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突撃 Paths of Glory (1957)

ハンフリー・コッブの同名小説(原題)”Paths of Glory”を基に、スタンリー・キューブリック自身が脚色し製作、監督を兼ねカーク・ダグラスが主演した力作。
司令官による無謀な攻撃命令で死に追いやられる兵士達を描く戦争ドラマ。

■ アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)


スタッフ キャスト ■
監督:スタンリー・キューブリック

製作
ジェームズ・B・ハリス
カーク・ダグラス
スタンリー・キューブリック
原作:ハンフリー・コッブ”Paths of Glory”
脚本
スタンリー・キューブリック
カルダー・ウィリンガム
ジム・トンプスン
撮影:ゲオルク・クラウゼ
編集:エヴァ・クロール
音楽:ジェラルド・フリード

出演
ダックス大佐:カーク・ダグラス
フィリップ・パリス伍長:ラルフ・ミーカー
ジョルジュ・ブルラール少将:アドルフ・マンジュー
ポール・ミロー准将:ジョージ・マクレディ
ロジェ中尉:ウェイン・モリス
サン=オーバン少佐:リチャード・アンダーソン
ドイツ人の女性:スザンナ・クリスティアーヌ(クリスティアーヌ・ハーラン)
モーリス・フェロール二等兵:ティモシー・ケリー
ブーランジェ軍曹:バート・フリード
ピエール・アルノー二等兵:ジョセフ・ターケル
軍法会議の判事/ナレーター:ピーター・カペル
デュプレ神父:エミール・メイヤー
ルジューン二等兵:ケム・ディブス

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1957年製作 87分
公開
北米:1957年12月25日
日本:1958年2月19日
製作費 $935,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1916年、第一次大戦下のフランス
膠着状態の戦況を打破するため、ドイツ軍の”蟻塚”と呼ばれる占領地帯を攻撃する命令が出る。

それを受けたフランス陸軍のジョルジュ・ブルラール少将(アドルフ・マンジュー)は、ポール・ミロー准将(ジョージ・マクレディ)にその命令を伝える。

前線である、塹壕の701歩兵連隊を視察したミローは、指揮官ダックス大佐(カーク・ダグラス)に会い、”蟻塚”攻略について議論する。

ミローは、単純に犠牲者の割合を数字で述べるが、既に部下を多数失っているダックスは意見する。

解任を命ぜられたダックスは、自分なしでは、部下にさらなる犠牲者が出ることは必至と考え、その命令に従わざるを得なかった。
...全てを見る(結末あり)

ダックスは、ロジェ中尉(ウェイン・モリス)、フィリップ・パリス伍長(ラルフ・ミーカー)、ルジューン二等兵(ケム・ディブス)を偵察に出す。

ところが、酒を飲んで任務に向かったロジェは、ルジューンを敵陣に向かわせ、手榴弾を投げて退避してしまう。

ルジューンを捜したパリスは、彼が手榴弾で爆死したことを知り、部隊に戻りロジェを非難する。

そこにダックスが報告を求めて現れ、ロジェはルジューンが敵の銃弾で死亡したことなどを伝える。

その後ダックスは、士官を集めて作戦の説明を始めるが、部下達はそれを不安視する。

ミローの援軍があることを部下に伝えたダックスは、彼らを励まして、出撃の準備を始めさせる。

そして、ダックスの合図と共に出撃した部隊は苦戦を強いられ、前進できない様子にミローは苛立ち、味方の陣地を砲撃する命令を出す。

それに躊躇する砲兵部隊に対し、ミローは部隊が反抗していると伝え、強引に砲撃を開始させようとする。

その頃、塹壕に戻ったダックスは、出撃の出来ないロジェらを戦わせようとするが、激しい攻撃を受け、それは不可能な状況だった。

第一大隊が撤退したことを知ったミローは激怒し、ダックスを軍法会議にかけることに決める。

翌日、司令部にダックスを呼び出したミローは、前進不可能な状況と承知しながら、兵士達を臆病者呼ばわりする。

間に入ったブルラールの説得で、ミローは、第一大隊の三中隊から各一名ずつを選び、軍法会議にかけることで納得する。

職業軍人ではなく、優秀な弁護士だったダックスは、軍法会議にかけられる3人を弁護することを決める。

ミローは、この件から手を引くようにダックスに伝え、それに従おうとしない彼を、軍法会議の後に解任することを告げる。

ダックスは、選ばれた三人、パリス、モーリス・フェロール二等兵(ティモシー・ケリー)、ピエール・アルノー二等兵(ジョセフ・ターケル)を励まして法廷に向かう。

そして軍法会議は始まり、ミローの部下である検事のサン=オーバン少佐(リチャード・アンダーソン)は、三人に質問を浴びせ、ほとんど前進できないままに退却した事実を確認する。

