詩を愛する路線バス運転手の日常を描く、監督、脚本、音楽ジム・ジャームッシュ、主演アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジム・ジャームッシュ
製作
ジョシュア・アストラカン
カーター・ローガン
製作総指揮
オリヴァー・ジーモン
ダニエル・バウアー
ロン・ボズマン
ジャン・ラバディ
脚本:ジム・ジャームッシュ
撮影:フレデリック・エルムス
編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス
音楽
ジム・ジャームッシュ
カーター・ローガン
スクワール
出演
パターソン:アダム・ドライバー
ローラ・パターソン:ゴルシフテ・ファラハニ
マーヴィン:ネリー
エヴェレット:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
マリー:チャステン・ハーモン
ドク:バリー・シャバカ・ヘンリー
ドクの妻:ジョニー・メイ
ドニー:リズワン・マンジ
日本人の詩人:永瀬正敏
アナーキストの学生:カーラ・ヘイワード
アナーキストの学生:ジャレッド・ギルマン
メソッド・マン:メソッド・マン
詩人の少女:スターリング・ジェリンズ
サム:トレヴァー・パラム
デイヴ:トロイ・T・パラム
バスの乗客の子供:ドミニク・リリアーノ
バスの乗客の子供:ジェイデン・マイケル
ジミー:ブライアン・マッカーシー
ルイス:フランク・ハーツ
ブラッド:ルイス・ダ・シルヴァJr.
アメリカ/ドイツ/フランス 映画
配給
アマゾン・スタジオ
Bleecker Street
2016年製作 118分
公開
北米:2016年12月28日
日本:2017年8月26日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $2,152,740
世界 $9,588,280
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
月曜日
ニュージャージー州、パターソン。
バスの運転手である街と同じ名のパターソン(アダム・ドライバー)は、妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)と共に目覚める。
ローラは、自分たちに双子がいる夢を見たことをパターソンに伝える。
”オハイオ ブルーチップ・マッチ”の箱を見ながら朝食を食べたパターソンは、出勤の準備をして出かける。
詩を愛するパターソンは、歩いて車庫に向かう間に、マッチの詩を考える。
ベンチに座る双子の老人に挨拶したパターソンは、車庫に着く。
バスの点検を終えて運転席に座ったパターソンは、出発までの間、オハイオ ブルーチップ・マッチの詩をノートに書く。
車庫長のドニー(リズワン・マンジ)から声をかけられたパターソンは、出発する。 いつもの路線を走るパターソンは、ボクサーの”ルービン・カーター”の話をする少年(ドミニク・リリアーノ/ジェイデン・マイケル)の会話などを聞きながら、オハイオ ブルーチップ・マッチの詩を考える。 ランチの時間に、公園の滝を眺めながらオハイオ ブルーチップ・マッチの詩を書くパターソンは、ランチボックスに入れてある、イタリアの詩人”ダンテ・アリギエーリ”肖像画とローラの写真を見つめる。 仕事を終えて帰宅したパターソンは郵便を確認し、傾いているポストを直す。 週末のバザーの話をするローラから、カップケーキがたくさん売れたら商売にしたいと言われたパターソンは、デザイン好きの彼女から、円を描いたカーテンを見せられる。 愛犬マーヴィン(ネリー)を見つめながらローラの話を聞くパターソンは、詩を世に出すべきだと言われるものの、そんな気にはなれなかった。 マーヴィンを連れて散歩に出たパターソンは、いつものようにバーに立ち寄る。 オーナーのドク(バリー・シャバカ・ヘンリー)に声をかけられたパターソンは、久しぶりに会った客のサム(トレヴァー・パラム)から、フィラデルフィアに住む双子の兄デイヴ(トロイ・T・パラム)を紹介される。 カウンターに座ったパターソンは、ドクと話しながらいつものビール飲む。 