保安官として雇われたパット・ギャレットが親友であるガンマンのビリー・ザ・キッドを追う姿を描く、監督サム・ペキンパー、主演ジェームズ・コバーン、クリス・クリストファーソン、リチャード・ジャッケル、チル・ウィルス、バリー・サリヴァン、ジェイソン・ロバーズ、ボブ・ディラン他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・ペキンパー
脚本:ルディ・ワーリッツァー
製作:ゴードン・キャロル
撮影:ジョン・コキロン
編集
ロジャー・スポティスウッド
ガース・クレーヴン
ロバート・L・ウォルフ
リチャード・ハルシー
デイヴィッド・バーラトスキー
トニー・デ・ザラガ
音楽:ボブ・ディラン
出演
パット・ギャレット保安官:ジェームズ・コバーン
ビリー・ザ・キッド:クリス・クリストファーソン
キップ・マッキニー保安官:リチャード・ジャッケル
ベイカー夫人:ケティ・フラド
レミュエル:チル・ウィルス
ジョン・チザム:バリー・サリヴァン
ルー・ウォレス知事:ジェイソン・ロバーズ
エイリアス:ボブ・ディラン
ボブ・オリンジャー保安官補:R・G・アームストロング
イーノ:ルーク・アスキュー
ジョン・W・ポー:ジョン・ベック
ホリー:リチャード・ブライト
J・W・ベル保安官補:マット・クラーク
マリア:リタ・クーリッジ
ローレンス・ホーランド:ジャック・ドッドソン
アラモサ・ビル・カーミット:ジャック・イーラム
パコ:エミリオ・フェルナンデス
ピート・マックスウェル:ポール・フィックス
コリン・ベイカー保安官:スリム・ピケンズ
ブラック・ハリス:L・Q・ジョーンズ
チャーリー・ボードロ:チャールズ・マーティン・スミス
ルーク:ハリー・ディーン・スタントン
ホーレル夫人:クラウディア・ブライアー
ホーレル:ジーン・エヴァンス
ノリス:ジョン・デイヴィス・チャンドラー
トム・オフォーリアード:ルディ・ワーリッツァー
アイダ・ギャレット:オーロラ・クラヴェル
ルーシー・リー:ルターニャ・アルダ
コディ:エリシャ・クックJr.
ビーヴァー:ドニー・フリッツ
ジョシュ:ダブ・テイラー
ウィル:サム・ペキンパー
保安官補:ブルース・ダーン
アメリカ 映画
配給 MGM
1973年製作 106分/特別編115分
公開
北米:1973年5月23日
日本:1973年10月6日
製作費 $4,638,780
北米興行収入 $11,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1909年、ニューメキシコ準州、ラスクルーセス近郊。
ガンマンのビリー・ザ・キッド(クリス・クリストファーソン)を殺した元保安官のパット・ギャレット(ジェームズ・コバーン)は、土地売買のトラブルにより銃撃される。
*ギャレットを銃撃した中にはジョン・W・ポー(ジョン・ベック)もいた。
1881年、フォート・サムナー。
J・W・ベル保安官補(マット・クラーク)と共に町に着いたギャレットは、親友だったビリーに再会する。
大牧場主のジョン・チザム(バリー・サリヴァン)ら権力者から邪魔な存在だと思われていることをビリーに伝えたギャレットは、郡の保安官になるつもりの自分の頼みだと言って、5日以内に去ることを提案する。 話を聞き入れようとしないビリーの身を案じながら、ギャレットはその場を去る。 仲間のホリー(リチャード・ブライト)からギャレットを殺すべきだと言われたビリーだったが、親友だと伝える。 その後、ギャレットは保安官になり、牛を盗むつもりのビリーのアジトを襲撃したギャレットは、その場から出ようとしたチャーリー・ボードロ(チャールズ・マーティン・スミス)を銃撃する。 反撃したビリーは、覚悟を決めた瀕死のチャーリーと共に外に飛び出す。 チャーリーとトム・オフォーリアード(ルディ・ワーリッツァー)は射殺され、観念したビリーは投降しようとする。 ビリーを射殺しようとしたボブ・オリンジャー保安官補(R・G・アームストロング)は、ベルに制止される。 