1938年に発表され”ピューリッツァー賞”を受賞したソーントン・ワイルダーの戯曲”Our Town”を基に製作された作品。 田舎町で暮らす人々の平凡な生活と若い男女の恋愛を描く、監督サム・ウッド、主演ウィリアム・ホールデン、マーサ・スコット、フェイ・ベインター、ビューラ・ボンディ、トーマス・ミッチェル、ガイ・キビー他共演の恋愛ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・ウッド
製作:ソル・レッサー
原作:ソーントン・ワイルダー”Our Town”
脚本
フランク・クレイヴン
ハリー・チャンドリー
ソーントン・ワイルダー
撮影:バート・グレノン
編集:シャーマン・トッド
美術・装置(白黒):ルイス・J・ラックミル
音楽:アーロン・コープランド
出演
ジョージ・ギブス:ウィリアム・ホールデン
エミリー・ウェッブ:マーサ・スコット
ジュリア・ギブス:フェイ・ベインター
マートル・ウェッブ:ビューラ・ボンディ
フランク・ギブス医師:トーマス・ミッチェル
チャールズ・ウェッブ:ガイ・キビー
モーガン:フランク・クレイヴン
ルーエラ・ソームズ:ドーロー・メランデ
ハウィー・ニューサム:スチュアート・アーウィン
サイモン・スティムソン:フィリップ・ウッド
レベッカ・ギブス:ルース・トビー
ウォーリー・ウェッブ:ダグラス・ガーディナー
ウィラード教授:アーサー・B・アレン
ファーガソン牧師:チャールズ・トローブリッジ
ビル・ウォーレン:スペンサー・チャーターズ
ジョー・クローウェルJr.:ディックス・デイビス
サイ・クローウェル:ティム・デイビス
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1940年製作 90分
公開
北米:1940年5月24日
日本:1947年6月10日
■ アカデミー賞 ■
第13回アカデミー賞
・ノミネート
作品
主演女優(マーサ・スコット)
録音・音楽・作曲・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1940年、ニューハンプシャー州、グローヴァーズ・コーナーズ。
町を望む高台で話をする住人のモーガン(フランク・クレイヴン)は、1901年の人々の様子を語り始める。
1901年6月7日。
フランク・ギブス医師(トーマス・ミッチェル)は、双子の出産に向かう。
ギブス家の隣は、新聞社編集長のチャールズ・ウェッブ(ガイ・キビー)の家だった。
10年後に、娘を訪ねて肺炎で亡くなるギブスの妻ジュリア(フェイ・ベインター)は、朝食の支度を始める。
ウェッブの妻マートル(ビューラ・ボンディ)の慌ただしい一日が始まり、娘のエミリー(マーサ・スコット)と息子ウォーリー(ダグラス・ガーディナー)を起こす。
息子ジョージ(ウィリアム・ホールデン)と娘のレベッカ(ルース・トビー)に声をかけたジュリアは、牛乳配達のハウィー・ニューサム(スチュアート・アーウィン)に朝の挨拶をする。 ウェッブ家にも寄ったハウィーは、夫人から家族のことを訊かれる。 帰宅したギブスは、野球のことばかり考えているジョージが、ジュリアの薪割りを手伝わないことを知る。 母に叱られながら、エミリーとウォーリー、ジョージとレベッカは慌てて朝食を食べる。 学校のベルに気づいたジョージらは、4人で登校する。 子供たちを送り出したジュリアはマートルと話し、パリ旅行をするのが夢だという話をする。 州立大学のウィラード教授(アーサー・B・アレン)に登場してもらったモーガンは、町の歴史について学術的な説明を求める。 続いてウェッブが、社会情勢や問題、文化や芸術などについて語る。 午後になり、授業が終わり家に戻ったエミリーは、芝刈りが趣味の父に声をかける。 秀才のエミリーに惹かれるジョージは彼女と話し、代数の解き方を部屋の窓から教えてほしいと伝える。 将来は農場主なりたいと言うジョージは、おじから農場を譲ってもらえるかもしれないとエミリーに話し、野球をするためにその場を去る。 母と自分の容姿のことを話したエミリーは、男性に魅力的と思われる美人かどうかが気になる。 夕方になり、教会では婦人たちの聖歌隊の練習が行われ、子供達は宿題をする。 