1979年にブロードウェイで上演されたアーネスト・トンプソンの戯曲”On Golden Pond”を基に製作された作品。 湖畔でのひと夏を過ごす老夫婦と父と娘の関係修復を描く、監督マーク・ライデル、主演キャサリン・ヘプバーン、ヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダ、ダブニー・コールマン他共演、による家族愛のドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーク・ライデル
製作:ブルース・ギルバード
原作:アーネスト・トンプソン(戯曲)”On Golden Pond”
脚本:アーネスト・トンプソン
撮影:ビリー・ウィリアムズ
編集:ロバート・L・ウォルフ
音楽:デイヴ・グルーシン
出演
エセル・セアー:キャサリン・ヘプバーン
ノーマン・セアーJr.:ヘンリー・フォンダ
チェルシー・セアー・ウェイン:ジェーン・フォンダ
ビリー・レイ:ダグ・マッケオン
ビル・レイ:ダブニー・コールマン
チャーリー・マーティン:ウィリアム・ラントゥ
サムナー・トッド:クリストファー・ライデル
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1981年製作 109分
公開
北米:1981年12月4日
日本:1982年4月10日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $119,285,430
■ アカデミー賞 ■
第54回アカデミー賞
・受賞
主演男優(ヘンリー・フォンダ)
主演女優(キャサリン・ヘプバーン)
脚色賞
・ノミネート
作品・監督
助演女優(ジェーン・フォンダ)
撮影・編集・録音・作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューハンプシャー州
”ゴールデン・ポンド”と呼ばれる湖のほとりの別荘を、引退していた大学教授ノーマン・セアーJr.(ヘンリー・フォンダ)と妻エセル(キャサリン・ヘプバーン)が訪れる。
80歳間近で物忘れも酷くなったノーマンは、自分の衰えを感じながら、マイペースでひと夏を過ごそうとする。
そんな、頑固で偏屈なノーマンを気遣いながら、エセルは美しい自然に中での日々を楽しもうとする。
ある日、ノーマンにイチゴ摘みを頼んだエセルは、一人娘チェルシー(ジェーン・フォンダ)からの手紙を、知人の郵便配達人チャーリー・マーティン(ウィリアム・ラントゥ)から受け取る。
森の中で迷いそうになったノーマンは、何んとか別荘に戻り、チャーリーと共に、チェルシーからの手紙の内容をエセルから知らされる。 自分の80歳誕生日に、歯医者だという新しい恋人と訪ねて来るというチェルシーの話も上の空のノーマンは、チャーリーが帰った後で、直ぐに戻った理由をエセルから聞かれる。 動揺するノーマンは、森の中で道が分からなくなったことをエセルに伝え不安を訴える。 エセルはノーマンに優しく語り掛け、彼に勇気を与えて励ます。 ノーマンとは不仲である、チェルシーを迎える準備をしたエセルは現れた娘を歓迎し、気まずい雰囲気の中、彼女の恋人ビル・レイ(ダブニー・コールマン)の息子ビリー(ダグ・マッケオン)を紹介される。 ビリーに、いきなり歳を聞かれたノーマンは、相変わらず嫌味ばかり口にしながら彼を部屋に案内する。 車を駐車するビルの様子を見に行き戻ったチェルシーは、ノーマンが急激に老けたように思えることをエセルに伝えて気にする。 それを聞いていたノーマンは、チェルシーに皮肉を言うが、エセルは、彼が歓迎していることを伝える。 ようやく現れたビルにも、ノーマンが容赦ない言葉を浴びせたため、チェルシーは、ビリーとエセルと共に湖を見に行く。 ビルは、何んとかノーマンと親交を深めようとするが、彼の毒舌は止まらない。 ノーマンは、他人の考えが見抜けると言ってはっきりと自分の考えを伝えるビルを、一応、受け入れる。 戻ってきたビリーと話をしたノーマンは、ロサンゼルスに住む少年の話が理解できず、”宝島”を読み翌朝、感想を聞くと言って部屋に行くよう指示する。 その後ノーマンは、チェルシーとビルがヨーロッパに行くために、ビリーを一月預かってほしいと言われたことをエセルから知らされる。 ノーマンはそれを承知し、パーティーが始り、彼は感謝の言葉を述べる。 チェルシーは楽しい時を過ごすものの、ノーマンとは打ち解けることができない。 ノーマンの期待に応えようと、顔色ばかり窺って生きてきたチェルシーは、認めてもらえないことを嘆き、それをエセルに伝える。 子供の頃の苦い想い出ばかり口にしているチェルシーに、人生は今後も続くと言って、エセルは厳しい言葉で娘をは励ます。 チェルシーとビルは旅立ち、気乗りしないビリーを連れて、ノーマンとエセルは湖へ釣りに出かける。 その後、意外にも二人との生活に馴染んだビリーは、彼らと親交を深める。 しかし、暖炉の火もまともに点けられず、周囲を燃やしてしまったノーマンは、ビリーに八つ当たりしてしまう。 気落ちするビリーにエセルは、ノーマンが精一杯、自分の人生を生きようとしていることを伝える。 ノーマンとビリーは、”地獄の入江”と呼ばれる場所で、伝説のマスを釣ろうとする。 ビリーにチェルシーと語りかけてしまったノーマンは、死についてなどを聞かれて言葉に詰まる。 帰ろうとした二人のボートは岩に衝突してしまい、その衝撃でノーマンは水中に落下し、彼はチェルシーの名を呼ぶ。 ビリーは水に飛び込みノーマンを助け、二人は岩にしがみつく。 