ダックスは、検察側の書面による起訴状もなく証人もいない裁判の進行に抗議し、吊し上げに近い三人の行為の、正当性を主張して慈悲を請う。

しかし、三人の処刑は確実となり、酔ったアルノーは取り乱し、パリスに殴られて重傷を負ってしまう。

ロジェがパリスを選んだことを不審に思ったダックスは、彼に処刑隊を指揮するよう命ずる。

動揺するパリスはそれを断ろうとするが、ダックスは聞き入れず、そこに、砲兵隊の指揮官が現れる。

ブルラールの元に向かったダックスは、ミローが味方を砲撃するよう命じた事実を伝える。

翌日、パリスら三人は処刑場に連行され、予定通り銃殺される。

結果に満足するミローだったが、自分が味方への砲撃の件で査問会にかけられることを、呼び出されたダックスの前でブルラールに言い渡される。

憤慨したミローは席を外し、ブルラールはダックスに彼の後任を任せようとする。

ブルラールは、司令官として無能なミローを追放することが出来たことを喜ぶのだが、ダックスはそれを受け入れられない。

出撃を待つ701歩兵連隊の兵士は、酒場のステージに上げられたドイツ人の女性(スザンナ・クリスティアーヌ)を冷やかす。

しかし、彼女が歌い始めたフォークソング”The Faithful Hussar”を聴いた兵士達は、それを口ずさみ涙する。

そして、その様子を聞いていたダックスに、ブーランジェ軍曹(バート・フリード)から、前線に戻るよう司令が伝えられる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1916年、第一次大戦下のフランス
フランス陸軍のブルラール少将は、”蟻塚”と呼ばれるドイツ軍の占領地帯への攻撃を、ミロー准将に命ずる。
ミローは塹壕で苦戦する701歩兵連隊を視察し、指揮官ダックス大佐に攻撃を命じ、それに意見する彼を解任しようとする。
ダックスは、自分なしでは犠牲者が増えると考え、仕方なくその命令に従うことになる。
しかし、出撃後に大隊は敵の攻撃に遭い、撤退を余儀なくされてしまう。
激怒したミローは、味方を砲撃する指示を出すがそれが受け入れられず、ダックスを軍法会議にかけようとする。
二人の間に入ったブルラールの説得で、ミローは、第一大隊の三中隊から各一名ずつを選び、軍法会議にかけることで納得する。
優秀な弁護士でもあったダックスは、非のない部下を救うために、弁護を申し出るのだが・・・。
__________

カーク・ダグラスは、まだ20代のスタンリー・キューブリックの才能を認め、本作の、企画段階での脚本に満足して主演を受けるのだが、その後、手直しされた脚本を見て憤慨し、強引に元に戻させたという曰くつきの作品。

その後も二人の確執は続き、「スパルタカス」(1960)で、二人は再び手を組むものの、製作を仕切るカーク・ ダグラスキューブリックは非難し対立は決定的になる。

キューブリックを罵倒し続けるものの、カーク・ダグラスは、あくまで彼の才能は認める発言をしているところなどが、いかにもプロ意思の高いハイレベルな”争い”のような感じもする。

邦題からすると、激しい戦闘シーンが見ものの娯楽作品のように思えるが、極限状態の兵士の心理、正義や勇気には、犠牲が伴うことが当然と考える司令官の傲慢さなど、多くの人格が集う軍隊の中で、その社会の縮図を鋭く描いたとも言える、非常に評価の高い作品でもある。

また、突撃シーンで、荒地を前進する兵士達を、サイドから映すショットなど、映像的にも斬新な手法が取り入れられた。

1992年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

思慮深く冷静な前線指揮官を演ずるカーク・ダグラスは、上記のようにキューブリックとの確執の影響などを全く感じさせない、自信に満ち溢れた堂々たる演技を見せてくれる。

前進できないことが、兵士には罪になると判断されて処刑される伍長ラルフ・ミーカー、総司令官の立場で、物事を全て戦略的に処理する、敵陣攻略を命ずるアドルフ・マンジュー、無謀な攻撃、そして命令服従を強要する司令官のジョージ・マクレディ、その部下リチャード・アンダーソン、無能な上官で、本作が遺作となる中尉ウェイン・モリス、クライマックスの女性役で、翌年にキューブリックと結婚するスザンナ・クリスティアーヌ(クリスティアーヌ・ハーラン)、処刑される二等兵ティモシー・ケリージョセフ・ターケル、軍曹のバート・フリード、軍法会議の判事と、冒頭のナレーターを務めるピーター・カペル、神父エミール・メイヤーなどが共演している。


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