ベトナム帰還兵でもあるオリヴァー・ストーン(監督、脚本)の実体験を基に製作され、当時のキャッチフレーズ”ベトナム戦争の本当の姿を初めて描いた映画”と話題になり絶賛された戦争映画の秀作。 出演トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォー、チャーリー・シーン、フォレスト・ウィテカー、ジョニー・デップ、ケヴィン・ディロン他共演。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:オリヴァー・ストーン
製作総指揮
ジョン・デイリー
デレク・ギブソン
製作:アーノルド・コペルソン
脚本:オリヴァー・ストーン
撮影:ロバート・リチャードソン
編集:クレア・シンプソン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演
ボブ・バーンズ2等軍曹:トム・ベレンジャー
エライアス・グロージョン3等軍曹:ウィレム・デフォー
クリス・テイラー:チャーリー・シーン
バニー:ケヴィン・ディロン
キング:キース・デイヴィッド
ビッグ・ハロルド:フォレスト・ウィテカー
レッド・オニール軍曹:ジョン・C・マッギンリー
ラー:フランチェスコ・クイン
ウルフ中尉:マーク・モーゼス
ハリス大尉:デイル・ダイ
ガーター・ラーナー:ジョニー・デップ
バンカー少佐:オリヴァー・ストーン
アメリカ 映画
配給 オライオン・ピク チャーズ
1986年製作 119分
公開
北米:1986年12月19日
日本:1987年4月29日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $137,963,328
■ アカデミー賞 ■
第59回アカデミー賞
・受賞
作品・監督・編集・録音賞
・ノミネート
助演男優(トム・ベレンジャー/ウィレム・デフォー)
脚本・撮影賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー
1967年9月、ベトナム、カンボジア国境付近。
第25歩兵師団所属B中隊。
大学を中退して、志願してまで入隊したクリス・テイラー(チャーリー・シーン)は、小隊に配属されるものの、その過酷な毎日に、1週間で入隊を後悔するようになる。
エライアス・グロージョン3等軍曹(ウィレム・デフォー)にテイラーら新平を任せたボブ・バーンズ2等軍曹(トム・ベレンジャー)は、ウルフ中尉(マーク・モーゼス)を無視して部隊の指揮を執る。
偵察に出た小隊は密林で野営をして、テイラーが見張りの時に敵と交戦となる。
戦闘が終わりショックを受けるテイラーを、ビッグ・ハロルド(フォレスト・ウィテカー)が励ます。
戦死者もだした戦闘でテイラーは負傷するが、見張りで居眠りをしたことを責められてしまう。 見張りはテイラーの番でなかったのだが、彼のいい訳は許されなかった。 一旦、大隊基地に戻った小隊のキング(キース・デイヴィッド)らに、マリファナを勧められたテイラーは、戦闘以外の洗礼を受ける。 1968年1月。 移動命令を受けた中隊は、数名を残して敵兵が現れたという村に向かう。 途中、行方不明だった隊員が惨殺されているのが見つかり、バーンズは、村を徹底的に調べようとする。 村からは武器や大量の食料が見つかり、ベトコンだと思われた者を尋問していたバーンズが、村の女を射殺して少女にまで銃を突きつける。 その非道行為を見たエライアスが、バーンズに殴りかかり二人は罵り合う。 それをウルフ中尉が制止し、村を焼き払う命令通りに実行する。 その後、バニー(ケヴィン・ディロン)らが、村の子供達をレイプしようとするが、テイラーは憤慨してそれを制止する。 後方に戻ったエライアスは、ハリス大尉(デイル・ダイ)に村人の射殺事件を報告する。 しかし大尉は、バーンズの行為を報告書提出に留め、戦闘に専念するよう二人に指示を出す。 戦闘指揮官としては優秀な、バーンズを指示するバニーやオニール(ジョン・C・マッギンリー)は、エライアスを始末するべきだとも言い出す。 バーンズを異常者呼ばわりするエライアスやテイラー、単純に戦争を嫌うハロルド、小隊は、エライアス派とバーンズ派に分裂してしまう。 そして、敵よりも味方に対する憎しみ合いが始まってしまう。 小隊は偵察に出た後、ラーナー(ジョニー・デップ)が敵弾に倒れ銃撃戦が始まる。 ラーナーを助けたテイラーだったが、ウルフ中尉が砲撃の座標を間違え、小隊は味方の砲弾を浴びてしまう。 味方は損害を受け、中尉を責めるバーンズは、エライアスらが孤立してしまうのを承知で小隊を撤退させる。 バーンズは、テイラーやラー(フランチェスコ・クイン)を後退させ、密林を進みエライアスを捜す。 