アルコール依存症のオルガン奏者サイモン・スティムソン(フィリップ・ウッド)は、聖歌隊を指導する。 部屋の窓からエミリーに話しかけたジョージは、宿題を解くヒントを教えてもらう。 父に呼ばれたジョージは将来のことを訊かれ、農場で働きたいと答える。 早起きや重労働にジョージが耐えられるか疑問に思うギブスは、子供達のために働き詰めのジュリアが薪まで割っていることを話し、そんな母を家政婦扱いして野球に行ってしまうのが正しい考えかを問う。 涙するジョージの気持ちを、ギブスは理解する。 ジュリアとマートルと共に戻ったルーエラ・ソームズ(ドーロー・メランデ)は、酒に依存しているサイモンのことを話す。 サイモンの問題は、牧師でもある主治医ファーガソン(チャールズ・トローブリッジ)が対処していると言うジュリアは、干渉するべきではないとルーエラに伝える。 帰宅したジュリアに誰の噂話をしていたのか尋ねたギブスは、サイモンのことだと気づき、彼を見守ることしかできないと伝える。 ジョージに説教したことをジュリアに話したギブスは、暫くは薪割りを続けるだろうと言って眠る。 姿を消したサイモンのことを心配するウェッブは、現れた彼の行動が気になる。 帰宅したウェッブは、眠れないエミリーが、部屋の窓から美しい月を眺めていることを知り、早く眠るようにと伝える。 ジョージも、レベッカと共に月を眺めていた。 1904年7月7日。 エミリーに会いに行ったジョージは、マートルから、式の朝に新郎は新婦に会ってはいけないと言われ、迷信だと伝えるものの聞き入れてもらえない。 同じ意見のウェッブと話したジョージは、式のことで忙しいエミリーの気持ちを考えると確かにそうだと思う。 結婚式自体は女のためにあると言うウェッブは、戸惑うジョージに、結婚生活はいいものだと伝える。 若さは他の問題に比べればたいしたことではないと言うウェッブは、その問題について訊かれ、忘れてしまったと答える。 夫らしく振舞い妻を従わせ、財産の内容を教えてはならないという父の助言を無視したと言うウェッブは、そのおかげで幸せになれたと話しジョージを安心させる。 エミリーが下りてくるためにジョージを帰したマートルは、ウェッブから、式の朝、新郎を義父に会わせてはならないという迷信もあると言われて戸惑う。 モーガンは、ジョージとエミリーが結婚に至るまでの話を始める。 1年前。 惹かれていたものの、野球ばかりするジョージが自分や家族と話もしなっくなたことが不満なエミリーは、その件を彼に伝える。 どんな人間にも欠点はあると言うジョージは、完璧を求めるエミリーが戸惑い涙ぐむ姿を見て、どうしていいか分からなくなる。 エミリーを誘ったジョージは、モーガンが経営するソーダ・ショップに向かう。 悲しそうな顔をしていたため、気遣ってくれるモーガンにイチゴソーダを注文したエミリーは、来年農業大学に行くと言うジョージから、手紙をくれるか訊かれる。 手紙を書くことを約束してくれたエミリーから、町を離れれば考えも変わると言われたジョージは、それを否定する。 直ぐに農業を始めた方がいいと考えたジョージは、大学には行かないとエミリーに伝える。 大事なことを簡単に決めるべきでないと言われたジョージは、自分の気持ちをエミリーに伝え、同じ考えの彼女と将来を共にすることで意見が一致する。 二人はソーダを飲み終わり、所持金がないことに気づいたジョージは、後で持ってくることをモーガンに約束して信じてもらう。 エミリーの気分が晴れたことを確認したモーガンは、結婚式のことを話し始める。 ジョージとエミリーは、不安を感じながら式が始まるのを待つ。 二人は、ファーガソン牧師(チャールズ・トローブリッジ)の元で誓いの言葉を交わし、家族や出席者に祝福される。 1913年、夏。 エミリーの弟ウォーリーは、キャンプの途中で病に倒れ、サイモンも酒に溺れて自殺した。 肉体は消えても魂は永遠に残ると言うモーガンは、二人目の子を出産するエミリーの難産について語る。 娘を出産後、ギブスが付き添うベッドで横たわるエミリーは、生きたいと思いつつ、意識の中で自分の葬儀を終える。 墓地に現れたサイモンに語りかけたエミリーは、自分とジョージに遺してくれたお金で、立派な農場を作れたことをジュリアに感謝する。 