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愛のアルバム Penny Serenade (1941)

幼い養女を亡くした夫婦が過去を振り返りながら人生を見つめ直す姿を描く、製作、監督ジョージ・スティーヴンス、主演アイリーン・ダンケイリー・グラントビューラ・ボンディエドガー・ブキャナン他共演のメロドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジョージ・スティーヴンス

製作:ジョージ・スティーヴンス
原作:マーサ・チーヴンス”Penny Serenade”
脚本:モリー・リスキンド
撮影:ジョセフ・ウォーカー
編集:オットー・マイヤー
音楽:W. フランケ・ハーリング

出演
ジュリー・ガーディナー・アダムス:アイリーン・ダン
ロジャー・アダムス:ケイリー・グラント
オリヴァー:ビューラ・ボンディ
アップルジャック・カーニー:エドガー・ブキャナン
ドッティ “ドット “:アン・ドーラン
トリーナ:エヴァ・リー・クネイ
ハートリー医師:レナード・ウィリー
判事:ウォリス・クラーク
電話を借りに来た女性:ドロシー・アダムス

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1941年製作 120分
公開
北米:1941年4月24日
日本:1947年1月14日


アカデミー賞
第14回アカデミー賞

・ノミネート
主演男優賞(ケイリー・グラント


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
養女である6歳のトリーナが亡くなり、ロジャー・アダムス(ケイリー・グラント)と妻ジュリー(アイリーン・ダン)は生きる希望を失った。

自分を責めるだけで話し合おうとしないロジャーとの離婚を決意し、家を去ろうとしたジュリーは、友人のアップルジャック・カーニー(エドガー・ブキャナン)が”You Were Meant for Me”のレコードをかけたために、聴きたくないと伝える。

ロジャーとのことを心配してくれるアップルジャックに、切符の購入を頼んだジュリーは荷物をまとめる。

You Were Meant for Me”をかけたジュリーは、針が飛ぶレコードを聴き直し、ロジャーと出会った時のことを思い出す。
__________

...全てを見る(結末あり)

楽器店で働くジュリーは、かけていた”You Were Meant for Me”のレコードの針が飛んだためにセットし直し、自分を見つめる男性(ロジャー)に気づく。

ジュリーに惹かれたロジャーは店に入り、彼女に声をかける。

仕事が終わったジュリーと共に店を出たロジャーは、27枚も買ったレコードを抱えながら、彼女の家までついて行く。

ロジャーから、購入したレコードをどうしても聴きたいと言われたジュリーは、彼を部屋に招き入れる。
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他のレコードもかけてみたジュリーは、それぞれの曲に思い出があった。
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ロジャーと付き合い始めるものの、新聞記者として忙しい日々を送る彼は、ジュリーに結婚を申し込む気になれなかった。

ニューイヤーズ・イヴ。
パーティーに遅れて来たロジャーは、特派員として東京に行くことになったとジュリーに伝える。

直ぐにサンフランシスコに向かい横浜行きの船に乗ることをジュリーに伝えたロジャーは、彼女にプロポーズする。

簡単な結婚式を挙げたロジャーとジュリーは、駅に向かう。

ロジャーは、見送りに来てくれたアップルジャックとドッティ “ドット “(アン・ドーラン)にジュリーのことを任せる。

列車に乗ったロジャーとジュリーは、愛を確かめる。

列車が動き出してしまい、次の駅でジュリーを降ろしたロジャーは、彼女に別れを告げる。

数か月後。
東京に着いたジュリーを迎えたロジャーは、彼女を家に案内し、日本人の使用人クックとオハナを紹介する。

ジュリーから妊娠していることを知らされたロジャーは喜び、彼女を抱きしめる。

その後、父の遺産を相続し帰国することになったロジャーは、新聞社は辞めて世界旅行に出発することをジュリーに伝る。

帰国して自分で新聞社を始めると言うロジャーから、3万5000ドルを相続し、もろもろの経費を払い残りが8000ドルしかないことを知らされたジュリーは、彼が将来のことを考えていないために不安に思う。

その直後に大地震(関東大震災)が起き、家の中にいたジュリーは重傷を負い、ロジャーは一命を取り留めた彼女を連れて帰国する。

サンフランシスコ
病院に入院したジュリーは、ロザリアという小さな町で新聞社を見つけたロジャーから、家も手に入れたことを知らされるものの、流産した悲しみから立ち直れなかった。

