。 ピーターソン探偵社(実際はピンカートン探偵社)の動きなどを考えるフランクは、シムが酒場で酔うと何でも話してしまうとも言われ、あることを考える。 酒場に向かったシムは、ビルが殺されたのは自分のせいだと言いながら悔やみ、再びノース・バーノンを襲い金を奪うとバーテンダーのマーフィーに話す。 マーフィーが手紙を書き馬で出掛けたことを知ったフランクは、彼が密告者だと確信する。 フランクらはマーフィーの元に向かい、ピーターソンに情報を渡しているスパイだと言って追及し、シムが罠にかけたことを伝える。 マーフィーを痛めつけたフランクらは、意識を失った彼を縛り、納屋に火を点けてその場を去る。 その事件は、”リノ兄弟の復讐”という記事で新聞に掲載される。 ピーターソン探偵社。 モンクに経験豊かな元諜報員ジェームズ・バーロウ(ランドルフ・スコット)の話をしたピーターソンは、彼と組んで兄弟に近づくよう指示する。 列車強盗に扮して車両から飛び降りたバーロウは、現金を奪ったように見せかける。 その後バーロウは、モンクと共に数件の強盗事件を起こし、正体がバレないようにしながらリノ兄弟らの出方を窺う。 協力者ユーオールの農場に、画家に扮してモンクと暮らし始めたバーロウは、フィッシャー(トレヴァー・バルデット)の雑貨店でローラに出会い、親交を深めようとする。 バーロウは、言いがかりをつけて来たリーとピートを叩きのめす。 ラティモアと保安官は、今回の列車強盗がジョンの人相と似ていることをフランクにに伝えるものの、それを否定される。 農場に戻ったバーロウとモンクは、ユーオールから、リーとピートがリノ兄弟の一味だと知らされる。 ラティモアと保安官の話を聞いた判事は、犯人はジョンではなく、犯行もフランクのやり方とは違うと考える。 選挙の件や分け前が減っていることなども話した判事は、列車から奪われた100ドル札が使われたという報告を受ける。 雑貨店に向かいフィッシャーと話した判事は、札は画家のバーロウが使ったということを知り、ラティモアと保安官に調べるよう指示する。 よそ者のバーロウと話をしたローラに、警戒するようにと忠告したフランクは、次の襲撃のことを考える。 そこに、バーロウがリーとピートの拳銃を返しに現れ、フランクは彼を追い払おうとして銃を向ける。 フランクを牽制するバーロウは、ローラと雑貨店で会う約束をしてその場を去る。 その夜ラティモアと保安官らは、バーロウら3人を列車強盗の容疑者として逮捕する。 バーロウの財布に入っていた100ドル札6枚を確認したラティモアは、判事に内緒で保安官と分ける。 その後、ラティモアと保安官はバーロウを尋問するが、強盗現場に散らばっていた金を拾っただけだと言われ、残りの2万9000ドルの在りかを聞き出せない。 バーロウが自分に話すと言っていることを知った判事はその場に向かい、ラティモアと保安官を部屋の外に出す。 犯行を認めたバーロウは、6人と情報屋で金を奪い、その後は別れてモンクと自分だけが残り、ユーホールは無関係で、現金は隠してあることを伝える。 どこの農場かは教えないバーロウは、100万ドルの情報もあると判事に伝え、自分を逮捕しても得にならないと言って釈放させる。 それを知らされたラティモアと保安官は、バーロウが金を拾ったことで納得する。 その場を去るバーロウから、自分から奪った600ドルは3人で分けたのかと訊かれたラティモアと保安官は、判事に200ドル渡す。 ユーオールの農場に向かったバーロウは、隠してあった3000ドルを判事に渡し、情報屋からの連絡を待つと伝える。 バーロウを信頼した判事は、彼をリノ兄弟と組ませることにする。 翌日、フィッシャーの店でローラに会ったバーロウは、現れたクリントを紹介される。 フィッシャーに画家の本を借りたローラが、自分に惹かれていることを知ったバーロウは、彼女を見送る。 バーロウに話しかけたフランクらは、判事から指示されていたために、彼を仲間に入れて出発し、州境を越える。 ミズーリ州、デイヴィーズ郡、ギャラティン。 職員が銃を手にしようとしたために、バーロウは発砲する。 その場から逃げたフランクは、発砲したバーロウを批判する。 途中で別れることになったバーロウは、金を持っているフランクについて行く。 家に戻ったフランクは、奪った現金2万1220ドルを確認し、10人で分配すると分け前が少ないために不満だった。 フランクから、発砲したために大金を奪えなかったと言われたバーロウは、発砲しなければ撃たれていたと反論する。 職員を伏せさせないやり方が悪いと言うバーロウは、自分ならもっと大きな仕事をするとフランクに伝える。 分け前を受け取ったバーロウは、次はモンクを仲間に入れると言ってその場を去る。 その様子を見ていたローラは、去ろうとするバーロウを非難し、信じていた彼にウソをつかれたことで失望する。 農場に戻ったバーロウは、ピーターソンンに、ノース・バーノンで会いたいという内容の手紙を出す。 ピーターソンは、連絡員のハイロニマスにバーロウへの伝言を託す。 鍋の行商人のハイロニマスはユーオールの農場に着き、バーロウとモンクを紹介され、土曜日に保安官事務所で会うというピーターソンの伝言を伝える。 