過去の特別は日に戻りたいと考えたエミリーは、普通の日にするべきだと言うジュリアの意見を聞き、家に戻る。 朝起きて来た母と牛乳配達のハウィーの会話で、自分の16歳の誕生日だと気づいたエミリーは、大学の講義から戻った父を見つめる。 両親に近づくものの、大人になった自分に気づいてもらえないエミリーは、二階から下りてきた自分と、プレゼントを持ってきてくれたジョージに向かって、結婚して農場を継ぐことを伝える。 ジョージはその場を去り、あと12年すると自分は死んでしまうと母に伝えたエミリーは、ジョージとの結婚とウォーリーが亡くなることも話す。 家族一緒にいられる時間は少ないのに、あまり話もしない様子を見て切なくなったエミリーは、その世界とグローヴァーズ・コーナーズ、そして両親に別れを告げる。 ギブスから、もちろん生きているよと言われたエミリーは意識が戻り、様子を見に来たジョージに気づく。 ジョージとエミリーは、生まれたばかりの娘を見つめながら幸せを実感する。 夜の11時、グローヴァーズ・コーナーズの人々は眠りについていると言うモーガンは、おやすみの挨拶をしてその場を去る。
...全てを見る(結末あり)
ジョージとエミリーの結婚式を控え、ギブスとジュリアは、自分たちの時のことなどを語り合う。
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学校の選挙で生徒会長になったジョージは、会計係に選ばれたエミリーと下校する。
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高台の墓地で語るモーガンは、ルーエラの墓の前で、ジュリアが3年前に夫より先に亡くなったことを話す。
*(簡略ストー リー)
1901年、ニューハンプシャー州、グローヴァーズ・コーナーズ。
ギブス医師と隣りに住む新聞社編集長のウェッブは、それぞれ、妻と二人の子供達と共に平凡な日々を送っていた。
仲の良い両家は隣人同士で助け合いながら、家庭で抱える問題なども話し合いで解決した。
そんな中で、ギブスの息子ジョージとウェッブの娘エミリーは惹かれ合う仲であり、将来を共にする約束するのだが・・・。
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”ピューリッツァー賞”を受賞したソーントン・ワイルダーの戯曲”Our Town”を基に製作された作品。
コメディを得意としていたサム・ウッドによる、平凡な人々の日常をユーモアをまじえて繊細に描く、心温まる人情ドラマに仕上がっている。
物語は、町のソーダ・ショップのオーナーであるモーガン(フランク・クレイヴン/舞台でも同じ役を演じた)が進行役で登場し、田舎町グローヴァーズ・コーナーズや人々について語る構成となっている。
また、終盤では、難産の末に死の世界に迷い込みそうになったヒロインが、家族と過ごした大切な日を思い出しながら、生きる希望を得て意識を回復させるという、ファンタジー・タッチで締めくくられる演出も興味深い。
第13回アカデミー賞では、作品賞以下、主演女優(マーサ・スコット)、録音、音楽、作曲、美術賞にノミネートされた。
期待の若手スターである、主演のウィリアム・ホールデンの初々しさは必見であり、デビュー間もない、撮影当時21歳の彼の演技は今見ると実に新鮮だ。
ウィリアム・ホールデンよりも6歳年上ではあるが、本作がデビュー作となったマーサ・スコットは、舞台でも同じ役を演じ、本作の好演でいきなりアカデミー主演賞にノミネートされた。
主人公の母親フェイ・ベインター、その夫で医師のトーマス・ミッチェル、ヒロインの母親ビューラ・ボンディ、その夫で新聞社編集長のガイ・キビー、物語の進行役でソーダ・ショップのオーナー、フランク・クレイヴン、町の住人の婦人ドーロー・メランデ、牛乳の配達人スチュアート・アーウィン、聖歌隊のオルガン奏者でアルコール依存症のフィリップ・ウッド、主人公の妹ルース・トビー、ヒロインの弟ダグラス・ガーディナー、町の解説をするために登場する大学教授アーサー・B・アレン、牧師のチャールズ・トローブリッジ、警官のスペンサー・チャーターズ、新聞配達の兄弟ディックス・デイビスとティム・デイビスなどが共演している。