ニューヨークの人々を襲う甦った古代の鳥獣と儀式的殺人の関係を描く、製作、監督、脚本ラリー・コーエン、主演マイケル・モリアーティ、キャンディ・クラーク、デヴィッド・キャラダイン、リチャード・ラウンドトゥリー他共演のダーク・ファンタジー・ホラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ラリー・コーエン
製作:ラリー・コーエン
製作総指揮
サミュエル・Z・アーコフ
ディック・ディ・ボナ
ドン・サンドバーグ
脚本:ラリー・コーエン
撮影:フレッド・マーフィ
編集:アーモンド・レボウィッツ
音楽:ロバート・O・ラグランド
出演
ジミー・クイン:マイケル・モリアーティ
ジョーン:キャンディ・クラーク
シェパード刑事:デヴィッド・キャラダイン
パウエル巡査部長:リチャード・ラウンドトゥリー
マーレイ警部補:ジェームズ・ディクソン
警視総監:マラキー・マッコート
フレッチャー警部:フレッド・J・スコレイ
ドイル:ジョン・カポダイス
ウェッブ:トニー・ペイジ
ホバーマン刑事:ロン・セイ
キュレーター:ラーキン・フォード
教授:ラリー・パイン
警備員:エディ・ジョーンズ
ケイヒー:シェリー・デサイ
建設作業員:リチャード・ダガン
アメリカ 映画
配給 United Film Distribution Company
1982年製作 93分
公開
北米:1982年10月29日
日本:未公開
製作費 $1,100,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
高層ビルの窓を掃除する作業員が、首をもがれて死亡する事故が起きる。
市警のシェパード刑事(デヴィッド・キャラダイン)とパウエル巡査部長(デヴィッド・キャラダイン)は、作業員の首がどうしてもげたのかうを考える。
ピアニストになる夢を抱くジミー・クイン(マイケル・モリアーティ)は、仲間のドイル(ジョン・カポダイス)とウェッブ(トニー・ペイジ)と共にダイヤモンド強盗を計画する。
その後、全身の皮膚を剥がれた死体が見つかり、パウエルは、同僚のホバーマン刑事(ロン・セイ)とマーレイ警部補(ジェームズ・ディクソン)と共に現場を調べる。
同じ頃、屋上で日光浴をしていた女性が、叫び声をあげて姿を消す。
通りを歩行中の人々は、上空から血液が降ってきたために驚く。 恋人のジョーン(キャンディ・クラーク)が働く、ピアニストを探しているバーに向かったジミーは、試しに演奏するものの気に入ってもらえない。 店にいたシェパードは、いい演奏だったとジミーに伝える。 その後、仲間とダイヤモンド店を襲ったジミーは、奪ったダイヤモンドをバッグに入れて逃げようとするものの、車の鍵がないことに気づく。 通りでタクシーと接触してバッグをはじかれてしまったジミーは、その場から逃げて”クライスラー・ビル”に向かう。 弁護士の元に向かったジミーだったが、オフィスが閉まっていることに気づき、警備員(エディ・ジョーンズ)に追われたために最上部に向かう。 ジミーは、その場にあった巣の巨大な卵を発見し、骨だけの死体に気づいて驚き、腕にしていたブレスレットを確認する。 その頃、建設中のビルの作業員が何かに襲われ、地上にちぎれた足が落下して人々は混乱する。 アステカ文明の博物館に向かったシェパードは、キュレーター(ラーキン・フォード)から話を聞く。 ”ケツァルコアトル”を神と崇めるアステカ文明で、人間の皮膚を剥ぐ儀式が行われたことを知ったシェパードは、それに従った事件だとすると殺人ではないと言われる。 血を自ら神に捧げなけれる自殺に近い考えであるため、そうでなければ儀式としての意味がないということだった。 しかしシェパードは、大学教授である犠牲者が、自ら生贄になったとは考えられなかったため、関係する書籍を借りて調べる。 ジョーンのアパートに向かったジミーは、ダイヤモンド強盗に失敗したことを話し、仲間に利用されているだけだと言われる。 ”クライスラー・ビル”で奇妙なものを見て、誰かが殺されていたことを話したジミーは、何をやってもうまくいかない自分が惨めになる。 