南米のコロンビアを舞台に、定期郵便の飛行場マネージャーとショー・ガールの関係を描く、ハワード・ホークスの原作、製作、監督、主演ケイリー・グラント、ジーン・アーサー、リチャード・バーセルメス、トーマス・ミッチェル、リタ・ヘイワース他共演による”スクリューボール・コメディ”タッチで描くアドベンチャー・ロマン。 |
・ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ハワード・ホークス
製作:ハワード・ホークス
原作:ハワード・ホークス
脚本:ジュールス・ファースマン
撮影:ジョセフ・ウォーカー
編集:ヴィオラ・ローレンス
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演
ケイリー・グラント:ジェフ・カーター
ジーン・アーサー:ボニー・リー
リチャード・バーセルメス:バット・キルガロン/マクフィアソン
トーマス・ミッチェル:”キッド”ダブ
リタ・ヘイワース:ジョディ・マクフィアソン
ノア・ビアリーJr.:ジョー・サウザー
シグ・ルーマン:ジョン”ダッチ”ヴァン・ライター
ジョン・キャロル:”ジェント”シェルトン
アリン・ジョスリン:レス・ピータース
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1939年製作 121分
公開
北米:1939年5月12日
日本:1940年2月
■ アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・ノミネート
撮影(白黒)・特殊効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
南米、コロンビアのバランカ。
巡業途中に港に降りた、ショー・ガールのボニー・リー(ジーン・アーサー)は、アメリカ人の飛行家であるジョー・サウザー(ノア・ビアリーJr.)とレス・ピータース(アリン・ジョスリン)に出会う。
ジョン”ダッチ”ヴァン・ライター(シグ・ルーマン)の酒場兼管制室に連れていかれたボニーは、定期郵便の飛行場マネージャー、ジェフ・カーター(ケイリー・グラント)の傲慢な態度に憤慨する。
ジェフは、悪天候にも拘らず、ジョーにフライトの命令を出すが、”キッド”ダブ(トーマス・ミッチェル)から、風向きが変わり、さらに霧が濃くなるという報告を受ける。 飛行場に引き返すことになったジョーは、ジェフの指示を無視して強引に滑走路に着陸しようとしたため、高い木に翼が衝突して機は墜落し、ジョーは命を落とす。 ショックを受けたダッチに、ジョーの腕の未熟さが事故を招いたとジェフは厳く言い放つ。 さらにジェフは、ジョーと食事の約束をしたボニーの責任だとも伝え、彼女は気落ちしてしまう。 ジョーの食べるはずだったステーキを、無神経に食べようとするジェフや男達を見て、ボニーは彼らを非難する。 しかし、それがここの常識だと知らされたボニーは、ジェフを理解しようとし、彼らに溶け込もうとする。 その後、ひねくれ者のジェフの人間味に触れたボニーは、彼に好意を抱くが、ジェフは、そんな彼女を船に帰そうとする。 その時、若干霧が晴れ、危険な状況ではあるがジェフがフライトすることになる。 飛び立ったジェフを見送りながら、キッドは今ここを去るのが懸命だとボニーに助言する。 翌朝、ジェフは無事にバランカに戻り、船から荷物を降ろしたボニーがジェフを迎える。 しかし、ジェフはそれを冷たく跳ね除け、ボニーを次の船で帰そうとする。 ジェフに心奪われたボニーはショックを受けるが、キッドが彼女を慰めて優しく抱きしめる。 翌日、補充のパイロット、マクフィアソン(リチャード・バーセルメス)が現れるが、彼は、飛行中に事故を起こした機にメカニックを残し、自分だけ脱出したバット・キルガロンだった。 しかも、死亡したメカニックはキッドの弟で、バットと対面した彼は怒りに震える。 バットに同行していた、妻ジュディ(リタ・ヘイワース)はそれを知らなかったが、実は彼女は、かつてジェフと関係があり、ジュディは彼の存在を知り顔色を変える。 その後、鉱山会社の社長の息子が事故に遭い、ジェフに救援を求めてくるが、危険地帯への飛行に彼は難色を示す。 ジェフは、仕事を欲しがるバットにフライトを任せることと、代わりにキッドを、パイロットから引退させねばならない辛い立場に立たされる。 自棄酒を飲み同僚達と喧嘩になったキッドは、引退を知った仲間達に同情され、陸上勤務に就く決心をする。 危険な仕事を終え帰還したバットは、ジェフから正式に雇われることを伝えられる。 