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黄金の雨 Pennies from Heaven (1936)

両親を亡くした問題児の少女と親交を深める元囚人と彼女を担当する福祉員との恋を描く、監督ノーマン・Z・マクロード、主演ビング・クロスビーマッジ・エヴァンスエディス・フェローズルイ・アームストロングドナルド・ミーク他共演のミュージカル・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ミュージカル)


スタッフ キャスト
監督:ノーマン・Z・マクロード

製作:エマニュエル・コーエン
原作:キャサリン・レスリー・ムーア”The Peacock Feather”
原案:ウィリアム・ランキン
脚本:ジョー・スワーリング
撮影:ロバート・ピタック
編集:ジョン・ローリンズ
音楽:ウィリアム・グラント・スティル

出演
ラリー・プール:ビング・クロスビー
スーザン・スプラーグ:マッジ・エヴァンス
パッツィ・スミス:エディス・フェローズ
ヘンリー:ルイ・アームストロング
グランプ・スミス:ドナルド・ミーク
J.C.ハート:ジョン・ギャローデット
クラレンス・B・カーマイケル:ウィリアム・スタック
ミス・ハワード:ナナ・ブライアント
クロウバー・ミラー:トム・ドゥーガン
ウェイター:ジョージ・チャンドラー
ホテルのメイド:ニディア・ウェストマン

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1936年製作 81分
公開
北米:1936年11月25日
日本:不明


アカデミー賞
第9回アカデミー賞

・ノミネート
歌曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
死刑囚のJ.C.ハート(ジョン・ギャローデット)は、処刑場に向かおうとしていた。

ハートは、いつも中庭で歌い、”リュート”を弾き音楽を奏でている囚人で、自称、吟遊詩人のラリー・プール(ビング・クロスビー)と話す許可を得る。

ラリーに手紙を渡したハートは、ニュージャージーミドルタウンに住むスミス家に届けてほしいと伝える。

音楽好きで信用できそうなので頼むと言われたラリーは、ハートに手紙を届けることを約束し、処刑場に向かう彼を見つめる。

出所したラリーはカーニバルに向かい、そこで、騙されそうな少女パッツィ・スミス(エディス・フェローズ)に声をかけ、彼女が欲しがっているオペレグラスを手に入れさせてあげる。

ラリーから自分を捜すのに苦労したと言われたパッツィは、警官か借金取りだと思い逃げ出す。

パッツィを捕まえたラリーは、届けるものがあると言って、彼女に家族のことを訊く。
...全てを見る(結末あり)