逮捕されたビリーはリンカーン郡で留置され、絞首刑執行を待つことになる。 友好的に接するギャレットとベルとは違い、神の許しを請えと忠告するオリンジャーを、ビリーは相手にしない。 ビリーを挑発するオリンジャーを制止したギャレットは、税金を徴収するために留守にすることをベルに伝えてその場を去る。 侮辱されたオリンジャーはビリーに襲い掛かり、神に許しを請うことを強要する。 ベルに銃を向けられたオリンジャーは、苦しみながら死ぬとビリーに伝えて酒場に向かう。 便所に行きたいことをベルに伝えたビリーは、鎖を外してその場に向かう。 見張るベルと話すビリーは、隠してあった拳銃をベルに向けて、逃げようとする彼を射殺する。 ショットガンを奪ったビリーは、騒ぎに気づいたオリンジャーも射殺して、斧で鎖を切り馬に乗り町を去る。 町に戻ったギャレットは事件のことを知り、酒場にいたビリーを知るアラモサ・ビル・カーミット(ジャック・イーラム)を保安官補として雇う。 自宅に向かったギャレットは、妻のアイダ(オーロラ・クラヴェル)に、逃げたビリーを追うことを伝える。 保安官になってから人が変わってしまったと言うアイダに非難されたギャレットは苛立つが、この件が片付いたら話し合おうと伝えて酒場に向かう。 その後、サンタフェに向かい知事のルー・ウォレス知事(ジェイソン・ロバーズ)に会ったギャレットは、ビリーの逃走に関心があるローレンス・ホーランド(ジャック・ドッドソン)とノリス(ジョン・デイヴィス・チャンドラー)を紹介される。 自分を保安官に雇ったチザムや他の牧場主に邪魔されなければビリーを捕えると伝えたギャレットは、ノリスから、懸賞金1000ドルを出すと言われ、前金の半額を渡される。 必ず捕まえると言うギャレットは現金を返し、ノリスを侮辱して席を立つ。 フォート・サムナーに着いたビリーは、イーノ(ルーク・アスキュー)やルーク(ハリー・ディーン・スタントン)ら仲間に歓迎される。 翌朝ビリーは、イーノから、エイリアス(ボブ・ディラン)ら新入りが加わったことを知らされる。 他の新入りを牽制するビリーは、仲間達と共に彼らを殺し、一人をナイフで仕留めたエイリアスが気にいる。 コリン・ベイカー保安官(スリム・ピケンズ)に会ったギャレットは、彼と妻(ケティ・フラド)の協力を得る。 ビリーの仲間であるブラック・ハリス(L・Q・ジョーンズ)の元に向かったギャレットとベイカーらは、撃ち合いになる。 ハリスはベイカーを銃撃するが、ギャレットの銃弾を受ける。 ビリーの情報を得ようとしたギャレットは、何も知らないと言うハリスが抵抗したために射殺する。 瀕死の重傷を負ったベイカーは川まで歩き、追って来た妻を見つめながら覚悟を決める。 チザムの牛を盗んだビリーは、七面鳥を捕えようとしている間に、現れたチザムの部下に仲間を殺される。 エイリアスと共に反撃したビリーは、相手を倒す。 現れたジョン・W・ポー(ジョン・ベック)から、ウォレス、ノリス、ホーランドの命令で助手になったと言われたギャレットは、気が進まないものの、彼を伴いチザムの牧場に向かう。 チザムに会ったギャレットは、かつて雇っていたビリーに牛を盗まれたことを知らされ、必ず捕らえるようにと言われる。 友人のパコ(エミリオ・フェルナンデス)が旅立ち、ビリーは彼と家族を見送る。 ギャレットが追ってくると言われて、メキシコに向かうことをエイリアスから勧められたビリーは、関係を持っていたマリア(リタ・クーリッジ)に別れを告げて村を離れる。 レミュエル(チル・ウィルス)の酒場に寄ったギャレットは、焦らず行動することに不満を抱くポーを黙らせる。 別行動をとると言うギャレットは、数日後に落ち合うことをポーに伝えて出発させる。 友人のホーレル(ジーン・エヴァンス)の家に寄ったビリーは、その場にいたカーミットから、ギャレットに雇われたことを知らされる。 カーミットからギャレットのことを訊かれ、必ず捕まるとホーレルから言われたビリーは、片をつけようとするカーミットと決闘することになる。 