ロザリア。
”クーリア新聞”社を買い取り、その二階の住むことになったロジャーとジュリーは、新生活を始める。

印刷マネージャーとしてアップルジャックを呼び寄せたロジャーだったが、発行部数は思うように伸びなかった。

憂鬱な日々が続き元気がないジュリーを励ますアップルジャックは、彼女が子供が産めない体と知りながら、この家には子供が必要だと伝える。

アップルジャックから養子をとることを提案されたジュリーは、自分も考えていたと伝えるものの、ロジャーが賛成しないと考える。

ロジャーが賛成していることをアップルジャックから知らされたジュリーは、その気になる。

戻って来たロジャーと養子のことを話したジュリーは、彼と共に孤児院の事務局に向かう。

担当者のオリヴァー(ビューラ・ボンディ)から、1年は待つと言われた二人は、調査も受けることになり、住まいのことや収入などを訊かれる。

ロジャーから、週100ドルの収入はあると言われたオリヴァーは、十分だと伝える。

申請書を渡したオリヴァーは、調査員が連絡なしに訪問することを二人に伝える。

部屋から出たジュリーは、見栄を張って収入100ドルと話したロジャーを責めるが、帳簿はないので分からないと言われ、仕方なく納得する。

その後、新聞社を訪ねたオリヴァーは、二階に住むロジャーとジュリーの元に向かう。

レコードをかけて踊りながら掃除をしていたジュリーは、オリヴァーが現れたために驚く。

散らかっている家の中を案内されたオリヴァーは、子供を迎えるための準備ができている部屋を見て満足する。

庭も見せてもらったオリヴァーは、その場にいたロジャーとジュリーに、生まれて5週間の女の子を紹介できると伝える。

ロジャーの希望は2歳の男の子であり、その他にも条件があった。

会うことができると言われたジュリーは、賛成しないロジャーを説得して、オリヴァーと共に孤児院に向かうことになる。

特別な子だと言うオリヴァーが抱く子供と対面したジュリーは感激する。

男の子にこだわるロジャーだったが、子供を抱くジュリーに、三人で帰ろうと伝える。

オリヴァーに感謝したロジャーとジュリーは、子供のための買い物をして家に戻る。

子供を起こさないようにしてようやくベッドに入ったロジャーとジュリーだったが、子供が泣き出してしまう。

子供が泣き止まないためにオリヴァーに電話しようとしたジュリーだったが、ロジャーが抱いているうちに泣き止む。

その後、子供が気になるジュリーは、ベッドに連れてきて一緒に眠る。

それに気づかないまま目覚めたロジャーは、ミルクを飲ませようとするものの、子供がいないために驚き、誘拐されたと言ってジュリーを起こし、ベッドの上の子供は泣き出す。

翌朝、新聞を刷りは始めたアップルジャックらは、音がうるさいと言って印刷機を止めたロジャーから、子供がいることを知らされて喜ぶ。

その後、子供を入浴させることができずに嘆くジュリーを気の毒に思うアップルジャックは、経験があったために、彼女の代わりに手際よく子供の身体を洗い、おしめもしてあげる。

1年後、娘トリーナと共に過ごす日々に幸せを感じるロジャーとジュリーは、訪ねて来たオリヴァーから、裁判所に提出する書類の件で質問される。

印刷機が動いていないことが気になっていたオリヴァーは、二人に収入がないことを知り、判事に経済力を証明しなければならないと伝える。

トリーナの笑顔を見つめるオリヴァーは、二人の気持ちを察してその場を去る。

ロジャーとジュリーは、トリーナを絶対に手放さないことを誓う。

トリーナを連れてオリヴァーと共に裁判所に向かったロジャーは、判事(ウォリス・クラーク)から、規則に従い子供は孤児院に戻すと言われるものの、娘は手放せないと伝える。

