原因不明の感染症により人々が五感を失っていく中、あるカップルの運命と生きる道を探る姿を描く、主演ユアン・マクレガー、エヴァ・グリーン、コニー・ニールセン、ユエン・ブレムナー他共演、製作総指揮、監督デヴィッド・マッケンジーによるドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:デヴィッド・マッケンジー
製作総指揮
デヴィッド・マッケンジー
キャロル・シェリダン
ペーター・オールベック・イェンセン
ペーター・ガルデ
ジェイミー・ローレンソン
製作
マルテ・グルナート
ジリアン・バーリー
脚本:キム・フップス・オーカソン
撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
編集:ジェイク・ロバーツ
音楽:マックス・リヒター
出演
マイケル:ユアン・マクレガー
スーザン:エヴァ・グリーン
ジェニー:コニー・ニールセン
スティーヴン・モントゴメリー:スティーヴン・ディレイン
ジェームズ:ユエン・ブレムナー
マイケルのボス:デニス・ローソン
スーザンの同僚:アラステア・マッケンジー
イギリス 映画
配給
Senator Film Verleih
IFC Films
2011年製作 92分
公開
イギリス:2011年10月7日
北米:2012年2月3日
日本:2012年1月7日
北米興行収入 $2,960
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
感染症学者スーザン(エヴァ・グリーン)は、姉のジェニー(コニー・ニールセン)を訪ねてこの地で暮らしていた。
人気レストランのシェフ、マイケル(ユアン・マクレガー)は店に向かい、裏の路地でボスと(デニス・ローソン)とタバコを吸う。
上司スティーヴン・モントゴメリー(スティーヴン・ディレイン)と病院に向かったスーザンは、嗅覚を失ったという患者に質問する。
臭覚がない以外には何も異常がないことを確認したスティーヴンは、この24時間以内に、ヨーロッパ各地で同じような症状が発症している事実をスーザンに伝える。
患者同士につながりはなく、感染症かどうかは現段階では疑わしい状況だった。
レストランは開店し、マイケルは、同僚のジェームズ(ユエン・ブレムナー)と共に厨房で忙しく動き回る。 一服しに外に出たマイケルは、二階のアパートに住むスーザンからタバコを譲ってもらい、自己紹介するものの彼女は興味を示さない。 同僚(アラステア・マッケンジー)とスティーヴンと共に話し合ったスーザンは、今回の件をウィルスかどうかは断定せずに、環境や未知の毒素が原因か、テロの可能性も指摘する。 パニックを避けたいスティーヴンは、感染症ではなく直に治ると報告しておくことにする。 その後、正確な判断は出来ないまま、同様の患者は増え続けて、今回の症状は”SOS/重症嗅覚障害症候群”と病名が付けられる。 繁盛していたマイケルのレストランはSOSのせいで客足が途絶え、スタッフは苦悩する。 食材が余っていたマイケルは、アパートに戻るスーザンに声をかけて食事に誘う。 厨房でスーザンに食事を出したマイケルは、SOSの兆候が現われた彼女を部屋に送る。 スーザンを落ち着かせて眠らせたマイケルも症状が現れ、彼女を抱きしめて一夜を過ごす。 翌朝、二人は嗅覚を失ったことに気づく。 マイケルらスタッフに対してボスは、嗅覚を失っている人のための料理を考えるようにという指示を出す。 臭覚を失った人々は、それと共に思い出が消え去ることになる。 店が休みの日にスーザンを誘ったマイケルは、彼女と楽しい時間を過ごし、そして二人は愛し合う。 スーザンから一人になりたいと言われたマイケルは、名刺を置いてその場を去る。 ジェニーに会ったスーザンは、元恋人が結婚したことを話し、マイケルのことを訊かれて、またろくでなしだろうと伝える。 今回の事件について環境保護団体は、環境汚染や遺伝子組み換えによるものだという見解を表明し、諜報機関は、自由世界への攻撃と考えて原理主義者を責めた。 原理主義者は、不信人者への神の制裁だと反論し、信仰を持つ者達は臭覚を取り戻すと信じた。 また、資本主義者が経済を活性化させるためにウィルスをまいたなどという、様々な憶測が流れていた。 その後、研究所にいたスティーヴンが、意味不明な言葉を発しながら取り乱してしまう。 スーザンやマイケル、そして他の者達も同じように奇行に走り、手当たり次第に物を食べ始め、やがて人々は味覚を失う。 