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飛べ、バージル/プロジェクトX Project X (1987)

空軍の開発したプログラムの実験材料になるチンパンジーを救おうとするパイロットと学生の活躍を描く、監督ジョナサン・カプラン、主演マシュー・ブロデリックヘレン・ハントウィリアム・サドラー他共演のSFコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:ジョナサン・カプラン

製作
ウォルター・F・パークス
ローレンス・ラスカー
原案
スタンリー・ワイザー
ローレンス・ラスカー
脚本:スタンリー・ワイザー
撮影:ディーン・カンディ
編集
O・ニコラス・ブラウン
ブレント・A・ショーンフェルド
音楽:ジェームズ・ホーナー

出演
ジミー・ギャレット:マシュー・ブロデリック
テリー・マクドナルド:ヘレン・ハント
リナード・キャロル博士:ウィリアム・サドラー
アイザック・ロバートソン:ジョニー・レイ・マクギー
クリーガー軍曹:ジョナサン・スターク
ナイルズ大佐:ロビン・ギャメル
ワッツ:スティーヴン・ラング
クリズウェル博士:ジーン・スマート
クレイボーン将軍:チャック・ベネット
ルイス:マーク・ハーデン
カーティス:デヴィッド・レイナー
ハドフィールド:ダニエル・ローバック
マックス・キング:ディック・ミラー

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1987年製作 108分
公開
北米:1987年4月17日
日本:1987年8月22日
製作費 $18,000,000
北米興行収入 $18,532,290
世界 $21,589,400


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
戦闘状態のパイロットの能力を予測するために、アメリカ空軍は、人間の限界を知るプログラムを開発した。

ウィスコンシン州、マディソンウィスコンシン大学
大学院生のテリー・マクドナルド(ヘレン・ハント)は、到着したチンパンジーをクリズウェル博士(ジーン・スマート)に紹介され、バージルと名付ける。

テリーは、バージルに手話を教えるものの梃子摺る。

1年後。
手話をほぼ完ぺきに覚えたバージルと友達のように接するテリーは、国立保健基金からの連絡で、研究費が打ち切られたことをクリズウェルから知らされる。
...全てを見る(結末あり)

テリーは、ヒューストンの動物園に送られるというバージルとの別れを悲しむ。

フロリダ州、ロックリッジ空軍基地、戦略兵器研究センター。
動物園に移送されるはずだったバージルは、ある目的で運び込まれる。

恋人を無断で軍用機に乗せたパイロットのジミー・ギャレット(マシュー・ブロデリック)は、処分を受けていた。

ナイルズ大佐(ロビン・ギャメル)に呼ばれたジミーは、操縦士の能力実験の研究に参加するよう命ぜられる。

リナード・キャロル博士(ウィリアム・サドラー)の研究室に向かったジミーは、クリーガー軍曹(ジョナサン・スターク)に施設を案内される。

チンパンジーが飛行シュミレーションをする姿を見せられたジミーは戸惑う。

ジミーは、チンパンジーを飼い慣らし操縦を教えるようクリーガーに指示され、同僚となるロバートソン(ジョニー・レイ・マクギー)やワッツ(スティーヴン・ラング)を紹介されて、新入りのバージルの訓練を始める。