祖父がいることを知ったラリーは、パッツィとランチを食べることになり、ハムがあると言われたためにパンを買おうとするが、所持金がなかった。

心配いらないと言って歌い始めたラリーは、その美声に聞き惚れる人々から小銭をもらう。

ラリーは、投げられたメモに書かれていた指示に従い、パッツィと共にアパートの部屋に向かう。

パッツィは、部屋からスーザン・スプラーグ(マッジ・エヴァンス)が出てきたために逃げ出してしまう。

スーザンから話を聞いたラリーは、郡の福祉員である彼女が、手がつけられない問題児であるパッツィのケアを担当していることを知る。

不躾なスーザンと口論になったラリーは、嫌味を言ってその場を去る。

家を追い出されたパッツィの祖父グランプ(ドナルド・ミーク)は、戻って来たパッツィからラリーを紹介される。

その場でランチにしようとしたラリーらだったが、スーザンが現れたために3人は逃げる。

郊外でランチを済ませたラリーは、ハートのことをグランプに尋ね、パッツィの父親を殺した殺人犯だと言う彼に、手紙を預かっていることを伝える。

封筒の中には鍵が入っていて、グランプに頼まれて手紙を読んだラリーは、殺す気はなかったと言うハートの謝罪と、隠れ家に使っていた古い家を譲るという内容を伝える。

パッツィのためにその場に住むことをグランプに勧めたラリーは、2人と共に家に向かう。

送ってもらった男から、家に幽霊が出ると言われたラリーらは、とりあえず、薄気味悪いその家に入る。

その後、怯えるパッツィとスーザンのことを話したラリーは、朝になったら自分は出て行くことを伝える。

暖炉のソファーにパッツィの寝床を作ったラリーは、怖がる彼女を眠らせるために歌う。

1週間が経ち、スーザンが現れたためにパッツィは姿を隠し、ラリーが彼女の話を聞く。

ラリーは、パッツィのケアをしたいと言うスーザンに、ベニスに行く予定だと伝えて後を任せようとする。

パッツィとグランプの世話をラリーにしてもらいたいスーザンは、まったくその気がない様子の彼に憤慨して立ち去る。

家の中で泣いているパッツィに理由を尋ねたラリーは、自分を邪魔者扱いしてスーザンと話していたと言われたため、彼女を追い払うためだったと伝える。

いつまでも一緒にはいられないと言うラリーに、パッツィは恋していまったことを伝えて抱きつき、彼に励ましてもらう。

福祉局の局長のクラレンス・B・カーマイケル(ウィリアム・スタック)に呼ばれたスーザンは、パッツィを明日、施設に収容することを知らされる。

オフィスに戻ったスーザンは、パッツィとグランプと共に現れたラリーから、ベニス行きを延期して、レストラン”幽霊屋敷カフェ”を開業して、安定収入を得る考えを知らされる。