火曜日 目覚めたパターソンは、自分が銀の像に乗っていた夢を見たと言うローラにキスする。 朝食を食べながらオハイオ ブルーチップ・マッチの詩のことを考えたパターソンは、車庫に向かう途中で完成させて、出発の前にノートに書く。 声をかけるドニーが悩んでいるように思えたパターソンは、彼から、娘は歯の矯正、車の修理、旅行に行きたい妻に不満を言われ、ローンは滞納、故郷インドのおじから姪の結婚祝いを要求され、湿疹もできていると言われ、自分は問題ないと伝えて出発する。 女性を口説く話をする乗客のジミー(ブライアン・マッカーシー)とルイス(フランク・ハーツ)の会話を聞きながら、パターソンは運転する。 帰宅したパターソンは郵便を調べ、傾いているポストを直す。 地下室に向かったパターソンは、詩を書く。 ローラから二つの話があると言われたパターソンは、詩のコピーを取ることを提案される。 素晴らしい詩を発表したくなる時が来ると言うローラは、その気になれないパターソンに、秘密のノートは1冊しかないのでコピーを取ってほしいと伝える。 パターソンが、週末にはコピーすることを約束してくれたため、ローラは安心する。 もう一つの話をするローラは、個性的なデザインを活かしてカントリー歌手になるために、200~300ドルするエステバンのギターがほしいことをパターソンに伝える。 教本やケースなど付属品もついて送料無料だと言われたパターソンは、いつか必ずカントリー歌手になれるとローラに伝える。 感激して喜ぶローラは、パターソンに感謝する。 マーヴィンを連れて散歩に出かけたパターソンは、ギャング風の若者ブラッド(ルイス・ダ・シルヴァJr.)から声をかけられ、犬を奪われないように注意しろと言われ、その忠告に感謝する。 バーに寄ったパターソンは、ドクから馴染み客のマリー(チャステン・ハーモン)を紹介され、街と同じ名前のことなどを話す。 別れたエヴェレット(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)が現れたために迷惑に思うマリーは、彼を相手にしない。 エヴェレットからどうしたらいいか訊かれたパターソンは、マリーへの思いを語る彼の話を聞く。 ドクから俳優になれると言われたエヴェレットは、自分は俳優だと伝える。 それを聞いたパターソンは、思わず笑ってしまう。 失意のエヴェレットに同情するドクとパターソンは、彼を慰める。 水曜日 目覚めたパターソンのいつもの一日が始まる。 公園でランチを食べるパターソンは、滝を見ながら詩を考える。 その後、信号待ちするパターソンは、横断歩道を渡る双子の少女を気にしながらバスを走らせる。 帰宅したパターソンは郵便を調べ、傾いているポストを直す。 その様子を窓から見つめていたマーヴィンは、ソファに戻る。 マーヴィンに声をかけたパターソンは、君のために詩を作ったとローラに伝え、彼女からギターを注文したことを知らされる。 食事を済ませてマーヴィンの散歩に出かけたパターソンは、コインランドリーのラッパー(メソッド・マン)の歌詞に興味を持ち声をかける。 バーに寄ったパターソンは、店の中の様子を見ながら1人でビールを飲む。 木曜日 目覚めたパターソンは、出勤の準備をして車庫に向かう。 バスに乗り出発したパターソンは、地元出身の”ルー・コステロ”記念館の前を通過する。 パターソンは、双子の少女の近くに座る、アナーキストの学生(カーラ・ヘイワード/ジャレッド・ギルマン)の話を聞きながら運転する。 その後、公園でランチを食べるパターソンは、ノートに詩を書く。 車庫に戻ったパターソンは、ドニーから、気分は最悪で、義母が同居し、飼い猫は糖尿病、娘のバイオリンの音が騒音にしか聞こえないと言われ、彼に同情する。 帰宅途中、ノートを見つめている少女(スターリング・ジェリンズ)が気になったパターソンは、彼女に声をかける。 母と姉を待っていると言う少女と話したパターソンは、彼女から詩に興味があるか訊かれ、あると答える。 詩を書いていると言う少女は、鍵付きの秘密ノートを見せる。 パターソンから詩人かと訊かれ、そうだと答えた少女は、詩を聞いてほしいと伝える。 喜んで聞くと言われた少女は、”韻は踏んでいない”とパターソンに伝える。 