アフリカから運ばれてきた感染ウィルスの恐怖と軍上層部の陰謀に立ち向かう軍医の戦いを描く、製作、監督ウォルフガング・ペーターゼン、主演ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー、キューバ・グッディングJr.、ドナルド・サザーランド他共演のサスペンス・アクション。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
製作総指揮
ダンカン・ヘンダーソン
アン・コペルソン
製作
ウォルフガング・ペーターゼン
ゲイル・カッツ
アーノルド・コペルソン
脚本
ローレンス・ドゥウォレット
ロバート・ロイ・プール
撮影:ミヒャエル・バルハウス
編集
ニール・トラヴィス
スティーヴン・E・リヴキン他
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
ダスティン・ホフマン:サム・ダニエルズ大佐
レネ・ルッソ:ロビー・キーオ
モーガン・フリーマン:ビリー・フォード准将
ケヴィン・スペイシー:ケイシー・スクーラー少佐
キューバ・グッディングJr.:ソルト少佐
ドナルド・サザーランド:ドナルド・マクリントック少将
パトリック・デンプシー:ジェームズ”ジンボー”スコット
デイル・ダイ:ブリッグス中佐
ベニート・マルティネス:フリオ・ルイーズ医師
ゼイクス・モカエ:ベンジャミン・アイワビ医師
マリック・ボーウェンズ:ラスワニ医師
J・T・ウォルシュ:大統領首席補佐官
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1995年製作 127分
公開
北米:1995年3月10日
日本:1995年4月
製作費 $50,000,000
北米興行収入 $67,823,570
世界 $187,800,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1967年7月、コンゴ(その後ザイール)、モターバ川流域。傭兵キャンプに、細菌防護スーツに身を包むアメリカ陸軍将校二人が到着する。
将校は、ラスワニ医師(マリック・ボーウェンズ)から状況の説明を受け、村中に蔓延する伝染病を調査しようとする。
二人はある患者を採血し、救援物資輸送の手配を整え村を去るが、一人の将校の爆破命令で、その村は消滅する。
現在。
メリーランド州、デトリック陸軍基地。
伝染病医学研究所(USAMRIID)レベル4(最高警戒度)のリーダー、サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)は、上官であるビリー・フォード准将(モーガン・フリーマン)に、熱病患者が続出している、ザイール(現コンゴ)の村の調査を命ぜられる。
ダニエルズは、元妻のロビー・キーオ(レネ・ルッソ)に愛犬を預けようとするが、相変わらず二人の関係はギクシャクしていた。
その後、ダニエルズは、部下ケイシー・スクーラー少佐(ケヴィン・スペイシー)と新任ソルト少佐(キューバ・グッディングJr.)を伴いザイールに向かう。 ケイシーは、実体験のないソルトに、現地での行動に対する忠告をするが、優秀な彼はそれに対応できるという自信を見せる。 ザイール、モターバ川流域。 ヘルメットを脱いでしまったソルトを、ダニエルズは隔離しようとするが、ベンジャミン・アイワビ医師(ゼイクス・モカエ)が、空気感染はしないことを伝える。 村は全滅寸前で、ウィルス感染した者は数日で確実に死亡し、宿主も不明の状態だった。 村を離れたダニエルズは、フォードへの報告書を作成し、彼は取り乱したことを謝罪するソルトを慰める。 同じ頃、密猟者が村の近くでオマキザルを捕獲し、貨物船でアメリカに運ばれる。 帰国直後ダニエルズは、フォードに現地の状況伝え、警戒勧告を出すよう迫るが受け入れられなかった。 