天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャーが世界チャンピオンになるまでの苦悩と数奇な人生を描く、製作、監督エドワード・ズウィック、製作、主演トビー・マグワイア、リーヴ・シュレイバー、リリー・レーブ、ピーター・サースガード、マイケル・スタールバーグ他共演の実録ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:エドワード・ズウィック
製作
ゲイル・カッツ
トビー・マグワイア
エドワード・ズウィック
製作総指揮
デイル・アルミン・ジョンソン
ジョゼット・ペロッタ
スティーヴン・J・リヴェル
クリストファー・ウィルキンソン
ケヴィン・フレイクス
原案
スティーヴン・J・リヴェル
クリストファー・ウィルキンソン
スティーヴン・ナイト
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:ブラッドフォード・ヤング
編集:スティーヴン・ローゼンブラム
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
ボビー・フィッシャー:トビー・マグワイア
ボリス・スパスキー:リーヴ・シュレイバー
ジョーン・フィッシャー:リリー・レーブ
ウィリアム・ロンバーディ:ピーター・サースガード
ポール・マーシャル:マイケル・スタールバーグ
レジーナ・フィッシャー:ロビン・ワイガート
カーマイン・ナイグロ:コンラッド・プラ
ドナ:エヴリーヌ・ブロシュ
ボビー・フィッシャー(少年期):シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック
ボビー・フィッシャー(幼年期):エイデン・ラヴカンプ
ジョーン・フィッシャー(少女期):ソフィー・ネリッセ
マリア:ケイティー・ノラン
エフィム・ゲラー:エドワード・ジノヴィエフ
ローター・シュミット:ブレット・ワトソン
イイヴォ・ネイ:アレクサンドル・ゴルシコフ
イワノヴィッチ:ヴィタリー・マカロフ
本人(映像):ボビー・フィッシャー
アメリカ 映画
配給 ブリーカー・ストリート
2014年製作 115分
公開
北米:2014年9月16日
日本:2015年12月25日
製作費 $19,000,000
北米興行収入 $2,436,630
世界 $5,578,520
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1972年、アイスランド、レイキャヴィーク、世界チェス選手権。
天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)は、ソ連の世界チャンピオン、ボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)との第2局を欠席して部屋に閉じこもる。
盗聴されていると思い込むフィッシャーは、部屋のあらゆるものを壊し始める。
__________
1951年11月15日、ニューヨーク、ブルックリン。
ユダヤ人移民であり共産主義者の母親レジーナ(ロビン・ワイガート)に育てられた7歳のボビー(エイデン・ラヴカンプ)は、パーティーの最中、家を監視する車に気づき、それを母に伝える。
その意味をボビーに説明したレジーナは、娘のジョーン(ソフィー・ネリッセ)に弟の面倒を見るよう指示する。
ジョーンに買ってもらったチェスのセットで遊ぶボビーの才能に気づいたレジーナは、チェスのエキスパートであるカーマイン・ナイグロ(コンラッド・プラ)の元に向かう。
独学のボビーが決してあきらめない態度に才能を認めたカーマインは、彼にチェスを教えることになる。
たちまち才能を発揮したボビー(エイデン・ラヴカンプ)は、最年少の12歳で全米王者になる。
14歳でインターナショナル・マスター、世界最年少の15歳でグランドマスターとなったボビーは、ソ連のボリス・スパスキー(リーヴ・シュレイバー)を意識し始める。 1959年10月11日、ブルックリン。 世界チャンピオンになるために静寂が必要なボビーは、自分から家を出てクラブに泊まる。 ボビーは、ジョーン(リリー・レーブ)から、家を出たレジーナがシリルとカリフォルニアに向かったことを知る。 その後、世界各地でも勝ち続けて成長したボビー(トビー・マグワイア)は、ソ連のプレイヤーとの対戦を待ち望んでいた。 1962年9月15日、ブルガリア、ヴェルナ、チェス・オリンピアード。 FBIは、ボビーを共産主義者のスパイと疑い調査を始めていた。 