外に出たビリーとカーミットは、ホーレルと妻(クラウディア・ブライアー)、そして子供達が見守る前で背中合わせになる。 ビリーから、他に方法はないかと訊かれたカーミットは、思い浮ばないと答える。 二人は10数えて撃ち合うことになり、8歩で撃とうとしたカーミットを、振り向いて銃を構えていたビリーが銃撃する。 カーミットに歩み寄りカウントは10のはずだと伝えたビリーは、数字は苦手だと言われる。 ”名は残るな”とビリーに伝えたカーミットは、息を引き取る。 エイリアスらを伴いレミュエルの店に寄ったホリーは、その場にギャレットがいることに気づく。 ビリーはいないと言って去ろうとするホリーを引き留めて銃を向けたギャレットは、彼らに銃を捨てさせる。 カードをすると言ってホリーをテーブルに座らせたギャレットは、レミュエルのショットガンを持って来るようエイリアスに指示する。 弾を抜いたギャレットは、銃でもう一人の後頭部を殴るようエイリアスに指示し、それに従わせる。 レミュエルをテーブルに呼んだギャレットは、嫌味を言う彼の帽子を深く被らせて目を塞ぐようエイリアスに指示する。 エイリアスを缶詰の棚に向かわせて、ラベルの文字を読ませたギャレットは、ホリーとカードで勝負する。 ホリーにウイスキーのラッパ飲みをさせたギャレットは、ビリーを恐れていると言われ、ナイフを抜いた彼を射殺する。 ラベルを読み続けるエイリアスに話しかけたギャレットは、自分と酒を飲んだことをビリーに伝えるようにと言ってその場を去る。 パコを痛めつけて妻に暴行しようとしていたチザムの部下を、ビリーは射殺する。 メキシコで家を建てるつもりだったことを話すパコは、ビリーと妻に見守られながら息を引き取る。 友人を殺され我慢の限界に達したビリーは、フォート・サムナーに引き返すことにする。 仲間達の元に戻ったビリーは、イーノやルークに迎えられる。 ギャレットや権力者達に従う気がないことを伝えたビリーは、パコが殺されたことを知らせる。 ロズウェル。 その後ギャレットは、町に着いたポーに、キップ・マッキニー保安官(リチャード・ジャッケル)を呼ぶよう指示する。 ギャレットは、ビリーらがいるフォート・サムナーに同行することをマッキニーに強要し、それを拒む彼に、借りを返すことを求めて納得させる。 フォート・サムナー。 マッキーニーとポーと共に町外れに着いたギャレットは、二人と別れて様子を窺う。 マリアと共にピート・マックスウェル(ポール・フィックス)の家に向かったビリーは、部屋を借りて彼女と愛し合う。 部屋に入ってきたポーに気づいたルークは、彼がビリーを捜していることを知り殴られる。 棺桶屋のウィル(サム・ペキンパー)と話したギャレットは、早く片付けろと言われる。 ピートの家に向かったギャレットは、ポーチの揺り椅子に座る。 マッキニーとポーは、食べ物を探すために部屋を出たビリーに気づく。 家に入ったギャレットは、ベッドにいるマリアを確認してビリーを捜す。 ビリーは誰かいることに気づき、銃を抜いて警戒する。 ピートは、部屋に入ってきたのがギャレットだと気づく。 家の中に戻ったビリーは、誰かが外にいることをピートに伝える。 鏡に写った自分も撃ったギャレットは、外に倒れているビリーの死を確認する。 マリアは、息を引き取ったビリーに寄り添う。 人差し指を切り取りリンカーンに持ち帰ると言うポーがビリーに近づいたため、ギャレットは彼を殴り蹴り倒す。 エイリアスやイーノらは、その様子を見つめていた。 揺り椅子に座り夜を明かしたギャレットは、少年が石を投げつけてくるのを気にもせず、馬に乗り町を離れる。
...全てを見る(結末あり)
*リンカーンの事件を目撃していたエイリアスはビリーに惚れ込み、仕事を辞めて彼を追っていた。
ビリーの好みの娼婦ルーシー・リー(ルターニャ・アルダ)をホテルの部屋に呼んだギャレットは、ビリーがフォート・サムナーにいることを聞き出し、女達と楽しむ。
