若い検事補が担当する刑事の正当防衛による射殺事件を描く、監督シドニー・ルメット、主演ニック・ノルティ、ティモシー・ハットン、アーマンド・アサンテ他共演の社会派犯罪ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:シドニー・ルメット
製作総指揮
パトリック・ワックスバーガー
マイク・ワイズ
製作
アーノン・ミルチャン
バート・ハリス
原作:エドウィン・トーレス
脚本:シドニー・ルメット
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
編集:リチャード・P・シリンシオーネ
音楽:ルーベン・ブラデス
出演
マイケル”マイク”ブレナン警部補:ニック・ノルティ
アロイシャス”アル”ライリー地方検事補:ティモシー・ハットン
ロベルト”ボビー・テックス”テキサドール:アーマンド・アサンテ
ケヴィン・クイン:パトリック・オニール
レオ・ブルーメンフェルド検事:リー・リチャードソン
ルイス・ヴァレンタイン:ルイス・ガスマン
サム”チャッピー”チャップマン:チャールズ・S・ダットン
ナンシー・ボッシュ:ジェニー・ルメット
ロジャー・モンタルヴォ:ポール・カルデロン
ラリー・ペッシュ:ドミニク・チアニーズ
ザッカー:モーリス・シェル
アメリカ 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ
1990年製作 132分
公開
北米:1990年4月27日
日本:1990年11月10日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $11,207,890
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク市警のベテラン刑事マイケル”マイク”ブレナン警部補(ニック・ノルティ)は、プエルト・リコ系の麻薬の売人を射殺し、相手の拳銃所持を主張する。
ニューヨーク郡検察殺人課課長ケヴィン・クイン(パトリック・オニール)は、アロイシャス”アル”ライリー地方検事補(ティモシー・ハットン)を呼び出す。
ライリーは、ブレナンの麻薬の売人射殺事件を正当防衛として処置する、Q&A(尋問調書)を作ることをクインに任される。
人種差別的であり荒っぽい男のブレナンだったが、彼の証言を問題なく聞き入れ、仕事を処理したライリーは、満足した表情で仕事を終える。
その後ライリーは、プエルト・リコ系のルイス・ヴァレンタイン(ルイス・ガスマン)とアフリカ系のサム”チャッピー”チャップマン(チャールズ・S・ダットン)両刑事の協力で、後処理をしていた。 証人のロベルト”ボビー・テックス”テキサドール(アーマンド・アサンテ)の愛人ナンシー・ボッシュ(ジェニー・ルメット)の名前を聞いたライリーは、ヴァレンタインに二人の召喚を指示する。 ライリーは、ランチでレオ・ブルーメンフェルド検事(リー・リチャードソン)に出くわすが、彼はクインを、人種差別主義者で野心家であり、ブレナンと共に全く信用できない男だと言って非難する。 プエルト・リコ系のマフィア、テキサドールらと対面したライリーは、同胞のヴァレンタインの挑発で、ブレナンに殺された男が所持していたという大型拳銃を、普段持ち歩かないことを証言する。 ヴァレンタインはブレナンを疑い始めるが、チャップマンは彼をすばらしい警官だと言って擁護しようとする。 冷静に対処しようとしたライリーだったが、自分を呼んだ理由がナンシーだったことを知ったテキサドールは、彼に脅しをかける。 その後、ナンシーに会ったライリーは、恋人同士だった彼女の父親がアフリカ系だと知り驚いたことを、差別発言だと未だに恨んでいることを知る。 ライリーの態度にショックを受けたナンシーは、おなかの子供も処置したことを伝え彼を追い払う。 ブレナン事件の疑問点を、クインに話したライリーだったが、それを聞き流される。 ライリーの動きを警戒したブレナンは彼を牽制し、自分を信頼するチャップマンに協力を強要し、ヴァレンタインに脅しをかけ買収しようとする。 二人からそれを聞いたライリーは、ブルーメンフェルドに相談し、ブレナンと親しいクインには報告しないことにする。 テキサドールは、ブレナンが自分を黙らせようとしていることを知り、彼やライリーが捜している証人ロジャー・モンタルヴォ(ポール・カルデロン)に接触し、彼を保護する。 ラリー・ペッシュ(ドミニク・チェイニージ)らマフィアに、自分との関係かテキサドールかを選択させたブレナンは、自分の意見を通すことに成功する。 あるゲイの男を訪れたブレナンは、その場の留守電を聞いて、ロジャーがテキサドールと共にプエルト・リコにいることを知る。 