その後のダニエルズらの調査で、ザイールから持ち帰った菌は、エボラウィルスをも凌ぐ危険を秘める、未知のウィルスであることが分かる。 それを知ったフォードは、そのウィルスを保管庫から持ち出して調べる。 フォードは、上官のドナルド・マクリントック少将(ドナルド・サザーランド)に、一連の状況を説明する。 ”モターバ・ウィルス”と名付けられたこのウィルスは、フォードとマクリントックが、1967年にザイールから持ち帰った物と同じで、軍の機密事項として細菌兵器に利用されようとしていたのだ。 そしてマクリントックは、フォードにダニエルズを担当から外すよう命ずる。 フォードは、それに抗議するダニエルズの意見を聞き入れなかったが、大事になると警告される。 カリフォルニア、サンノゼ。 アトランタ その頃、ジンボーは手に入れたサルを、シーダー・クリークのペットショップに売ろうとする。 しかし、ペットショップで注文と違うと言われたジンボーは、サルを森に放してしまう。 仕方なく、所長に特別警戒通達についてを話したロビーだったが、結局その意見は通らなかった。 その後、恋人に会うため空路ボストンに向かったジンボーは、機内で発病し、サルと接触したペットショップの店主も倒れ、シーダー・クリークにウィルスが蔓延していく。 各地からの報告の中で、ジンボーの発病に注目したロビーは、彼の病室を訪れるが手遅れだった。 ロビーが亡くなったジンボーを解剖して、それをダニエルズに報告すると、その症状は、彼が主張するモターバ熱そのものだった。 これに伴いCDCが警戒通達を出したため、何かあれば報告は上がることになる。 CDCに戻ったロビーは、ジンボーが乗っていた飛行機や、病院関係者に被害が及んでいないことを喜ぶが、シーダー・クリークで15人が感染したという報告が入る。 ダニエルズはフォードにそれを伝え、対処するよう要求するが受け入れられなかった。 報告を受けたマクリントックは、ウィルス感染地帯を一掃する考えをフォードに伝える。 シーダー・クリークは軍が制圧し、命令を無視したダニエルズもケーシーやソルトと、また、CDCから派遣されたロビーらの医師団も現地入りする。 ウィルス制圧に取りかかったダニエルズは、ザイールではなかった空気感染が起きていることに気づく。 現地の軍司令部に到着したフォードは、ブリッグス中佐(デイル・ダイ)から封鎖状況などを報告され、命令違反のダニエルズを逮捕するよう命ずる。 シーダー・クリークのウィルスが新種のウィルスだと確認され、ペットショップの店主と、映画館での感染者のウィルスが違うことから、宿主は2種類のウィルスを持っていることが分かる。 ダニエルズは、ジンボーがペットショップに行っていることから、宿主が二つの抗体を持っていることに気づく。 フォードの元に向かったダニエルズは、新種のウィルスが見つかったことと町の状況を報告し、患者の完全隔離と町民の外出禁止令を出すよう説得する。 それを聞いたフォードは、ダニエルズの行動を制止することは出来なかった。 ペットショップに向かったロビーは、宿主と接触しウィルスに感染したサルを見つける。 町は混乱し、脱出しようとする者の中には、軍の発砲を受けた死亡者もでる。 もはやダニエルズに頼るしかないフォードは、既に開発されていた抗血清を町に持ち込む。 フォードは、ダニエルズに協力を約束して血清を試薬ということにして渡し、彼はそれをペットショップのサルに投与させる。 発病した町民は家族と別れることになり、陽性反応がでた者は隔離され、死亡した感染者は完全焼却されることになる。 ジンボーの勤務していた実験用動物検疫所に、間違いなく宿主がいたと確信するダニエルズは、その後、徹底的な調査を進める。 ワシントンD.C.。 現地に飛んだマクリントックは、フォードとの話し合いで、あくまで一掃計画を実行することを伝える。 