自分の短所を正直に話し、どんなことをしても娘を養っていくと言うロジャーは、自分たちから奪わないでほしいと涙しながら判事に訴える。

特例が認められたロジャーはトリーナと共に戻り、ジュリーは娘を抱きしめる。

数年後、ロジャーとジュリーの生活は安定した。

6歳になったトリーナ(エヴァ・リー・クネイ)は、ロジャーとアップルジャックと共にジュリーの誕生パーティーを計画する。

帰宅したジュリーは、サプライズ・パーティーを知り喜び、ロジャーから時計、アップルジャックからハンカチ、そしてトリーナからはレコードをプレゼントされる。

楽しい食事が済み、トリーナは、クリスマスの演劇でこだま役に選ばれたことを話す。

その後とリーナは、ジュリーのためにバースデーケーキを運ぶ。

クリスマス。
演劇会を鑑賞したロジャーとジュリー、そしてアップルジャックは、トリーナが重要なこだまの役を立派に演じたために感激する。

退場する際に台で滑ってしまったトリーナは、次回は天使の役をもらえないと言って悲しむ。

教師は褒めていたと言われたトリーナは、気を取り戻して嬉しくなる。

1年後のクリスマス・シーズン。
ジュリーからクリスマス・カードを受け取ったオリヴァーは、トリーナが重病で急死したことを知り悲しむ。

そのショックでロジャーは人が変わってしまい、話し合うこともできず、彼は自分を責め続けているということだった。

雨の中、車が故障した女性(ドロシー・アダムス)が電話を借りたいと言って訪ねて来たため、ジュリーは部屋に招き入れる。

息子トミーがクリスマスの劇に出演すると言う女性はタクシーが呼べず、ジュリーが送っていこうとする。

二人を車で送ったロジャーとジュリーは、去年のトリーナと同じようにスニーカーを履くトミーの姿を見て、娘のことを想いだす。

女性に感謝されたロジャーとジュリーは、その場にいるのが辛かった。

家に戻る途中で車を降りたロジャーは、トリーナを想いだす場所には戻りたくないとジュリーに伝える。

ロジャーに別れを告げたジュリーは、車を運転して走り去る。
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家を出る準備をしたジュリーは、もう一度”You Were Meant for Me”のレコードをかける。

切符を買って戻って来たアップルジャックから、どのレコードを持って行くか訊かれたジュリーは、二人のものなので決められないため置いて行くと伝える。

戻って来たロジャーが自分のことを責める姿を見ていられないジュリーは、あなただけでなく自分たちの関係がダメになったと伝える。

困難に直面しても二人で対処できないと言うジュリーは、あなたが必要だったにも拘らず、自分は一人だったとロジャーに伝える。

ロジャーは、荷物を運ぶアップルジャックと共に去ろうとするジュリーに、トリーナにしてあげられなかったことを後悔しながら話す。

去ろうとしたジュリーはオリバーからの電話を受け、不思議なことが起きたと言う彼女から、2歳の男の子が孤児院に連れて来られ、最初に希望した条件をすべて満たしていることを知らされる。

他の夫婦が先に会う権利があるのだが、希望するなら面会させると、オリヴァーはジュリーに伝える。

話を聞いていたロジャーは会うことに賛成し、ジュリーは、自分たちが行くまでは他の人に会せないでほしいとオリヴァーに伝える。

電話を切り荷物を置いたジュリーは、ロジャーと子供を受け入れる準備をするための話をする。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
楽器店に勤めるジュリー・ガーディナーは、新聞記者のロジャー・アダムスと出会い、特派員として東京に向かう彼と結婚する。
妊娠したジュリーだったが、”関東大震災”が起きて重傷を負い帰国し、流産して子供が産めない体になってしまう。
父親の遺産が入り独立することを考えていたロジャーは、ロザリアという小さな町の新聞社を買い取り仕事を始め、友人アップルジャックを呼び寄せるものの、新聞の発行部数は伸びなかった。
憂鬱な日々が続くジュリーは、アップルジャックから養子を取ることを提案され、ロジャーと共に孤児院の担当者オリヴァーの元に向かう。
その後、生まれたばかりの女の子を養子にしたロジャーとジュリーは、三人で新生活を始めるのだが・・・。
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1940年に女性雑誌”McCall’s”に掲載された、マーサ・チーヴンス著の物語”Penny Serenade”の小説を基に製作された作品。

若手として期待され着実にキャリアを重ねるジョージ・スティーヴンスが製作を兼ねて監督し、「新婚道中記」(1937)「ママのご帰還」(1940)でも共演したアイリーン・ダンケイリー・グラントのコンビも話題になった作品。

冷めきった夫婦関係と別れ話から始まる物語は、二人の出会うきっかけとなったレコードが、小道具として効果的に使われている。

レコードを聴きくヒロインが、その一枚一枚に残された思い出を振り返りその度に感情が変化する内容など、情緒的な作品に仕上げたジョージ・スティーヴンスの繊細な演出が光る。

主人公夫婦が愛情を注ぐ、子役の愛らしい表情が印象的だ。

多くのシーンで涙を誘い、クライマックスでは修復不能となった夫婦が別れを決断するのだが、新たな希望を手に入れる二人の姿に観る者は救われる。

主演のアイリーン・ダンは、悲しい現実を受け入れようとしながら、思い出を振り返る女性を見事に演じ、上記のように彼女とは名コンビと言える、やや優柔不断的な夫を演ずる、ケイリー・グラントの抑え気味の演技も注目だ。
ケイリー・グラントは、第14回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた。

主人公二人に感情移入しながら養子を紹介する孤児院の担当者ビューラ・ボンディ、主人公夫婦の友人を味のある演技で好演するエドガー・ブキャナン、同じく友人のアン・ドーラン、笑顔が印象的な主人公二人の娘エヴァ・リー・クネイ、ヒロインの担当医レナード・ウィリー、主人公夫妻に特例を与える判事のウォリス・クラーク、クライマックスで主人公に電話を借りる女性のドロシー・アダムスなどが共演している。


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