飛行場の経営者ダッチは、鉱山会社の社長からの多額の小切手を受け取り、窮地に立たされていた飛行場の経営を立て直す目処がつく。 ボニーはジェフとジュディの関係に気づき、その切ない思いをキッドに伝える。 油田にニトログリセリンを運ぶ仕事が入り、パイロット達は誰も飛びたがらず、結局バットが危険な仕事に就くことになる。 ジュディは、夫バットが、同僚から白い目で見られているのを気にして真相を知ろうとする。 しかし、ジェフはバットの気持ちを考え、彼女には何も話さなかった。 飛び立ったバットだったが、天候が悪化しニトロを捨て飛行場に戻り、天候の回復を待ち、再び郵便物の輸送に飛び立つ。 船が港に着き、帰国することになったボニーは、ジェフに別れを告げようとする。 ジェフもボニーに惹かれ始めていたのだが、定期郵便の飛行に飛び立つ自分を彼女が止めようとする。 ジェフの拳銃を抜いたボニーは、銃口を彼に向けてしまう。 ボニーがテーブルに置いた銃が暴発し、ジェフは肩に弾丸を受けてしまう。 仕方なくジェフは飛行を諦め、バットとキッドの因縁の二人が飛び立つことになる。 悪天候のため難航する飛行の最中、鷹が操縦室に激突し、キッドが負傷してしまう。 エンジンも損傷し、機は出火しながら飛行場に戻ろうとするが、キッドはバットに脱出するよう命ずる。 バットは決死の操縦で滑走路に着陸し、ジェフらが機内から二人を救出し、その後、機体は爆発して、飛行場は閉鎖の危機にさらされる。 瀕死のキッドは、同僚達に自分の死を見られるのを嫌い、ジェフに別れを告げて一人息を引き取る。 脱出せず最後まで操縦を続けたバットに、酒をおごるようキッドから言われたジェフは、同僚達と共に彼のためににグラスを掲げる。 22年間のパイロット生活で残した、キッドのあまりに少ない遺品を見て涙するジェフに、ボニーは寄り添い別れを告げようとする。 その時、天候回復の連絡が入り、閉鎖が回避できるかもしれないジェフは、負傷しながら飛び立とうとする。 自分を止めないジェフに不満をぶつけるボニーに、表なら残れと言い残し、コインを渡して彼は立ち去る。 失意のボニーだったが、キッドの遺品のコインが両面表だと気づき、彼女は笑顔で、飛び立っていくジェフを見送る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
南米、コロンビアのバランカ。
巡業途中に港に降りたショー・ガール、ボニー・リーは、アメリカ人飛行家ジョーとレスに出会い、酒場兼管制室に連れていかれる。
ボニーはそこで、定期郵便の飛行場マネージャーである、ジェフ・カーターの傲慢な態度に憤慨する。
ジェフは、悪天候にも拘らずジョーにフライトの命令を出すが、霧が濃くなるというキッドの報告で飛行場に引き返す。
しかし、ジョーは、ジェフの指示を無視して強引に滑走路に着陸しようとしたため、墜落して命を落とす。
ジェフはジョーの飛行技術の未熟さと、ボニーが彼を食事に誘ったのが原因だと言い放つ。
ショックを受けたボニーは、無神経なジェフや男達を非難する。
そんなボニーは、それがここの常識だと知り、その後、ジェフの人間味にも触れ、彼に好意を持ち始めるのだが・・・。
__________
定期郵便輸送の飛行場を仕切る男と、ひょんなことからそこに滞在することになったショー・ガールとの、なかなか進行しないロマンスと、飛行家の男達の生き様を、ハワード・ホークスらしくダイナミックに描いた、ユーモア・センスも抜群の、見応えある作品。
第12回アカデミー賞では、撮影(白黒)、特殊効果賞にノミネートされた。
当時としては、最先端の技術を駆使した見事な特撮や、航空撮影シーンも迫力十分だ。
後のハワード・ホークスの一連の西部劇などでもコンビを組む、ディミトリ・ティオムキンが音楽を担当している。
傲慢で素っ気無い、しかも過去がある謎めいた男だが、人間味があり部下からも信頼されている男を、ケイリー・グラントは好演している。
ユーモアや茶目っ気を、やや抑えた野性味のある彼は実に魅力的だ。
実はケイリー・グラントより4歳年上の、40歳直前には見えない若々しいジーン・アーサーの、進展しない恋と悲しい事件での憂鬱な表情が、一気に清々しい笑顔に変わる、粋なラストも忘れ難い。
この1939年に「スミス都へ行く」、「風と共に去りぬ」、「駅馬車」など、映画史上に残る傑作に軒並み出演して、「駅馬車」で見事にアカデミー助演賞を獲得した、トーマス・ミッチェルは、落ち着いた雰囲気で、泣かせる演技を見せてくれる。
卑怯者の汚名を着せられながら、勇気ある飛行を続けるリチャード・バーセルメス、その妻で撮影当時まだ20歳だった、妖艶な美しさが一際印象的なリタ・ヘイワース、飛行場経営者兼酒場の主人シグ・ルーマンなどが共演している。