少女は、”滝”ではない”ウォーター・フォールズ/水が落ちる”という題の詩を読む。 パターソンがそれを気に入ってくれたために喜ぶ少女は、韻は踏んでいないと言うものの、最初の2行と中間韻も踏んでいたことを指摘される。 母と双子の姉が戻って来たため、楽しかったとパターソンに伝えた少女は、”エミリー・ディキンソン”のことを彼に尋ねる。 好きな詩人だと言われた少女は、パターソンに別れを告げて車に向かう。 少女の詩のことを考えながら帰宅したパターソンは、ローラが用意した夕食がパイだったために驚く。 中身を気にしながら一口食べたパターソンは、自信をもって作ったローラのことを気遣いながら、口に合わないパイを水で流し込む。 パターソンは、ローラが壁に飾った滝の写真が気に入る。 ローラは、ネットで調べた”ペトラルカ”の詩”わが秘密”の中に登場する、自分と同じ名の”ラウラ”のことを話し、週末に詩のコピーを取る約束を忘れないようにとパターソンに伝える。 詩を読んでほしいと言うローラに、仕事帰りに出会った少女のことを話したパターソンは、滝の写真で思いだしたと伝える。 少女の詩のはじめを読んだパターソンは、ローラがカップケーキに使う、キッチンにある大量の小麦粉に気づく。 パイを勧められたパターソンは、何も言わずに食べて水で流し込む。 その夜、バーでドクと”ルー・コステロ”の話をしたパターソンは、楽しい時を過ごす。 そこにドクの妻(ジョニー・メイ)が現れ、黙って持ち出したへそくりのことで夫を責める。 チェスの大会に出場して必ず返すと言うドクの言葉を信じない妻は、彼を脅してその場を去る。 携帯電話が鳴ったためにそれを気にするドクは、パターソンから何かあったのかと訊かれる。 ドクから、未だに携帯電を持っていないのかと訊かれたパターソンは、束縛されるのが嫌だと答える。 妻のことを訊かれたパターソンは、携帯電話もパソコンもipadも持っていると答える。 マリーに話を聞いてもらえないエヴェレットを気の毒に思うパターソンは、彼を慰めようとするものの、ドクからやめておいたほうがいいと言われる。 金曜日 目覚めたパターソンはローラがいないことに気づき、彼女が、明日のためにカップケーキを作っていることを知る。 明日のバザーを楽しみにしているローラは、今日は、エステバンから直送されるハーレクイン・ギターが届くことをパターソンに伝える。 車庫に向かい、出発前にノートに詩を書いていたパターソンは、声をかけてきたドニーから最悪だと言われる。 今日は愚痴はやめておくと言うドニーはその場を去り、出発したパターソンは、詩を考えながら路線を走る。 その後、バスが故障して止まってしまい、電源が切れたために連絡もできないパターソンは、乗客を降ろす。 双子の老女が爆発を心配するため、パターソンは電気系のトラブルだと伝える。 乗客に謝罪し、代わりのバスが来ることを伝えたパターソンは、公衆電話が壊れていることに気づく。 少年から携帯電話のことを訊かれたパターソンは、今は持っていないと答え、少女から電話を借りて車庫に連絡する。 その頃、ギターが届いたローラは、早速、弾いてみる。 外に出たマーヴィンは、郵便ポストを傾かせて家に戻る。 帰宅するパターソンは、途中でホームレスに小銭を渡し、家に着き郵便を調べ、傾いているポストを見て不思議に思う。 ローラからギターを見せてもらったパターソンは、それを弾いて歌う彼女の嬉しそうな表情を見て満足する。 パターソンの帰りがいつもより遅く、様子がおかしいことに気づいたローラは、バスが電気系のトラブルで故障したことを知る。 緊急時のために携帯電話を持つことを勧められたパターソンは、必要ないとローラに伝える。 その後バーで、昼間の出来事をドクに話したパターソンは、明日のバザーに彼を誘う。 ドクからチェスの大会があると言われたパターソンは、諦めて、カウンターに座ったマリーと話をする。 エヴェレットのことを話すマリーは、彼とは幼馴染だけど、恋愛はうまくいかなかったことをパターソンとドクに伝える。 現れたエヴェレットはマリーに相手にされず、銃を手にして騒ぎ始め、自分のこめかみに銃口を当てる。 元軍人のパターソンがエヴェレットに襲い掛かって抑え込み、銃を拾ったドクは、それがおもちゃであることを確認する。 