帰りの遅い二人を心配したエセルは、チャーリーの元に向かい、二人はボートで彼らを捜しに行く。 二人を見つけたエセルは、水に飛び込みノーマンの元に向かい、彼らの無事を確認する。 1週間後。 入り江での釣りを許されたノーマンとビリーは、早速ボートで出かける。 その後チェルシーが戻り、ノーマンとビリーが意気投合していることをエセルから知らされる。 自分とは”友達”になれないノーマンのことに対して、チェルシーは不満を口にする。 エセルは、子供のようなことを言うチェルシーをなだめるが、彼女がビルと結婚したことを知り喜ぶ。 ノーマンがそれを知っても嫌味を言うと、父親を最低だと言って非難するチェルシーをぶったエセルは、彼は自分の夫だと伝えて厳しく戒める。 チェルシーは苛立ち、湖に向かい飛び込んでしまう。 その頃、ノーマンとビリーは、遂に伝説のマスを釣り上げることができる。 自分が悪い娘だと言うチェルシーに話しかけたエセルは、ノーマンは娘を愛しているが言葉で表現できないだけだと伝える。 衰えの目立つノーマンと、友達になりたいのなら急ぐことだとエセルにj助言されたチェルシーは、彼と話をするよう言われる。 ノーマンとビリーは戻り、釣ったマスを放したことを聞いたチェルシーは、父に話しがしたいことを伝える。 普通の関係を築きたいと言うチェルシーは、死んだ後の財産の話を始めたノーマンに、いがみ合うことを止めたいだけだと伝える。 話しが合わない程度だと言うノーマンの言葉に、納得しかけたチェルシーは、ブリュッセルで結婚したことを伝える。 ビルとの結婚を形式的に喜んだノーマンは、ビリーも一緒に暮らすことを確認し、彼に飛び込みの後ろ宙返りを教えたことをチェルシーに知らせる。 自分は出来なかったと言われたチェルシーは、ノーマンの制止を聞かずに宙返りを成功させる。 それを見たノーマンは、その場に現れたエセルとビリーと共に拍手して喜ぶ。 ビルの待つロサンゼルスに向かうチェルシーは、大学時代の、飛び込みのメダルをノーマンから渡される。 チェルシーは別れ際に、いつも呼んでいた”ノーマン”ではなく”パパ”と言って話しかけ、父娘は固く抱き合う。 その後、別荘を引き上げる支度をしていたノーマンは、心臓の発作で倒れてしまう。 焦るエセルはノーマンに薬を飲ませて電話をかけるが、気分が良くなった彼は妻を安心させる。 立ち上がったノーマンは、エセルを連れて湖に向かい、水辺を見つめながら語り合う。
...全てを見る(結末あり)
ノーマンとビリーは、懲りずに魚釣りに出掛けようとするが、エセルに見つかってしまう。
*(簡略ストー リー)
ニューハンプシャー州。
80歳に近づく引退した大学教授のノーマン・セアーJr.は、妻エセルと共に、ゴールデン・ポンド”と呼ばれる湖の別荘で、ひと夏を過ごそうとする。
衰えを感じるノーマンは、不安を抱えながら日々を過ごすが、エセルは夫を励ます。
頑固で偏屈なノーマンは、エセルや誰にでも毒舌を吐き、マイペースを貫く。
そんなノーマンは、不仲の一人娘チェルシーが、誕生日に訪ねて来ることをエセルから知らされる。
チェルシーと恋人のビル、彼の息子ビリーを、エセルと共に歓迎したノーマンは、彼女らと相容れない時間を過ごす。
その後、チェルシーとビルがヨーロッパに旅立つため、ノーマンとエセルはビリーを預かることになる。
子供を相手にすることを不満に思うノーマンだったが、意外にもビリーと気が合い、二人は親交を深める・・・。
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私生活で不仲が有名だったヘンリー・フォンダとジェーン・フォンダ親子なのだが、彼女が、自分達の関係に似たアーネスト・トンプソンの戯曲の映画化権を取得したと言う経緯がある。
結果、作品は批評家を含めて絶賛され、二人の親子関係は修復した。
長い芸歴の末に初めてアカデミー主演賞を受賞したヘンリー・フォンダは、体調不良のため授賞式は欠席し、ジェーン・フォンダが代わりにオスカーを受取り父親を称えたスピーチに、人々は惜しみない拍手を贈った。
その5カ月後に他界したヘンリー・フォンダは、この受賞が功労賞的とも言う意見もあるが、私はそうは思わない。
衰えを隠せない老人役、舞台経験も豊富な彼の演技は、言葉の一つ一つに重みがある。
序盤の偏屈さを強調させるセリフ回しなどは、上質なコメディを観ているようで、その役作りの素晴らしさは秀逸だ。
舞台となるニューハンプシャー州湖畔の美しい自然を生かした、マーク・ライデルの演出は、舞台劇をベースにしているだけあり、穏やかな中にも、役者の演技には力強さを感じる見事な仕上がりとなっている。
第54回アカデミー賞では、主演男優(ヘンリー・フォンダ)、主演女優(キャサリン・ヘプバーン)脚色賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演女優(ジェーン・フォンダ)
撮影・編集・録音・作曲賞
*キャサリン・ヘプバーンは史上最多4度目の主演賞受賞となった。
興行的にも大成功した作品で、北米のみで約1億1900万ドルの大ヒットとなった。
頑固な夫の操縦方法を心得て、娘との関係を修復させるキャサリン・ヘプバーンの自然な演技、ギクシャクする親子関係を、実父と絶妙に演ずるジェーン・フォンダの演技も見逃せない。
主人公と親交を深める少年ダグ・マッケオン、その父親ダブニー・コールマン、郵便配達人ウィリアム・ラントゥ、町の青年役でマーク・ライデルの息子クリストファー・ライデルなどが共演している。