ジョーンに慰められたジミーは、ビルの中で見た女性と思われる死体や巣と巨大な卵、そして出入りができる穴があったことを話す。 翌日、再び事件が起きたことを知ったシェパードは、パウエルから、今度は心臓がえぐられた死体が発見されたと言われ、現場でそれを確認する。 儀式だと言うシェパードに対し、パウエルはそれを否定する。 その頃、ビルの建設作業員が何かに襲われる。 コロンビア大学の教授(ラリー・パイン)に会ったシェパードは、”ケツァルコアトル”に関しての話などを聞く。 現れたドイルとウェッブからダイヤモンドを渡せと言われたジミーは、ドアを開けずに非常階段から逃げる。 ドイルとウェッブに追いつかれたジミーは、7万7000ドル分の宝石を奪ったと言われる。 それを渡すよう脅されて痛めつけられたジミーは、二人に隠し場所を教えると伝える。 ジミーと共に”クライスラー・ビル”に向かったドイルとウェッブは、警備員を殴り倒して最上部に向かう。 その場を調べたドイルとウェッブは何かに襲われ、二人が殺されたことを確認したジミーはその場を去る。 同じ頃、ビルの屋上のプールにいた青年は、現れた鳥獣に連れ去られる。 アパートに戻ったジミーは、待ち構えていた警官に逮捕される。 痛めつけられた”クライスラー・ビル”の警備員は警察署に向かい、犯人は何かを盗もうとしたはずだと話す。 パウエルの取り調べを受けるジミーは、仲間の自白で強盗犯だとバレたことを知らされる。 その場に警備員がいることに気づいたジミーは、別の部屋で話したいとパウエルに伝える。 フレッチャー警部(フレッド・J・スコレイ)に呼ばれたシェパードとパウエルは、飛行物体に青年が連れ去られた事件の話を聞く。 報告書をフレッチャーに渡したシェパードは、毎日、人間の体重の7倍ものエサを食べる巨大な鳥の話をする。 首がもげた作業員や消えた屋上の女性が、その犠牲者の可能性があるというシェパードの話を、ジミーは横で聞いていた。 フレッチャーから、この件は秘密にすると言われたシェパードは、儀式的な殺人もこの事件の一環だとパウエルに伝える。 報告書の巨大な鳥”鳥獣”はマンハッタンにいると言うシェパードは、儀式でそれを呼び戻したと考え、報告書を読むようにと伝えてそれをパウエルに渡す。 ジミーは、パウエルの指示で留置場に入れられる。 その後ジミーは、自分が今回の事件の鍵を握る人物になったと、面会に来たジョーンに伝える。 意味不明なことを言うわずに全てを警察に話すようにとジミーに伝えたジョーンは、納得しない彼を見限りその場を去る。 その後、警視総監(マラキー・マッコート)がジミーの話を聞くことになり、彼の弁護士、フレッチャー、シェパードとパウエル、ホバーマンなどが同席する。 ブレスレットをしていた女性と思われる死体や巣のことなどを得意げに話すジミーは、その場所を教える条件として、自分の犯罪を全て特赦することと、現金100万ドルを非課税で要求する。 警視総監から無理だと言われたジミーは、ニューヨークを救うためなら安いものだと伝えて、今回の件の全ての権利も要求して引き下がらない。 それを警視総監が了承したためにジミーをペテン師呼ばわりするパウエルは、言い合いになり部屋を出るよう指示される。 書類を揃え現金が弁護士に渡れば場所を教えると言うジミーは、バーで顔を合わせていたシェパードと共にダイナーに向かう。 共犯者の二人は巣に連れて行き、鳥獣の餌にしてやったと話すジミーは、現れたマスコミに写真を撮られて得意になる。 ジミーを落ち着かせたシェパードは、ヘリコプター隊を用意してビルの上から布を被せて、鳥獣が動けないようして攻撃すればいいと言われる。 卵があるとも言われたシェパードは驚き、サーカスにテントを借りるとジミーに伝える。 ビルの名前を言おうとしたジミーだったが、そこにパウエルが現れたために話を止めてしまう。 その後、100万ドルはジミーの弁護士に渡され、警視総監は、報告書は読まなかったことにするとシェパードに伝え、鳥獣と儀式的殺人事件に関連性はないと判断する。 ”クライスラー・ビル”。 卵を銃撃したシェパードらは、その中にいた鳥獣の雛を殺す。 シェパードから、鳥獣を捕えることができなかったために現金は返してもらうことになると言われたジミーは、納得せずに憤慨する。 その頃、儀式的殺人事件の容疑者と思われる男を尾行したパウエルらは、ある建物に押し入り、行われようとしている儀式で生贄になる男を制止して射殺する。 儀式を行おうとしていたケイヒー(シェリー・デサイ)を追ったパウエルは、屋上で鳥獣に襲われて連れ去られ、その後、落下死する。 弁護士が現金を返してしまったために激怒したジミーは、ジョーンに八つ当たりしたために追い出される。 ”クライスラー・ビル”。 銃弾を受けた鳥獣は、力尽きて地上に落下する。 現れたケイヒーにナイフを向けられたジミーは裏切者扱いされて、生贄になるよう強要される。 そこに現れたシェパードはケイヒーを射殺し、罪の償いをさせるために犯人が来ると思ったとジミーに伝える。 ジョーンのアパートに送ると言われたジミーは、彼女には迷惑をかけたので行かないとシェパードに伝えてその場を去る。 同じ頃、廃墟にあった鳥獣の巣の卵が孵化する。
...全てを見る(結末あり)
シェパードとホバーマン、そして警官隊と共に最上部に向かったジミーは、死体と巣の卵を確認する。
待機していたシェパードらは戻ってきた鳥獣を攻撃し、何人かの警官が襲われて犠牲になる。
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、ビルの作業員や屋上にいた人々などが何者かに襲われる怪奇事件が起きる。
市警のシェパード刑事とパウエル巡査部長は、皮膚を剥がされた死体が発見された事件を捜査し始める。
”ケツァルコアトル”を神と崇めるアステカ文明で、人間の皮膚を剥ぐ儀式が行われたことを知ったシェパードは、ビルで起きた事件と儀式的な殺人の関連性を調べる。
同じ頃、ダイヤモンド強盗に失敗したピアニスト志望のジミー・クインは”クライスラー・ビル”に逃げ込み、最上部で巣と巨大な卵、更に骨だけが残る女性と思われる死体を発見する。
そして、卵の親だった鳥獣はえさである人々を襲い続ける・・・。
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低予算ながら、アイデアと工夫で独創的な作品を製作するラリー・コーエンが、製作、監督、脚本を兼ねたダーク・ファンタジー・ホラー。
近代都市ニューヨークに、アステカ文明の神”ケツァルコアトル”の分身と言える巨大鳥獣が出現するという興味深い発想の物語は、B級映画的な内容ではあるが、魅力的なキャスティングと共にまずまず楽しめる。
首がもがれた死体や突然、姿を消す人々が続出し、儀式的な怪奇殺人事件の捜査と、それに関係する犯罪人が事件解決の鍵を握るという、なかなか凝った内容となっている。
鳥獣の巣がある、アメリカおよびニューヨークの象徴である”クライスラー・ビル”が、戦いの舞台として効果的に使われている。
ご都合主義的な箇所も許せる範囲であり、売れないピアニストでもある犯罪者が逮捕後に開き直り、市に対し特赦や現金100万ドルを要求して注目を集めようとする展開も、それを演ずるマイケル・モリアーティの熱演もありなかなか面白い。
主人公の恋人キャンディ・クラーク、主演と言ってもいい活躍を見せる、鳥獣と儀式的殺人事件を解決する刑事デヴィッド・キャラダイン、怪奇事件に対する見解で彼と意見が合わない、その同僚のリチャード・ラウンドトゥリー、警部補ジェームズ・ディクソン、警視総監のマラキー・マッコート、警部のフレッド・J・スコレイ、主人公の犯罪仲間ジョン・カポダイスとトニー・ペイジ、人気”メジャーリーガー”で”ロサンゼルス・ドジャース”の現役選手だった刑事役のロン・セイ、博物館のキュレーター、ラーキン・フォード、コロンビア大学の教授ラリー・パイン、”クライスラー・ビル”の警備員エディ・ジョーンズ、儀式的殺人事件の犯人シェリー・デサイ、建設作業員のリチャード・ダガンなどが共演している。