バージルの能力の高さに驚いたジミーは、彼の仕草が手話であることに気づく。

檻を出たがっているバージルを、思い通りにしてしてあげたジミーは、彼と友達のように接する。

手話を覚えたジミーは、バージルのことをキャロルに話すが、ただの条件反射だと指摘され、研究目的とは関係ないと言われる。

その後ジミーは、チンパンジー達に名前を付けて可愛がる。

ワシントンD.C.から審査委員が視察に来ることをキャロルから知らされたジミーは、バージルに操縦の実演をさせることを伝え、訓練士として評価され昇格することになる。

フライト試験室の勤務を命ぜられたジミーは、キャロルに感謝する。

翌日、優秀なチンパンジー”ブルーベアード”を実験室に連れて行くジミーは、ワッツが姿を消し、ロバートソンの様子がおかしいことに気づく。

シュミレーションが始まったために、ジミーはその場から出るよう指示される。

キャロルも見守る中、ブルーベアードは放射線を浴びせられ、実験終了後、ジミーは、彼が死ぬまで飛び続けると言われる。

何も言わなかったロバートソンを非難するジミーは、チンパンジーの被爆後の飛行時間を測定していることを知らされる。

第三次大戦に備え、パイロットがソ連まで飛行できるかを調べるための実験であり、命令に従わない場合はワッツのようになると、ジミーはロバートソンに言われる。

チンパンジー達に愛情を感じていたワッツは、居たたまれなくなり姿を消したのだった。

情をかけ過ぎないことを心掛けていると言うロバートソンは、仕事に徹するようジミーに忠告する。

その後、体重を計るためジミーに檻から出されたバージルは、隙を見て飼育室から出てしまい、実験を受けた仲間が死んでいるのを知ってしまう。

ジミーと共に仲間達の元に戻ったバージルは、興奮して騒ぎ始める。

バージルに手話を教えたのがテリーであることを知ったジミーは、彼女に電話をする。

空軍基地にバージルがいることを知ったテリーは、行き先は動物園と聞いていたために驚き、居場所を聞くものの、ジミーは何も話さずに電話を切ってしまう。

新人のカーティス(デヴィッド・レイナー)が任務に就き、ジミーは、転任届をナイルズ大佐に出すことをキャロルに伝える。

この仕事に向かないと言うジミーは、優秀なバージルは他のことに役立てるべきだと意見するが、結局は引き止められる。

基地で電話をかけてきた者を探していたテリーは、バーで聞き覚えのある声のジミーに話しかける。

ビールを奢ると言ってジミーと話したテリーは、自分が電話の相手だと伝える。

動揺するジミーは研究内容は機密事項だと伝え、テリーに帰るよう指示するが、彼女は食い下がる。

ジミーは何も語らずにその場を去り、仕方なくテリーは諦める。

翌日、審査委員会の上院議員らが到着し、ジミーは、チンパンジーをフライト試験室に連れて行くようクリーガーに指示される。

バージルの檻を開けるものの、ジミーは彼を連れて行くのを拒む。

その場に現れたキャロルは騒ぎに気づき、上院議員らは、ナイルズ大佐から”プロジェクトX”の説明を受ける。

バージルはキャロルに試験室に連れて行かれてしまい、ジミーはどうすることもできない。

キャロルは、バージルを試験室の操縦席に座らせて、シュミレーションと実験内容についてを説明する。

その場に現れたジミーは、応戦できると知りながら、なぜチンパンジーに放射線を浴びせる必要があるのかをキャロルに問う。

核戦争のあらゆる状況を想定すると言うキャロルだったが、チンパンジーは爆破が理解できないが、人間の操縦士は違うと伝える。

キャロルはジミーを下がらせようとするが、ナイルズ大佐は一理あると考える。

クレイボーン将軍(チャック・ベネット)は、決定事項であり、直ぐにパーティーも始まるため、明日、再度実験を行うことを提案する。

苛立つキャロルはジミーを解雇し、基地から出て行くようにと命ずる。

旅立とうとしていたテリーの元に向かったジミーは、話を聞いてくれようとしない彼女に、今夜、バージルを逃がすことを伝える。

研究所に向かったジミーに車で待つよう言われたテリーは、係員に声をかけられる。

飼育室に侵入したジミーは、チンパンジー達が自ら檻の鍵を開けて、バージルが、天井の窓ガラスを割り脱出しようとしていることを知る。

テリーを連れて現れたキャロルは、電気ショックでチンパンジー達を威嚇する。

しかし、チンパンジーに脅されたキャロルらは、その場から逃れる。

窓を割ろうとするバージルの名前を呼んだテリーは、自分と分かった彼を抱きしめる。

飼育室から出たチンパンジー達は、研究所内を荒らし始める。

チンパンジー達がフライト試験室の放射線装置を壊そうとしていることの気づいたジミーは、、彼らも一緒に逃がそうとする。