ビリーは、エイリアスからギャレットが来ると言われても慌てる様子はなかった。
*(簡略ストー リー)
1881年、フォート・サムナー。
ガンマンのパット・ギャレットは、大牧場主のジョン・チザムや権力者達に保安官として雇われることになり、親友であるビリー・ザ・キッドに会い、邪魔者と思われているために町を離れるよう警告する。
それを聞き入れる気のないビリーを、その後、保安官になったギャレットは逮捕する。
絞首刑となるビリーだったが、ギャレットが留守中に逃亡して仲間達の元に向かう。
ギャレットは追跡を始めて情報を仕入れ、メキシコに向かうと思われるビリーを追うのだが・・・。
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ガンマンだったパット・ギャレットが、親友でもあるビリー・ザ・キッドを邪魔者とみなす権力者達に保安官として雇われ、追跡の末にビリーの命を奪うまでを描く西部劇。
数々の話題作を世に送り出したサム・ペキンパーが、その盟友とも言える自作の常連スター達を起用して演出した、西部開拓史上に名を残す、パット・ギャレットとビリー・ザ・キッドの対決と友情を描く作品。
既に西部劇は廃れていた時代ではあるが、映画の世界にのめり込んだ少年時代に観た作品の中でも思い出深い一作だ。
当時を想い郷愁を誘う、個人的にも非常に印象に残っている作品でもある。
お馴染みのスローモーションを使用した銃撃シーンの迫力や美しい映像など、終盤に棺桶屋で出演もしているサム・ペキンパーの思いが込められた珠玉の作品に仕上がっている。
ビリー・ザ・キッドの生き様に惚れ込む青年役で登場する、音楽も担当したボブ・ディランのテーマ曲は、主人公らの思いを伝え語る素晴らしい楽曲として、随所で効果的に使われている。
冒頭でパット・ギャレットが土地売買のトラブルにより銃撃されるシーンがある。
1909年と表記されるものの、実際に彼が殺されたのは1908年で、他にも事実とは異なった内容はあるが、気にしないで鑑賞することをお勧めします。
主人公のパット・ギャレットを演ずるジェームズ・コバーンは、親友を追わなくてはならない難しい心境の保安官を見事に演じ、その雰囲気ある深い演技で観る者を引き付ける。
196cmだったと言われるパット・ギャレットと同様、長身のジェームズ・コバーンの物腰や仕草に、公開当時、子供心に魅了されたことを思い出す。
無法者ではあるが、仲間や友人達を気遣う青年であり、パット・ギャレットに追われながら、彼との友情を常に感じさせるビリー・ザ・キッドを好演したクリス・クリストファーソン、ギャレットと共にビリーを闇討ちしようとする保安官のリチャード・ジャッケル、ギャレットに協力する保安官のスリム・ピケンズとその妻ケティ・フラド、酒場の主人チル・ウィルス、大牧場主ジョン・チザムのバリー・サリヴァン、ルー・ウォレス知事のジェイソン・ロバーズ、ビリーに殺されるボブ・オリンジャー保安官補のR・G・アームストロング、同じく保安官補のマット・クラーク、ギャレットの助手となり、後に彼を殺すジョン・ベック、ビリーの仲間ルーク・アスキュー、リチャード・ブライト、ハリー・ディーン・スタントン、L・Q・ジョーンズ、チャーリー・ボードロのチャールズ・マーティン・スミス、トム・オフォーリアードのルディ・ワーリッツァー、ビリーと愛し合う女性のリタ・クーリッジ、ギャレットに保安官補として雇われビリーと決闘するジャック・イーラム、ビリーの友人であるメキシコ人エミリオ・フェルナンデス、クライマックスでビリーに部屋を貸すポール・フィックス、ビリーの友人である夫婦ジーン・エヴァンスとクラウディア・ブライアー、ビリーを捕えようとする権力者ジャック・ドッドソンとジョン・デイヴィス・チャンドラー、ギャレットの妻オーロラ・クラヴェル、娼婦のルターニャ・アルダ、保安官補でブルース・ダーンがカメを出演し、他にエリシャ・クックJr.、ドニー・フリッツ、ダブ・テイラーなどが共演している。