世界を変える方法を授業で課題にした教師と人に善いことをする提案をした少年と母親との関係を描く、監督ミミ・レダー、主演ケヴィン・スペイシー、ヘレン・ハント、ハーレイ・ジョエル・オスメント他共演のヒューマン・ドラマ。 |
・ケヴィン・スペイシー / Kevin Spacey / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ミミ・レダー
製作
ピーター・エイブラムス
ロバート・L・レヴィ
スティーヴン・ルーサー
製作総指揮
メアリー・マクラグレン
ジョナサン・トレイスマン
原作:キャサリン・ライアン・ハイド”Pay It Forward”
脚本:レスリー・ディクソン
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:デイビッド・ローゼンブルーム
音楽:トーマス・ニューマン
出演
ユージーン・シモネット:ケヴィン・スペイシー
アーリーン・マッキニー:ヘレン・ハント
トレヴァー・マッキニー:ハーレイ・ジョエル・オスメント
クリス・チャンドラー:ジェイ・モーア
ジェリー:ジェームズ・カヴィーゼル
グレイス:アンジー・ディキンソン
リッキー・マッキニー:ジョン・ボン・ジョヴィ
シドニー・パーカー:デヴィッド・ラムゼイ
ショーン:ショーン・パイフロム
アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(北米)
20世紀FOX(世界)
2000年製作 123分
公開
北米:2000年10月20日
日本:2001年2月3日
製作費 $40,000,000
北米興行収入 $33,508,920
世界 $55,707,410
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
フリーランスの記者クリス・チャンドラー(ジェイ・モーア)は、事件現場に駆けつけるものの、逃げようとする犯人に車を追突されてしまう。
クリスはショックを受けるが、その場に現れた男性から、善い行いをしたいと言って新車のジャガーを譲り受け驚いてしまう。
ネバダ州、ラスベガス。
4か月前、新学期。
顔に火傷痕がある社会科の新任教師ユージーン・シモネット(ケヴィン・スペイシー)は、クラスの生徒で11歳のトレヴァー・マッキニー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)らに、”世界を変える方法を考えて実行してみる”という課題を与える。
放課後にトレヴァーは、ホームレスのジェリー(ジェームズ・カヴィーゼル)を連れて帰宅し、クラブで働く母親アーリーン(ヘレン・ハント)が戻るまでの間、彼に食事を与える。 帰宅したアル中のアーリーンは、ガレージに隠してあった酒を飲み眠ってしまい、トレヴァーはそれに気づく。 翌朝、ガレージのトラックの荷台で寝ていたジェリーが起きてきたため、アーリーンは驚いてしまう。 トレヴァーは酒を飲んだアーリーンを責めながら、ジェリーは友人であり、教師のユージーンに言われたことを実行したと伝え学校に向かう。 アーリーンは、学校のユージーンを訪れて抗議するものの、彼はそれを聞き入れようとせず、生徒が目標に向かい努力した行為を尊重する。 車をもらった弁護士の元に向かったクリスは、彼が3人に対して善行を施し実行したことを知る。 翌日、ジェリーがまだ家にいることに気づいたアーリーンは、彼に銃を向ける。 ジェリーはトラックを直したことと、トレヴァーに親切にされたお陰で、修理工の仕事にも就けたことをアーリーンに伝える。 これはトレヴァーへの恩返しではなく、”Pay It Forward”(次へ渡す)ことだとジェリーは付け加え出て行こうとする。 その頃トレヴァーは、本人ができないようなことを、3人の人にして、その各人がまた同じことをしていくという方法を発表する。 引き止められたジェリーも、トレヴァーの考えをアーリーンに話し、彼女は納得する。 クラスメイトのショーン(ショーン・パイフロム)らも、自分の考えを発表し、ユージーンはトレヴァーの案を褒める。 