テキサドール抹殺のため、プエルト・リコを訪れたペッシュだったが、先手を打たれ脅されて帰国する。 その後、テキサドールはライリーに連絡を入れ、ロジャーを保護していることを伝え、彼をプエルト・リコに呼び寄せようとする。 ライリーは、ブレナンが黒で、クインもそれに絡んでいることをブルーメンフェルドに伝え、ヴァレンタインとザッカー(モーリス・シェル)両刑事を伴いプエルト・リコに向かう。 ブレナンもそれに気づき彼らを追い、現地でテキサドールに会ったライリーは、クインのかつてしてきた悪事を聞く。 そして、テキサドールはライリーに、クインの殺し屋であるブレナンに手を引かせる手助けをさせようとする。 それが、ナンシーへの罪滅ぼしだと、テキサドールに言われたライリーは納得する。 その件を、ブルーメンフェルドに知らせたライリーは、ニューヨークに戻り、検事局のトップに報告する。 同じ頃、ロジャーを脅したブレナンは、テキサドールをヨットに誘き出す。 ロジャーを殺害したブレナンは、ヨットに現れたテキサドールを爆死させる。 それを察知したライリーは、ナンシーに危険を知らせ、その後、テキサドールが殺されたという連絡を受ける。 空港で待ち構えていた、ヴァレンタインから逃れたブレナンは、ライリーのオフィスで彼を待ち構える。 現れたライリーに、自分の正当性を説くブレナンだったが、チャップマンに自首を促される。 チャップマンを銃撃したブレナンは、ライリーを殴り倒すが、彼は発砲したことのなかったザッカーに射殺される。 クインに呼び出されたライリーは、事態を大事にしたことで非難される。 辞職して検事総長に立候補しようとしていたクインは、ライリーを自分の陣営に引き込もうとするが、彼はそれを拒む。 ブレナンの件で、大掛かりな捜査が始まることを伝えたライリーだったが、クインはそれに全く動じることはなかった。 ブルーメンフェルドに会ったライリーは、検事局にとって大問題となる今回の事件が、鍵を握るブレナンの死によって隠蔽されることを知らされる。 そしてブルーメンフェルドは、”Q&A”は単なる書類であり、この200年の間、覆い隠された事件は無数にある現実をライリーに伝える。 ライリーは、結局、何も手が下せないブルーメンフェルドに失望し、やるせない気持ちと怒りで、オフィスを壊してしまう。 その後、プエルト・リコに向かったライリーは、ナンシーに結婚を申し込む。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
地方検事補ライリーは、郡検察殺人課課長クインから、マイケル・ブレナン刑事の正当防衛による射殺事件で、Q&A(尋問調書)を作成することを任される。
ブレナンから話を聞き、問題なく仕事を済ませようとしたライリーだったが、証人であるプエルト・リコ系のマフィアのテキサドールの愛人が、自分の元恋人ナンシーだということを知る。
テキサドールは、差別主義者で暴力的なブレナンが正当防衛をでっち上げた殺人だと主張する。
そんなライリーは、かつて、ナンシーの父親がアフリカ系だと知りそれに驚いたことで、彼女に偏見を持つ人間だと疑われていた。
そしてライリーは、権力の裏に隠された大きな陰謀に巻き込まれながら、事件の真相を探ろうとする・・・。
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1977年に発表された、元ニューヨーク最高裁判事のエドウィン・トーレスの同名小説を元に製作された作品。
警察と司法の癒着を、その権力に翻弄されながら正義を追及しようとする、若き検事補の苦悩と闘い描いた、アメリカの抱える問題の一つを鋭く追求する、いかにもシドニー・ルメットらしい作品。
しかも、警察内部や社会全体で蔓延する、その背景にある人種間の問題や差別と偏見、登場人物の殆どがそれを背負って生きている姿を、飾り気なく真正面から描いてもいる。
物語の中心人物は検事補だが、その威圧感で周囲を圧倒する悪徳警官のニック・ノルティは、凄まじい迫力で存在感を示している。
自身も恋人から偏見を疑われた苦い経験を持つ、検事補の苦悩を見事に演ずるティモシー・ハットン、好演が光る、悪党ではあるが筋を通すプエルト・リコ系マフィアのアーマンド・アサンテ、全ての黒幕であることを知られながらも、クライマックスで主人公に余裕を見せる姿が恐ろしい郡検察殺人課課長パトリック・オニール、彼らの犯す罪を裁ききれない検事役のリー・リチャードソン、人種の壁を感じながら職務を遂行する刑事のルイス・ガスマン、チャールズ・S・ダットン、主人公の元恋人で、S・ルメットの娘ジェニー・ルメット、重要証人のポール・カルデロン、マフィアのドミニク・チェイニージ、麻薬課の刑事モーリス・シェルなどが共演している。