マクリントックは、シーダー・クリークの住民が、2億6000万人のアメリカ市民を救うための、”戦時犠牲者”だという意見を貫こうとする。 そんな時、ウィルスの原株で発病したペットショップのサルが、フォードが持ち込んだ試薬で回復する。 それを知ったダニエルズは、試薬が新しいウィルスには効かずに原株だけに効果があり、それが試薬ではなく”アフリカン・モターバ”用に作られた血清だということを確信する。 ダニエルズは、既に出来ていた血清を、マクリントックとフォードが隠していたことを知る。 その直後、疲労の極限だったケイシーが発病し、ロビーも彼の血液を採取しようとした注射器を指に刺し感染してしまう。 ダニエルズは、細菌兵器”アフリカン・モターバ”とその血清を隠していたフォードを追求する。 ウィルスの突然変異が起きる前に、それを食い止められたことと、細菌兵器の存在を隠し、感染者を見殺しにしたフォードらをダニエルズは非難する。 ロビーが感染したことも告げたダニエルズだったが、フォードから、一掃計画の大統領命令が下ったことを知らされる。 その後ダニエルズは、ジンボーが検疫所から動物を盗んでいたというソルトからの連絡を受ける。 マクリントックは、ブリッグス大佐にダニエルズの逮捕を命令を出す。 そしてダニエルズは、発病しなかった場合は町を出るようにとロビーに告げ、町を出ようとするが、彼女は一掃計画が実行されることに気づく。 厳戒態勢の町を、ソルトと共に脱出しようとしたダニエルズは、”宿主”を探すためヘリコプターで飛び立つ。 それを知ったマクリントックは、ダニエルズが抵抗した場合は射殺しろとブリッグスに命ずる。 サンフランシスコ、連邦政府ビル。 船に乗り移ったダニエルズは、発病して亡くなった船員が接触したサルの写真を手に入れ、彼は指名手配されているにも拘らずテレビ局に向かう。 サンタ・ローザ。 ブリッグスが、ダニエルズの無線を傍受して所在地を突き止め、マクリントック自らヘリで彼を追撃しようとする。 その頃フォードは、大統領命令によるシーダー・クリーク一掃計画を進めるべく、爆撃機に発進命令を出す。 パリセーズ。 宿主を見つけたことをフォードに知らせたダニエルズは、彼から妨害があることを知らされる。 フォードは計画中止の連絡を入れ、爆撃機は基地に戻ろうとする。 追ってきたマクリントックに、ダニエルズは宿主を捕獲したことを報告するが、シーダー・クリーク行きを阻止されそうになる。 ソルトの巧みな操縦で、撃墜されたと見せかけたヘリは、シーダー・クリークに到着する。 ケイシーは死亡してロビーも発病するが、ダニエルズは彼女の前でヘルメットを外し励ます。 ソルトは血清を作ることに成功し、ダニエルズはロビーにそれを投与する。 しかし、司令部に戻ったマクリントックの命令で、一掃計画は実行され、爆撃機は再び町に接近する。 ロビーの熱は下がるが、無線を傍受したソルトは、爆撃機が接近していることをダニエルズに知らせる。 ヘリで爆撃機を待ち構え、必死に説得するダニエルズの言葉を聞いたフォードは、彼らが爆撃機の射程ラインに入り、爆撃が不可能だと無線で知らせてしまう。 ダニエルズの説得とマクリントックの命令を同時に聞きながら、爆撃機のパイロットは目標地点に向かい、ヘリとニアミスして進路を変える。 そして、投下された爆弾は海上で爆破し、シーダー・クリークと血清は救われる。 考えた末にフォードは、大統領に報告すべき情報を隠したことを理由に、マクリントックを解任して逮捕する。 そして、合成された抗血清により、ロビーや感染者は回復に向い、愛を確かめ合ったダニエルズとロビーは、再び一緒に暮らすことを約束する。
...全てを見る(結末あり)
現場に到着し、細菌防護スーツに身を包んだ三人だったが、ベテランのダニエルズやケイシーも驚くほどの状況に、ソルトは予想通り取り乱してしまう。