放課後トレヴァーは、なぜ自分を褒めたのかをユージーンに尋ね、顔の火傷痕のことも聞く。 それを生徒が知りたがっていることに気づいたユージーンは、適当に嘘をついておくようにとトレヴァーに伝える。 その後、トレヴァーはジェリーに会いに行くが、彼は止めると言ったドラッグに手を出してしまう。 その夜トレヴァーは、ジェリーの次にユージーンに対して何かをしてあげようと考える。 トレヴァーは、ユージーンに母アーリーンからの手紙を渡して彼を家に招く。 ところが、それが誤解だと分かったユージーンは帰ろうとする。 学校でとった態度を気にしていたユージーンは、そのことをアリーンが何んとも思っていないことを知る。 アーリーンは、トレヴァーがユージーンを好きだということを悟り、彼を食事に誘う。 トレヴァーは、既に二人のためにテーブルを用意してあり、アーリーンは、ユージーンと息子についての話をし始める。 ユージーンは、トレヴァーが何か問題でも抱えているのではないかと考え、家を出た父親の居所も分からないことを知る。 そこに、アルコール依存症仲間の女性が現れ、トレヴァーの計画は台無しになってしまう。 ユージーンが帰った後、アーリーンは、手紙のことなどの説明をトレヴァーに求める。 計画が上手くいかなかったことで不機嫌なトレヴァーは、男と女を簡単に結び付けられないことをアーリーンに説明されるものの、同じアル中の父親リッキー(ジョン・ボン・ジョヴィ)を忘れようとしない彼女を非難する。 トレヴァーに、自分が嫌い母親失格だと言われたアーリーンは、彼に手をあげてしまう。 動揺したアーリーンは、酒を探して飲むものの吐き出してしまい、その後トレヴァーが姿を消したことに気づく。 警察がまともに対応してくれないため、ユージーンに電話をしたアーリーンは、彼の車でトレヴァーを捜す。 自分がアル中だと告白したアーリーンは、ユージーンの思いつきでバス・ターミナルに向かう。 ユージーンは、トレヴァーに近づこうとしていた男を叩きのめす。 アーリーンは、殴ったことを後悔していることと、傍にいて酒を止める努力をするために協力して欲しいことをトレヴァーに伝え彼を抱きしめる。 アーリーンはユージーンに感謝し、時々、家に来て食事をしてほしいことを伝えるが、彼は適切ではないと答えてその場を去る。 クリスは、弁護士に対して善いことをしたにも拘らず、刑務所に入れられたシドニー・パーカー(デヴィッド・ラムゼイ)と面会する。 3人に善い行いをすることを、シドニーが自分で思いついたという話をクリスは信じない。 クリスはそのことを何んとかシドニーから聞き出し、特ダネとして売り込もうと考え、彼の仮釈放を早めることを約束する。 その後、アーリーンの働く店に偶然、入ったような振りをしてユージーンは彼女を誘う。 クリスは、知事に掛け合いシドニーの仮釈放を早めてもらおうとする。 ユージーンとアーリーンは、トレヴァーの協力もあり親交を深めるようになる。 シドニーに会ったクリスは、彼が強盗して追われたところを、車で生活するグレイス(アンジー・ディキンソン)に助けられた話を聞く。 アーリーンに、家に泊まっていくようにと誘われたユージーンだったが、彼は問題があることを伝えて、キスだけして動揺しながら帰ってしまう。 ユージーンの家に押しかけたアーリーンは、全てを管理して生活しているという彼に拒まれその場を去る。 友人がいじめられているのを助けられなかったトレヴァーは気落ちし、彼を心配するユージーンは、アーリーンに4日間も連絡しないことを問い詰められる。 トレヴァーは、父親リッキーが帰ってくるため、手遅れになることをユージーンに伝える。 リッキーがアーリーンに暴力を振るうことを恐れ、誰か傍にいればそれを防げるというトレヴァーの話をユージーンは聞かされる。 ユージーンはアーリーンの元に向かい、二人は愛し合う。 翌朝、トレヴァーに泊まったことを知られたユージーンは焦りその場を去る。 街を離れたジェリーは、橋から飛び降りようとしていた女性を救う。 ユージーンとアーリーン、そしてトレヴァーは、楽しい日々を過ごしていたが、そこにリッキーが現れる。 