マイケルのアパートの前で待っていたスーザンは、彼と激しく愛し合う。 朝まで過ごした二人は、夜も会うことを約束する。 嗅覚と味覚が失われたために廃業する気のボスは嘆くものの、自分達はまだ生きていると言うマイケルは彼を励ます。 以前と同じ生活を送ろうと努力した人々は、嗅覚と味覚を過去のものと考え、他の感覚が研ぎ澄まされるようになる。 それに合わせた料理を出したレストランも復活して、客足が戻る。 マイケルと愛を深めるスーザンは、秘密を話すゲームをして、子供がいる姉を時々憎らしく思い、卵巣に問題がある自分は子供が産めないことを伝える。 結婚するつもりだった恋人が重病だと知り、面倒も見ずに彼女の元から去ったことを話すマイケルは、最近は墓参りにも行かなくなり、罪の意識も薄れていることをスーザンに伝え、二人は、ろくでなしカップルであることを笑いながら認める。 その頃タイで、怒りと憎しみが込み上げた後に発症する”SHLS/重症聴覚障害症候群”が確認される。 それは世界中に広がりパニックとなり、スーザンのアパートの周辺も封鎖されてしまい、彼女はマイケルの家に向かう。 しかし、マイケルが突然スーザンを罵倒して暴れ始め、SHLSを発症したために、彼女はその場を去る。 冷静さを取り戻したマイケルだったが、聴覚を失ってしまい、現れた監視員から自宅待機を命ぜられる。 研究所にいたスーザンに電話をかけたマイケルは、言ったことは本心ではなかったと伝えて謝罪する。 携帯電話を投げ捨てたスーザンは、現実を受け入れられずに混乱して怒りをぶつける。 その様子が聴こえないマイケルは、スーザンに話し続ける。 興奮して気を失ったスーザンは、目覚めた後に聴覚を失っていることに気づく。 警告を無視したマイケルは家を出て店に向かい、荒れ果てた厨房にいたボスに身振りで意思を伝える。 ジェニーの家を訪ねたスーザンは、マイケルもろくでなしだったとメモして伝えるものの、彼女に励まされる。 略奪などを始める者もいる中、人々は再び現状で生きる道を見つけようとして、普段の生活を取り戻そうとする。 マイケルの店も営業を再開し、スーザンも研究所に戻り、人々は、生きていることそのものに感謝し、触れ合いを求めて許し合う。 求め合うマイケルとスーザンは再会するが、二人は視覚を失ってしまう。 しかし、息遣いで互いに気持を通わせたマイケルとスーザンは、二人だけの世界を感じて人の生きる姿を確認する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
感染症学者のスーザンは、嗅覚を失った患者と同じ症状が各地で発症していることを知る。
人々の間に不安が広がる中、スーザンは、近所のレストランのシェフ、マイケルに声をかけられる。
”SOS/重症嗅覚障害症候群”と名付けられた今回の症状が原因で店の客が途絶えたマイケルは、食材が余っていたためスーザンに料理を振舞う。
しかし、症状が現れたマイケルとスーザンも嗅覚を失う。
その状況で、二人は親交を深めて愛し合うようになるのだが、人々は味覚も失ってしまう。
人々は混乱して世の中はパニックとなり、その原因に環境破壊やテロだという憶測も流れる。
しかし人々は、嗅覚と味覚を過去のものとして考え、他の感覚が研ぎ澄まされるようになり、現状での生きる道を探る。
そして、人々は最悪の事態も考えながら、お互いを理解して許し合う心を持つようになるのだが・・・・。
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徐々に五感が失われていく現実の怖さ、しかし、それに怯えながらも、その度に新たな生き方を探求しようとする人間の強さが描かれた、SFヒューマン・ラブ・ストーリーとして多くの要素を含んだ異色のドラマ。
人体の外見的な変化が見られるわけでもない、感染症の恐怖を伝え映し出す、デヴィッド・マッケンジーの斬新な映像表現が見どころの作品。
平凡なシェフを演ずる人気スター、ユアン・マクレガーの、抑え気味の演技が注目だ。
それに対し、やや屈折した考えを持つ学者役のエヴァ・グリーンは、地味ではあるが見事な感情表現を見せて好演している。
あまりインパクトがない脇役なのが残念な、ヒロインの姉コニー・ニールセン、ヒロインの研究所の上司スティーヴン・ディレイン、同僚のアラステア・マッケンジー、主人公(ユアン・マクレガー)の同僚シェフ、ユエン・ブレムナー、店主デニス・ローソンなどが共演している。