負傷兵を安全地帯に運んだテイラーも、エライアスを捜しに密林に戻る。 そして、エライアスを見つけたバーンズは、笑みを浮かべる彼に銃弾を浴びせ、追いついたテイラーにエライアスの戦死を知らせ、彼を伴い撤退する。 ヘリコプターに乗って避難するテイラーは、バーンズが死んだと言ったエライアスが、負傷しながら敵兵から逃れようとするのを発見する。 上空のヘリは敵兵に攻撃を加えるが、エライアスは崩れ落ち息絶える。 大隊に戻ったテイラーは、エライアスを殺そうとしたに違いないバーンズを殺すことを、キングやラーに提案する。 そこに現れたバーンズに、挑発されたテイラーは襲い掛かる。 しかし、バーンズはテイラーを押さえ込みその場を立ち去る。 その後、囮部隊として借り出された小隊は、カンボジアに入る準備を始め、テイラーは除隊命令が出たキングから、考え過ぎず無茶はするなと助言される。 敵の大軍は、先攻した部隊を壊滅させ、人数が限られたバーンズの小隊にも襲い掛かる。 敵味方が入り乱れ、混乱する戦場を見た指揮官のハリス大尉は、戦闘地域への爆撃を要請する。 激しい戦闘の中、敵と戦うバーンズを見つけたテイラーは、取り乱した彼に殺されそうになるが、味方の爆撃を受けた彼は気を失ってしまう。 夜が明け、意識を取り戻したテイラーは、瀕死のバーンズを見つけて銃弾を浴びせる。 不吉な予感がしたため、戦闘を避けて身を潜めていたオニールは、休暇を目前にハリス大尉から小隊を任されてしまう。 負傷して救助されたテイラーは、ヘリに乗せられ、生き残り戦場に残るラーに別れを告げる。 テイラーは、この戦いが敵ではなく、自分自身との戦いだったことを悟り、生き残ったことの意義を考えながら戦場を後にする。
...全てを見る(結末あり)
偵察中の小隊は、敵のトーチカや掩塹壕を発見して内部を調べるが、仕掛けられた爆弾が爆発して二人が犠牲になる。
*(簡略ストー リー)
エリート大学生のクリス・テイラーは、大学を中退してまで志願して戦地に向かう。
テイラーは、恐怖と重苦しい雰囲気、そして劣悪な自然環境の中で、たちまち自分のとった行動を後悔する。
兵士達は、麻薬などに溺れながら、除隊の日を待ちつつ、戦場へと送り出されていく。
そんな時、小隊は、ベトコンが潜むと思われる村に向かう。
中隊長を無視して実質的に小隊の指揮を執るバーンズが、村人を射殺する事件が起きる。
それを許せぬ、正義感の強いエライアスは、バーンズを非難して二人は衝突する。
そして、それをきっかけに小隊は両派に分裂してしまう・・・。
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貧困層の人々が戦場に追いやられるのを見かねて、志願して戦場に向かった若者が見た異常で悲惨な現実、兵士による民間人殺害や麻薬常用の実態などを生々しく描き、社会現象まで巻き起こしたオリヴァー・ストーンが、同じ年の「サルバドル」(1986)に続き監督し、一躍脚光を浴びた作品でもある。
*彼は既に、脚本家として「ミッドナイト・エクスプレス」(1978)でアカデミー脚色賞を受賞している。
第59回アカデミー賞では、作品、監督、編集、録音賞を受賞した。
・ノミネート
助演男優(トム・ベレンジャー/ウィレム・デフォー)
脚本、撮影賞
わずか600万ドルの製作費、重苦しい内容の作品にも拘らず、北米興行収入は約1億3800万ドルの大ヒットとなった。
自らの目で見た戦争の現実を、家族に宛てた手紙を通して語る主人公を演じたチャーリー・シーンは、当時20歳とは思えない深い演技を見せてくれる。
共にアカデミー賞候補になった、トム・ベレンジャーとウィレム・デフォーにとっても出世作となり、非情な戦争請負人と正義感ある兵士という役柄で、火花を散らす名演を見せてくれる。
共演の中では、淡々と主人公に助言する兵士キース・デイヴィッドと、父親アンソニー・クインに容姿は似ているが、意外に小柄なフランチェスコ・クインの個性が目を引く。
悪ガキ風の兵士ケヴィン・ディロン(マット・ディロンの弟)、負傷するフォレスト・ウィテカー、思い通りに生き残るが前線の指揮を任されてしまうジョン・C・マッギンリー、頼りない中尉マーク・モーゼス、ベトナム帰還兵でもある軍事アドバイザーで、軍人役で多数の出演作がある大隊指揮官デイル・ダイ、そして、出演者の中で、その後、最も成功することになるジョニー・デップも目立たない役ながら負傷する兵士を演じている。
また、オリヴァー・ ストーンも司令官役で一瞬登場する
公開当時、覚悟を決めて観にいったのを思い出す。
20年ぶりぐらいで観直したのだが、時代の流れか、それほど過激な内容に思えなくなってしまったのも事実だ。