愛を失い生きる理由があるかと言い残し、エヴェレットはその場を去る。 マリーに感謝されたパターソンは、自分でも驚いていると伝える。 土曜日 ローラに起こされたパターソンは、昨夜、遅かった理由を訊かれ、バーで事件があったことを話す。 男が銃で女性を脅したことを知ったローラは動揺し、自殺しようとした男を止めたと話すパターソンは、結局、銃はおもちゃだったと伝える。 あのバーは危険だと言うローラに、早起きの理由を訊いたパターソンは、バザーでカップケーキを売る日だということを思いだし、彼女を抱きしめる。 キッチンに並ぶ大量のカップケーキを見て驚くパターソンは、”ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ”の詩をローラに読んであげる。 ノートをコピーする約束をパターソンに確認したローラは、カップケーキを運ぶのを手伝ってもらう。 車で出掛けるローラを見送ったパターソンは、マーヴィンを連れて散歩に出て公園に向かう。 家に戻ったパターソンは地下室に向かい、愛するローラのことを考えながら詩を書く。 帰宅したローラから、286ドルも稼いだことを知らされたパターソンは喜び、ノートを持って居間に向かう。 稼いだお金で食事と映画を楽しむことにしたローラとパターソンは、マーヴィンを残して出かける。 食事の後、ローラとチャールズ・ロートン主演の1932年のSFホラー”獣人島”を観たパターソンは、双子の観客を気にしながら、楽しい夜を過ごして帰宅する。 詩のノートをマーヴィンが食いちぎったことを知ったローラは驚き、パターソンを気の毒に思う。 ローラから、いつもノートは地下室に置いてあると言われたパターソンは、きっとソファに置き忘れたのだろうと冷静に話す。 マーヴィンをガレージに閉じ込めると言うローラは、パターソンのことが気になる。 日曜日 いつもより早く起きたパターソンは、気遣ってくれるローラに、寝ているよう指示し地下室に向かう。 パターソンは、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩集を手にして考え込む。 ガレージから出したマーヴィンを、居間に連れて行き見つめるパターソンは、お前なんか嫌いだと伝える。 苛立つローラは、マーヴィンをガレージに戻す。 最近の詩を読んでほしかったローラは、いつかは消えるものなので気にしないと言うパターソンに、ノートは全部拾ったので、パズルのように元に戻せるかもしれないと伝える。 気遣ってくれるローラに、気持ちだけで十分にうれしいと伝えたパターソンは、散歩に出かける。 途中でエヴェレットに出くわしたパターソンは、先日のことを謝罪される。 落ち着いた様子のエヴェレットから、元気がないと言われたパターソンは、何でもないと伝える。 ”どんなことが起きても日は昇り、そして沈む、毎日が新しい日”と昔から言うとパターソンに伝えたエヴェレットは、納得した彼と別れる。 その後、公園のいつものベンチに座り滝を見ていたパターソンは、その場に現れた日本人の男性(永瀬正敏)から声をかけられ、座っていいか訊かれる。 いいと言われた男性は、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの”パターソン”(日本語版)をバッグから取り出す。 それに興味がありそうなパターソンに、パターソンの出身か尋ねた男性は、ここの生まれだと言う彼に、地元の偉大な詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズを知っているか尋ねる。 知っていると言われた男性は、パターソンの詩人なのかパターソンに尋ねる。 違うと答えたパターソンは、バスの運転手だと男性に伝える。 とても”詩的”だと言われたパターソンは、ウィリアムズも詩に書いたかもしれないと話す彼の言葉に、思わず笑ってしまう。 フランスの画家ジャン・デュビュッフェは、1922年にエッフェル塔の頂上で気象観測をしたことを話す男性は、それも”詩的”だとパターソンに伝える。 その通りだと言うパターソンに、そのことはニューヨークの詩人フランク・オハラの詩で知ったと伝えた男性は、パターソンもニューヨーク派の彼の詩が好きだということを知る。 