アーリーンとトレヴァーのことを心配しながら、ユージーンはその場を去る。 リッキーは、酒を断ち自分が変わったことをアーリーンに伝える。 ユージーンの元に向かったアーリーンは、リッキーとやり直そうとすることを痛烈に非難される。 父親の母親への暴力が自分に向けられ、ガソリンをかけられ火をつけられたことまで話したユージーンは、トレヴァーの苦しみを理解するように伝える。 その後、口をきかないトレヴァーに腹を立てるリッキーは苛立ち、アーリーンは彼を受け入れたことを後悔する。 苦しむトレヴァーは、ユージーンに次へ渡す善行を促し、アーリーンを助けるよう求める。 その頃、ラスベガスに着いたクリスは、グレイスに会い話を聞く。 グレイスは、疎遠だった娘のアーリーンから、今までのことを許すと言われ和解した話をクリスにする。 トレヴァーの12歳の誕生日、クリスはアーリーンを訪ねて説得し、取材の許可を得る。 学校の教室で、クリスのインタビューを受けるとトレヴァーの話を聞いたユージーンは、アーリーンに謝罪して、彼女無しではいられないことを伝える。 その直後、いじめられる友人を助けようとしたトレヴァーは刺されてしまい、ユージーンとアーリーンが駆け寄る。 トレヴァーは病院に運ばれるものの息を引き取り、その後、彼のインタビューは報道されて反響を呼ぶ。 悲しみに耐えながら過ごしていたユージーンとアーリーンは、トレヴァーのために祈りを捧げる人々やグレイスやクリスが、家の前に集まっていることに気づく。 トレヴァーのために花を捧げる人々は、その後も絶えることがなかった。
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*(簡略ストー リー)
ネバダ州、ラスベガス。
新学期が始り、顔に火傷痕がある新任の社会科教師ユージーン・シモネットは、トレヴァーら生徒を前にして”世界を変える方法を考え実行する”課題を出す。
アル中の母親アーリーンと暮らすトレヴァーは、ホームレスのジェリーを連れて帰宅し彼に食事と寝る場所を与える。
アーリーンは、同じアル中の夫リッキーの暴力に耐え、彼が出て行ったために、クラブで働きトレヴァーを養っていた。
そんなアーリーンは、ジェリーが家にいたことに驚くものの、トレヴァーの、善いことをするという考えで救われたという彼の話を聞き納得する。
その後トレヴァーは、3人に善いことをしてその各人がまた同じ行いをするアイデアを発表する。
トレヴァーは、それを褒めてくれたユージーンと母アーリーンの恋を実らせ、自分を含めた幸せを掴もうとするのだが・・・。
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1999年に発表された、キャサリン・ライアン・ハイドの小説”Pay It Forward”を基に製作された作品。
女性監督として活躍を続けるミミ・レダー、共にアカデミー主演賞を受賞したばかりのケヴィン・スペイシーとヘレン・ハント、そして天才子役として注目されていたハーレイ・ジョエル・オスメントの競演が話題になった作品。
家庭内暴力や、富の象徴的な存在のラスベガスでの貧困層の問題など、悩めるアメリカ社会の裏側を映し出しながら、小さな試みが大きな希望を生み出すという感動のストーリー。
トーマス・ニューマンの優しい音楽も印象的だ。
主演のケヴィン・スペイシーは、オスカーを受賞した前年の「アメリカン・ビューティー」(1999)とは違った役柄を演技派らしく見事に演じ観客に訴える。
酒に頼ることしかできず、人生の道を誤る女性を演ずるヘレン・ハントも、同じくオスカーを受賞した「恋愛小説家」(1997)を思わせるキャラクターを熱演し、11歳のハーレイ・ジョエル・オスメントは、子供とは思えない好演で、2人をサポートする確かな演技を見せてくれる。
”善い行い”の当事者となり、それについて調べる記者ジェイ・モーア、少年に救われるホームレスの男性役ジェームズ・カヴィーゼル、ヒロインの母親アンジー・ディキンソン、夫役ジョン・ボン・ジョヴィ、善行を受ける青年のデヴィッド・ラムゼイ、少年のクラスメイト、ショーン・パイフロム等が共演している。