グランドマスターであるカトリックの神父ウィリアム・ロンバーディ(ピーター・サースガード)に会ったマーシャルは、ボビーが尊敬していることを伝えて彼を紹介する。 かつてボビーに勝ったことがあるロンバーディは、今回のソ連チームとアメリカ側の目的は外交だと伝え、勝負にこだわる彼とマーシャルと共にカリフォルニアに向かう。 サンタモニカ。 安宿が気に入らないボビーは去ろうとするが、宿泊客のドナ(エヴリーヌ・ブロシュ)が気に入り滞在する。 会場に向かい、地元にいるはずの母レジーナのことを気にするボビーは、イワノヴィッチ(ヴィタリー・マカロフ)と対戦して勝利する。 その夜ボビーは、自分の条件が通らなければ、これ以上は試合をしないことをマーシャルに伝える。 翌日、スパスキーに敗れたボビー納得できず、ビーチで考え込む。 マーシャルは、かつての冷戦とは違うイメージの戦いに、ボビーはうってつけの存在だとロンバーディに伝え、政府が期待し援助もすることを話す。 ロンバーディは、チェスのことしか頭にないボビーのことが気になる。 王座を狙うまで3年はかかると考えるロンバーディは、それまでボビーは持たないだろうとマーシャルに伝えるものの、納得してもらえない。 翌朝ビーチで目覚めたボビーは、海水浴をしていたスパスキーに気づき、自分を尾行し監視していると思い込み、彼を非難して罵倒する。 1967年、ハンガリー。 ニューヨークでジョーンと話したマーシャルは、ボビーに会わせてほしいと言われ、彼から届いた異常な内容の手紙を渡される。 読むのを拒んだマーシャルは、手紙を精神科医に見せたジョーンから、自分がユダヤ人であるにも拘らず、共産主義者とユダヤ人から狙われているというその内容と、偏執症と妄想性精神異常に近いと言われたことを知らされる。 チェスは狂気の世界だと言うマーシャルは、そんな中にいる者たちは天才と認められることもあり、ボビーの面倒はみるとジョーンに伝えるしかなかった。 いよいよスパスキーに挑戦するボビーにはスポンサーが付き、テレビの出演依頼も舞い込む。 ボビーは、自分に内緒でジョーンに会ったマーシャルを批判し、ロンバーディが興奮するボビーをなだめる。 精神科医に診てもらうことをマーシャルから提案をされたロンバーディは、無理だと言って、ボビーの才能が薬で破壊されてしまうと考える。 ロンバーディは、ボビーの言動を疑問に思い付き合う気になれず、アイスランドには遅れるか行かないと伝えて別行動をとる。 マーシャルと空港に向かったボビーは、記者たちに迫られて逃げ去ってしまう。 レイキャヴィーク。 ジョーンはボビーのことが気になり、報道陣が庭に押しかけていることを娘から知らされる。 ボビーからの電話を受けたジョーンは、監視に怯える彼を落ち着かせようとする。 物音に気づいたボビーは警戒し、現れたマーシャルから大金が入ることを知らされる。 空港では直接機内に向かえることを知らされたボビーは、マーシャルが電話をつないだ国家安全保障問題担当大統領補佐官のキッシンジャーと話し、大統領と共にプレイを楽しみにしていると言われて旅立つ。 レイキャヴィーク。 1972年7月11日。 暫くして、ボビーはカメラの雑音などが気になることを審判に伝え、ソ連側はスパスキーを混乱させようとしていると言って抗議する。 その後も集中できないボビーは席を立ち、スパスキーが第1局を勝利する。 その夜、苛立つボビーは、このままゲームを続けるために何項目かの条件を出し、何とかするようにと言ってマーシャルとロンバーディにそれを突き付ける。 ボビーは部屋に閉じこもり、盗聴器を探すためにあらゆるものを壊す。 マーシャルは、何とかボビーをゲームに復帰させようとするものの、敵の仲間だと疑われる。 同様にスパスキーも、自分が監視されていることを気にして苛立ち、ボビーの行動は、まともに戦っても勝てないと考える作戦だと思い、彼の条件に従い卓球室で勝負することにする。 それを知ったボビーはゲームに戻り、第3局が始まる。 ボビーが勝利し、この1勝でアメリカ国中は狂喜する。 第4局はドローとなり、第5局では、スパスキーが椅子の異変を訴え、振動すると言ってそれを調べ、結局、ボビーが勝利する。 椅子をX線で調べさせたスパスキーは、照明器具にハエが2匹いたことを知る。 ボビーが合意して、第6局の会場はメインホールに戻る。 スパスキーはボビーの差し手に困惑し、席を立ち拍手をして負けを認める。 流れを変えたゲームに勝利したボビーは、その後の対局でスパスキーを12.5-8.5ポイントで破り、世界チャンピオンとなる。 その後もボビーの精神状態は悪化し、数百万ドルの対戦依頼を拒否してタイトルを放棄し、姿を消した。 1980年に放浪罪で逮捕されたボビーは、留置場で虐待されたと主張した。 1992年に姿を現したボビーはスパスキーと再戦し、経済制裁措置に反する罪で、政府は彼に逮捕状を出した。 ボビーは、アメリカは嘘と盗みの国だであり、冷戦が終わったにも拘らず、自分を投獄しようとしていると主張した。