その計画の内容を聞いたスーザンは、資金調達などに不安があり信用できず、再びラリーと対立してしまう。

その後、開店準備を始めたラリーは、備品などの費用を食事代や事業の権利の歩合で払うことを考える。

オスとメスの鶏を2羽買って数を増やそうとしたグランプとパッツィは、いつになっても鶏が増えないために不思議に思う。

ラリーは、バンドリーダーのヘンリー(ルイ・アームストロング)ともショーの話をつける。

そんなラリーはスーザンからの電報を受け取り、開店日の席の予約を頼まれる。

鶏のことで悩むグランプは、メスが2羽だということをヘンリーから知らされ、数が増えない理由がようやく分かる。

困ったラリーは、ヘンリーが鶏を明朝、調達してくれることになったために喜ぶ。

店は開店して客は集まり、ヘンリーとバンドのショーが始まる。

パッツィは、2階からその様子を見ながら幽霊の仕掛けを担当して、客を驚かせる。

接客するウェイター(ジョージ・チャンドラー)は、備品などを提供した客から代金を払ってもらえない。

そんなことはお構いなしに歌うラリーは、スーザンの席に着き、大成功だと言って喜んでくれた彼女が満足してくれたことを知る。

ラリーは、自分が刑務所にいたことを知っていたスーザンに、ベニスに行こうとして密航した船が密輸船だったために逮捕されたことを話す。

密輸船とは知らなかったと言うラリーは、それを信じてくれたスーザンにキスしてしまう。

人前でもあり、それを無礼だと思ったスーザンは、ラリーの頬をたたき席を立ちその場を去る。

ウェイターは、客が代金を払わないことに腹を立て、辞めることをラリーに伝える。

100ドルかかる営業許可も取っていなかったラリーは、商売にならないことをパッツィに話しながら、開き直って彼女と踊る。

そこに、鶏を盗まれた男性が警官と共に現れ、それに気づいたヘンリーらは窓から逃げる。

翌日ラリーは、営業許可に必要な100ドルを稼ぐために、サーカス団の団長クロウバー・ミラー(トム・ドゥーガン)と話し、危険なスタントの出演者となる。

その場に呼ばれたパッツィとグランプは、危険なスタントに挑戦したラリーが怪我をしたために心配する。

病院に入院したラリーは、現れたグランプから、パッツィが役人に連れて行かれ、施設に入れられたことを知らされてショックを受ける。

パッツィのことを知ったスーザンは、自分に話してくれなかったカーマイケルを非難したために解雇されてしまう。

スーザンがパッツィを施設に入れたと考えるラリーは憤慨する。

施設のパッツィを訪ねたスーザンは、自分を非難する彼女に、ラリーの味方をしたために福祉員はクビになったことを伝える。

スーザンは、自分もラリーに恋し、あなたのことも大好きだと伝えて、信用してくれたパッツィを抱きしめる。

病院に向かったスーザンは、ラリーが無断で退院したことを知る。

ミラーに会ったラリーは、児童施設で曲芸師の慈善ショーを開催してもらおうとする。

その後ショーは始まり、施設長のミス・ハワード(ナナ・ブライアント)は、部屋に閉じこもるパッツィの様子を見に行くが、彼女はショーに興味を示さない。

道化に扮したラリーは歌い始め、彼の歌声に気づいたパッツィは、外に出る。

ラリーと話をしたパッツィは、自分たちのためにクビになったスーザンは、あなたに恋していると伝える。

それを信じたラリーは、パッツィをドラム中に隠して、パレードする曲芸師たちと共に施設から脱出しようとする。

しかし、それが失敗したパッツィは、カーマイケルに見つかってしまう。

カーマイケルは、警官にラリーの写真を渡す。

ニューヨークで暮らしていたスーザンは、訪ねて来た警官にラリーのことを訊かれ、ベニスではないかと答える。

ホテルに滞在しながらスーザンを捜していたラリーは、街中のアパートの中庭を回っていることをメイド(ニディア・ウェストマン)に話す。

その後も、ラリーは歌いながら街中を歩き回り、ついにスーザンを見つける。

そこに現れた警官は、ラリーを連れてニュージャージーに戻る。

施設内でハンガーストライキをしていたパッツィは、ラリーが現れたために喜ぶ。

同席していたミス・ハワードは、悪さばかりするパッツィは手に負えないとカーマイケルに伝える。

困惑するカーマイケルは、パッツィを引き取ってほしいとラリーに伝える。

逮捕されたと思っていたラリーは、自分を捜すことを警官に頼んでいただけだったことを知る。

謝罪を求められたカーマイケルは、ラリー、スーザン、パッツィに謝罪する。

ラリーとスーザンは、引き取るなら夫婦がいいという意見で一致し、パッツィと共にセントラルパークに向かう。

ベニス風のゴンドラに乗ったラリーは、歌いながら、スーザン、パッツィ、そしてグランプと共に楽しい時間を過ごす。

ゴンドラから落ちそうになったパッツィを助けようとしたラリーは、彼女と共に水の中に落ちてしまう。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
囚人のラリー・プールは、死刑囚のハートから、スミス家に手紙を届けることを頼まれる。
出所したラリーはスミス家の娘パッツィを捜し、問題児である彼女のケアを担当するスーザンと出会う。
パッツィに手を焼くスーザンに惹かれたラリーだったが、彼女と衝突してしまう。
その後ラリーは、家を追い出されたパッツィの祖父グランプを紹介され、彼にハートの手紙を見せる。
ラリーは、パッツィの父を殺したハートの謝罪と古い家を譲るという手紙の内容をグランプに読んで聞かせて、3人でその場に向かうのだが・・・。
__________

刑務所を出所した自称、吟遊詩人の男性が、両親を亡くした問題児の少女と出会い、彼女を担当する福祉員とトラブルを起こしながらも惹かれ合う姿を描くミュージカル・コメディ。

コメディを得意とするノーマン・Z・マクロードと、歌手として人気絶頂であり映画でも活躍するビング・クロスビーが組んだことで話題になった作品。

自由人の主人公と問題児の少女の親交、反発しながらも次第に愛が深まって行く主人公とヒロインの関係が、ドタバタ・コメディの面白さと共に愉快に描かれた作品であり、あらゆる年代が楽しめる内容となっている。

ビング・クロスビーの見事な歌声も堪能できる作品で、彼の盟友ルイ・アームストロングのパフォーマンスも見逃せない。

第9回アカデミー賞では、主題曲”Pennies from Heaven”が脚色賞にノミネートされた。

主演のビング・クロスビーは、元軽犯罪者の囚人である自称、吟遊詩人を、持ち味を活かした演技で好演している。
録音技術の関係なのかは不明だが、本来の彼は、もう少しまろやかで深みのある声と歌声であるはずなのだが、ややイメージが違うことが気になる。

主人公と対立しながらも愛し合う仲になる福祉員のマッジ・エヴァンス、主人公と親交を深める問題児の少女エディス・フェローズ、その祖父ドナルド・ミーク、主人公の友人であるバンドリーダーのルイ・アームストロング、主人公に手紙を託す死刑囚のジョン・ギャローデット、パッツィに手を焼く福祉局の局長ウィリアム・スタック、同じく児童施設長のナナ・ブライアント、主人公に協力するサーカスの団長トム・ドゥーガン、主人公のカフェのウェイター役ジョージ・チャンドラー、主人公が宿泊するホテルのメイド役ニディア・ウェストマンなどが共演している。


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