男性が詩を愛していることを確認したパターソンは、自分のすべてだと言う彼に、試作をするか尋ねる。 バッグの中の詩のノートを見せた男性は、日本語で書き翻訳はしないと言いながら、詩の翻訳は、レインコートを着てシャワーを浴びるようなものだとパターソンに伝える。 その通りだと言うパターソンは、男性にこの地を訪れた理由を尋ね、彼が、興味深い詩人ウィリアムズの街を見たかったことを知る。 パターソンと男性は、ここで暮らし詩作に励んだウィリアムズが医師だったことなどを話す。 アレン・ギンズバーグもこの街の出身だと言う男性は、その通りだと言うパターソンに、明日、旅立つことを伝える。 会えてよかったと言われたパターソンは、帰るの場所は東京かと尋ねる。 大坂だと答えた男性はパターソンと握手し、新品のノートをパターソンにプレゼントする。 ブランクの紙面に広がる可能性もあるとパターソンに伝えた男性は、その場を去る。 ペンを手にしたパターソンは、滝を見つめながら、詩を考える。 月曜日 目覚めたパターソンは、ローラにキスして出勤の準備をする。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニュージャージー州、パターソン。
詩を愛するバスの運転手で、街と同じ名のパターソンは、愛する妻ローラと愛犬マーヴィンと暮らしていた。
常に詩のことを考えながら、まじめに勤務するパターソンは、”秘密のノート”に詩を書いていた。
奇抜なアイデアと言動でパターソンを楽しませてくれるローラを愛するパターソンは、彼女から詩を世に出すことを勧められるのだが、その気になれなかった・・・。
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詩を愛する路線バス運転手の日常を淡々と描くドラマ。
物静かで真面目な平凡な男性の1週間を描き、人々との交流や、些細なことに喜びを感じながら生きる人間の本質を見事に描く、ジム・ジャームッシュの繊細な演出と脚本が光る作品。
美しい映像と音楽、主人公の素朴な人間性を伝える穏やかな演出、誰もが心地良い気分になれる秀作として各方面で絶賛された。
第69回カンヌ国際映画祭では、主人公の愛犬”マーヴィン”を演ずるイングリッシュ・ブルドッグのネリーが、”パルム・ドッグ賞”を受賞した。
本作は、作品自体が”詩”そのものであり、主人公がパターソンに住む”パターソン”、冒頭の主人公の妻の言葉”双子の夢を見た・・・”から始まる、”二重/ダブル”というキーワードがポイント。
度々、登場する双子、二人組の乗客、元恋人同士の男女、”韻を踏む”というセリフ、主人公が愛する詩人”ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ”、更には、主演のアダム・ドライバーがバスの”ドライバー”(これは偶然かも?)などなど・・・、物語の中でそれを探していく楽しみもある。
主演のアダム・ドライバーの、温厚であり優しさがにじみ出ている表情が実にいい。
クライマックスで登場する”異次元”感覚がある日本人の詩人役の永瀬正敏が、いかにも”演技してます”的なのに対し、親子ほど年の差のあるアダム・ドライバーの自然な演技は、流石にハリウッドの実力者だと感じさせてくれる。
主人公とは違い陽気で活動的な日々を送る妻ゴルシフテ・ファラハニ、フラれた恋人(チャステン・ハーモン)に付きまとう青年ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、主人公が通うバーのオーナー、バリー・シャバカ・ヘンリー、その妻ジョニー・メイ、バスの車庫長リズワン・マンジ、主人公と出会う日本人の詩人、永瀬正敏、バスの乗客であるアナーキストの学生カーラ・ヘイワードとジャレッド・ギルマン、コインランドリーのラッパー、メソッド・マン、主人公が出会う詩を愛する少女スターリング・ジェリンズ、バーの客である双子トレヴァー・パラムとトロイ・T・パラム、バスの乗客の少年ドミニク・リリアーノとジェイデン・マイケル、女性の話題で盛り上がるバスの乗客ブライアン・マッカーシーとフランク・ハーツ、主人公に声をかけるギャング風の青年ルイス・ダ・シルヴァJr.などが共演している。