...全てを見る(結末あり)
父親のことを知らないボビーは、恋人シリルと毎晩過ごすレジーナを非難し、モスクワに戻れと言って彼女を家から追い出そうとする。
ソ連が他国と共謀して自分を潰そうとしていると抗議したボビーは、チェスをやめると言ってカーマインを困惑させる。
1965年1月25日、ニューヨーク、ワシントン・スクエア公園。
ソ連チームがカリフォルニアに来ることになり、ボビーは、連絡があった弁護士のポール・マーシャル(マイケル・スタールバーグ)に会い、代理人になると言う彼から、協力することを約束される。
スパスキーは、親善試合のために護衛などを従えて到着して高級ホテルに向かい、一方、ボビーらはモーテルに宿泊することになる。
国際試合に復帰したボビーは、世界5位のロシア人ヴィクトール・コルチノイを破り、再び世界チャンピオンを目指し、すべてのグランドマスターに挑戦し始める。
ボビーは世界チェス選手権の開会式に姿を見せず、スパスキーは専用機で到着して歓迎を受ける。
ボビーは現地の宿泊先に着き、現れたロンバーディと話をする。
会場に遅れて現れたボビーはスパスキーと握手し、第1局が始まる。
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*(簡略ストー リー)
幼少期からチェスの才能を認められたボビー・フィッシャーは全米チャンピオン、そして世界最年少の15歳でグランドマスターになる。
世界のチェス界をリードするソ連のプレイヤーとの対戦を望むボビーは、セコンドとしてカトリックの神父でもあるロンバーディ、そして代理人の弁護士マーシャルの協力を得て連勝を続ける。
そしてボビーは、アイスランドのレイキャヴィークで行われる世界チェス選手権で、世界チャンピオンであるソ連のボリス・スパスキーとの対戦に挑むのだが・・・。
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天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャーが、世界チャンピオンになるまでの苦悩と数奇な人生のを描く、製作を兼ねたエドワード・ズウィックが監督した作品。
ボビー・フィッシャーの奇行や異常な言動、そして失踪などはよく知られたことであるために物語の大筋に新鮮味はないが、彼の人間性などを繊細に描くエドワード・ズウィックの演出手腕が見どころの作品。
1972年の世界チェス選手権でボビー・フィッシャーが世界チャンピオンになることも知られた事実であるために、クライマックスの対戦は、対戦の序盤と、流れを変えた第6局のゲームまでが描かれ、21局行われた結果をうまくまとめた演出なども興味深い。
原題の”Pawn Sacrifice”は、主人公ボビー・フィッシャーの差し手及び、彼とライバルのボリス・スパスキーが、冷戦の”犠牲者”として米ソ政府に利用されていることを意味している。
主演のトビー・マグワイアは、天才にして異常者にしか思えないボビー・フィッシャーを見事に演じている。
ボビー・フィッシャーのライバルであるソ連の世界チャンピオン、ボリス・スパスキーのリーヴ・シュレイバー、ボビーの姉ジョーン・フィッシャーのリリー・レーブ(ジル・クレイバーグの娘)、ボビーのセコンドである神父ウィリアム・ロンバーディを印象的に演ずるピーター・サースガード、ボビーの代理人である弁護士のマイケル・スタールバーグ、ボビーの母親ロビン・ワイガート、ボビーの才能を認めて教え込むチェスプレイヤー、カーマイン・ナイグロのコンラッド・プラ、宿泊先のモーテルでボビーが親交を深める女性エヴリーヌ・ブロシュ、ボビーの少年期シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック、幼年期エイデン・ラヴカンプ、姉ジョーンの少女期ソフィー・ネリッセ、ロシアのチェスプレイヤーであるスパスキーのセコンド、エフィム・ゲラーのエドワード・ジノヴィエフ、同じくエストニアのチェスプレイヤー、イイヴォ・ネイのアレクサンドル・ゴルシコフ、ドイツのチェスプレイヤー、ローター・シュミットのブレット・ワトソン、アーカイブ映像でボビー・フィッシャー本人も登場する。