ピーターソンとモーズリー保安官に会い話をしたバーロウは、大きな獲物を捕らえるための罠を仕掛けたことを伝える。 その後、鉄道会社の情報屋からの電報を判事らに見せたバーロウは、10万ドルが列車で運ばれることを伝える。 バーロウはリノ兄弟と組むことを提案されるものの、頼りにならないと言って断る。 判事らは、フランクらを従わせることでバーロウを納得させる。 10万ドルのために従うしかなかったフランクは、仕事の後でバーロウを始末することを考える。 クリントと話したバーロウは、ローラを連れてよそに行くこと提案され、彼女を悪党兄弟から自由にしてあげたいという彼の考えを聞く。 クリントは、ローラが惹かれていることをバーロウに伝える。 バーロウは、それは彼女自身が自分に言うべきことだとクリントに伝える。 犯行当日、列車に飛び乗ったバーロウは車両を切り離し、機関士に銃を向けて停車するよう指示する。 待ち構えていたフランクらが金庫を奪い、車両に乗っていいたピーターソンは彼らを捕らえようとする。 銃撃戦になったフランクは、バーロウを殺そうとするものの銃弾を受ける。 モンクはピートを倒すものの、シムに射殺される。 勝ち目がないと判断したジョンは観念し、シムはバーロウに撃たれ、フランクは捕らえられる。 モンクの死を確認したピーターソンは、残念に思う。 リノ兄弟が逮捕されたことは大きく報道され、バーロウの功績は称えられる。 シーモアの住人は判事らを糾弾し、フィッシャーは、リノ兄弟を吊るすために男たちを扇動してノース・バーノンに向かう。 その様子をクリントが見つめていた。 ユーオールの農場に戻ったバーロウは何者かに発砲される、それがローラだと気づく。 涙するローラに真実を話さなかったことを謝罪したバーロウは、彼女を抱きしめる。 そこに現れたクリントから、フランクらが殺されることを知らされたバーロウは、ノース・バーノンに向かう。 町に着いたフィッシャーらは、モーズリー保安官に銃を向けて牢屋を開ける。 到着したバーロウは、見張りを撃って牢屋に向かい、フランクらを吊るそうとするフィッシャーらに、兄弟は裁判にかけると伝える。 しかし、バーロウは銃を奪われ、フランクらは吊るされる。 フィッシャーらは捕らえられ、バーロウは、町に着いたクリントとローラに、止められなかったと言って謝罪する。 ローラはバーロウのことを理解し、クリントは彼に妹のことを任せる。 馬車に乗ったバーロウは、ローラと共に旅立つ。 リノ兄弟は、人々の間で語り継がれた。
...全てを見る(結末あり)
密告者のことを気にするフランクは、手を組んでいる判事(エドガー・ブキャナン)と検事のラティモア(ハワード・ペトリー)と共に保安官(レイ・ティール)の元に向かう。
ウィリアム・ピーターソン(ウィリアム・フォレスト)は、呼び寄せたモンク・クラクストン(ケネス・トビー)にリノ兄弟の件を話し、判事や検察そして保安官も味方につけていることを伝える。
役場の財務課に向かったフランクらは、金庫を開けさせて現金を奪う。
*(簡略ストー リー)
1866年、インディアナ州南部。
”リノ兄弟”フランク、シム、ジョンは、判事や検事、保安官と手を組み、悪事の限りを尽くしていた。
ピーターソン探偵社は、元諜報員であるジェームズ・バーロウを雇い、モンクと共にリノ兄弟に近づかせようとする。
列車強盗に扮したバーロウとモンクは兄弟を信用させて接触し、判事らに大金を強奪する情報を流し、彼らを騙して悪事を暴こうとするのだが・・・。
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南北戦争時代から戦後にかけてアメリカの中西部で活動した悪党集団”リノ・ギャング/ノ兄弟”を捕らえるために、探偵社から派遣された”アメリカ連合国”の元諜報員の活動を描く西部劇。
サイレント時代から、製作者、脚本家として活躍していたティム・フェーランの監督作品であり、彼にとっては本作が遺作となった。
初めて列車強盗をしたことでも知られる、アメリカ史に残る悪党として有名な”リノ・ギャング/ノ兄弟”が登場することがまず興味深い。
悪党一家の中で、住人から尊敬されるクリントと、兄たちの世話をする妹ローラ存在も、物語にアクセントを加えている。
更には、探偵社から派遣される元諜報員の巧妙な潜入活動など、西部劇の醍醐味も満載の見応えある作品に仕上がっている。
主演のランドルフ・スコットは上映から30分ほどしないと登場しないのだが、勢いだけで悪事を働くリノ兄弟や悪徳判事らを手玉にとる元諜報員を、ユーモアをまじえて見事に演じている。
ランドルフ・スコットとは親子ほど年齢が違うものの体格と貫禄では負けていない、リノ兄弟のリーダーとして悪事を繰り返すフランク・リノを熱演するフォレスト・タッカー、その妹で主人公に惹かれるローラ役のマラ・パワーズ、悪党兄弟のシメオン”シム”役J・キャロル・ナッシュ、ジョンのマイロン・ヒーリー、悪徳判事のエドガー・ブキャナン、同じく検事のハワード・ペトリー、同じく保安官のレイ・ティール、探偵社の経営者ウィリアム・フォレスト、兄弟の中で悪事には関係せず人々に尊敬されている農夫クリントのデンバー・パイル、雑貨店の店主トレヴァー・バルデット、主人公と共に兄弟の悪事を暴こうとするケネス・トビーなどが共演している。