実験用動物検疫所職員の、ジェームズ”ジンボー”スコット(パトリック・デンプシー)は、ザイールで捕獲されたサルを盗み出す。
CDC(疾病管理センター)に勤務することになったロビーは、モターバ・ウィルスの危険を察知したダニエルズから、所長に特別警戒通達を出すよう働きかけるよう頼まれる。
マクリントックの提唱する、2600人のシーダー・クリーク住民一掃計画に対し、大統領首席補佐官(J・T・ウォルシュ)は、住民の死が、決定を下した者達に一生付きまとうことを覚悟するよう声を荒げる。
ダニエルズは、宿主と思われるサルが運ばれた船を突き止め、既に出航したその船に向かう。
サルの写真をテレビで公開したダニエルズは、子供がサルを見つけたと言って通報してきた家に急行する。
子供を囮に使いサルを誘き出し、ソルトの射撃でサルを眠らせて無事に捕獲したダニエルズは、シーダー・クリークに向かう。
*(簡略ストー リー)
ザイールで熱病が発生し、それを調査したアメリカ陸軍・伝染病医学研究所のサム・ダニエルズ大佐は、上官フォードにその危険性を報告する。
同時に、同じ地域で捕獲されたウィルスの宿主であるサルが、アメリカに運ばれて感染が始まってしまう。
ダニエルズは採取した血液サンプルから、それが計り知れない危険性を持つ未知のウィルスだと確認する。
その間に、ある田舎町で感染は広がり、それを防ごうとするダニエルズや、医師である元妻のロビーは現地に向かおうとする。
しかし、30年前に既にそのウィルスをアメリカに持ち込んでいたフォードと上官マクリントックは、それを利用した細菌兵器の秘密が明らかになることを恐れ、ダニエルズらの行動を阻止しようとするのだが・・・。
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科学的根拠に基づき、細部まで丁寧に練られた、ローレンス・ドゥウォレットとロバート・ロイ・プールの脚本はもとより、アクションも交えウィルス感染の恐怖をスピード感と迫力ある映像で描く、監督ウォルフガング・ペーターゼンの演出は冴える。
ウィルスがアメリカに侵入していく経路や、それが小さな町に蔓延していく緊迫感は、現実味があり迫力満点だ。
北米興行収入は約6800万ドルに留まるものの、全世界では約1億8800万ドルのヒットとなった。
当時、世の中で話題になっていた感染症エボラ出血熱よりも怖いウィルスという設定が、さらに恐怖感を煽る。
USAMRIIDやCDCという実在する機関を前面に出したリアリズムの追求は、アメリカ映画を見ていていつも感心するところだ。
同じような機関や施設が日本にあったとしても、このような娯楽の対象にされると、全く絵にならないだろうということは容易に想像できる。
ジェームズ・ニュートン・ハワードの、力強い音楽も印象に残る。
珍しいアクション映画の出演が新鮮でもある主演のダスティン・ホフマンは、ウィルス制圧に奔走する軍医を熱演し、小柄ながら他を圧倒する貫禄の演技を見せてくれる。
終盤正義感を見せる、もともと悪人には見えないモーガン・フリーマンや、悪役に徹するドナルド・サザーランドも存在感抜群だ。
主人公の妻を好演するレネ・ルッソや、同じ年の「ユージュアル・サスペクツ」(1995)でアカデミー助演賞を受賞することになるケヴィン・スペイシー、翌年「ザ・エージェント」(1996)で、同賞を受賞するキューバ・グッディングJr.は、それぞれが、持ち前の個性を活かし好演している。
ウィリスの宿主であったサルを密売しようとするパトリック・デンプシー、指揮官マクリントック(D・サザーランド)の参謀役デイル・ダイ、ザイールの医師ゼイクス・モカエ、 マリック・ボーウェンズなどが共演している。
気になったのが、シーダー・クリーク一掃作戦の大義を説き、迫力ある演技が印象的だった首席補佐官役のJ・T・ウォルシュがクレジット無しだったのはなぜだろう・・・。