しかし、ゴリアテが興奮して暴れ、ジミーがその場から避難した直後に放射線が発せられる。

ゴリアテは放射線を浴びてしまい、装置に消火器が挟まり格納できない。

原子炉の異常でメルトダウンの可能性があり、キャロルはジミーらを非難させようとする。

ゴリアテの注意を引いたジミーは、消火器を自分の所に持って来るよう指示する。

バージルがその場にあった消火器に気づき、それを手にしたテリーはジミーに渡し、ゴリアテに内部の消火器を持って来るよう命ずる。

ゴリアテは消火器を外し、装置は格納されて危機は回避される。

ジミーはゴリアテに感謝するが、彼の弱っていく様子を心配する。

無事を確認するキャロルに、チンパンジーを檻に戻すよう指示されたジミーは、テリーを紹介して、バージルを育てた彼女に渡すよう提案する。

許可を得られないジミーは意見するが、ナイルズ大佐が指示に従うよう命令する。

仕方なくそれに従ったジミーは、ジンジャーとグーフィーも連れて施設から逃げる。

車の鍵がなかったため、その場にあった軍用機に乗ったジミーらは、他のチンパンジー達も逃げ出してきたことに気づき彼らを乗せる。

兵士に滑走を阻まれ、ジミーとテリーは飛行機から降ろされる。

バージルが操縦席に座ったことに気づいたジミーは、空に飛ぶよう指示する。

その場に到着したキャロルは、飛行機を操縦して飛び立とうとするバージルを見て驚く。

滑走を始めて飛び立ったバージルに、ロバートソンとクリーガーは思わず声援を送ってしまう。

しかし、エンジン異常で、飛行機はエバーグレーズ国立公園に墜落してしまう。

現場の捜索に立ち会ったナイルズ大佐は、バージルらが見つからないことを確認する。

ジミーの告発は昨夜の事件が記録に残ってしまう恐れがあり、ナイルズは一旦この件を機密事項にして、キャロルも諦めてその場を去る。

森の中のバージルとジンジャーに気づいたジミーは、自由であり逃げるようにと、手話で知らせるようテリーに指示する。

バージルとジンジャーが森に向かう姿を確認したジミーとテリーは、その様子を見ながら抱き合う。

その後、首輪を外したバージルらは、森の中で平穏に暮らす。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ウィスコンシン大学の大学院生テリーは、チンパンジーのバージルに手話を教えて、友達のように接していた。
しかし、予算カットによりバージルを手放すことになったテリーは悲しむ。
フロリダ州、ロックリッジ空軍基地の戦略兵器研究センターに配属されたパイロットのジミー・ギャレットは、キャロル博士の研究チームに加わる。
飼育されていたチンパンジーを飼い慣らし操縦を教えるのがジミーの任務だったが、新入りのバージルが手話ができることに気づく。
それをキャロルに伝えたジミーだったが、研究目的とは無関係だと言われる。
その後、チンパンジーが、フライト・シュミレーションで放射線を浴びせられ、その後に死亡するまで飛行させられることを知ったジミーが驚く。
バージルを育てたテリーに連絡したジミーは、バージルらの命を救おうと考えるのだが・・・。
__________

米ソ冷戦下、アメリカ空軍が開発した実際に考えられたプログラムを基に製作された作品。

最も人間に近いというチンパンジーを実験材料にする軍に抵抗する勇気ある青年と”育ての親”である女性の愛情により、彼らを救うまでを描く感動のドラマとして、あらゆる年齢層が楽しめる作品に仕上がっている。

人間とチンパンジーの交流が見事に描かれ、恐ろしい実験の描写もあるのだが、ユーモアを交えたジョナサン・カプランの演出も軽快で、心地よい雰囲気で終わるラストまで十分に楽しめる作品。

1980年代を思い起こさせてくれる雰囲気のある娯楽作でもあり、最先端の実験や核の危険性を映し出す描写やアクションなど、見せ場も多い作品に仕上がっている。

SFとファンタジーを癒合したような内容も実に興味深く、飼育されたチンパンジーの見事な演技には驚く。

若手スターとして期待されていたマシュー・ブロデリックヘレン・ハントは、権力に立ち向かう勇気ある若者を爽やかに演じている。

研究の責任者である科学者ウィリアム・サドラー、主人公の考えを理解する同僚のジョニー・レイ・マクギー、ジョナサン・スタークスティーヴン・ラング、研究を指揮する大佐ロビン・ギャメル、主人公の同僚マーク・ハーデン、デヴィッド・レイナーダニエル・ローバック、ヒロインの恩師ジーン・スマート、実験を視察する将軍チャック・ベネット、ディック・ミラーなどが共演している。


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